蓬 餠     162句

子をおもふ憶良の歌や蓬餅   竹下しづの女

作品
作者
掲載誌
掲載年月
蓬餠唇は中傷する道具 中原道夫 銀化 199904
蓬餅父母より永く生きにけり 安陪青人 雨月 199907
甘党は父親ゆづり蓬餅 辻享子 ヒッポ千番地 199908
糖尿の妻に一口蓬餅 今村映水 199909
よもぎ餅あんこやれそれ賑やかに 河野義海 京鹿子 200006
舟洗ふまへの男ら蓬餅 菅原閧也 200007
蓬餅搗く大臼の披露目かな 遠藤アサ子 赤井 200103
昔むかしの嘘をたのしむ蓬餅 佐藤喜孝 あを 200105
蓬餅母の手のなか染まりゆく 宮倉浅子 遠嶺 200105
蓬餅丹波の大納言封じ 島村耕作 200105
単身赴任者に届きし蓬餅 高尾豊子 火星 200106
重箱の屋号懐かし蓬餅 平きよし 春耕 200107
不揃ひも御免候へ蓬餅 永井一枝 200107
売店のうしろに大樹よもぎ餅 石川不欄 百鳥 200107
二口で女人高野の蓬餅 中田征二 ぐろっけ 200108
蓋取れば隅に片寄る蓬餅 辻井桂子 雲の峰 200205
ちちははへ買ふ風の日の蓬餅 福井隆子 200205
お見舞ひに餡いつぱいの蓬餅 馬場美智子 六花句集 200205
久に来し友と茶を汲む蓬餅 小池槇女 火星 200206
山畑に畝あざらけし蓬餅 小林奈々 百鳥 200206
生きてゐて今日も良かりし蓬餅 泉田秋硯 200207
旅誘ふ書信添へられ蓬餅 和田一 雨月 200207
兄嫁の包んでくれし蓬餅 長田等 200208
手作りに伝はる祝意蓬餅 橋本佐智 円虹 200208
下町にかぎると舟和の蓬餅 芝尚子 あを 200304
新しき暖簾吉野の蓬餅 森脇恵香 雲の峰 200305
産み月のひとから貰ふ蓬餅 高田令子 200305
蓬餅嫁と言はれし日の遥か 岩波ふみ子 雲の峯 200306
因幡路に買ふ大ぶりな蓬餅 岸しのぶ 築港 200306
一日のゆつくり過ぎる蓬餅 遠藤和彦 遠嶺 200307
潜り戸の奥に商ふよもぎ餅 浜野茂 百鳥 200308
蓬餅のどこを触れてもやはらかし 遠野萌 200308
甘えたき日もあり妣のよもぎ餅 橘沙希 月の雫 200404
母思ひ出す搗きたての蓬餅 川角十四枝 築港 200404
百才の媼が摘みて蓬餅 早崎泰江 あを 200404
臥す母の味にまろめて蓬餅 久保一岩 雲の峰 200405
口中にひろごるかをりよもぎ餅 岸本林立 雨月 200406
閏日が第五日曜よもぎ餅 望月澄子 対岸 200406
蓬餅古き絵皿に似合ふかな 小田島成子 百鳥 200407
生きてゐて今日もよかりし蓬餅 泉田秋硯 黄色い風 200505
蓬餅その温もりを貰ひけり 大里快子 酸漿 200505
手土産に持たすはいつも蓬餅 田谷芳江 築港 200506
蓬餅いまだ越えざる母の味 田谷芳江 築港 200506
おもふこと遠くて蓬餅甘し 植松安子 200506
ほのぼのと野の香丸めて蓬餅 木内美保子 六花 200506
友情やかたちなかりし蓬餅 瀧春一 菜園 200509
摘みたての香り放ちて蓬餅 森下清子 200510
忘れたることを忘るる蓬餅 井上信子 200605
蓬餅搗く竈火のまくれ立つ 石田厚子 馬醉木 200605
父の忌の蓬餅とて振舞へり 橋本光子 酸漿 200605
日表の土手のものなるよもぎ餅 豊田都峰 京鹿子 200605
天空を往つたり来たり蓬餅 加藤みき 200605
商ひの問口小さく蓬餅 若林花枝 200606
切り株を台とし売らる蓬餅 藤井久仁子 ぐろっけ 200607
