山 吹 1   200句

ほろほろと山吹散るか瀧の音   芭蕉

作品
作者
掲載誌
掲載年月
山吹の窓になだるる身延線 松崎鉄之介 199806
山吹の一重の搖るる須磨なりき 中島陽華 199907
山吹の黄金に牛馬童子かな 小菅佳子 199907
気を病める友に山吹盛りかな 坂田和嘉子 京鹿子 199907
山吹は黄を無駄使ひしてをりぬ 加藤真起子 火星 199909
山吹や道往く人にみな会釈 中野辰子 いろり 200007
滝音の谺かへしや濃山吹 鰍澤真佐子 春耕 200007
竹生島巡礼あふれ濃山吹 茂木とみ いろり 200008
葛飾は八重山吹の盛りかな 中川二毫子 夏木立 200008
百穴の粗き岩肌濃山吹 唐沢静男 春耕 200107
上州に病む弟や濃山吹 野澤あき 火星 200107
山吹の葉を叩きたる稲光 中山世一 百鳥 200111
山吹のあさゆふにこの夕べあり 阿部ひろし 酸漿 200205
山吹の繚乱として森明し 増田八重 酸漿 200206
鎌倉や谷戸のいづこも濃山吹 小菅高雪 春耕 200206
山吹や壕の淀みに亀の甲 山田六甲 六花 200206
山吹や直木三十五の墓碑に 平田紀美子 風土 200207
鶏小屋を出で来る十羽濃山吹 川口襄 遠嶺 200207
山吹は籬になだれ人住まず 遠藤匡子 遠嶺 200207
亡き人の席や山吹花を垂れ 家塚洋子 酸漿 200207
一病を得たる山吹いよよ濃し 小林希世子 200207
渓声や山吹の散る岩根径 小山徳夫 遠嶺 200208
遠き日に夢の続くや濃山吹 田中矢水 遠嶺 200208
山吹の一枝が見守る師弟句碑 山越勝美 遠嶺 200208
僧に酒注ぐ山吹八重一重 吉田順子 帆船 200208
山吹の誘ひ上手に鶏さわぐ 柴田朱美 京鹿子 200208
散り敷いて山吹のいろなほたしか 加藤みき 200208
白山吹咲く幼帝にその母に 密門令子 雨月 200209
風も神妙黄金浄土の山吹に 林翔 200306
犬に水呑ます山吹咲くかげに 佐野美智 200306
濃山吹石垣に沿ふ通学路 山田怜子 遠嶺 200307
道灌塚垣の山吹黄を凝らす 大関とし子 築港 200307
山吹に道ふさがれて地蔵堂 藤田八重子 築港 200307
軍勢の声偲ばるる濃山吹 片山茂子 遠嶺 200308
山吹を愛でて茶房の椅子深し 岡山満沙子 遠嶺 200308
白山吹行人一枝乞ひにけり 山岸治子 馬醉木 200309
山吹の適材適所崖にかな 藤原りくを 八千草 200310
山吹の一重口数少なかり 大竹いそみ 200312
仏足に雨水をとどめ濃山吹 橘沙希 月の雫 200404
鍼灸院に僧の出入り濃山吹 松岡映子 帆船 200406
禅寺に雨後の夕日や濃山吹 渡辺周子 雲の峰 200406
山吹の絹の道ゆき忌を修す 鍬形幸子 百鳥 200407
