明 易 3

明けやすき夜をかくしてや東山    蕪村

作品
作者
掲載誌
掲載年月
明易し旅の素顔を水辺まで
植松安子
200308
姿見に幼の手形明易し
中島霞
ぐろっけ
200308
夜具の端まで寝返りて明易し
中塚照枝
200309
てのひらに犬の吐く息明易し
宮川みね子
風土
200309
宿坊に井戸使ふ音明易し
代田青鳥
風土
200309
眠れずにゐる明易の旅ホテル
大橋敦子
雨月
200309
夢に逢ひしのみの面影明易し
若江千萱
雨月
200309
夢に見るは亡き人ばかり明易し
斉藤陽子
雨月
200309
明易やも一人のわれ水汲みに
村越化石
200309
娘にも妻の哀しみ明易き
平居澪子
六花
200309
明易や山裾にはや煙立ち
泰江安仁
百鳥
200309
明易の牧に搾乳始れり
高柳かつを
百鳥
200309
検診の結果出る日の明易し
遠藤米
帆船
200309
空つぽに沖を見てをり明易し
平間裕子
対岸
200309
手違ひのツインルームや明易し
吉田明子
200309
機部屋にベッド置かるる明易し
伊藤多恵子
火星
200309
時どきは耳鳴りてゐし明易し
伊藤多恵子
火星
200309
風に身をまかす瓜の木明易し
永田二三子
酸漿
200309
明易や山々太古の黙なせり
芝宮須磨子
あを
200309
目が覚めてたつきがありぬ明易き
粟津松彩子
ホトトギス
200310
五位鳴きて湖畔の宿の明易し
乗光雅子
雨月
200310
サルトルを聞かされて明易きかな
石川英利
百鳥
200310
明易や渦なすところ水都の灯
桑田永子
円虹
200310
としよりのこゑ鶏小屋に明易し
戸田和子
200310
明易や手を撫しやれば母眠り
町田洋子
200310
明け易やツインルームに一人寝ね
内藤三男
ぐろっけ
200310
明易やこまぎれの夢とどめ得ず
中島霞
ぐろっけ
200310
明易や写経の膝を立て直し
木場田秀俊
200311
相部屋の鼾と寝言明易し
遠藤米
帆船
200311
明易や髪膚覚めゆく潮の鳴り
大沢美智子
200311
明易や不眠疼痛地獄去れ
松本圭二
ホトトギス
200311
明易き猫のまどろみ我もまた
松本アイ
ぐろっけ
200311
平熱となりたる母や明易し
白髭美佐子
200312
深は新見るから観るへ明易し
安原葉
ホトトギス
200312
脈早き人を看とりて明易し
伊藤律子
帆船
200402
明易や雨に閉ざされゐし窓も
稲畑汀子
ホトトギス
200405
予定とはあつてなきもの明易し
稲畑汀子
ホトトギス
200406
夢を見て夢を忘れて明易し
稲畑汀子
ホトトギス
200406
通夜の客去りし聖堂明易し
稲畑廣太郎
ホトトギス
200406
明易や机上きのふの文字ばかり
岡本眸
200406
山上の湖水中も明け易し
延江一宏
築港
200407
死ぬること恐(おぞ)ておぞてと明易し
石脇みはる
200407
日時計にはや人影や明易し
和田一
雨月
200407
橋から橋へ五十三次明易し
佐藤喜孝
あを
200407
明易し女ひらりと木がくれに
岡本眸
200407
明易や螺旋階下に雨溜まり
岡本眸
200407
明易や土手一線の青をもて
岡本眸
200407
明易き二階に覚めて稿を継ぐ
鷹羽狩行
200407
明易く大浴場へ廊伝ふ
伊藤白潮
200407
読み返す先師の句集明け易し
堀口希望
200407
手術前夜胎児の眼して明易し
戸田和子
200408
家兎喪に明易き耳となる
禰寝瓶史
京鹿子
200408
誘眠剤の助け借りても明易し
山田をがたま
京鹿子
200408
鳥語降る湖畔の村の明易し
水原春郎
馬醉木
200408
眠り猫明易の世を遠くして
植松昌子
馬醉木
200408
明易の乾いてゐたる高御座
飯塚ゑ子
火星
200408
明易し冷たくなりし手をさする