茹で上げし香に郷愁や蓬餅 田中峰雪 雨月 200607
蓬餅今年も同じ母の文 山崎辰見 ぐろっけ 200607
蓬餅河内ことばを和らぐる 椋本一子 雨月 200607
遠回りして寄る店の蓬餅 渡邊民子 200607
ふるさとは有難きもの蓬餅 得田武市 河鹿 200607
献血の血と引き換えに蓬餅 石川裕美 ぐろっけ 200608
よもぎ餅持つて遅れてきたる人 坂口夫佐子 火星 200609
一人ゐて門前茶屋の蓬餅 伊藤奈津 200702
愛想なき店に名代の蓬餅 松本恒司 ぐろっけ 200702
蓬餅まだやはらかや地蔵尊 東福寺碧水 万象 200706
競馬新聞のあはひに座しぬ蓬餅 丸山照子 火星 200707
親生きてゐるうち不孝蓬餅 篠田純子 あを 200707
ていねいに祖母は焼きたり蓬餅 定梶じょう あを 200707
ちぐはぐな会話をつなぐ蓬餅 鎌倉喜久恵 あを 200707
それぞれにそれぞれの母蓬餅 篠田純子 あを 200707
蓬餅母子の会話はづみけり 鈴木多枝子 あを 200707
母に真似指跡のこす蓬餅 鈴木多枝子 あを 200707
夫逝きし弟も逝き蓬餅 鈴木多枝子 あを 200707
夫の忌に作ると決めし蓬餅 鈴木多枝子 あを 200707
頬ばつてそしてのんどへ蓬餅 鷹羽狩行 200804
よもぎ餅途中で買うて古墳まで 坪内稔典 稔典句集U 200804
搗きたての蓬餅なり雨になり 加藤みき 200805
蓬餅をゆびに腹といふがあり 栗栖恵通子 200805
二つめは香り楽しみ蓬餅 米山喜久子 200805
茶柱の立ちてるんるん蓬餅 北川キヨ子 200806
忌日とて庫裡に届けし蓬餅 内田郁代 万象 200806
幼子の捏ねに斑あり蓬餅 大塚民枝 酸漿 200806
蓬餅抓みし指のよく匂ふ 望月久美子 200806
聞き流す術もこころえ蓬餅 窪田粧子 馬醉木 200806
今生はけふのひと日や蓬餅 戸田和子 200806
天日の恵みの彩か蓬餅 宇和川喬子 200806
接待のまだあたたかき蓬餅 高倉和子 200906
水走る近江ひら餅蓬餅 小林千草 馬醉木 200907
蓬餅黄粉とともに供されて 白石正躬 やぶれ傘 200907
仏壇の蓬餅下げ小昼とす 高嶋文清 春燈 200908
染付けの絵筆を休め蓬餅 富田範保 201005
出来立てや店主自慢の蓬餅 和田郁子 201005
石臼や母が自慢の蓬餅 宮崎左智子 201006
郷愁を掻き立つる色蓬餅 西村純代 201006
巡礼に伊予の訛や蓬餅 落合絹代 風土 201006
噎せるほど乳出はじめる蓬餠 森理和 あを 201006
やはらかさ形にしたる蓬餅 足立幸信 201006
昼酒に添へて当麻の蓬餅 山田春生 万象 201007
たっぷりと和尚の笑顔よもぎ餅 村上浩子 末黒野 201007
一瞬の遺影の笑みや蓬餅 佐藤いづみ ろんど 201007
汽車道の空一箱に蓬餅 堀江惠子 201008
山の辺の道のはじめのよもぎ餅 雨宮桂子 風土 201101
使ひ込む父母の円卓よもぎ餅 大地真理 201105
濡縁をつくろふ話蓬餅 當問シズ 万象 201105
絶品の妣の味ですよもぎ餅 井口淳子 201107
幾度も母を誉め上げ蓬餅 佐瀬晶子 ろんど 201107
いのちまづ無事被災地の蓬餅 大畑善昭 201107
蓬餅月命日の来りけり 井上幸子 酸漿 201107
よもぎ餅国道一号線渡る 火箱ひろ 船団 201110
また一つすぐ手の伸ぶる蓬餅 石井雲雀 末黒野句集 201203
蓬餅なかなか果たせぬ母を訪ふ 植木緑愁 201205
