桜 餅

午前二時電気点ければ桜餅    金子蛙次郎

作品
作者
掲載俳誌
掲載年月
前書・その他
留守番の少女にひとつ櫻餅
小林伸江
遠嶺
199806
桜餅母似嫌いの姉妹
望月和子
船団
199811
良薬は万歩の後の桜餅
菊池和子
京鹿子
199901
葉をたたむときに香りて桜餅
鷹羽狩行
199904
生きて居てこそと手に受く桜餅
村越化石
199904
桜餅ともに食ひゐる奇跡かな
菅原鬨也
199905
いま少し気疲れ残る桜餅
金澤明子
火星
199907
雲一ひら二ひら三ひら桜餅
稲見光
船団
199909
三人は欠席します桜餅
岡清秀
船団
199909
手術終へ夢にて食べり桜餅
川村紫陽
200002
森奥のちらりと見えて櫻餅
小澤克己
遠嶺
200004
柔らかき風も付き合ふ櫻餅
稲辺美津
遠嶺
200006
残す葉にほのと香のある桜餅
木内美保子
六花
200006
君偲ぶ酒には非ず桜餅
今井千鶴子
ホトトギス
200007
しつとりと母系が匂ふ桜餅
長谷川鉄夫
200101
フラワーアレンジメントの講習終へて桜餅
篠田純子
あを
200104
解凍すひとの遺せし櫻餅
佐藤喜孝
あを
200104
父母ありし日は飢ありて桜餅
鷹羽狩行
200104
指貫を置き一と刻の桜餅
津田経子
火星
200105
桜餅女ばかりの句会果つ
長尾康子
風土
200105
安息にまだ遠くゐて櫻餅
杉浦富士子
遠嶺
200106
桜餅かりそめならず老ゆことも
林多佳子
200107
桜餅打明け話聞くことも
古川利子
200202
桜餅あけぼの色を葉に包む
栢森敏子
あを
200204
聴診器譲る子のでき桜餅
水原春郎
馬醉木
200204
桜餅傘寿三人顔そろふ
村越化石
200204
出不精の猫と私と桜餅
正木ゆう子
200205
新聞の読むぺージ減り桜餅
土肥屯蕪里
雲の峰
200205
桜餅買うて洛中通りぬけ
坂田和嘉子
京鹿子
200205
午後からの雨やはらかき桜餅
井口光雄
200205
伊豆街道幟の立ちし桜餅
伊藤亮
春耕
200205
桜餅男ばかりの手がのびる
島田和子
風土
200205
山の端のよく見ゆる日や桜餅
平田紀美子
風土
200205
桜餅食べて忘れるほどの恋
山中宏子
200206
少年に長居は無用桜餅
野中啓子
200206
月明の細道ゆかば櫻餅
小澤克己
遠嶺
200206
姉妹の労りあうて櫻餅
川端和子
遠嶺
200206
いつのまに雨となりたる櫻餅
環順子
遠嶺
200206
買ふも河岸食ぶるも河岸の桜餅
福山広秋
200206
桜餅一口喰へば葉の香り
小坂明
築港
200206
忌の母がひいきの菓舖に桜餅
平尾隆士
ぐろっけ
200207
壽の淡き一文字櫻餅
大村真佐子
遠嶺
200207
とりどりの小座蒲団あり桜餅
関薫子
百鳥
200207
簷ぬらす雨の糸あり桜餅
水原秋櫻子
馬醉木
200303
『殉教』
この宿のせめてもてなし桜餅
稲畑汀子
ホトトギス
200304
桜餅食べたる指の残りけり
中村房枝
六花
200304
良く笑ふ菓舗の内儀や桜餅
木曽鈴子
ぐろっけ
200305
熟年の恋も切なし桜餅
菅原健一
200305
不機嫌でなく桜餅配りをり
高田令子
200305
久闊の友と一とき桜餅
吉良君子
帆船
200305
桜餅吾に晴眼の日のありし
村越化石
200305
遠く離れ住むも家族や桜餅
村越化石
200305
あやからな米寿の祝の桜餅
中島知恵子
雨月
200306
陳列の最前列に桜餅
吉田裕志
200306
桜餅葉は食ふべきか止むべきか
左官治郎
200306
古文書に悩みし夫に櫻餅
田中清子
遠嶺
200307
亡き人も数の中なる桜餅
丹羽啓子
馬醉木
200307
娘の辞令と仏壇飾る桜餅
武田幸子
200307
睦まじく老いたし夫婦櫻餅
加賀富美江
遠嶺
200308
櫻湯に櫻餅二ツ祇園茶屋
山本晃一
200312
不機嫌でなく桜餅配りをり
高田令子
200401
本復の喜び分かつ桜餅
稲畑汀子
ホトトギス
200403
桜餅買ふ心算の隅田川
須佐薫子
帆船
200403