文殊会に供へ山吹咲き満ちぬ 渡辺玄子 酸漿 200407
山吹や里の交番誰もゐず 大西八洲雄 万象 200407
白山吹花寡くも保つ品位 奥村鷹尾 京鹿子 200407
揺れ動く心ありけり濃山吹 飛山ますみ 遠嶺 200407
八重山吹植ゑくれし人既に無や 鈴木ひろ志 草の花 200407
山吹の一枝岩に咲きにけり 橋本光子 酸漿 200408
山吹の黄みどりの黄が飽きさせず 八田木枯 夜さり 200409
山吹や年々に身の軽くなる 須佐薫子 帆船 200505
山吹の咲きたる庭の夜明なり 阿部ひろし 酸漿 200505
鉄しぼる炎のいろや濃山吹 本田俊子 200506
山吹や一重の花に実のつくと 安部里子 あを 200506
農機具に古人のにほひ濃山吹 原島ふじ子 遠嶺 200507
山吹の咲き誇りたる園の土堤 南良太郎 築港 200507
咲きて散る白山吹の庭の奥 中島伊智子 酸漿 200507
魚屋に干物のほされ濃山吹 菊地登紀子 百鳥 200507
山吹や濡縁にある曲り角 小山國雄 百鳥 200507
山吹や昼の鶏鳴短かかり 上林孝子 200507
沖暮れて身ほとりほのと濃山吹 大槻球子 遠嶺 200508
山吹は一重がよろし黄の主張 宮崎左智子 200509
山吹や日の出まへなる庭明り 阿部ひろし 酸漿 200605
石垣を組みて棚田や濃山吹 瀧春一 常念 200606
山吹の黄の風からむ温泉街 伊藤希眸 京鹿子 200606
山吹の水の流を明るくす 福澤乙 酸漿 200606
山吹や松煙墨の乾されある 延広禎一 200606
山吹に名残りの雨か妹の忌 芝宮須磨子 あを 200606
山吹や雨中佇む放牧馬 小林文良 春燈 200607
山吹や昨夜の雨の濁り水 豊谷青峰 春燈 200607
金の山吹列島を北上す 大畑善昭 200607
夕暮の母の呼ぶ声濃山吹 菊地光子 200607
山吹の流れに浸る一枝かな 佐々木よし子 200607
ひそと八重山吹ありし山の径 川崎洋吉 遠嶺 200607
山吹や嶺の城跡へ車輪坂 井内佳代子 遠嶺 200607
白山吹白に徹しぬきっぱりと 上田明子 雨月 200607
山吹の道万葉の歌つづく 宮川みね子 風土 200607
日の中を雨降る貴船濃山吹 小林和子 風土 200607
脇本陣今は旅籠や濃山吹 木暮剛平 万象 200608
道灌像ここも狩衣濃山吹 松木清川 ぐろっけ 200608
白山吹清楚品趣は自ら 山田をがたま 京鹿子 200609
濃山吹日出づる国の片隅に 稲畑廣太郎 ホトトギス 200704
山吹や尋ねたずねて登山道 森理和 あを 200705
山吹の十重に二十重に弥勒仏 神蔵器 風土 200706
人に懲り景に凝りたり濃山吹 小澤克己 遠嶺 200706
さきがけの山吹は神の手触れとも 豊田都峰 京鹿子 200706
道灌にゆかりの小江戸濃山吹 佐々木新 春燈 200707

