秋の声 3     135句

医師に背を向けて坐るや秋の声    内田しんじ

秋のこゑ  秋の声

作品
作者
掲載誌
掲載年月
風止みて一人の世界秋の声 稲畑汀子 ホトトギス 200610
秋声や旅の心を急がせて 稲畑汀子 ホトトギス 200610
秋の声とも彼の声とも偲び 稲畑廣太郎 ホトトギス 200610
大江戸と小江戸を繋ぎ秋の声 稲畑廣太郎 ホトトギス 200610
湖北より余呉より確と秋の声 稲畑廣太郎 ホトトギス 200610
関址はみちのくはじめ秋の声 能村研三 200610
見上げれば馬のまなざし秋の聲 芝尚子 あを 200610
秋声をひとつこぼして葉のさゆれ 豊田都峰 京鹿子 200611
城址の石より返す秋の声 大泉伸 遠嶺 200611
初秋の声にならないこゑを聴く 島田和子 風土 200611
百日の長く短く秋の声 大橋晄 雨月 200611
水嵩の増えたるダムや秋の声 安陪青人 雨月 200611
真間山に立ち秋声を聴くばかり 安陪青人 雨月 200611
ポストまで百歩の並木秋の声 田中藤穂 あを 200611
守武の声と思へり秋の声 鷹羽狩行 200612
風すさぶ神威岬や秋の声 川崎光一郎 京鹿子 200612
秋の声「塔のへつり」へ足のばす 石川龍士 春燈 200612
秋の声聴かな浜辺の鳴き砂に 四方ハツ子 春燈 200612
拓本の十三文字や秋の声 外川玲子 風土 200612
苔の石ぬひゆく水の秋の声 永田二三子 酸漿 200612
秋声やふたたび虚子の句碑拝し 乗光雅子 雨月 200701
秋声や見上げて通る大樫 大須賀容子 遠嶺 200702
古戦場石仏五百の秋の声 高橋千美 京鹿子 200702
旅といふ秋声ふかき刻もてり 佐々木幸 200702
虚子館の地下には地下の秋の声 山田弘子 ホトトギス 200703
秋声として一堂に満つ諷経 村松紅花 ホトトギス 200703
秋声や立ち止まりまた立ち止まる 今橋眞理子 ホトトギス 200703
秋の声すべる青磁の壺の肩 山元志津香 八千草 200703
市街化に残る果樹園秋の声 藤原りくを 八千草 200703
網走の隠れてやまぬ秋の声 小野寺節子 風土 200705
収穫を終へ稲城野の秋の声 稲畑廣太郎 ホトトギス 200710
天帝と対話してゐる秋の声 稲畑廣太郎 ホトトギス 200710
秋の声生あるものの祈りとも 稲畑廣太郎 ホトトギス 200710
秋の声多摩の稜線越えて満つ 稲畑廣太郎 ホトトギス 200710
句碑に触れ一つの道へ秋の声 鈴鹿仁 京鹿子 200710
秋の声なりやオラショの声なりや 鷹羽狩行 200711
向う岸見ゆる渡しや秋の声 村上美智子 雨月 200711
秋の声太白星の出づるとき 千田百里 200711
形なきものに値のあり秋の声 高橋将夫 200712
木彫の仁王尊より秋の声 石川彰子 200712
落城の天守に立てば秋の声 丸山美奈子 馬醉木 200712
再診の受付の列秋の声 宮崎高根 200712
木曾馬の嘶き遥し秋の声 木下忠雄 酸漿 200712
帰国子を送り出したり秋の声 奥田妙子 ぐろっけ 200712
ぽつかりと空いた座席に秋の声 星原悦子 200801
のり出して秋の声聞く摩崖仏 大坪景章 万象 200801
さよならと穴からの声秋の声 坪内稔典 稔典句集U 200804
発車ベルてふ秋の声聞いてをり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200809
水消しの煙草にかすか秋の声 林翔 200810
点検の下水穴から秋の声 品川鈴子 ぐろっけ 200810
見上ぐる人なき山桑の秋の声 藤田宏 200810
聞き耳をたててひとりの秋の声 勝原文夫 ペン皿 200811
女ミイラの胸のふくらみ秋の声 勝原文夫 ペン皿 200811
盥舟たらひの底の秋の声 久保久子 春燈 200811
手になづる背割り柱や秋の声 豊谷青峰 春燈 200811
耳とほくなりてさやかや秋の声 金子輝 春燈 200811
朝風や川の流れに秋の声 小城綾子 200811
屯田兵舎の細き柱や秋の声 渡会昌広 馬醉木 200811
水翳る一瞬ありぬ秋の聲 近藤喜子 200811
賎ヶ岳は戦跡地にぞ秋の声 大橋敦子 雨月 200811
古戦場にひとり佇み秋の声 大橋敦子 雨月 200811
そばだつる耳の後を秋の声 岸はじめ ぐろっけ 200811
