柘榴の花      193句

 

作品
作者
掲載誌
掲載年月
花石榴豆腐の芯のなまぬるき 浜口高子 火星 199808
直情は径行となり花ざくろ 丸山海道 京鹿子 199808
花ざくろ熟睡して血を醒ますべく 岡本眸 199808
町空のひと日の雨氣や花ざくろ 岡本眸 199809
それぞれの悩みはあれど花ざくろ 米須あや子 遠嶺 199810
聖痕としてか三つの花柘榴 水野恒彦 199810
花柘榴好いた男は煙なり 小堀寛 京鹿子 199901
憎み合ふ人種の絶えず花石榴 赤松弘光 いろり 199906
花石榴旅のはじめの典厩寺 小林碧郎 馬醉木 199908
親のあと子が着き歩く花石榴 城戸愛子 酸漿 199908
おもひでの芯となすべく花ざくろ 保坂加津夫 いろり 199908
鑑賞の目を肥やしをり花石榴 桑垣信子 いろり 199908
見せてやる石榴の花と柿の花 山西雅子 199909
花ざくろ外湯洗はれゐたりけり 岡本眸 199909
リストラと言ふ責道具花柘榴 中森百合子 199909
花石榴赤しジャングルジムに鳥 田中美智代 199909
この男舌先三寸花柘榴 三宅やよい 玩具帳 200004
華清池の風に揺れをり花石榴 岡田房子 酸漿 200008
柘榴咲く降らんばかりの真間の里 中川二毫子 夏木立 200008
花石榴故宮の庭に盛りなり 岡田房子 酸漿 200008
花石榴喫泉に顎濡らしたり 皆川盤水 春耕 200008
石垣に雨の来てゐる花ざくろ 大村真佐子 遠嶺 200010
都合により休むスナック花ざくろ 中原幸子 「遠くの山」 200010
蔵の扉にかかる夕日や花ざくろ 穴澤光江 遠嶺 200010
花ざくろ嬰を笑はすに道化をり 岡本眸 200011
花石榴わたしといえば波うって 芹沢愛子 海程 200101
一つ咲き一つのままの花石榴 赤座典子 あを 200107
死に場所に橋ある景色花石榴 柴田朱美 京鹿子 200108
われとわが方寸燃やす花石榴 神蔵器 風土 200108
花ざくろとうに経緯忘れをり 荒川美邦 京鹿子 200109
花柘榴とことん涙もろくなり 泉田秋硯 200109
会葬の人の出で入り花ざくろ 川崎妙子 風土 200109
閼伽桶の乾びてをりぬ花ざくろ 櫛原希伊子 百鳥 200110
花石榴小さき蜜を宿しけり 二瓶洋子 六花 200111
エプロンに受ける石榴の花火かな 二瓶洋子 六花 200202
茂るより石榴の花となりにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200206
曇天を暗めてをらず花石榴 稲畑廣太郎 ホトトギス 200206
殉教といふ昔あり花石榴 稲畑廣太郎 ホトトギス 200206
花石榴工場にまはる換気扇 望月友子 雲の峰 200208
ざくろ咲く車庫の奥より人の声 公山礼子 200209
花ざくろギリシヤ神話の神多情 須佐薫子 帆船 200210
菩提寺の磴垂れて来ぬ花柘榴 神蔵器 風土 200308
涙腺の解剖図あり花ざくろ 石堂摩夜子 対岸 200309
存問のことば少し花ざくろ 宇都宮滴水 京鹿子 200309
道祖神はおしくらまんじゆう石榴咲く 清水伊代乃 酸漿 200309
柘榴咲き朝は細かき雨の音 青砥真貴子 200401
くすしのがりゆけば煙雨の花ざくろ 岡本眸 200408
寺町の塀みな古し石榴咲く 池尻足穂 雲の峰 200408
花ざくろに雨降つてゐる傘寿かな 米澤光子 火星 200409
雨あしにささやきあふか花ざくろ 塚本五十鈴 200410
藁打ちし砧も古りぬ花柘榴 市場基巳 200411
石榴咲く岸辺に古りし筒井筒 藤田かもめ ぐろっけ 200411
一行のたより謎めく花ざくろ 米須あや子 遠嶺 200509
風すこし湿りふくみぬ花柘榴 関根義行 対岸 200509
雨いつか本降りとなる花柘榴 花岡豊香 酸漿 200509
ストライキせし枝一つ花柘榴 泉田秋硯 200509
柘榴咲き空の青さの極まれり 松本圭司 200509
若者に問はれ柘榴の花と答ふ 福間須美江 200511
友の家に來てうたたねす花柘榴 瀧春一 常念 200606
死にかはり建ちかはりせし花ざくろ 野澤あき 火星 200609
花柘榴茶封筒より出す写真 渡邊美保 火星 200709
石榴咲く私道囲ひの耕作地 布川直幸 200709
ざくろ咲く教会の窓閉じたまま 坪内稔典 船団 200710