 祝上梓『うさぎハット』

山吹の一重に触るる加藤みき

延広禎一 200707
山吹や塗り替へられしポンプ井戸 柴田久子 風土 200707
虻せはし八重山吹に鉢合せ 池田かよ ぐろっけ 200707
山吹や名曲生れし駅に立つ 原島ふじ子 遠嶺 200708
木道の赤きリュックや濃山吹 大村真佐子 遠嶺 200708
山吹の象る水子地蔵群 角直指 京鹿子 200709
遠き嶺に雲の一塊濃山吹 波塚照美 200709
堂裏を明るうしたる濃山吹 安原葉 ホトトギス 200710
庭石に白き山吹散り初むる ことり 六花 200805
剣玉に興ず山吹満つる庭 ことり 六花 200805
山吹の城吐の坂を明るくす 福澤乙 酸漿 200806
山吹の日ざし斑や道祖神 田中浅子 200807
山吹の蝶は黄色となりにけり 竹内悦子 200807
山吹が車窓に迫る九十九折 深沢龍三 200807
山吹の十重に二十重にみろくさま 神蔵器 風土 200807
さざ波の沼面彩なす濃山吹 穴澤光江 遠嶺 200807
笛の音の止みし水辺の濃山吹 遠藤和彦 遠嶺 200808
声の良く通り山吹満開に 安田久太朗 遠嶺 200808
山吹や男の子にできし目玉焼 青山悠 200808
山吹の奥に添水の鳴りにけり 本杉千保子 万象 200808
日の色を得て山吹の黄の濃しや 田所洋子 雨月 200808
山吹の一隅照らす寡黙かな 波田野雪女 炎環 200906
山吹や日の匂ひ濃き木のベンチ 柿沼盟子 風土 200906
実をなさぬ故の寂しさ山吹黄 大橋晄 雨月 200906
山吹や子に伝へおくこと一つ 阿部悦子 酸漿 200906
参道はこれより磴に濃山吹 大崎紀夫 やぶれ傘 200906
歌びとの机上に一枝濃山吹 片岡久美子 200907
山吹や崖につながる蔵屋敷 吉沢陽子 200907
川沿ひに咲きなだれたる濃山吹 舩越美喜 京鹿子 200907
不器用なこたへ山吹ほつほつと 村田冨美子 京鹿子 200907
山径を下りし寺の濃山吹 米田正弘 200907
山吹や世間話の果つるなき 中緒和子 酸漿 200907
道標の無骨な文字や濃山吹 佐藤恭子 遠嶺 200908
山吹の吾妻越えて草津まで 小原徳男 遠嶺 200908
江戸時代よりの一重の濃山吹 伊藤敬子 201005
山吹に来る蝶絶えて渓ふかし 小田司 馬醉木 201006
寺苑林白山吹に目を覚ます 阿部ひろし 酸漿 201006
喪ごころに染むる山吹白ひと重 小川玉泉 末黒野 201007
釣殿の巫女の舞みて濃山吹 谷村幸子 201007
一身も過客の身なり濃山吹 奥山絢子 風土 201007
濃山吹養魚場より水は田に 大崎紀夫 やぶれ傘 201007
死に順を神の狂はす濃山吹 荒井千佐代 201007
山吹の咲きて明るし峡の道 羽賀恭子 201007
絵馬堂に古りし大絵馬濃山吹 足立典子 雨月 201007
山吹散るユダのごとくに裏切れば 荒井千佐代 201105
川音へゆたかに垂るる濃山吹 堀田順子 馬醉木 201106
山吹や竜神祭る池の心 橋本貞二 酸漿 201106
つとに目にまっ黄黄の八重山吹 芝宮須磨子 あを 201106
山吹や句会ほこほこ横坐り 須賀敏子 あを 201106
山吹を冠として道祖神 宮田香 201107
山吹の花にたはむれ鯉の群 伊藤憲子 201107
山吹や朝の燭置く屋敷神 山田春生 万象 201107
尼様の会釈に匂ふ白山吹 東野鈴子 雨月 201107
小流れに山吹の黄を流したる 田中春子 雨月 201107
山吹の一重が好きと言ふ子かな 中道愛子 201107
水にほふ土手のなぞへの濃山吹 有賀昌子 やぶれ傘 201108
境内を埋める山吹七重八重 桂敦子 201108
抱き合はずして別れけり濃山吹 平田恵美子 ぐろっけ 201108
みそこなふ八重山吹の返り咲く だいじみどり 201201
