夜 店            176句

夜店に軒貸してヨーヨーもらひけり    池田冨美

作品
作者
掲載誌
掲載年月
夜店にも楽屋裏めくところあり 山田弘子 春節 199503
夜店の灯届く神垣虫の声 菅原修子 春耕 199812
復興の待たるる夜店通りかな 稲畑汀子 ホトトギス 199907
夜店抜け機嫌直つてをりにけり 稲畑汀子 ホトトギス 199907
夜店より戻らぬ一人待つてをり 稲畑汀子 ホトトギス 199907
賑はひや夜店灯りて祐天寺 稲畑廣太郎 ホトトギス 199907
夜店などひやかしながら歩きけり 保坂加津夫 いろり 199908
客切れのなきは夜店のお面売 平子公一 馬醉木 199909
夜店出来やすし関東ローム層 峯尾文世 銀化 199909
出張の背広で覗く夜店かな 岸恒雄 春耕 199910
覗き込む子の横顔を見る夜店 細野恵久 ぐろっけ 199911
夜店たたむ夜明けの街の魚臭かな 藤村美津子 春耕 199912
虫売りのすこうし暗き夜店かな 田中藤穂 水瓶座 200002
人波や夜店は水の匂ひして 青山茂根 銀化 200007
不用品つられて買ひし夜店市 松沢久子 いろり 200007
俯いてばかりの夜店月かかげ 蔦三郎 円虹 200008
掴み寄せてひよこ売らるる夜店かな 小倉行子 風土 200009
雑多なる匂ひ異郷の夜店かな かとうゆき 銀化 200010
吊りしもの下ろしてゐたる夜店の灯 小林あつ子 火星 200011
隣人ら夜店張りをり秋祭 倭文ヒサ子 酸漿 200011
子等懲りず外ればかりの夜店の籤 細井隆子 200011
飴細工のスワン飛び立つ夜店かな 鶴目鯛遊子 六花 200011
海酸漿夜店で売らるが懐かしき 高木伸宜 船団 200102
夜店守るどこぞで眉を剃りしあと 中原道夫 銀化 200107
指とゆび触れあつてゐる夜店の灯 篠田純子 あを 200107
夜店より呼びかけらるることもなし 大串章 百鳥 200108
夜店の灯目指して暗き道を行く 林田加杜子 いろり 200108
小銭手に児の覗きいる夜店かな 林田加杜子 いろり 200108
寄居虫の貌出してゐる夜店の灯 棚山波朗 春耕 200108
一枡に買つて夜店の金平糖 大和田鏡子 俳句通信 200108
裸火にむかしの匂ふ夜店かな 中川和子 馬酔木 200109
つながつて一灯づつの夜店の灯 岬雪夫 200109
夜店灯やテントの裾の猫二匹 酒井多加子 俳句通信 200109
夜店の灯尽きるところに蛍売 金子きくえ 春耕 200109
まつさきに旋毛の見ゆる夜店かな 森麟 銀化 200109
なれそめの匂ひあれこれ夜店の灯 山県總子 銀化 200109
疲れたと言ひて夜店をひとめぐり 柴田美佐子 いろり 200109
モナリザの顔にとどきし夜店の灯 岡和絵 火星 200110
夜店香具師腹巻に銭出し入れす 永野秀峰 ぐろっけ 200111
壺の口誰ものぞきぬ夜店の灯 岡本まち子 馬醉木 200208
熱の子に一夜限りの夜店かな 松本恭昂 火星 200209
夜店ゆく串に蠍を揚げたてて 笹倉さえみ 雨月 200209
夜店の灯尽きて夜店へ歩を戻す 加古みちよ 冬菜畑 200301
蓮の実を夜店に父と買ひしこと 高倉恵美子 200305
エイポーと発音夜店のりんご飴 山田六甲 六花 200308
駅ビルの地下に夜店と模擬神社 遠藤米 帆船 200309
砂利船の波に広がる夜店の灯 大山文子 火星 200309
大甕に夜店の金魚放ちけり 竹内弘子 あを 200309
参道の夜店の場所は変らざる 永野秀峰 ぐろっけ 200309
水薄く夜店の金魚赤ばかり 藤田輝枝 対岸 200311
新月を仰ぐ夜店の小暗がり 藤井昌治 200312
秋立てり夜店の裏の水たまり 岡本眸 200409
入院の妻に夜店の金魚玉 桑田青虎 ホトトギス 200410
休足の椅子の置かるる夜店かな 金子君枝 百鳥 200410
唐揚げを夜店の主つまみ食い 島本知子 ぐろっけ 200410
少年いまも夜店あかりをすりぬける 八田木枯 晩紅 200412
雨となり夜店右往左往かな 平尾信一 帆船 200412
裸灯に明暗ありし夜店かな 高松良子 200412
