やや寒       126句

やゝ寒や日のあるうちに帰るべし    高浜虚子

作品
作者
掲載誌
掲載年月
朝の間のやゝ寒すでに消えてをり 稲畑汀子 ホトトギス 199810
やゝ寒に心従ひゆきにけり 稲畑汀子 ホトトギス 199810
やゝ寒に合はせ置きたる客間かな 稲畑汀子 ホトトギス 199810
やや寒の剥落画布に声なき声 岡田貞峰 馬醉木 199812
朝の間のやゝ寒に稿はかどりぬ 稲畑汀子 ホトトギス 199910
やや寒となりゐて二〇三高地 稲畑廣太郎 ホトトギス 199910
やや寒となりゐて二百三高地 稲畑廣太郎 廣太郎句集 199912
始発電車男ばかりのやや寒し 東海千枝子 200001
ぶりかへす上司の持論やや寒し 曽根久順 200001
やや寒の手の甲てのひら愛し合ふ 林翔 200002
やゝ寒のむかしよもぎに種付けて 柏井幸子 ホトトギス 200003
長堤のやや寒にゐて鴨の声 大橋敦子 雨月 200012
濤音にやや寒を言ふ粗の汁 宮崎美々津 銀化 200012
やや寒の肩先き何か羽織りけり 合川月林子 ぐろっけ 200101
やや寒の三方玻璃の露天風呂 合川月林子 ぐろっけ 200101
やや寒の闇の深かり高瀬川 小林優子 酸漿 200106
やゝ寒の漲りてゆく気力かな 稲畑汀子 ホトトギス 200110
やゝ寒といふは心地のよき朝や 稲畑汀子 ホトトギス 200110
やや寒し独りに慣れる日のありや 山田弘子 円虹 200112
やや寒の膝抱いてゐて倦怠期 利根川妙子 200201
やや寒や日の届かざる会議室 遠藤裕子 円虹 200201
旅かばん片付けられずやや寒し 森田子月 ぐろっけ 200201
やや寒の浜にもの焚くうすけむり 志水千代子 雲の峰 200202
やゝ寒き朝の間のもう過ぎてゐし 稲畑汀子 ホトトギス 200210
やゝ寒に処す旅衣なりしかな 稲畑汀子 ホトトギス 200310
やや寒し阿波の郷里の山日和 平田安生 風土 200312
やや寒の皇宮警察蹤いて来る 加古みちよ 火星 200402
やゝ寒といふ喪心を秘めてをり 稲畑汀子 ホトトギス 200410
今日の灯をけふ消す安堵やや寒く 岡本眸 200412
やや寒や市にほつけの干物買ふ 谷野由紀子 春耕 200412
やや寒し霊峰富士に日は射して 徳田正樹 河鹿 200501
やや寒の朝の日の入る佃煮屋 山尾玉藻 火星 200511
やや寒し洗顔の水ゆびを洩る 竹内弘子 あを 200512
やや寒の子の泣く窓辺歩き過ぐ 渡邉友七 あを 200602
やゝ寒に取り戻したる旅疲れ 稲畑汀子 ホトトギス 200610
浮雲のやうに目覚めてやや寒し 内山花葉 200611
やや寒に母読む絵本耳貸さず 高橋大三 ぐろっけ 200702
やや寒の雨垂れ美しき藁庇 坪井洋子 200702
やや寒き山の畑に蝶ふたつ 山尾玉藻 火星 200711
やや寒きほど値切られてをりにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200711
やや寒の街マネキンの眼が光る 東良子 遠嶺 200801
やや寒の夫を見舞ひて来し素顔 加藤峰子 200801
やや寒の朝の血圧上り易 椋本一子 雨月 200802
やや寒の厨は妻の牙城かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 200810
快晴の比叡のやや寒なりしこと 稲畑汀子 ホトトギス 200811
やや寒の赤の広場に佇ちてをり 門伝史会 風土 200812
やや寒や今がはるかとなる老に 竹下陶子 ホトトギス 200903
やや寒き橋の起伏でありにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200909
滞在の雨も上りてやゝ寒し 稲畑汀子 ホトトギス 200910
やゝ寒を心地よしとし旅にあり 稲畑汀子 ホトトギス 200910
やゝ寒に処す旅衣今日も又 稲畑汀子 ホトトギス 200910
路地といふやや寒き古都ありにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200911
やや寒の仏の花をむらさきに 吉澤恵美子 春燈 200912
やや寒の窓辺に楽し四十雀 中緒和子 酸漿 201002
やや寒きことが決断鈍らする 山田弘子 ホトトギス 201003
やや寒を忘れいつしか遠くまで 今村征一 ホトトギス 201003
旅心ふとあともどりやや寒し 稲畑汀子 ホトトギス 201010
忘れものして来しこともやや寒し 稲畑汀子 ホトトギス 201010
やや寒き仕事の量でありにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201010
やや寒くとも早起きをするつもり 稲畑汀子 ホトトギス 201010
やや寒といふ逡巡の旅支度 稲畑汀子 ホトトギス 201010