山田暢子
風土
200408
明易や聖堂に空降りて来し
林裕子
風土
200408
竹林の雨騒然と明易き
岡本眸
200408
明易の出湯ふどしの僧に会ふ
茂里正治
200408
脈絡のなき浅き夢明易し
橘澄男
山景
200408
白浜の白砂明り明易し
橘澄男
山景
200408
明易の湾に赤潮動き出す
岸川素粒子
万象
200409
豊漁を告ぐるサイレン明易し
岸川素粒子
万象
200409
戸袋の椋鳥出入り明け易し
山本敦子
万象
200409
鴎来て窓辺飛ぶ宿明け易し
森下賢一
春燈
200409
夢もまた掌編に似て明易し
小林リン
春燈
200409
夢ならば夢のままよと明け易し
北川孝子
京鹿子
200409
寝返りの癖の幾たび明易し
大堀鶴侶
雨月
200409
明易きホテルの空を幾度も
岸本林立
雨月
200409
遺されし一語深みて明易し
落合絹代
雨月
200409
明易のリズムに合つて来し齢
宮崎正
ホトトギス
200410
頻尿に眠りは浅く明け易し
沼口蓬風
河鹿
200410
推敲の反古を枕に明易し
有島多美
河鹿
200410
巻紙は濡らして切りぬ明易し
水野あき子
遠嶺
200410
柔道の一本勝負明け易し
長谷川きくの
築港
200410
明易や身ぬちに雨の音溜まり
坪井洋子
200410
明易やカーテンの隙直線に
鹿野佳子
200410
横顔に掛くる言葉や明易し
大槻球子
遠嶺
200411
短編の最後は白紙明易し
若泉真樹
200501
明易し額の中なる魚拓の目
松内佳子
百鳥
200502
明易の高く組まれし足場かな
小田玲子
百鳥
200502
明易し艀だまりに鶏の声
鷹羽狩行
200503
嫁ぎ先農家に決まり明易し
清水志
200503
郭公を間近に湖畔明易き
水田清子
200505
明易や虚子南無阿弥陀我アーメン
稲畑廣太郎
ホトトギス
200506
虚子の世は遠くて近し明易し
稲畑廣太郎
ホトトギス
200506
明易し上越新幹線速し
稲畑廣太郎
ホトトギス
200506
明易きことに一日を使ひ切る
稲畑汀子
ホトトギス
200506
檣頭に残る一灯明易し
小林呼溪
200507
明易の朝一番の軒雀
村越化石
200507
明易の嬰の喃語に起されし
村山方
築港
200508
明易き鶏鳴を背に新車発つ
鈴木石花
風土
200508
天井の分だけ畳明易し
堀内一郎
あを
200508
今もなほ殉教の街明易し
徳田正樹
河鹿
200509
明易し湖近ければ歩も軽く
浜田南風
200509
潮騒に馴れぬ枕や明易き
北川キヨ子
200509
明易し五体に残る疲労感
林和子
200509
足にまだ山路のほてり明易し
栗原公子
200509
明易し確かに聞きし船の笛
柳生千枝子
火星
200509
忠犬の銅像の辺の明易し
飯塚ゑ子
火星
200509
明易の和紙にいかすみかりんとう
竹内悦子
200509
父が来て母来て夜の明易し
神蔵器
風土
200509
明易し乱れず刻む心電図
林裕子
風土
200509
明易の棚田に落つる水の音
岡村命美
百鳥
200509
米研いでひと日始まる明易し
河合佳代子
栴檀
200509
画眉鳥が目覚時計明易き
長澤健子
酸漿
200509
配布もの百戸のドアに明易し
小黒加支
酸漿
200509
母の口「ナ・オ・コ」と動き明易し
下平直子
200509
蒲團から墜ちて疊に明易し
佐藤喜孝
あを
200509
寝坊など出来ぬ江戸つ子明易き
柴原保佳
ホトトギス
200510
夢の世に斯く我のあり明易し
稲岡長
ホトトギス
200510
明易し豆腐屋にはや水の音
水井薫子
200510
明易や開きしままの句集読む
森竹昭夫
遠嶺
200510
伽羅香の煙のゆらぎ明易し
坂部尚子
栴檀
200510
明易し緋の五条袈裟棺に掛く
南奉栄蓮
風土
200510
明易し昨夜の船影すでになく
