藁 塚   112句

藁塚に一つの強き棒挿さる    平畑静塔

作品
作者
掲載誌
掲載年月
法隆寺までの一キロ藁塚の立つ
神蔵器
風土
199812
散開のごと藁塚立つや南部領
大場燈児
風土
199911
捨猫をそつと返せし藁塚の上
石山恵子
遠嶺
200002
冬落暉敗残の藁塚閲兵す
竹貫示虹
京鹿子
200004
藁塚の薫香しく雪晴れぬ
三宅句生
馬醉木
200005
さういへば傾ぎし藁塚の裏へ廻り
中原道夫
銀化
200011
夕明り川を境に藁塚と稲架
二神節子
200101
藁塚のどつかと坐る大日向
笠間圭子
京鹿子
200102
藁塚の影のふくらみ日脚伸ぶ
鈴木とおる
風土
200104
藁塚は母の温もりかくれんぼ
川副民子
船団
200105
ふる里や肩寄せ合ひて藁塚いくつ
石渡芳枝
200112
あきらかにすぐそこに藁塚月の下
山西雅子
200112
藁塚の産力うみぢからもて逝きにけり
男波弘志
200112
向きむきの藁塚に雨降る丹波かな
岡和絵
火星
200201
藁塚や鳥鳴き移る大欅
柳堀喜久江
春耕
200201
山懐の藁塚だんだん撫で肩に
吉武千束
200202
藁塚の型かはらざる家郷かな
大串章
百鳥
200202
藁塚の一つ一つに影伸びる
森田子月
ぐろっけ
200202
大棚田藁塚と案山子の陣取りめく
木上よし
200212
音のしてをり藁塚のうしろがは
木下野生
200301
来し方を思ひ凭れる藁塚温し
木内美保子
六花
200301
藁塚を過ぎしあたりの湖辺かな
北島美都里
200302
藁塚に耳当てればこもる波の音
前田青紀
馬醉木
200303
藁塚を組み一枚の田を労ふ
松本鷹根
京鹿子
200303
狸藁塚向き向き月の磐余道
江頭文子
雨月
200304
藁塚の藁吹き飛ばす疾風かな
平岡千代子
百鳥
200304
藁塚に凭れてをれば泣けてくる
伊藤廸代
ぐろっけ
200305
藁塚や天まで煙伸びてをり
あさなが捷
200312
子の去りし藁塚にある日のぬくみ
戸木下節子
雲の峰
200401
藁塚の乳首そこここおのころ島
品川鈴子
ぐろっけ
200401
藁塚(にお)に火を付け稲むらの火祭は
田中嘉代子
ぐろっけ
200401
蛍田の春田に傾ぐ藁塚三つ
鈴木とおる
風土
200406
藁塚に佇む老の案山子めく
小石秀子
酸漿
200406
もどかしきかたちよ藁塚のどれも
戸田和子
200501
藁塚の心棒立てり嬥歌跡
篠田たもつ
対岸
200501
藁塚を住処の鼬顔出せる
赤松丹山
雨月
200502
藁塚の上に大きな冬帽子
丸山敏幸
200502
藁塚の個々に傾ぎて孤のかげり
久保久子
春燈
200502
凧上ぐる子の藁塚を寄り処なる
村越化石
200503
藁塚の棒に鴉の来て止まる
渡辺正子
百鳥
200503
藁塚の杭の踏ん張り風慣らす
松本鷹根
京鹿子
200503
藁塚やさつまの奥の山の寺
九万田一海
河鹿
200504
並走す山河も雲も藁塚も
山口奈代
河鹿
200505
人よりも高き藁塚ばかりなり
今瀬剛一
対岸
200510
藁塚がうれし日向へ廻りけり
藤本鷹山
百鳥
200601
のほほんと藁塚にお眠りけり遠火山
淵脇護
河鹿
200602
藁塚の厚きひかりを天に敷く
八田木枯
晩紅
200606
踏み入りて藁塚の香の合掌家
望月晴美
200612
藁塚の片側染むる夕日かな
滝澤秀克
遠嶺
200702
藁塚の高さを競ふこともなし
高橋将夫
200712
藁塚や夜汽車のやうに風の過ぐ
清水晃子
遠嶺
200801
藁塚の律儀に並ぶ秩父かな
田中喜美子
200801
藁塚の日数の疲れ見えてきし
丸尾和子
雨月
200801
藁塚の香をすぎ一の大鳥居
堀江惠子
200801
藁塚は子らの日時計夕がらす
本間羊山
風土
200802
山影の及びて藁塚の遠くなり
煙山郷子
200804
藁塚に全体重を委ねをる
高橋将夫
200811
濡れそぼつ藁塚の早色失せる
赤座典子
あを
200811
藁塚や旧なべて土角建て
廖運藩
春燈
200812
藁塚や身よりも心あたたまる
瀧春一
深林
200901
藁塚は一歩も出でず影法師
