藪 椿     171句

両方の腕入れて折る藪椿   早野和子   藜

作品
作者
掲載誌
掲載年月
若狭くもり千の眼の薮椿 青野敦子 きりん 199805
薮椿岩に彫られし里地蔵 山田京子 俳句通信 199904
薮椿落ちひきしまる籬かな 福間慶子 俳句通信 199904
一日を陽を見ぬ谷戸の藪椿 鈴木卓 風土 199905
鎌倉に扇谷や藪椿 山路紀子 風土 199906
藪椿かがやく電車停まるたび 小島みつ代 199906
薮椿白装束壱仟壱人が通る 中村ヨシオ 海程 199908
城垣の石の番号藪椿 大塚禎子 春耕 200005
歳月の過ぐるがままの藪椿 戸田春月 火星 200006
咲き継ぎて色おとろへず藪椿 八田與四郎 酸漿 200007
五十石の蜂須賀弘法藪椿 鵜飼紫生 雨月 200010
藪椿佐渡人足の墓地にかな 吉岡久江 火星 200010
お妃の墓ともみえず藪椿 勝野薫 ぐろっけ 200102
淡雪をほんのり被ぎ藪椿 纐纈千鶴子 百鳥 200106
藪椿恋の籤か結ひてあり 中根美保 風土 200106
いにしへの土塀の残る藪椿 杉浦富士子 遠嶺 200107
藪椿真盛りにして翳深し 河野美奇 ホトトギス 200108
紅ほのと見えて隠れて藪椿 稲畑汀子 ホトトギス 200203
灯台のまとふ夕焼藪椿 松村富子 200203
藪椿濃くて貝塚深眠り 湯橋喜美 200204
日に沸いて安房のなぞへの藪椿 廣島泰三 200205
城山の闇より出でし藪椿 藤倉冬陽 風土 200205
藪椿咲くも落つるも鮮かに 坂井和子 酸漿 200205
藪椿日陰の径に意を通す 佐藤なか 遠嶺 200205
風少しみどりの中の藪椿 池崎るり子 六花 200205
藪椿花より紅く落ちにけり 桑田眞佐子 火星 200206
落ちてこそ命華やぐ薮椿 中村和江 ぐろっけ 200206
僧堂の高さに揺れし藪椿 坊城中子 ホトトギス 200207
江戸図絵の麻布赤坂藪椿 高野良 帆船 200208
午後からの雲の片寄り藪椿 田中子 円虹 200306
浦賀水道覗く足下に藪椿 須賀遊子 200306
水音の鼓打ちいる藪椿 延川五十昭 六花 200307
藪椿火の色抱きて活けらるる 閑田梅月 馬醉木 200307
濤しぶきかぶる石段藪椿 白井墨絵 遠嶺 200307
藪椿亀の口より水を汲む 延川五十昭 六花 200307
鵯の声日に日に長く藪椿 岩瀬満里子 草の花 200403
藪椿藪の外なること知らず 板倉幸子 築港 200404
藪椿公園で食器洗ふ人 森理和 あを 200404
古戦場の血の色知るか藪椿 大畠政子 雨月 200405
藪椿ほつほつ安房の磯明かり 廣島泰三 200405
藪椿裸灯二つの轆轤小屋 秀島みよ子 栴檀 200405
島裏に淡水の淵やぶ椿 風間史子 200405
喪籠りの垣に咲き継ぐ藪椿 大野公子 栴檀 200406
藪椿七盛塚の天蓋と 川上恵子 雨月 200406
藪椿抜け補陀落の岬鼻 曷川克 遠嶺 200407
開き切るまで待てぬ鳥藪椿 稲畑汀子 ホトトギス 200503
藪椿水平線に沈む船 森理和 あを 200504
多聞院坂くれなゐ散らす藪椿 布施まさ子 風土 200505
どの道も海へ通へり藪椿 浜福恵 風土 200505
濃き色の奥になほ濃く藪椿 荒木甫 200505
点々と紅や磯馴そなれの藪椿 浜福恵 風土 200505
藪椿寺百選の水秘むる 寺岡ひろし 雨月 200506
藪椿踏みて脇社を詣でけり コ田千鶴子 馬醉木 200506
来し方に紅二つ三つ薮椿 西田弘 築港 200506
廃村となるとも存す藪椿 村越化石 200506
薮椿羅漢百想百行よ 三河晃 築港 200507
雑木山深く入り来て薮椿 福田千代子 築港 200507