長沼三津夫
200510
毎日が此の世の仮寝明易し
瀧青佳
ホトトギス
200511
落石の弾む谺や明易し
大室恵美子
春燈
200511
明易しラジオの局をまわし聞く
松本アイ
ぐろっけ
200512
くろぐろと杉の直幹明易し
松村多美
四葩
200601
明易の街現像されてくるごとし
細川洋子
200601
あふれくる思ひ出ばかり明易し
稲畑汀子
ホトトギス
200606
百歳の天寿といへど明易し
稲畑汀子
ホトトギス
200606
遠き旅終へ近き旅明易し
稲畑汀子
ホトトギス
200606
明易き朝を侍みて稿を置く
稲畑汀子
ホトトギス
200606
明易し大海原へ開く窓
与川やよい
遠嶺
200606
明易き逃避の恋の田舎町
瀧春一
瓦礫
200606
明易やしみじみ古りし顔かたち
岡本眸
200606
早起きの耕子のために明易し
鷹羽狩行
200607
明易し鴉に貫くものを問ふ
鈴鹿仁
京鹿子
200607
街の灯のモザイク模様や明易し
川崎光一郎
京鹿子
200608
晩学の手の虫眼鏡明易し
井出やすはる
酸漿
200608
夢なればとて夢ならず明易し
大橋敦子
雨月
200608
明易のつひの夜明けてしまひけり
大橋敦子
雨月
200608
明易や松江染まれる朝も佳し
浜田南風
200609
クレーンより覚むる港や明易し
次井義泰
200609
モーツアルトに眠り目覚めて明易し
石岡祐子
200609
てんびんの里の五箇荘明易き
中島節子
春燈
200609
明易や百歳まではごめんとて
水野町子
四葩
200609
メビウスの帯のいづこも明易し
中野京子
200609
明易や扶養一匹・四十九羽
関根洋子
風土
200609
明易や口を斜めに辞書繰りぬ
藤井佐和子
200609
明易やにはとりの声牛の声
西村しげ子
雨月
200609
明易く明けていよいよ些事づくめ
高橋さえ子
200609
明易や花舗のシャッター半開き
生方ふよう
200609
カーテンの新たの襞の明易く
岡本尚子
200609
上水に篠突く雨や明易し
田中敦子
200609
明易の兩曜おなじぬくとさに
佐藤喜孝
あを
200609
明易の枕にひびく鼓動音
川崎光一郎
京鹿子
200610
山内のどこも水音明易し
高橋千美
京鹿子
200610
明易の風入れてより一寝入り
宮崎正
ホトトギス
200611
明易のはじめの音を小鳥たち
真保喜代子
200611
懐古あり世を憂ふあり明易き
安原葉
ホトトギス
200701
扉にかける魔除の貝や明易し
栗原完爾
春燈
200706
明易やサッカーそんなおもろいか
稲畑廣太郎
ホトトギス
200706
入江とて海に沿ふ宿明易し
稲畑汀子
ホトトギス
200706
朝より訪問客や明易し
稲畑汀子
ホトトギス
200706
書きかけの稿あり机辺明易し
鷹羽狩行
200707
骨折のことは夢とも明易き
岩岡里子
春燈
200707
おしやべりの一夜の枕明易し
岡野ひろ子
200707
身の内にははの部屋あり明易し
岩木茂
風土
200707
明易に拍車をかける鳥の声
増田久美子
200708
明易の芥出し刻を鴉鳴く
笠井操
200708
鳥籠の布一枚の明易し
丸山照子
火星
200708
祖師遠流の島訪へば明易し
古田考鵬
雨月
200708
一枚の絵をめくるごと明易し
青山丈
200708
また同じ漱石を読み明易し
藤井昌治
200708
明易し言葉にならぬ声出して
若槻妙子
200708
明易き夢に揃ひし父と母
水原春郎
馬醉木
200708
もの思ひ行きつ戻りつ明易し
白井友梨
馬醉木
200708
落人に吊橋ひとつ明易し
戸栗末廣
火星
200709
明易し枕辺にある診断書
戸栗末廣
火星
200709
旅鞄と深夜放送明易し
垣岡暎子
火星
200709
明易し白樺に耳あててをり
竹内悦子
200709
