山桜桃    97句

作品
作者
掲載誌
掲載年月
ゆすらうめ熟れ峡の子はみづみづし 山田弘子 春節 199503
山桜桃母屋のそばに熟れにけり 林田加杜子 いろり 199908
草引きの功徳を妻へゆすらうめ 加地桂策 海程 199911
祖母亡くて残る三和土や山桜桃 朝妻力 俳句通信 200007
呼び捨てで呼ばれてゐたりゆすらうめ 田中英子 火星 200009
虚子館にあるかと問はれゆすらうめ 稲畑汀子 ホトトギス 200106
もう植うる余白なき庭ゆすらうめ 稲畑汀子 ホトトギス 200106
夕日なほ力を抜かずゆすらうめ 稲畑汀子 ホトトギス 200106
ゆすらうめ婆にときどき男客 梶浦玲良子 六花 200108
路地裏にちひさき祠ゆすらうめ 上田尚義 雲の峰 200206
人住まずたわわたわわのゆすらうめ 坂本フジ 帆船 200207
少女らの笑顔かがやくゆすらうめ 森理和 あを 200207
「おいしいね」見知らぬ吾にゆすらうめ 森理和 あを 200207
とある朝にはかに失せしゆすらうめ 阿部ひろし 酸漿 200207
産土の神は物の怪ゆすらうめ 木曽岳風子 六花 200209
ゆすら咲く酒の名前も山桜桃なり 竹内美智代 酸漿 200306
母許にいつも幼子ゆすらうめ 辰巳あした 雨月 200308
弟に姉の耳打ちゆすらうめ 岡淑子 雨月 200309
山桜桃小さき肌着干されあり 影山わこ 百鳥 200309
葉隠れにまだ葉の色のゆすらうめ 若山実 雲の峰 200408
幼なくて電車通学ゆすらうめ 十河秀子 百鳥 200408
婚の荷に学生鞄ゆすらうめ 十河秀子 百鳥 200409
孫来るを待ちて捥ぎ取る山桜桃の実 橋本孝子 200409
ゆすらうめ鈴生り孫を待ちにけり 佐々木とく子 200411
果実酒や子等の好みの山桜桃 平フミ子 酸漿 200507
蔵へ行く長き濡縁ゆすらうめ 園多佳女 雨月 200509
少年に男の匂ひゆすらうめ 八木柊一郎 ぐろっけ 200510
師を姉と慕ひし月日ゆすらうめ 落合由季女 雨月 200511
ゆすらうめ子供に帰る大人たち 平野きぬ子 八千草 200602
虚子館の玻璃の歪みやゆすらうめ 稲畑汀子 ホトトギス 200606
ゆすらうめ故里はなれ幾年ぞ 今谷脩 ぐろっけ 200608
敦盛のこちら向きなるゆすらうめ 田中英子 火星 200608
ゆすらうめ耳順すぎても同級生 関根洋子 風土 200609
ゆすらうめたわゝになりし郷愁を 山形麗子 ぐろっけ 200609
暮れ残るものの一つに山桜桃の実 宮尾直美 200609
山桜桃もぐやこぼるる小さき手 中村昭子 酸漿 200609
ゆすらうめ母を語れば訛るなり 柴田佐知子 200610
粒成りにふと手を伸す山桜桃 大山妙子 酸漿 200709
あいまいな予感一揺れ山桜桃の香 矢野千佳子 京鹿子 200709
手にいつぱいもつ山桜桃の実夢の中 高木伸宜 船団 200710
二才児のこのままで欲しゆすらうめ 真木早苗 八千草 200712
山門や色きはめたる山桜桃 江本路代 酸漿 200808
束の間をにぎはす庭の山桜桃の実 羽賀恭子 200808
一人居の時の長さよゆすらうめ 細見綾子 ぐろっけ 200904
ゆすらうめ実のまだあをきなげきかな 木下夕爾 ぐろっけ 200904
ゆすらうめことばやさしきひととゐて 北畠明子 ぐろっけ 200904
嬰見の頬さながらにゆすらうめ 山口博通 ぐろっけ 200904
嬰兒の頬さながらにゆすらうめ 山口博通 ぐろっけ 200904