子等走るときやや寒を友として 稲畑廣太郎 ホトトギス 201011
やや寒の駅のホームのアナウンス 天野美登里 やぶれ傘 201101
やや寒や皿も温め八宝菜 棗怜子 春燈 201101
やや寒や腕を締めゆく血圧計 廣瀬雅男 やぶれ傘 201101
やや寒の蓬は下葉なかりけり 島谷征良 風土 201102
やや寒につけても思ひ出ださるる 今井千鶴子 ホトトギス 201103
やや寒や寂びし茶室の雨の音 山田佳乃 ホトトギス 201103
朝の間のやゝ寒失せてをりにけり 稲畑汀子 ホトトギス 201110
結界としての山門やや寒し 稲畑廣太郎 ホトトギス 201110
山門に入るやや寒き足取りに 稲畑廣太郎 ホトトギス 201110
さつきまでやゝ寒きことかこちをり 稲畑汀子 ホトトギス 201110
都府楼址てふやや寒き昔かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201110
やや寒を心地良しとも思へる日 稲畑汀子 ホトトギス 201110
やゝ寒と思ひたるよりくつろがず 稲畑汀子 ホトトギス 201110
やゝ寒をいつか忘れてをりしこと 稲畑汀子 ホトトギス 201110
洞門を抜けてやや寒遊亀の家 中島玉五郎 201112
やや寒のくちすすぎゐる山泊 村上すみ子 201201
リハビリに疲れて戻るやや寒し 高倉恵美子 201201
やや寒のうどんにのりて花鰹 松田泰子 末黒野 201202
わがままを許されてゐてやや寒し 高倉和子 夜のプール 201203
磨き粉を歯刷子につけやや寒し 渡邊孝彦 やぶれ傘 201204
やや寒や根岸の町の裏の路地 神田恵琳 春燈 201212
ワイパーの踊るやや寒母運転 森田子月 ぐろっけ 201301
やや寒し木の寄り合つて居るところ 井上信子 201301
やや寒や妻失ひし鳩の背 宮田豊子 春燈 201301
捨て湯流る蔵王の宵のやや寒し 松井洋子 ぐろっけ 201302
やや寒く釣果答へてをりにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201311
やや寒の道ゆけば田のにほひけり 大崎紀夫 やぶれ傘 201311
やや寒の土手をしばらく歩きけり 白石正躬 やぶれ傘 201401
やや寒き日よ頭よく回る日よ 湯川雅 ホトトギス 201403
やや寒のソファーに正座してゐたる 服部早苗 201501
やや寒や無人改札出でしより 笹倉さえみ 雨月 201501
やや寒の月食を見る身ごしらへ 稲畑汀子 ホトトギス 201510
きざはしを往き来やや寒纏ひつつ 稲畑汀子 ホトトギス 201510
やや寒の星のきざはし一人占め 稲畑汀子 ホトトギス 201510
草伏せてゐる川べりのやや寒し 大崎紀夫 虻の昼 201510
やや寒の身を地下鉄に湯島根津 服部早苗 201601
やや寒のふつうに寒いより寒し 後藤立夫 ホトトギス 201603
やや寒き朝の気纏ひ上京す 稲畑汀子 ホトトギス 201610
やや寒きことも心地のよき時も 稲畑汀子 ホトトギス 201610
快晴のつづきやや寒ゆるびをり 稲畑汀子 ホトトギス 201610
噛み合はぬ子との思ひのやや寒く 久保田優子 末黒野 201612
やや寒や表紙はがれし漫画本 藤岡紫水 京鹿子 201701
やや寒や日の落ちてより手暗がり 甕秀麿 201702
やや寒の路上ライブや客九人 佐藤良二 末黒野 201702
やや寒や笛吹川の舫ひ舟 久世孝雄 やぶれ傘 201702
やや寒やジャズ聴いてもう日暮 辻響子 201712
やや寒しきりんの膝の座り胼胝 平田きみこ 風土 201801
やや寒に部屋の明りをつけてみる 湖東紀子 ホトトギス 201803
やや寒の少し早めの夕餉かな 湖東紀子 ホトトギス 201803
衣擦れと雨の音のみやや寒し 高倉和子 201803
やや寒に檻のライオン猫と化す 稲畑廣太郎 ホトトギス 201810
やや寒むの相寄るやうに日ぐれ雲 北川孝子 京鹿子 201902
やや寒に辿りつきたる思ひかな 稲畑汀子 ホトトギス 201910
定まらぬ陽気やや寒心地よし 稲畑汀子 ホトトギス 201910
やや寒のお昼にうどん茹でてゐる 丑久保勲 やぶれ傘 202101
やや寒の土手歩きけりあかね雲 白石正躬 やぶれ傘 202101
目の覚めて星を仰ぎぬやや寒し 稲畑汀子 ホトトギス 202110
身に添へばやや寒心地よかりけり 稲畑汀子 ホトトギス 202110
やや寒きこと心地よき晴となる 稲畑汀子 ホトトギス 202110
推敲のいいと限らずやや寒し 本田保 春燈 202201
やや寒きことにさへまた臆病に 湯川雅 ホトトギス 202203
やや寒の靴音響くアスファルト 稲畑廣太郎 ホトトギス 202210

 

2023年10月7日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。