柚の花       58句

柚の花や能(よき)酒蔵す塀の内    蕪村

作品
作者
掲載誌
掲載年月
妻子無き弟逝けり柚子の花 八木下巌 日車 199811
旅ごろもたたむ夕暮柚子の花 飯村久里子 春耕 199907
柚子の花蔵の扉の開いてをり 小山森生 199909
柚の花や夜は月ありと信じたく 能村登四郎 芒種 199911
柚の花や農小屋に吊る笊と魚籠 池内けい吾 春耕 200008
柚の花の高さを示す香りかな 鷹羽狩行 200107
花柚子の風万葉の雲間より 伊藤敬子 遠嶺 200109
最古てふ木の灯台や柚子の花 足立登美子 春耕 200109
佳き予感十年目にて花柚咲く 芦川まり 八千草 200511
柚の花の匂ひて夜の雨となる 福間須美江 200511
径細り頭上より降る花柚の香 松崎鉄之介 200607
ジャスミンの香をかぎ十歩花柚の香 松崎鉄之介 200607
相聞に似て濃かりけり花柚の香 伊藤白潮 200706
柚の花や平屋住ひの身に添ひて 四宮一子 200708
花柚の香手入れ終りし屋敷畑 飛山ますみ 遠嶺 200709
山ばかり見て柚の花の下と識る 戸田和子 200709
その香りどこかに咲いて柚の花 稲畑汀子 ホトトギス 200806
柚の花や世間話のきりもなく 設楽唱子 酸漿 200809
石段に降る柚の花のかをりかな 有賀昌子 やぶれ傘 200809
柚の花のこぼれこぼるるとの曇 阿部ひろし 酸漿 201007
柚子の花失ひし日の影ばかり 服部郁史 京鹿子 201008
柚の花の香り重たき夕べかな 清水美子 春燈 201009
住替の身辺軽ろし柚子の花 山荘慶子 あを 201009
柚の花白煙戻す玉手箱 森理和 あを 201009
早逝の友の来てをり柚子の花 井上信子 201107
神域の廊下は古ぶ柚子の花 長崎桂子 あを 201108
柚子の花余震速報確かめて 鴨下昭 201108
踏み出せる五百一歩目柚子の花 町山公孝 201208
柚子の花八方美人の落し穴 田渕昌子 京鹿子 201211
庭師より花柚子二つ貰ひ受く 明石文子 ぐろっけ 201301
すとんと晴間花柚子の匂ひけり 浜口高子 火星 201310
雨音の静かなる日や柚子の花 今井春生 201310
姉のよな振替休日柚子の花 甲州千草 201407
生家守る一人の暮し柚子の花 平野暁美 馬醉木 201408
柚の花の風なく散りぬ月明り 飛高隆夫 万象 201408
花柚子を椀に沈めて坊泊 コ田千鶴子 馬醉木 201408
悲しみも底を突く頃柚子の花 宮井知英 201408
柚の花の香りにしばし車椅子 小川玉泉 末黒野 201508
電話では元気あるふり柚子の花 須賀敏子 あを 201607
五人ゐてふたりとなりぬ柚子の花 山本喜朗 雨月 201609
柚の花の香をたしかめて蜑町へ 小林愛子 万象 201610
柚の花の杓子定規な五弁かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201706
柚子の花咲いて空気の入れ替る 稲畑廣太郎 ホトトギス 201706
花柚子や子に隠しごとありさうな コ田千鶴子 馬醉木 201707
真つ白にシーツ乾きぬ柚子の花 小林愛子 万象 201708
ティータイム柚子の花咲く会津かな 加藤良子 春燈 201709
もてなしの始めの白湯の花柚かな 深川敏子 春燈 201709
母の忌の近し柚の花香りけり 中里よし子 春燈 201809
坂下る柚の花明りみほとりに 甲州千草 201907
筋書きと違ふ人生柚子の花 本多俊子 201909
枝折戸の内より香り柚子の花 大川暉美 末黒野 201909
年重ね知り得しことも柚子の花 鈴木幾久 馬醉木 201910
父見舞ふ母の笑顔や柚子の花 伊吹之博 京鹿子 202008
花柚子の風に膨らむ気配かな 山浦紀子 春燈 202008
柚子の花かきわけ去年の柚子採りぬ 橘正義 春燈 202008
花柚子のはづんで落つる夜の静寂 山浦紀子 春燈 202009
柚の花の白し何かが飛ぶ気配 升田ヤス子 六花 202209
古井戸は生家の名残柚の花 今村千年 末黒野 202210

 

2023年6月9日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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