籤引いて席につき桜餅食む
稲畑廣太郎
ホトトギス
200404
石の上にも三年と言ふ桜もち
堀内一郎
あを
200405
叔母と姪雛飾らずに桜餅
安部里子
あを
200405
八畳にまたよき風や桜餅
朝妻力
雲の峰
200405
写生後は胃の腑に消えし桜餅
鎮田紅絲
200405
櫻餅たちまち笑顔戻りけり
加賀富美江
遠嶺
200405
桜餅貰へり花の包装紙
奥村光子
築港
200405
生き過ぎてなにが悪いと桜餅
西川五郎
馬醉木
200405
季語のこと話の尽きぬ桜餅
我妻一男
帆船
200405
石けりの石薄くあり桜餅
片岡静子
200405
貝鳴らす音のありけり桜餅
雨村敏子
200405
桜餅味見て買はぬ男客
原みさえ
200405
重箱の螺鈿に母の櫻餅
林友次郎
遠嶺
200406
桜餅手の平打つて笑ふ癖
玉川梨恵
200406
グランマと呼ぶ子の好きな桜餅
林美智
ぐろっけ
200407
しつとりと手に残り香の桜餅
坂口美代子
河鹿
200407
口答へせずに頬ばる桜餅
小林朱夏
200407
桜餅匂へる部屋に帰りきし
児玉豊子
対岸
200505
保身感なきとはいへず桜餅
高橋道子
200505
指折つてひとりごと言ふ桜餅
東川弘子
築港
200505
桜餅行きも帰りも木橋越す
大西八洲雄
万象
200505
桜餅異動の内示伝へけり
石川英利
百鳥
200506
桜餅思ひ出しての途中下車
松岡映子
帆船
200506
桜餅提げ来し紐も桜いろ
佐藤弥生
200507
桜餅うましと妻は葉ごと食ぶ
木暮剛平
万象
200507
縁起などまはし読みして桜餅
宮島宏子
200507
そこそこの僥倖桜餅つまむ
竹村尚紘
200507
色濃きは吉野の贅や桜餅
稲畑廣太郎
ホトトギス
200604
数だけは揃へて置きぬ桜餅
稲畑汀子
ホトトギス
200604
お持たせの籠より香り桜餅
鷹羽狩行
200604
老舗には葉の大振りな桜餅
横井博行
万象
200604
三万日生きたる今日の桜餅
芝宮須磨子
あを
200604
孫が来る物片づけて桜餅
安部里子
あを
200604
呉越同舟の句座にも桜餅
鷹羽狩行
200605
子とその子爪を噛みをり桜餅
野澤あき
火星
200605
桜餅銀座の暮れてゆきにけり
堀木基之
百鳥
200605
久々に友に会ひけり桜餅
田中喜久子
酸漿
200605
静かなる列に並びて桜餅
須賀敏子
あを
200605
杉の片木まあたらしきに桜餅
木村茂登子
あを
200605
よく匂ふ隣の人の桜餅
今瀬剛一
対岸
200605
臥す父へ餡たつぷりの桜餅
森永敏子
河鹿
200606
桜餅食ふ笑ひ皺深くして
丹生をだまき
京鹿子
200606
桜餅食うべはんなりしてゐたる
高橋照子
雨月
200606
日本の色や草餅桜餅
高橋照子
雨月
200606
桜餅葉ごと食べよと同窓会
佐藤よしい
風土
200606
髪剪つて買物籠に桜餅
鹿野佳子
200606
宇野千代の皿に盛りたる桜餅
杉本綾
200607
妻の忌の報せ書き終へ桜餅
金子輝
春燈
200607
日本の色とも思ふ桜餅
田中峰雪
雨月
200607
仕方なく食べてはみたが桜餅
青山丈
200608
桜餅八重の色ぞと思ひけり
大山文子
火星
200609
桜餅居るべきはずの人遠く
直江裕子
京鹿子
200701
母の手の静脈透けてさくら餅
秋山深雪
船団
199811
さくら餅漢の疵に触れにけり
小澤克己
遠嶺
199905
言の葉にからめる力さくら餅
華明日番
銀化
200004
さくら餅をんなの闇を押しひらく
小澤克己
遠嶺
200106
恋捨てで征きての戦死さくら餅
有働亨
馬醉木
200110
友よ
残らざることをすがたとさくら餅
豊田都峰
京鹿子
200205
木の皿に二世代の艶さくら餅
ふゆきゆふ
200206
喜の寿から傘寿へ一歩さくら餅
堀内一郎
あを
200303
戦争をしたいのは誰さくら餅
武井清子
銀化
200305
好きな事言へて笑ひてさくら餅
柴崎英子
200306
菓子皿の夢のひと文字さくら餅
亀ヶ谷照子
遠嶺
200405