藪椿縄文遺跡は虚ろにて 福山至遊 200508
せつせつと雪を雫に藪椿 永田二三子 酸漿 200604
薮椿色あまたなる下田宿 赤座典子 あを 200604
藪椿水音高き峡の川 久保田ヤスエ 酸漿 200605
藪椿止むことのなき水の音 飯島かほる 対岸 200605
幼き日かよひし道や藪椿 松元末則 酸漿 200605
家絶えしも藪椿咲く墓残る 須原正三 200605
藪椿こぼれ落ちたる小さき嘘 芝尚子 あを 200605
藪椿目立たずに咲き目立ちけり 稲畑汀子 ホトトギス 200703
鵯二羽の入りて静かに藪椿 森理和 あを 200704
磯山や入日が焼いて薮椿 木内美保子 六花 200704
藪椿松の廊下の跡にかな 山本喜朗 雨月 200705
藪椿咲きあふれたる停留所 池田光子 200705
藪椿ひしめきあひて自己主張 和田政子 200705
藪椿ひとつ咲いてはひとつ落ち 石上宗花 200705
忙しなく動く影あり藪椿 いしだゆか 遠嶺 200705
バス停を赤く灯して藪椿 池田光子 200705
午後の日のやはらかくあり藪椿 代田青鳥 風土 200706
首洗ふ小さき井戸よ藪椿 東福寺碧水 万象 200706
試歩二千歩藪椿咲く道を行く 御橋忠一 200804
落ちてなほひかりまぶしむ藪椿 渡部志津子 200805
小振りなる花が情や藪椿 片山喜久子 雨月 200805
御社紋は三つ足烏藪椿 渡邉孝彦 やぶれ傘 200806
となりたる病者のおなら藪椿 荒井和昭 200806
藪椿やうやう咲きし花二輪 中緒和子 酸漿 200806
ま白なる館を包む藪つばき 羽賀恭子 200806
やぶつばき一輪活けし応接間 浅井青陽子 ホトトギス 200806
げんげんと言言とある藪椿 佐藤喜孝 あを 200901
隠れ地のどれも小ぶりの藪椿 柿本麗子 200902
島聖堂の鍵穴太し藪椿 柿本麗子 200903
海の日も風もまともに藪椿 大坪景章 火星 200904
墓碑のみな海向く知多の薮椿 落合晃 200904
人の手のはいらぬところ藪椿 中緒和子 酸漿 200905
藪椿老いて輪投げの和の中に 岡野ひろ子 200905
藪椿万葉人にわれにかな 浅野洋子 春燈 200905
水音へ近づく山路藪椿 永島雅子 春燈 200906
藪椿瓦は雨にぬれながら 藤井美晴 やぶれ傘 200906
藪椿縁より錆びつ紅増せり 高橋道子 200906
一休の鉄鉢寂ぶる藪椿 金原登志子 馬醉木 200906
藪椿小花なれども目に強し 澤浦緑 ぐろっけ 200907
百ふふみ百咲きそめし藪椿 戸田春月 火星 200907
咲いて落つそれだけのこと藪椿 小嶋恵美 春燈 200907
岬まで藪椿の路伝ひゆく 久永つう 六花 200909
生き抜きて余生に力藪椿 松葉よし江 201005
岸壁に砕くる波や藪椿 河瀬俊彦 遠嶺 201005
瞑想へ誘ふ海や藪椿 河瀬俊彦 遠嶺 201005
水銹みさび浮くよどみに落ちて藪椿 藤井美晴 やぶれ傘 201006
崖道の果ては大海藪椿 松本三千夫 末黒野 201006
飛ぶ鳥のこゑは高みに藪椿 有本惠美子 ろんど 201006
在りし日の医院の跡の薮椿 池田光子 201006
「一字庵」の霰こぼしや藪椿 小幡喜世子 ろんど 201105
水軍の胴塚護る藪つばき 塩路隆子 201106
箱根路の空深く咲き藪椿 外川玲子 風土 201107
藪椿数で埋めきれざる愁ひ 湯川雅 ホトトギス 201108
急流へためらはず落つ藪椿 吉永すみれ 風土 201112
藪椿海光に葉を重ね合ひ 村上絢子 馬醉木 201205
蜜を吸ふ野鳥にゆるるやぶ椿 川井素山 かさね 201205
北限の藪椿とふ急かずゆく 中村恭子 201205