明易しいつもの家の煙出し
宇都宮滴水
京鹿子
200709
物語佳境に入りて明易し
森洋子
京鹿子
200709
いつまでも子のままでなし明易し
伊吹之博
京鹿子
200709
正字俗字常用漢字明易し
高橋道子
200709
母の遺影に見守らる予後明易し
片岡妙子
200709
明易の朝捗れり暗記もの
竹尾志眞子
200709
明易し夢の続きはまた明日
貝森光洋
六花
200709
川の字にもどる親子や明易し
KOKIA
六花
200709
明易し地震に目覚めてよりの刻
川崎俊子
馬醉木
200709
明易し猫の喧嘩の長々と
大橋雅子
万象
200710
釣船のエンジンの音明易し
澤藤蓑助
200710
まろかりし乳房はいづこ明易し
中尾杏子
200710
明易し眠れる街の中戻る
生田恵美子
風土
200710
明易し星離れゆく音のして
浅田光代
風土
200710
歳時記を入れし鞄や明易し
松山直美
火星
200710
明易や奇峰連なる国に覚む
夏目満子
酸漿
200710
水使ふ音の階下に明易し
西口万佐子
200710
明易しぺースメーカー正確に
木村享史
ホトトギス
200711
明易やみな虚子を知る人ばかり
安原葉
ホトトギス
200711
それぞれの語る歳月明易き
安原葉
ホトトギス
200711
明易の大往生でありにけり
安原葉
ホトトギス
200711
明易の途切れ途切れに父の夢
野沢しの武
風土
200711
ロシア船と並ぶ烏賊舟明易し
木上よし
200711
明易の鯉より動きはじめけり
木村享史
ホトトギス
200712
海よりも空よりも富士明易し
木村享史
ホトトギス
200712
明易の富士に占ふけふのこと
木村享史
ホトトギス
200712
虚子館を訪ふ旅発ちや明易し
安原葉
ホトトギス
200712
明易の待宵草は花閉ぢず
大山妙子
酸漿
200712
孤独てふ恐ろしきもの明易き
瀧青佳
ホトトギス
200801
楠の木の下に住みつき明易し
坪内稔典
稔典句集
200804
百寿われ紅顔にして明易き
瀧青佳
ホトトギス
200805
明易し早起は苦にならねども
稲畑汀子
ホトトギス
200805
今日よりは書類の整理明易し
稲畑汀子
ホトトギス
200805
波あまた見たる旅寝の明易き
岡本眸
200805
皆事情持ちて集ひぬ明易し
稲畑汀子
ホトトギス
200806
夢にまで齟齬となりけり明易し
稲畑汀子
ホトトギス
200806
いつも会ひ会うて話して明易し
稲畑汀子
ホトトギス
200806
明易し早き旅立苦にならず
稲畑汀子
ホトトギス
200806
明易や森に命の目覚めゆく
稲畑廣太郎
ホトトギス
200806
句会組観劇組に明易し
稲畑廣太郎
ホトトギス
200807
仙台は虚子の曽遊地明易し
稲畑汀子
ホトトギス
200807
明易し窯の口火は絶やさずに
能村研三
200807
カーテンを透くる太陽明易し
綿谷美那
雨月
200807
明易し亡き人ばかり夢に来て
山岸治子
馬醉木
200808
シェークスピアの長編ひとつ明易し
吉田裕志
200808
涙ぐむジャンクの灯影明易き
岩淵彰
遠嶺
200808

 祝大畑善昭氏瑞寶雙光章

みちのくの男時あをあを明易し

北川英子
200808
明易や母は机を持たざりし
浅田光代
風土
200808
病室の針がねハンガー明易し
城孝子
火星
200808
明易の海を見てゐる帰郷かな
渡邉美保
火星
200808
明易し明日のこととて風騒ぐ
鈴鹿仁
京鹿子
200808
明易き日の出ョりに湖西の湯
高木智
京鹿子
200808
ガラス戸に先客の蜘蛛明易き
高木智
京鹿子
200808
明易き湖西にあれど宵より雨
高木智
京鹿子
200808
妻の忌の近付きて日に明易し
大橋晄
雨月
200808
伊香保湯の町一人の部屋の明易く
鈴木榮子
春燈