ダイエット志せどもさくら餅
中塚照枝
200406
さくら餅去年の話しよつぱくて
大東由美子
火星
200406
残り香のまだ指にありさくら餅
川島三栄子
200406
さくら餅店に溢れるさくら色
坂野辰
築港
200506
人生は少し塩味さくら餅
尾堂Y
河鹿
200507
郷愁は言はず語らずさくら餅
泉田秋硯
200507
さくら餅優先座席空いてをり
松たかし
火星
200507
さくら餅一つを黄泉の子のために
加古みちよ
火星
200606
野の匂ひ山の匂ひのさくら餅
長沼紫紅
200606
ほの赤き色など詠まなさくら餅
長沼紫紅
200606
みよし野といふ色艶にさくら餅
稲畑廣太郎
ホトトギス
200704
み吉野の鄙ぶりなりし桜餅
稲畑汀子
ホトトギス
200704
好き嫌ひなきと信じて桜餅
稲畑汀子
ホトトギス
200704
鎌倉や雨とほる間の桜餅
鷹羽狩行
200705
鎌倉・高徳院
桜餅一人が買へばみな続く
磯崎清
200706
眠れずも生きてゐるなり桜餅
竹下昌子
200706
蒼空の奥座敷へと櫻餅
橋本良子
遠嶺
200706
桜餅地震くぐりきし手塩皿
浜口高子
火星
200706
きみもずいぶん飲みましたねと桜餅
赤座典子
あを
200706
独り居のさすらひごころ桜餅
岸田爾子
200707
幕間や桜餅など匂ひ来て
藤本章子
200707
町並の古きを守り桜餅
水上れんげ
200707
やはらかき葉に塩の香や桜餅
井島郷雲
万象
200707
なすことのなき雨の日の桜餅
森茂子
火星
200707
白雲の動かぬ重さ桜餅
中野京子
200707
風いでて琴きき茶屋の桜餅
谷村幸子
200707
順繰りに橋の名当てて櫻餅
津田礼乃
遠嶺
200707
逢へばすぐお国訛や桜餅
上藤八重子
酸漿
200707
悪口をまあ仰山にさくら餅
坪内稔典
坪内稔典句集U
200804
残り香の小皿うつくし桜餅
岡本眸
200804
筋書のなき世たのしや桜餅
西川五郎
馬醉木
200805
母の忌の寺へ手づくり桜餅
山形悦子
万象
200805
桜餅父の雅号の一文字の
大橋敦子
雨月
200805
桜餅老舗元祖の菓子並ぶ
菊池由惠
酸漿
200805
小糠雨さくら餅はや売り切れて
田中藤穂
あを
200805
休日の夫を労ふさくら餅
前川ユキ子
200806
一服の茶に和みけり桜餅
笹井康夫
200806
人肌の光の束や櫻餅
林友次郎
遠嶺
200806
てのひらに温みの残る桜餅
安部康子
万象
200806
二人分老舗にて買ふさくら餅
小平恒子
酸漿
200806
窓拭きを終えて一先ず桜餅
田麦かつ江
200807
桜餅河津桜の色をもて
島谷征良
風土
200807
句心のある日なき日の桜餅
山口天木
雨月
200807
妻を名で呼んだことなし櫻餅
遠藤和彦
彩雲
200901
満開の下一皿の桜餅
稲畑廣太郎
ホトトギス
200904
山の色吸うて吉野の桜餅
稲畑廣太郎
ホトトギス
200904
ぷつと葉の沈んでゆきし桜餅
稲畑廣太郎
ホトトギス
200904
稲荷へはあげ三枚と桜餅
中島玉五郎
200904
桜餅買ふ不届きや喪のかへり
宮崎左智子
200905
幼な子の掌よりはみ出す櫻餅
能勢栄子
200905
遠き日の母との暮し桜餅
佐藤信子
佐藤信子集
200905
香久山に明星の出て桜餅
山田春生
万象
200905
桜餅残さず食べて元気な子
和田郁子
200906
まづ母に香り供へて桜餅
北川とも子
ぐろっけ
200906
桜餅添へある破籠求めけり
大橋晄
雨月
200906
遠出して老舗の桜餅をかな
青垣和子
雨月
200906
亡き叔母の優しさ今に桜餅
青垣和子
雨月
200906
期せずして愚痴となりけり桜餅
山荘慶子
あを
200906
桜餅ますます姉御母に似て
遠藤実
あを
200906
やはらかき夜桜となり桜餅
米山喜久子
200907
お国訛残る朗読桜餅
野木富貴
雨月
200907
いもうとの小さき企て桜餅
近藤倫子
ぐろっけ
200907
杉折にそつとしのばす櫻餅
吉弘恭子
あを
200908