山桜桃熟れ老農夙に畦をぬる 飯田蛇笏 ぐろっけ 200904
つづきたる雨の間に熟れゆすらうめ 五十嵐播水 ぐろっけ 200904
田舎子の小さき口やゆすらうめ 中村草田男 ぐろっけ 200904
山桜桃ひとつのひかりひとつのかげ 玉井江吏香 200907
新発意の初恋の人山桜桃 荒井慈 春燈 200909
昏れなづむ信濃の空やゆすらうめ 草本洋子 200910
代々の犬が寝そべる山桜桃 陽山道子 船団 200912
べんがらの町家わけても山桜桃の実 谷中弘子 201005
幼子のしやがんで遊ぶゆすらうめ 小林朱夏 201006
山桜桃咲く境木の白々と 三浦カヨ子 酸漿 201006
山桜桃梅洞水の明と暗 田中貞雄 ろんど 201009
ためらはず鳥の啄むゆすらうめ 大松一枝 201009
一粒をふふみ望郷山桜桃の実 塩路五郎 201010
ちらほらと山桜桃の花の庭明り 阿部ひろし 酸漿 201105
ゆすらうめ子のポケットに熟れにけり 井上淳子 火星 201111
ゆすらうめ届かぬ枝に熟れにけり 松村光典 やぶれ傘 201310
てのひらに小さきルビーゆすらうめ 石川かおり 福袋 201404
山桜桃散り小さき実の目立つ 筒井八重子 六花 201406
ゆすらうめたわわや独り喫茶店 西岡啓子 春燈 201409
山桜桃文学少女老いにけり 山田正子 201410
幼な子の靴のふはふは山桜桃 井上静子 201508
ゆすらうめ情はもつれ易きかな 久保東海司 201508
雨音の明るき朝やゆすらうめ 福永幸子 末黒野 201509
諍ひて泣いて帰る子ゆすらうめ 河島坦 京鹿子 201510
ゆすらうめあふれ出すまで言葉待つ 吉田葎 201705
ゆすらうめ母恋ふ詩の数多あり 宮井知英 201707
たし算の子に貸す五指や山桜桃 佐藤保子 馬醉木 201708
恋を知る少女となりぬゆすらうめ 寺田すず江 201709
下校子の寄り道楽し山桜桃の実 久保田富士子 万象 201709
ゆすらうめ稚を抱かせてもらひけり 井上静子 201807
はにかみの産毛うすうすゆすらうめ 楠原幹子 201808
手をとりてゆすらうめ握らせくれし 近藤紀子 201809
朝刊のなき日は淋しゆすらうめ 永淵惠子 201809
ゆすらうめ昔の話くり返し 樺山翠 雨月 201809
山桜桃小瓶に映ゆるジャムの色 友田悠子 末黒野 201810
ゆすらうめ拾いころがす望郷を 小沢えみ子 201902
子らの名の読めぬ当て字や山桜桃 斉藤マキ子 末黒野 201904
みどり児のすぐ泣きやめりゆすらうめ 赤峰ひろし 201908
磯風の藤村旧居山桜桃 今村千年 末黒野 201910
ゆすらうめ葉隠れに実の色づきて 白石正躬 やぶれ傘 201910
花街の紅殻格子山桜桃の実 渡辺富士子 末黒野 202004
ゆすらうめ今も「ちやん」付け従妹会 伊吹之博 京鹿子 202008
兄よりもいもうと強気山桜桃 中野あぐり 春燈 202107
山桜桃ままごとの児の丁寧語 西本花音 春燈 202108
ゆすらうめ真紅のままに落ちにけり 飯田節 202110
ゆすらうめ回遊式の縄電車 山中志津子 京鹿子 202209
ゆすらうめ女系家族に女児生るる 吉原世都子 春燈 202209
山桜桃ポンプは錆びし音をたて 倉澤節子 やぶれ傘 202210
ゆすらうめ幼なの夢は揺れてゐる 大西逸子 京鹿子 202301

 

2023年2月16日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。