藪椿採石場に発破鳴る 藤井美晴 やぶれ傘 201206
薮椿採石場に発破鳴る 藤井美晴 やぶれ傘 201206
また一つ栗鼠吸ひ落とす藪椿 安永圭子 風土 201206
やぶ椿元気いっぱい落ちにけり 大日向幸江 あを 201206
椿園花高く咲く藪椿 田島昭久 かさね 201207
切岸の鵜の吹かれをり藪椿 岡野里子 末黒野 201207
小菊橋暗渠のうえの藪椿 佐藤喜仙 かさね 201208
藪椿雪椿とや故郷遠し 加藤千津 ろんど 201208
やぶ椿赤心の紅深くして 樺山翠 雨月 201305
金剛山の風の冷たき藪椿 根本ひろ子 火星 201306
小流れを追ひつ追はれつ藪椿 福本すみ子 201306
藪椿やぶのおほかた花まみる 深澤鱶 火星 201306
一本に花満ち満ちて藪椿 蒲田豊彦 雨月 201306
藪椿垣間見へたる浄土かな 前田美恵子 201405
通りしは郵便夫のみ藪椿 小川凉 201406
禅寺へ突き当たる路地藪椿 松本三千夫 末黒野 201407
南蛮の小壺親しき藪椿 呉屋菜々 万象 201407
池に落つなほ盛んなり藪椿 溝渕弘志 六花 201506
餌を探す鵯の動きや藪椿 高橋光民 末黒野 201506
藪椿落ちて地上の火となりぬ 杉本薬王子 風土 201507
殉教の島をおほへり藪椿 原田達夫 箱火鉢 201511
藪椿おもたきまでの眠さかな 畑佳与 京鹿子 201601
藪椿おもたきまでの眠さかな 畑佳与 京鹿子 201601
赤と白堰で押し合ふ藪椿 谷口直樹 万象 201606
藪椿咲くも落つるも人知れず 松田泰子 末黒野 201607
村中に風の抜け道藪椿 玉置かよ子 雨月 201705
藪椿波路はるかに渡海せむ 加藤みき 201705
日蔭れば日蔭のいろの藪椿 中川句寿夫 ここのもん 201705
潮風の吹きあぐる崖藪椿 伊藤美音子 万象 201705
藪椿色褪せてゐる仁王像 廣畑育子 六花 201705
藪椿絵筆洗ひし水の色 菅谷たけし 201705
水音の山かけ下り藪椿 黒滝志麻子 末黒野 201705
海に向く藩士の墓や藪椿 福田禎子 末黒野 201705
藪椿四百本の見頃かな 嶋崎豊子 雨月 201706
灯台へ辿る山路や藪椿 本間せつ子 末黒野 201706
薮椿落つわたくしでゐるために 井上菜摘子 京鹿子 201707
藪椿小角の走る下駄の音 庄司久美子 201805
流れゆく小川をはやめ薮椿 高野昌代 201805
島裏は海へ崩れて藪椿 青谷小枝 やぶれ傘 201805
庭にある燈籠ひとつ藪椿 佐藤稲子 やぶれ傘 201806
藪椿駆込み寺と聞きゐしが 土井ゆう子 風土 202007
印南野の水琴窟や藪椿 延川五十昭 六花 202007
地に着いて支離滅裂に藪椿 平居澪子 六花 202007
相寄りて日蔭は淋し藪椿 高村令子 風土 202007
不条理から抜け出すを得ず藪椿 井上正子 春燈 202105
庭隅の赤き祠や藪椿 滋野暁 末黒野 202105
藪椿の心惹かれる白さかな 亀岡睦子 やぶれ傘 202105
空晴れて島の荒波藪椿 佐藤まさ子 春燈 202106
小流れに火色を落とし藪椿 岡野里子 末黒野 202107
藪椿ぽとりぽとりと無縁塚 喜田君江 末黒野 202205
間欠泉の硫黄微かや藪椿 平田きみ 末黒野 202205
薄ら日にすがりて満ちぬ藪椿 森清信子 やぶれ傘 202207
藪椿藪の暗さを脱いで落つ 湖東紀子 ホトトギス 202308
キジバトがちよこちよこと来る藪椿 渡邊孝彦 やぶれ傘 202308

 

2015年3月15日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。

 
15/03/15