桜餅見え透く嘘を笑ひけり
田中藤穂
あを
201004
おしぼりに石鹸しゃぼんの匂ひ桜餅
布川直幸
201005
さくら餅塔へ半丁ほどあたり
豊田都峰
京鹿子
201005
まづはとて佛に供ふさくら餅
舩越美喜
京鹿子
201005
口中に大川の香やさくら餅
安立公彦
春燈
201005
無季俳句ばかりが出来て桜餅
渡辺鶴来
春燈
201005
追伸にさらりと本音桜餅
市村健夫
馬醉木
201006
堺にて茶人のここち桜餅
竹内悦子
201006
染め抜きの屋号ののれん桜餅
木下和代
末黒野
201006
御尤も黙して桜餅つまむ
石田きよし
201006
桜餅十年あとのわが系図
竹下昌子
201006
至福なり友の笑顔と桜餅
堀川多恵子
風土
201006
静かなる雨に匂ひて桜餅
大崎ナツミ
雨月
201006
桜餅仏間無人の冷が棲む
柳生千枝子
火星
201006
計算の苦手な母のさくら餅
松川都青
京鹿子
201007
再会の約束かたくさくら餅
後藤那生
ろんど
201007
魯山人の鉢にいけにへ桜餅
泉田秋硯
201007
御用達の文字が家宝や桜餅
和田一
雨月
201007
大ぶりや城下老舗の桜餅
和田一
雨月
201007
兄よりも兄嫁親し桜餅
白石善子
雨月
201007
甘党も辛党もなし桜餅
森をさむ
ホトトギス
201010
桜餅をみなばかりの座に疲れ
児玉寛幸
馬醉木
201012
ままならぬ家族三人桜餅
安部里子
あを
201103
桜餅葉を食べる人食べぬ人
稲畑廣太郎
ホトトギス
201104
こつそりと渡されてゐて桜餅
稲畑汀子
ホトトギス
201104
みよし野のなべて色濃き桜餅
稲畑汀子
ホトトギス
201104
仏壇の匂ひ嫌はず桜餅
高橋道子
201105
桜餅老人輪投げのティータイム
青野安佐子
201105
桜餅記憶はふいによみがへる
宮内とし子
201105
桜餠香に立つ葉ごとたうべけり
鈴木榮子
繭玉
201105
明日は死ぬ身かもしれない桜餅
木村茂登子
あを
201105
旅役者へ御捻一つ桜餅
小俣剛哉
雨月
201105
茶柱やさくら餠には桜の香
新実貞子
201106
外出の夫に頼みて桜餠
増田一代
201106
朝一の宅急便や桜餠
中川すみ子
201106
身のかろくなるまで語り桜餅
岡部名保子
馬醉木
201106
里山の色の優しき桜餅
松嶋一洋
201106
蠟燭の炎にさくら餅わらひをり
千田敬
201106
包み紙に屋号の語る桜餅
鎌田悟朗
ろんど
201106
集まれば地震の話に桜餅
門伝史会
風土
201107
青丹よし奈良の御坊の桜餅
山田春生
万象
201107
訥々と語る来し方桜餅
田中清子
雨月
201107
墨堤や妻のおごりの桜餅
大坪景章
万象
201108
殯せん桜餅の葉はづしけり
大島翠木
201108
悼献体
桜餅にも関東風関西風
大久保白村
ホトトギス
201109
桜餅いちにち母とくらしけり
松橋利雄
光陰
201203
みよし野に出会ひ重ねて桜餅 稲畑廣太郎 ホトトギス 201204  
桜餅みよし野の朝解けゆく 稲畑廣太郎 ホトトギス 201204  
桜餅食べて終りし一日かな 稻畑汀子 ホトトギス 201204  
手に残る移り香かすか桜餅 吉田啓悟 かさね 201205  
打ち明けるその後の話桜餅 山田正子 201205  
さくら餅皮ごと食うべ失語症 堀内一郎 あを 201205  
声がしてそつとおかれた桜餅 芝宮須磨子 あを 201205  
万朶に咲く枝に小鳥や桜餅 池内とほる かさね 201206  
男の子ばかりを育て桜餅 原友子 201206  
手に受けし懐紙のしめり桜餅 山村幸苑 馬醉木 201206  
お茶を待つ床几番ひのさくら餅 田村すゝむ 風土 201206  
桜餅並びてふたつ夫の買ふ 上村葉子 風土 201206  
包み解く手許の匂ふ桜餅 宮木加津代 万象 201206  
葉脈の歯応への美し桜餅 石倉千賀子 ろんど 201206  
寄り道にもひとつ櫻餅買うて 吉弘恭子 あを 201206  
桜餅本家総家と軒並べ 国包澄子 201207  