父母も祖母も在りし日よもぎ餅 鈴木幸子 万象選集 201205
押し合へる形あらはに蓬餅 柴田佐知子 201205
愚痴聞いてくるる人ゐて蓬餅 外山節子 末黒野 201206
拭き込みし式台の艶よもぎ餅 稲山忠利 ぐろっけ 201206
杣人の垣なき生活たつき蓬餅 鈴木照子 201206
よもぎ餅父へ母へと供へけり 安武晨子 201206
朝つみの北の大地の蓬餅 森理和 あを 201207
重たげに畦の色して蓬餅 田代貞枝 201207
藍染の暖簾くぐりて蓬餅 塩路五郎 201207
産土の色まさりたる蓬餅 柴田佐知子 201207
押し入れに籠りし兄へ蓬餅 石田きよし 201207
摘み足しぬ考命日の蓬餅 門間としゑ 末黒野 201305
母が摘み父が搗きし蓬餅 荒木甫 201306
よもぎ餅食べて馬籠の川涼し 丸山酔宵子 かさね 201307
疎開とふ昭和は遠しよもぎ餅 大上充子 馬醉木 201406
和紙土産さし上げ蓬餅もらふ 竹内悦子 201406
蓬餅すみずみまでも母郷喰む 中山皓雪 201406
里で買ひ里山で食ぶよもぎ餅 布施由岐子 末黒野 201407
道の駅色で選びしよもぎ餅 相良牧人 201407
お茶添へてふる里の色蓬餅 松田泰子 末黒野 201408
蓬餅涙の訳を言はぬ子と 鈴木照子 201504
蓬餅もう私に戻れさう 高木晶子 京鹿子 201505
もう春の来てゐるみどり蓬餅 後藤立夫 ホトトギス 201506
掌に受けて形のゆがむ蓬餅 水谷文謝子 雨月 201607
畦道に茶の運ばれて蓬餅 三木千代 201608
搗きあげて野の色となる蓬餅 水谷靖 雨月 201706
方言に生くる強さや蓬餅 木村美翠 201805
蓬餅咥へて叩くキーボード 瀬島洒望 やぶれ傘 201805
蓬餅二つ並んで奥つ城に 有賀昌子 やぶれ傘 201805
線引きのまだこちら側蓬餅 高木晶子 京鹿子 201808
街道に買はずにをれぬ蓬餅 河原敬子 201808
良き顔に老いてゆきたし蓬餅 田代貞香 201808
蓬餅かつて野に出て摘みしこと 酒井たかお 201902
みちのくや草の香強き蓬餅 佐藤喬風 末黒野 201904
鄙ぶりの色も香も濃き蓬餅 堀井英子 雨月 201905
駅弁の角に丸.まり蓬餅 森清信子 末黒野 201906
つけつ放しのラジオ放送蓬餅 丑久保勲 やぶれ傘 201907
光年の先をうれひて蓬餅 佐藤喜孝 あを 202005
墨堤の日に腰下ろし蓬餅 森清信子 末黒野 202005
くゆりみちいざ濡れ色の蓬餅 根來隆元 202006
指先の力を抜きて蓬餅 あさなが捷 202007
コロナ禍や一人で喰らふ蓬餅 増田裕司 やぶれ傘 202007
良く噛んで一言多し蓬餅 大日向幸江 あを 202104
蓬餅季節の息吹かみしめる 長崎桂子 あを 202106
器量よき蓬餅なり隠れ里 和田照海 京鹿子 202106
蓬餅在り処教へしお返しか 岩上行雄 末黒野 202108
手びねりの豆皿にのせ蓬餅 小原芙美子 風土 202206
相聞の歌の香りの蓬餅 岡本尚子 風土 202207
蓬餅素焼の皿へ色あふれ 久島しんの やぶれ傘 202207
蓋とればふるさとの香の蓬餅 笹村政子 六花 202307
正座して吾子の頬張る蓬餅 笹村政子 六花 202307

 

2024年2月28日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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