駅前通りそぞろ夜店を流しけり 近藤牧男 春燈 200506
夜店の香子に引かれゆく父若し 伊地知真言 河鹿 200510
拾円を握りしめゐし夜店の灯 石堂絹子 河鹿 200510
風遊ぶ夜店なつかしアセチレン 水原春郎 馬醉木 200510
杉の間に夜店の灯り神楽舞 岡崎桂子 対岸 200511
同窓と知れし夜店の主かな 石川英利 百鳥 200511
熱きほど小銭を握り来る夜店 岩垣子鹿 ホトトギス 200512
灯を低く下げて夜店の整ひぬ 山田弘子 ホトトギス 200512
夜店尽き行灯一つ占師 吉川信子 万象 200609
啖呵切る声も夜店の売物に 内海なみ 200610
似顔絵のどれもおんなじ夜店の灯 高橋道子 200611
杏飴ひさぐ夜店の灯の明し 兼子栄子 酸漿 200611
この指環夜店で買うたんとちやふで 稲畑廣太郎 ホトトギス 200707
大同の夜店で食はす鯰鍋 松崎鉄之介 200707
何もなく心はづめり夜店の灯 中村輝子 酸漿 200707
夜店の灯うしろ姿の人ばかり 岡部名保子 馬醉木 200709
濠沿ひの夜店自づと匂ひたつ 武久昭子 風土 200710
人妻の皆美しき夜店かな 貝森光洋 六花 200710
夜店の灯明るすぎたる古本屋 大谷昌子 馬醉木 200710
夜店の灯消え産土の杜となる 山元志津香 八千草 200712
幼らの散財許す夜店の灯 森一枝 八千草 200801
木綿着て夜店の匂い持ち帰る 森一枝 八千草 200801
何買うもなくて夜店を一と通り 森一枝 八千草 200801
なつかしと言ひつつ歩く夜店かな 嶋田摩耶子 ホトトギス 200802
蛍籠売りし夜店はひと昔 新関一杜 京鹿子 200806
裸灯に返る夜店の金魚かな 助口弘子 火星 200810
雷鳴の加はる夜店早終ひ 竹内喜代子 200811
子育ても夜店もはるか昭和過ぐ 上林孝子 200811
暗いのか明るすぎるのか夜店 佐藤喜孝 あを 200811
見覚えの顔よ故郷の夜店歩し 嶋田摩耶子 ホトトギス 200901
籠詰めの子犬と鼠売る夜店 品川鈴子 龍宮の客 200904
渦巻ける夜店灯りの金魚かな 山田六甲 六花 200907
一等を引かむ夜店の宝くじ 山田六甲 六花 200907
餌をせがむ去年の夜店の屑金魚 久世孝雄 やぶれ傘 200909
綿菓子のみるみる太る夜店かな 横尾惠子 200911
夜店市ちひさき物を美しく 東良子 遠嶺 200911
巻き上ぐる水飴に透く夜店の灯 ことり 六花 201005
やんはりと掬ふ夜店のひよこかな ことり 六花 201007
星空のすみひとすぢの夜店の灯 豊田都峰 京鹿子 201008
まなじりのほくろを照らす夜店の燈 ことり 六花 201008
片腕の主古書売る夜店の灯 石川かおり 201009
棹秤おまけに撥ぬる夜店かな 本島むつみ ろんど 201010
笑はせて買はせてしまふ夜店かな 金山千鳥 酸奬 201010
駆出して転んで了ふ夜店の灯 篠田純子 あを 201010
夜店裏バケツ二杯の溶き卵 島本知子 ぐろっけ 201011
発電機ぶんぶん喰る夜店かな 島本知子 ぐろっけ 201011
涼しさを並べてをりぬ夜店かな 松嶋一洋 201109
夜店果て町を真つ直ぐ風が吹く 柳生千枝子 火星 201111
夜店の灯童話の世界生まれをり 早川八重子 末黒野 201112
夜店なり太宰・三島が五十円 亀井紀子 201205
基金して綿菓子貰ふ夜店の灯 加古みちよ 火星 201210
ミニチュアの刀の柄に夜店の灯 根橋宏次 やぶれ傘 201210
夜店の灯流るうたごゑ春団治 福島せいぎ 万象 201210
夜店の灯ことにトルコの涙壺 師岡洋子 ぐろっけ 201211
ひと雨の通り過ぎたる夜店かな 瀬島洒望 やぶれ傘 201309
郡山育ち夜店の金魚かな 大石よし子 雨月 201310
水ヨーヨーゆらゆら浮かぶ夜店かな 山田正子 201310
スタミナの薬いろいろ夜店の灯 田中文治 火星 201311
はづれくじばかりの夜店後にして 山田佳乃 ホトトギス 201312
り夜店の灯り顔に揺れ 安藤久美子 やぶれ傘 201312
境内の夜店の裏となりし句碑 千原叡子 ホトトギス 201401
ルーレットはハズレばかりを指す夜店 小山陽子 やぶれ傘 201508