200808
寝る刻が来て寝たやうで明易し
宮崎すみ
神々の交信
200808
マチス見し夜の夢あかし明易き
太田昌子
馬醉木
200809
水郷のほとりに寝ねて明易し
泉礼子
馬醉木
200809
師の一語憑きてはなれず明易し
浅井青陽子
ホトトギス
200809
明易のビルに裏口一つあり
古屋元
200809
子の部屋に何の爪音明易し
清水幸治
200809
自画像の視線うるうる明易し
北川孝子
京鹿子
200809
明易し報告まずは神前に
伊吹之博
京鹿子
200809
林中のそれも木の家明易し
戸栗末廣
火星
200809
須磨の波止釣場となりて明易し
和田一
雨月
200809
病癒えもとの生活の明易し
西本輝子
雨月
200809
昵懇の一本杉や明易き
藤田宏
200809
また子規の夢を見てゐて明易し
藤井昌治
200809
明易や近代俳句その夜明
稲岡長
ホトトギス
200810
明易し予定早めて発つことに
安原葉
ホトトギス
200810
亡き父の夢の言伝て明易し
長山あや
ホトトギス
200810
ベッドごとに男坐れり明易し
古屋元
200810
湯へ急ぐ湖西の旅館明易し
高木智
京鹿子
200810
山国の民宿泊り明易し
土井ゆう子
風土
200810
蘇る虚子明易の稽古会
安原葉
ホトトギス
200811
曽良の謎芭蕉の謎に明易し
山田弘子
ホトトギス
200811
絵手紙に富士を描きて明易し
大西洵子
遠嶺
200811
明易や鬼のさきはふ国に覚め
伊藤白潮
200812
明易しキャビンに開く旅の地図
三好かほる
万象
200812
明易を来たる朝刊手渡さる
野沢しの武
風土
200903
明易や花鳥諷詠塾の句座
稲畑廣太郎
ホトトギス
200906
潮騒を枕辺に聞き明易し
稲畑廣太郎
ホトトギス
200906
遠出とも思ひて早寝明易し
稲畑汀子
ホトトギス
200906
計画は密に密にと明易し
稲畑汀子
ホトトギス
200906
ふるさとと違ふ波音明易し
片山由美子
200907
灰皿に消しゴムひとつ明易し
古屋元
200907
若き日は知らざりし刻明易し
高木智
京鹿子
200907
吾があげし声に目覚めて明易し
久保田由布
ぐろっけ
200907
明易きにはとり鬨を省きけり
池元道雄
馬醉木
200908
「呆けたかな」頭たたきて明易し
中島登美子
炎環
200908
ひだすきの湯呑のふたつ明易し
大畠響
炎環
200908
餌を漁る烏や町の明易き
橋本貞二
酸漿
200908
まどろみもしやっくり疲れ明易し
根岸善行
風土
200908
薬より早寝早起き明易し
丸山佳子
京鹿子
200908
文机の文房四宝明易し
菅澤陽子
春燈
200908
足摺の寺に勤行明易し
木下雅游
200908
思ひごと思ひあぐねて明易し
定藤素子
雨月
200908
心はや菜園にあり明易し
川崎良平
雨月
200908
父母の忌を終へたる夜の明易し
中原敏雄
雨月
200908
わが夢にハイと叫びし明易し
東亜未
あを
200908
道標に滴る霧や明易き
永峰久比古
馬醉木
200909
眠れねば些事去来して明易し
泉田秋硯
200909
明易し師の故郷の湖展け
山口順子
200909
神おはす伊勢に宿りて明易き
高根照子
200909
明易やスイートルームのルノアール
蒔田しをん
200909
野鳥呼ぶホテルのテラス明易し
田下宮子
200909
夢の中に目覚むる夢や明易し
鈴木梨枝子
炎環
200909
明易し短き夢のうつつとも
佐渡谷秀一
春燈
200909
歳時記に句敵も居て明易し
千田敬
200909
鰻針沈みゐる水明易し
戸栗末廣
火星
200909
締切に一句も詠めず明易し
渡辺安酔
200909
明易の夢に阿修羅の裏の顔
小俣剛哉
雨月
200909
肥土の畑育ちゆくもの明易し
水谷靖
雨月
200909