キリシタン史跡を訪へば秋の声 向井喜好 200812
秋声や直哉旧居のサロン椅子 小林成子 200812
秋の声しかと即身成仏義 高橋将夫 200812
錦帯橋渡る靴音秋の声 神田一瓢 雨月 200812
神木のすっくと朴や秋の声 小山尚子 雨月 200812
嵯峨野なる風の竹藪秋の声 笠井清佑 200901
義経の縅の赤の秋の声 有働亨 馬醉木 200901
秋の聲ひと雨ごとに深まり来 近藤喜子 200901
千丈の榕樹ガジュマルの気や秋の声 稲嶺法子 遠嶺 200901
秋声やランプシェードの和紙明り 松野睦子 遠嶺 200901
ぬかづけば桂郎居士や秋の声 鈴木とおる 風土 200901
さざ波す近江の湖の秋の声 中村洋子 風土 200901
秋の声聴かばや西行塚に仔ち 室伏みどり 雨月 200901
秋の声水琴窟より洩れ出づる 川上恵子 雨月 200901
木漏れ日の中の山一家や秋の声 渡邉孝彦 やぶれ傘 200901
わが星はジエミナよ秋の声ダブる 荻野千枝 京鹿子 200902
ルルドの水汲むや秋声木の間より 柿本麗子 200902
真筆の行間に聞く秋の声 稲畑廣太郎 ホトトギス 200910
乗り継ぎの人なき駅や秋の声 藤見佳楠子 200911
遠賀川秋声いづくからとなく 田辺博充 200911
急流を乗り切つてより秋の声 向井由利子 200912
難聴の耳が捕へし秋の声 和田孝村 春燈 200912
母子塚に西行堂に秋の声 尾崎みつ子 雨月 200912
石古りて妙法六文字秋の声 福島しげ子 ろんど 200912
文机を片付けてより秋の声 阪野徹 201001
碧落の池畔歩むや秋の声 山下青坡 201001
大甕の水の底より秋の声 徳田千鶴子 馬醉木 201001
夫恋の「井筒」の中より秋の声 三宅文子 春燈 201001
秋声を聞かむ蓮如の像近く 上田明子 雨月 201001
百幹の竹のさやぎも秋の声 福富みさ子 201001
藍ふかき山のみづうみ秋の声 小出かつ代 201001
子の調子計る目盛りや秋の声 伊吹之博 京鹿子 201002
秋の声嵯峨の青竹ひびき合ふ 細島孝子 末黒野 201003
たたずめば山の奥より秋の声 滝沢伊代次 万象 201009
143の水の分子に秋の声 稲畑廣太郎 ホトトギス 201010
音ほどに進めぬ船や秋の声 稲畑廣太郎 ホトトギス 201010
栄光の賛歌に和して秋の声 稲畑廣太郎 ホトトギス 201010
濡れ縁に腰かけて聴く秋の声 中山静枝 201010
チャイムてふ小学校の秋の声 稲畑廣太郎 ホトトギス 201011
法隆寺堂内に坐し秋の声 田中藤穂 あを 201011
外堀から聖橋へと秋の声 篠田純子 あを 201011
山深き木地師の里に秋の声 池田加寿子 201012
禅林や十五の石の秋の声 片山博介 春燈 201101
秋の声大きな石の坐りたる 本多俊子 201101
和漢書のはざまに立てり秋の声 宇都宮敦子 201101
大原の呂川律川秋の声 松本三千夫 末黒野 201101
寡黙なる背中が語る秋の声 神田小夜子 ろんど 201101
葉脈か魚のほねか秋の声 小堀寛 京鹿子 201102
円周の締めつけてくる秋の声 湯川雅 ホトトギス 201103
森のみな古墳に見えて秋の声 石黒興平 末黒野 201104
野仏の前垂れ白し秋の声 山下青坡 201105
秋の声天なる父に祈るとき 定梶じよう あを 201110
異国かと思ふアルプス秋の声 松田和子 201111
野の宮へたどる柴垣秋の声 コ田千鶴子 馬醉木 201111
父恋ひの帆船発つや秋の声 田嶋洋子 春燈 201111
大木に凭れてをれば秋の声 高倉和子 201111
秋の声体に馴染む台所 倉持梨恵 201111
流れ来し瓦礫の零す秋の声 松嶋一洋 201111
里山にひしひし迫る秋の声 田中浅子 201112
燭掲げ古りたるピアノ秋の声 落合晃 201112
たふれたるままの石仏秋の声 藤原若菜 春燈 201112
病む肩を押さへてききぬ秋の声 西川春子 春燈 201112
靖国の父の声かも秋の声 渡辺安酔 201112
秋の声枕沈めてひそやかに 山田をがたま 京鹿子 201112
窓ごとに秋の声あげ灯の点る 史あかり ぐろっけ 201112
伊那谷のいづこにありや秋の声 小野寺節子 風土 201112
玉砂利を踏まば四方へ秋の声 山田六甲 六花 201112