書きさしの手紙の横の桜餅 涼野海音 火星 201207  
さくら餅歯なしの口元ほころびて 古林田鶴子 ぐろっけ 201207  
桜餅離職十年皺む掌に 田村一翠 ぐろっけ 201207  
来る筈の人待つ席の桜餅 森脇貞子 雨月 201207  
野地蔵に供へられたる桜餅 山口天木 雨月 201207  
縁側は家の語り部さくら餅 頓所友枝 冬の金魚 201209  
あはあはの色が艶なり桜餅 布川直幸 201303  
桜餅吉野の山気濃き色に 稲畑廣太郎 ホトトギス 201304  
桜餅吉野温泉元湯の香 稲畑廣太郎 ホトトギス 201304  
桜餅狐出さうな吉野かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201304  
桜餅葉にも主張のありにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201304  
遅れ来る一人に残す桜餅 稲畑汀子 ホトトギス 201304  
くちづけるやうに香を嗅ぐ桜餅 布川直幸 201304  
夫に供へわれも一つや桜餅 石原節子 春燈 201304  
われの名を忘るる母と桜餅 市村明代 馬醉木 201305  
また一つ重ねし齢さくら餅 伊藤百江 春燈 201305  
さくら餅一つは妣へ日の巡り 鈴鹿仁 京鹿子 201305  
浮かれ人これより先のさくら餅 鈴鹿仁 京鹿子 201305  
手づくりの大きめがよし桜餅 田中浅子 201306  
団欒に先づ愛でらるる桜餅 和田郁子 201306  
葉を食べる食べぬ論争桜餅 大堀賢二 201306  
和歌知らぬ我は無口に桜餅 宮崎高根 201306  
長文の詫状に添ふ桜餅 福永尚子 ろんど 201306  
桜餅停戦協定結ぶ日の 中谷仁美 船団 201306  
さくら餅戦後の飢を知る人と 千田敬 201306  
死に方の話におよび桜餅 安田とし子 ぐろっけ 201307  
目隠しの小さき掌桜餅 林八重子 馬醉木 201307  
桜餅を購ふ舞妓片化粧 宮崎左智子 201307 下唇にのみ紅を曳く化粧
和菓子舗の暖簾あたらし桜餅 中村紀美子 春燈 201307  
ぬれし葉の塩気をめでつ桜餅 竹内弘子 あを 201307  
除け者の字余りずつしり桜餅 布川直幸 201404  
二代目も老いし和菓子や桜餅 鈴木セツ 201405  
もてなしは世間話と桜餅 小林久子 201405  
福耳は母ゆづりなり桜餅 中村紀美子 春燈 201405  
盆点の懐紙に受くる桜餅 藤見佳楠子 201405  
さくら餅食ふに日当る虚空かな 中野京子 201406  
昨夜雨の今日は良き日や桜餅 川村亘子 末黒野 201406  
桜餅ひとりの時間ありにけり 山田暢子 風土 201406  
理系女でも歴女でもなし桜餅 笹村恵美子 201406  
桜餅天助ありての自助なりけり 上山永晃 春燈 201406  
ていねいに並べて売らる桜餅 和田紀夫 201406  
姑の忌の仏間香し桜餅 粟倉昌子 201406  
後編と思ふ人生さくら餅 土屋草子 ろんど 201406  
日本橋生まれのははや桜餅 柴田久子 風土 201407  
桜餅食べ終へたる葉佳き香り 大橋弘子 末黒野 201407  
桜餅前もうしろも分譲地 柴田久子 風土 201407  
風呂敷の自在なりしよ桜餅 柴田久子 風土 201407  
碧梧桐虚子のことなど桜餅 橋添やよひ 風土 201407  
かしこさうな赤門前のさくら餅 石田きよし 201407  
熨斗紙は千鳥の透かし桜餅 奥名房子 201410  
魁けて食ぶ長命寺桜餅 稲畑廣太郎 ホトトギス 201503  

2005年4月1日 作成

2015年4月1日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

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