丸々と去年の夜店の金魚かな 久世孝雄 やぶれ傘 201508
台北の夜店に買ひし小筆かな 木村傘休 春燈 201509
台北の夜店に匂ふ蛇籠かな 木村傘休 春燈 201509
合点首の仕掛玩具や夜店の灯 鈴木静恵 春燈 201509
かたことの日本語交る夜店かな 吉成美代子 あを 201510
『百年の孤独』積まるる夜店かな 竪山道助 風土 201511
お囃子が聞こえ夜店が見えはじめ 大島英昭 やぶれ傘 201609
クロワッサン残つてゐたる夜店かな 丑久保勲 やぶれ傘 201609
よその子に手をにぎられて夜店の灯 菊池洋子 やぶれ傘 201610
金盥にはしごを立てて夜店びと 奥田筆子 京鹿子 201610
住吉とて夜店庶民の品並べ 大橋晄 雨月 201610
見て歩くのみの楽しみ夜店の灯 村上悦子 雨月 201610
夜店立つ大人の目線子の目線 湯川雅 ホトトギス 201611
占ひの台詞反復する夜店 栗原京子 201612
灰の中にダイヤモンドもある夜店 柳川晋 201709
色つきのひよこをねだる夜店かな 藤井啓子 ホトトギス 201711
夜店の娘ゲーテの詩集読んでをり 和田華凜 ホトトギス 201711
浮世絵の流し目と合ふ夜店かな 和田華凜 ホトトギス 201711
背を向けて何か食べをり夜店番 升田ヤス子 六花 201711
光る物光らせて売る夜店の灯 中野匡子 ホトトギス 201712
人通り増ゆる夜店や声高し 土江比露 春燈 201712
不機嫌な顔にて夜店去りにけり 住田千代子 六花 201712
夢売つて現実買うて夜店かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201807
履き出しの鼻緒てごはき夜店かな 井原美鳥 201808
シャッター街の一夜賑はふ夜店かな 辻響子 201809
見るだけと見すかされをり夜店の灯 石黒興平 末黒野 201810
夜店の灯色くどき物照らしけり 山田正子 201812
声高の子らの数多や夜店の灯 荒井貞子 末黒野 201904
夜店の灯兵隊落すコルク玉 大谷昌子 馬醉木 201908
賑やかな夜店の裏の真暗がり 中島秀夫 王水 201909
坂なりの夜店の脚にかます石 根橋宏次 やぶれ傘 201910
おととしの夜店の金魚指吸うて 辻響子 201910
綿飴を三袋買ひし夜店かな 時田義勝 やぶれ傘 201911
糠漬にぱらり夜店の唐辛子 萩原渓人 やぶれ傘 201911
灯のともり夜店の魔法始まりし 藤井啓子 ホトトギス 201911
灯にかざしルビーの指輪買ふ夜店 藤井啓子 ホトトギス 201911
参道を狭く連なる夜店の灯 滝本憲宏 雨月 201912
父と行く夜店おもちゃの指輪して 藤野雅彦 船団 201912
金色の熊手夜店の灯の真中 沼崎千枝 末黒野 202003
残る名の三八通り夜店かな 稲畑汀子 ホトトギス 202007
夜店の灯イミテーションをそれなりに 稲畑廣太郎 ホトトギス 202007
カタヌキの薄桃色や夜店の灯 松井季湖 202009
夜店の灯遠くで鳥の声したる 松井季湖 202009
あの人と同じふるさと夜店の灯 辻響子 202009
人込みに手を見失ふ夜店かな 笹村政子 六花 202011
境内の夜店少なき秋祭 長崎桂子 あを 202011
夜店恋しや止められた盆踊 大日向幸江 あを 202011
金色の熊手夜店の灯の真中 沼崎千枝 末黒野 202104
横顔に幼さ残る夜店番 住田千代子 六花 202112
妹にお面を選ぶ夜店かな 住田千代子 六花 202112
誘ひたる色のあふるる夜店かな 山本則男 202112
黙食と殴り書ある夜店かな 太田良一 末黒野 202210
電球の切れも楽しき夜店かな 山田健太 風土 202210
ゆふぐれの町にとけ入る夜店の灯 北村梢 京鹿子 202210
目の合はぬやうに夜店のきつね面 朝長美智子 202211
夜店より踊り出でたる阿波男 田尻りさ 六花 202212
夜店五百空に鳥居の浮いてをり 吉田葎 202302

 

2023年7月13日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。