秋の声身をくるみくる眠気かな ことり 六花 201112
古都奈良に入るや忽ち秋の声 大橋晄 雨月 201112
秋の声聞かむ墳墓の頂に 川上恵子 雨月 201112
夕暮の須磨浦風の秋の声 大石喜美子 雨月 201112
間歩六百秘めし廃鉱秋の声 尾崎みつ子 雨月 201112
秋の声ひきて山家の撥釣瓶 斎藤栖峰 馬醉木 201201
玄洋社墓地ひろびろと秋の声 柴田志津子 201201
落石のカラカラ響く秋の声 小林美登里 かさね 201201
トンネルを出ればまちまち秋の声 小野寺節子 風土 201201
低音の家電の音か秋の声 年森恭子 ぐろっけ 201201
初宮の大津の杜の秋の声 大橋晄 雨月 201201
一歩二歩三歩目辺り秋の声 犬丸勝子 201202
修禅寺の古面歪む秋の声 児玉有希 京鹿子 201202
秋の声祖父の声とも聞く夕べ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201207
メール開け友の訃報や秋の声 丸山酔宵子 かさね 201210
祝ぎの座を彩つてゐる秋の声 稲畑廣太郎 ホトトギス 201210
はみ出せる玉砂利ふめば秋の声 山田六甲 六花 201210
秋の声芭蕉遺墨の余白より 川村清子 馬醉木 201211
貝殻で砂を掬ば秋の声 山田六甲 六花 201211
秋の声猫の耳穴オーム貝 大日向幸江 あを 201211
深吉野に秋の声聞き入らむとす 前田美恵子 201211
どの木からともなきさやぎ秋の声 佐藤喜仙 かさね 201212
すつぽんの首伸ばしけり秋の声 松本周二 かさね 201212
井戸水の汲み跳ねたるも秋の声 青山正生 201212
潮風の外人墓地や秋の声 森田利和 201301
土器の落ちゆく谷より秋の声 平居澪子 六花 201301
神木に頬寄せて聞く秋の声 和田崎増美 雨月 201301
遺句三句あり三畳の間の秋の声 栗山恵子 雨月 201301
名乗らるる懐しき佳句や秋の声 阪本哲弘 201302
武家屋敷巨木古木に秋の声 大森尚子 風土 201302
勢ひよき筧の水や秋の声 柿本麗子 千の祈り 201307
庭園の石の相より秋の声 稲畑廣太郎 ホトトギス 201310
虚子館の展示物より秋の声 稲畑廣太郎 ホトトギス 201310
鵺塚の鶴の叫びか秋の声 稲畑廣太郎 ホトトギス 201310
秋の声新幹線の鉄路より 稲畑廣太郎 ホトトギス 201310
秋の声とも天海の読経とも 稲畑廣太郎 ホトトギス 201310
日曜のオフィス街より秋の声 稲畑廣太郎 ホトトギス 201310
嵯峨みちのいずく歩くも秋の声 鈴鹿仁 京鹿子 201310
椅子揺れば秋の声して猫覚めし 山田六甲 六花 201310
石庭の石るいるいと秋の声 本多俊子 201311
胸張れと秋の声とも父かとも 森岡正作 201311
書きかけのリビング・ウィル秋の声 鈴木セツ 201311
難聴弱視の吾れに沙汰なし秋の声 小野寺節子 風土 201311
ひたひたと舟底たたく秋の声 小早川恒 馬醉木 201311
右左別るる川や秋の声 成田なな女 春燈 201311
天籟も地籟もなべて秋の声 金子つとむ ろんど 201312
刑務所の煉瓦の壁の秋の声 高橋ひろ 万象 201312
秋の声遠くに一つ灯りあり 水谷直子 京鹿子 201312
名園を前に黙考秋の声 和田郁子 201312
安曇野やせせらぎに聞く秋の声 鍋島武彦 末黒野 201312
澱むもの流れゆくもの秋の声 高村令子 風土 201401
辻地蔵潮かけ洗ふ秋の声 倉谷紫龍 万象 201401
鎌倉のどの路地ゆくも秋の声 福田葉子 201401
礼拝に亡き人々の秋の声 吉田克美 ろんど 201401
秋の声古書の命の息吹かな 吉田克美 ろんど 201401
木に倚れば木の声水に秋の声 高村令子 風土 201401
四阿に腰掛け秋の声を聴く 千葉惠美子 末黒野 201401
百穴の古墳の百の秋の声 杉山瑞恵 雨月 201401
つい蟻を踏みしばかりに秋の声 半田稜 ろんど 201402
散居村屋敷森より秋の声 大森尚子 風土 201402
潮風の外人墓地や秋の声 森田利和 璦別冊 201408
川波の切子光りに秋の声 布川直幸 201408
秋の声→ 4      

 

2021年9月30日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。