読みかへす魔法の話明易し
柿沼盟子
風土
200909
明易のコーランに醒め埃及なり
北川英子
200909
明易と言ふも勤行定刻に
落合由季女
雨月
200910
明易の椅子新しき山の小屋
成田美代
200910
腓返りもて余しいて明易し
井上あき子
ぐろっけ
200910
きれぎれの夢に明易かりしかな
今井千鶴子
ホトトギス
200911
暁の富士大玻璃に明易き
北尾章郎
200911
夫の命あと一ト月や明易し
加藤和子
万象
200911
明易の樹海黒々してゐたり
松本文一郎
六花
200911
明けやすの夜は三日月の川辺かな
白石正躬
やぶれ傘
200912
詩の話題利殖の話題明易し
稲畑廣太郎
ホトトギス
201001
邂逅の友を待つ宿明易き
安原葉
ホトトギス
201001
明易しまだむらさきの水の音
吉岡知香
京鹿子
201001
目を閉ぢし最後のペツト明易し
荒川美邦
京鹿子
201001
明易し寝返るごとに夢変はる
秋田建三
201005
明易や虚子の詠みしはこの辺り
稲畑廣太郎
ホトトギス
201006
上京の目覚まし止めぬ明易し
稲畑汀子
ホトトギス
201006
はかりごとには夢のあり明易し
稲畑汀子
ホトトギス
201006
戀の果てのちひさき砂場明易し 阿部知代 201007
明易や夢の中なる笛太鼓 稲畑廣太郎 ホトトギス 201008
明易のきれいに掃かれ宮の鳩 中山純子 万象 201008
クレソンの花の馬穴の明易し 深澤鱶 火星 201008
鍵穴に朝の光りや明易き 笹井康夫 201009
巻尺の渦するすると明易し 雨村敏子 201009
明易の覚めぎはの聲残りたる 近藤紀子 201009
明易の手もと三色ボールペン 井尻妙子 京鹿子 201009
明易し宿の大きな古時計 小渕二美江 春燈 201009
明易の海底めける部屋に覚め 山本無蓋 201009
一脚の弛びし椅子や明易き 下山田美江 風土 201009
明易や夢の余韻を残しつつ 秋葉貞子 やぶれ傘 201009
空つぽの玉葱小屋の明易し 杉浦典子 火星 201009
角突きや棚田の底の明易し 深澤鱶 火星 201009
海人の軒あれこれ干して明易し 戸栗末廣 火星 201009
渦潮のあたりに白帆明易し 丸山照子 火星 201009
一木に白鷺十羽明易し 戸栗末廣 火星 201009
明易や差し伸べし手の空つかみ 平居澪子 六花 201009
小鳥らの歓声に朝明易し 長田秋男 酸奬 201009
息詰めて見しサッカーよ明易き 工藤美和子 酸奬 201009

 世界サッカー決戦

アフリカヘ届けの声援明易し

楯野正雄 201010
明易や籠目を抜けてかみとなり 柳川晋 201010
明易やまたはがれたる湿布薬 村上勝正 春燈 201010
潮の香の産土神詣で明易し 山下良江 万象 201010
傘寿てふ夢の裂け目や明易し 杉山はつ江 京鹿子 201010
獺に燈をぬすまれて明易き 久保田万太郎 春燈 201011
血圧がするする下り明易し 瀧青佳 ホトトギス 201011
黙示のごとき軽震に明易し 竹内弘子 あを 201011
親元を離れし一夜明易し 木場田秀俊 201012
虫籠に残れる草や明易き 涼野海音 火星 201012
上京の朝自ら明易し 稲畑汀子 ホトトギス 201106
カーテンに夢と現実明易し 稲畑汀子 ホトトギス 201106
寝返ればつづかぬ夢よ明易し 稲畑汀子 ホトトギス 201106
サッカーを見て一と眠り明易き 稲畑汀子 ホトトギス 201106
おしやべりは女の時間明易し 稲畑汀子 ホトトギス 201106
海よりの光に病舎明易き 川崎俊子 馬醉木 201106
明易 →4      

 

2021年6月24日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。