阿蘇の山八重山吹に染められて 水野弘 ぐろっけ 201205
なだれ咲く山吹の黄や水禍あと 松本幹雄 馬醉木 201206
山吹の白覚めやすし散りやすし 井上信子 201205
白山吹散るは小指の色かたち 井上信子 201205
山吹や木曽路十一宿場町 小林和子 風土 201206
山吹の咲き川すぢとなりにけり 豊田都峰 京鹿子 201206
かきよせの風は川すぢなる山吹 豊田都峰 京鹿子 201206
山吹のふれゐる里のたつき水 豊田都峰 京鹿子 201206
石畳白山吹の咲きこぼれ 田中藤穂 あを 201206
山吹や一服の茶に憩ふ亭 川井素山 かさね 201207
花園に山吹の色の鮮やかに 菊地崇之 かさね 201207
ありがたう昨日より今日の山吹へ 中下澄江 201207
校庭に日のさし山吹咲きはじめ 芝宮須磨子 あを 201207
校庭の声のあかるし濃山吹 芝宮須磨子 あを 201207
山吹草空壕おほひ尽したる 岡田史女 末黒野 201208
山吹草群れて空壕ふくらめり 岡野里子 末黒野 201208
白山吹はらりと落ちぬ苔の上 前川美智子 末黒野 201208
磐座は雨きてゐたり濃山吹 鷺山珀眉 京鹿子 201208
下る船上る船来る濃山吹 丑久保勲 やぶれ傘 201207
山吹の取り囲みたる石切り場 藤井美晴 やぶれ傘 201207
蓑や笠やと白山吹の散りつづけ 伊藤希眸 京鹿子 201209
夕陽中散りて耀く濃山吹 阿部寒林 あを 201211
山吹や指で辿りし其角の碑 布村松景 春燈 201305
文机に山吹一枝啄木忌 安立公彦 春燈 201306
山吹の花を見つめて満たされり 佐藤健伍 201307
山吹にけふのさびしさすこしあり 丸山佳子 京鹿子 201405
とどまれば此処も水鳴る濃山吹 山尾玉藻 火星 201406
蘂ながき山吹ながむ日永かな 神田恵琳 春燈 201406
八重山吹道灌の名を残す濠 岡本ヨシエ 末黒野 201407
病人の怒り深まる濃山吹 荒井千佐代 201407
山吹や古刹に残る釣瓶井戸 吉田きみえ 末黒野 201407
鍵屋浦八重山吹の風の彩 北村淳子 ろんど 201408
山吹の咲きてありどのはつきりと 今井充子 201408
山吹を手折りて一枝妻の胸 田中繁夫 末黒野 201408
山吹や禰宜の切火の筆供養 鈴木漱玉 馬醉木 201408
山吹や碇の要らぬ太鼓有り 池端英子 ろんど 201408
山吹の水面に零す黄金かな 高木邦雄 末黒野 201408
濃山吹崖に玲羊ちらと見ゆ 福島せいぎ 万象 201408
坐摩神いかすみのかみ白山吹の実を畏 佐藤凉宇子 ろんど 201503
波螂忌や白山吹の返り咲く 安斎久英 末黒野 201503
山吹の白に集まる加須の風 稲畑廣太郎 ホトトギス 201504
遠くに妣か白山吹遠くにか 水野恒彦 201507
武家門に白山吹のほろと散り 米尾芳子 馬醉木 201507
黄山吹御苑の雨を煌めかす 小林昌子 馬醉木 201507
哲学の小径狭めて濃山吹 大石よし子 雨月 201507
せせらぎに影をおとして濃山吹 菊池洋子 やぶれ傘 201508
濃山吹日当りて尚黄を増しぬ 和泉道草 末黒野 201508
一筆の墨に山吹き八重に咲く 岡山敦子 京鹿子 201508
山吹や水口くぐる水のこゑ 大崎紀夫 虻の昼 201510
山吹の十重に二十重にみろくさま 神蔵器 風土 201605
逢瀬なりユダの色なる山吹に 荒井千佐代 201605
山吹や子がていねいに挨拶す 柴田志津子 201605
風の来て黄金浄土や濃山吹 山本右近 万象 201607
山吹や崖の下より川の音 谷口直樹 万象 201607
道灌濠に沿ひ山吹の盛りなり 山本漾子 雨月 201607
山吹 →2      

 

2021年4月29日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。