花ざくろ海の深さを紺で知る 水野恒彦 200710
血を流すイエスキリスト柘榴咲く 坪内稔典 船団 200710
花柘榴見せて妻籠の石畳 阿部文子 酸漿 200712
今生のわれは双子や花柘榴 大川ゆかり 炎帝 200804
柘榴咲き露人ワシコフ笑まひけり 塩路隆子 200808
言の葉の尖りし妻よ花柘榴 三角和夫 炎環 200809
背負はれて川渡るかな花ざくろ 中島陽華 200809
軒干しの海女着真白や花柘榴 田下宮子 200810
花柘榴煌々たれば欺けず 伊藤白潮 200810
軒干しの海女着眞白や花柘榴 田下宮子 200810
石榴咲く雀隠れに風の沙汰 鈴鹿仁 京鹿子 200907
塗りたての白壁眩し花柘榴 中川すみ子 200908
石榴咲く脇役通す人の善さ 鈴鹿仁 京鹿子 200908
自転車を下りて押す坂花ざくろ 中谷葉留 風土 200909
花ざくろ隣の家の帰国子女 松本平八郎 炎環 200909
花ざくろ噂の彼が素通りす 渡辺数子 火星 200909
花柘榴稔る姿は児の絵解 高木智 京鹿子 200909
声挙げてほつほつ落ちし花ざくろ 渡辺数子 火星 200909
戦友の皓歯の記憶花ざくろ 藤岡紫水 京鹿子 200909
菩提寺にむこくる話花ざくろ 曷川克 遠嶺 200910
どことなく合掌に似る花ざくろ 井上信子 200910
石榴咲く風水害の載る新聞 松嶋一洋 200912
花ざくろ日暮れになれば死を想ふ 荒井千佐代 201007
指を折る児の算数や花柘榴 森下康子 201008
指を折る児の算数や花石榴 森下康子 201008
傘ぬちに波音こもる花ざくろ 城孝子 火星 201009
花石榴閉ざして暗き製餡所 服部早苗 201009
落ちさうで落ちぬ雨滴や花ざくろ 松岡和子 201009
花石榴下を声行く老人会 波田美智子 火星 201009
初恋は担任教師花石榴 大木清美子 201009
都合よきときの父の座花ざくろ 吉田政江 201009
雨やんで柘榴の花の朱を極む 都丸美陽子 春燈 201012
佃てふ気どらぬ街や花ざくろ 佐伯星子 馬醉木 201012
花石榴煌々たれば欺けず 伊藤白潮 201104
暮泥む七時の夕餉花石榴 赤座典子 あをかき 201107
行きも帰りもおとなりの花ざくろ 井上信子 201107
花柘榴訪ひし西安不夜城に 川崎利子 201108
検診は歯磨き点検花柘榴 中川すみ子 201108
みどり児の花唇の如し柘榴花 木村稔 ろんど 201108
雨あとの照る日をかへし花石榴 田村加代 末黒野 201109
つぎ次ぎに言葉ひろげて花ざくろ 秋葉貞子 やぶれ傘 201109
花石榴こぼれて暗き女坂 大場ましら 201109
老石榴朱肉の花を抱きたる 瀬川公馨 201109
村守れる寺に嗣子なく石榴咲く 田中清子 雨月 201109
裏庭の思ひ出ばかり花柘榴 川崎よしみ 201110
珈排とざくろの花と蟻二匹 坪内稔典 船団 201110
いのちなり濡れて紅さす花柘榴 本多俊子 201209
散り敷ける紅はあはれや花石榴 島谷征良 風土 201210
楽洩るる紗の窓掛や花柘榴 村上光子 馬醉木 201210
塀に摩れ少しおどけて花石榴 水野範子 ぐろっけ 201210
お向ひの荷物あづかる花柘榴 竹内弘子 あを 201210
雲切れて朝日に映ゆる花柘榴 上村光八 末黒野 201210
強まりし傘の雨音花石榴 丑久保勲 やぶれ傘 201212
芭蕉墓柘榴の花の色添へて 吉田和子 ぐろっけ 201212
花ざくろ土竜の土を転びけり 江見悦子 朴の青空 201307
弔問や真っ盛りなる花柘榴 田中藤穂 あを 201308
海光の包む洋館花石榴 森清信子 末黒野 201310
日の暈の浮きたる水面花石榴 宮本加津代 万象 201310
赤阪村点すかに咲き花石榴 宮平静子 雨月 201310
人間に真実空に花ざくろ 岩岡中正 ホトトギス 201311
花ざくろいつの間にやら五つ六つ 原田たづゑ 春燈 201408
花ざくろ敷石ぬるるほどの雨 大島英昭 やぶれ傘 201408
雨風の止む気配なし花柘榴 小川玉泉 末黒野 201409
今朝霽れて朱を鮮やかに花ざくろ 小川玉泉 末黒野 201409
谷戸の径紅一点の花ざくろ 高橋志津代 末黒野 201409
柘榴咲く母とは違う想いあり 古川忠利 ろんど 201409
菩提寺の山門に入り花ざくろ 國保八江 やぶれ傘 201410