沼田巴字
京鹿子
200902
野辺の川沿ひに藁塚並び立つ
渡邉孝彦
やぶれ傘
200903
でんでら野藁塚にも後姿かな
渡部節郎
転舵の渦
200911
陽当たりの良き藁塚に猫捨てる
三浦如水
はらから
200911
藁塚のいま様なりしコンバイン
山口キミコ
200912
藁塚に風とどまりて耀へる
中野京子
201001
夕暮の藁塚集落のごとくあり
山口ひろよ
201001
潭身の力をこめて藁塚を組む
水谷靖
雨月
201002
藁塚へきてにこにこと年をとる
井上菜摘子
京鹿子
201003
藁塚の合掌立ちでありしかな
佐久間由子
201010
藁塚に日のぬくもりや十三夜
小川玉泉
末黒野
201101
藁塚にしづくのひかる夜明けかな
廣瀬雅男
やぶれ傘
201101
鈍いろの藁塚けものめく越路かな
奥田順子
火星
201102
藁塚や転げる子等の泥まみれ
山崎稔子
末黒野
201102
藁塚に鬼の足見えかくれんぼ 松田とよ子 201112
円錐の藁塚アート夕日影 山口キミコ 201201
いつ迄も朽ちる事なきモネの藁塚 岩月優美子 201201
藁塚やオカリナの音の風になる 松木ひろ ろんど 201201
藁塚に添ひて花嫁導かれ 工藤節朗 201201
藁塚の日暮は桶となりて佇つ 高野春子 京鹿子 201202
藁塚に背中を預けにぎり飯 辻井ミナミ 末黒野 201202
藁塚や黄昏さそふ鳶の笛 饗庭悳子 末黒野 201202
鬼来ると霜の藁塚させる母 山田六甲 六花 201202
藁塚の各々分相応の高さ 定梶じょう あを 201212
ローカル線藁塚立つ郷の閑かなる 川崎利子 201301
隠れん坊潜れる藁塚に夕陽の香 山本孝夫 201301
雲一つほどの重さの藁塚並ぶ 中野京子 201301
藁塚三つ並んで日暮れは山より来 豊田都峰 京鹿子 201301
新しき藁塚並ぶ画帳かな 鈴木阿久 201312
藁塚の積みしばかりに来る鴉 松本恒子 ぐろっけ 201401
山里に藁塚小さし百枚田 間島あきら 風土 201401
藁塚とひとつとなりてかくれんぼ 松岡和子 201401
藁塚のドガの踊り子めく甲斐路 布施由岐子 末黒野 201402
藁塚の影のをさなき奈良日和 浅田光代 風土 201402
うすら日に雀の遊ぶ飛騨の藁塚 豊田高子 万象 201402
御饌の田の藁塚正座してをりぬ 平居澪子 六花 201402
藁塚の一つひとつの影伸びて 蒲田豊彦 雨月 201402
一望黄に祈りに似たる千の藁塚 堀内一郎 堀内一郎集 201412
常しへの大胡坐なり陸奥の藁塚 山口ひろよ 201501
夜干藁塚太古の風に鳴りゐたり 浅井青二 雨月 201501
行合の藁塚より暮るる丹後かな 大山文子 火星 201501
終電や藁塚いくつ車窓過ぐ 定梶じょう あを 201501
藁塚の日差しに混じり風の音 小川玉泉 末黒野 201502
藁塚に日ざし積まれてゐたりけり 箕輪カオル 201502
小糠雨話しかけたき藁塚ならぶ 工藤義夫 馬醉木 201601
記紀よりの吉備はまほろば藁塚を組む 和田照海 京鹿子 201603
はじめから傾ぐ藁塚にて候 伊藤白潮 201710
藁塚のひとつ置かれてありにけり 田中美恵子 201710
日もすがら藁塚の曳く影吹かる 深川淑枝 201801
藁塚の寄り合ふごとく置かれたる 河原敬子 201804
藁塚の日向で三時間眠る 大崎紀夫 やぶれ傘 201901
不揃ひに藁塚並べられ鳰のこゑ 渡邉孝彦 やぶれ傘 201901
藁塚や諏訪に縄文住居跡 岡村彩里 雨月 201902
藁塚の端のひとつが秘密基地 永淵恵子 201905
三脚の藁塚百基黄昏るる 藤生不二男 六花 202001
藁塚に雨の重たさ見えてをり 城戸ひろみ 雨月 202002
藁塚の影がうとうとしてゐたる 原友子 202006
藁塚ならぶ笠子地蔵のかたちして 中根美保 風土 202012
藁塚のくづれ日差しを含みつつ 須賀ゆかり 202302

 

2023年10月27日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。