振り向かず焦らぬ齢花柘榴 加藤八重子 末黒野 201410
ほのぼのと残りし戀や花石榴 丸井巴水 京鹿子 201411
花石榴町家の井戸に釣瓶なし 小山和男 京鹿子 201501
ざくろの花散り散りといふ散り方に 井上信子 201507
お隣りはながきお留守に花石榴 井上信子 201507
勅使門閉ざされてをり花ざくろ 中村洋子 風土 201508
路地ひとつ間違へてをり花石榴 高橋あさの 201508
川筋の多き町並花石榴 福田禎子 末黒野 201509
いつまでも隣は空家花ざくろ 福永幸子 末黒野 201509
雲ひらき朝の池畔の花石榴 水田壽子 雨月 201509
洋館の円柱八本石榴咲く 森田節子 風土 201510
花石榴人体模型暗がりに 生田恵美子 風土 201510
屋敷神祀る旧家や花ざくろ 舘泰生 風土 201510
雨止みて赤のまぶしき花ざくろ 國保八江 やぶれ傘 201510
花ざくろ汐入川に色こぼし 大上充子 馬醉木 201510
武家小路塀をはみ出す花石榴 見田英子 春燈 201512
生も死も浄土頼みや花石榴 沼田巴字 京鹿子 201607
何気なき一言重し花柘榴 時澤藍 201608
花ざくろ銃持て守る郵便所 荒井千瑳子 201608
玉の葉ときそひがほなる花石榴 七郎衛門吉保 あを 201608
花ざくろ明るきニュースに啼く鴉 田原陽子 201609
古刹なる雨の楼門石榴咲く 蒲田豊彦 雨月 201609
雨の日は雨に洗はれ花柘榴 小川玉泉 末黒野 201609
花石榴木より降り来て喜寿といふ 吉田政江 201609
花石榴村に人影なき日なり 安居正浩 201609
まぎれなき石榴の花の朱さかな 太田佳代子 春燈 201609
花柘榴この坂道はゆき止まり 安藤久美子 やぶれ傘 201610
くれなゐを濃く糠雨の花柘榴 石川叔子 201610
小さき実のみえかくれして花柘榴 小嶋紘一 末黒野 201610
胸の火は赤く小さし花ざくろ 工藤はる子 201612
地下足袋の鞐きっちり花石榴 中川句寿夫 ここのもん 201705
思ひ出す一人の作者花石榴 稲畑汀子 ホトトギス 201706
咲いて知る石榴の花でありしかな 稲畑汀子 ホトトギス 201706
小回りのコミュニティーバス花柘榴 楠原幹子 201708
石榴咲く池のほとりの鬼子母神 安部和子 雨月 201709
我が庭もハワイ島ほど花柘榴 七郎衛門吉保 あを 201807
爆ぜて実になる色含み花石榴 加藤北天 雨月 201808
今生に悔い残すまい花柘榴 時澤藍 201808
信号待つ向かひの庭の花石榴 大内幸子 六花 201809
花柘榴かたへに朱の実結び初め 安部和子 雨月 201809
自衛官募集の掲示花ざくろ 内山照久 201809
散策路変へて出くはす花柘榴 黒澤次郎 六花 201810
音高き雨過ぎゆけり花石榴 佐津のぼる 六花 201810
雨多き日々に咲き継ぐ石榴かな 稲畑汀子 ホトトギス 201906
わが庭に植ゑたくなりぬ花石榴 稲畑汀子 ホトトギス 201906
花ざくろ毛ほどの無頼誰もが持つ 伊藤希眸 京鹿子 201909
潮風に後れ毛まかせ花石榴 久保夢女 201909
ひと声を掛くる石榴の花の下 高埜良子 春燈 201909
傘傾げ隠蔽色の花石榴 酒井たかお 201909
窓の猫三叉路の家の花柘榴 庄司久美子 201909
大和まほろば朱の鮮やかな花石榴 荒川心星 201910
よく笑ふ双子の姉妹花柘榴 有賀昌子 やぶれ傘 201910
御伽草子のどこぞに鬼よ花石榴 鈴木幾久 馬醉木 201910
鎌ざつときてざつと去る雨花ざくろ 武藤節子 やぶれ傘 202009
いつからか売家となりて柘榴の花 稲田延子 やぶれ傘 202009
門柱に繋ぐ老犬花石榴 中野千代子 末黒野 202011
大地より辰砂吸ひ上ぐ花柘榴 七郎衛門吉保 あを 202107
吹き降りの白き視界や花石榴 牛島晃江 202108
なつかしきものに上海花石榴 岩岡中正 ホトトギス 202111
伐り惜しみされて赤々花柘榴 櫻本武志 末黒野 202111
花ざくろきれいな言葉返りけり 戸栗末廣 202112
矯声が柘榴咲く路抜けてゆく 有賀畠子 やぶれ傘 202209
暮るるころ柘榴の花に少し雨 木村瑞枝 やぶれ傘 202210

 

2023年6月4日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。