病 葉  181句

わくら葉の灯にあらはなるいとひかな   富田木歩 定本木歩句集

作品
作者
掲載誌
掲載年月
病葉散る飲むをためらふ抗癌剤 三浦勲 199808
予科練の桜並木の病葉よ 鷹羽狩行 199812
病葉と同じ病ひの豚死あり 柴田いさを 船団 199812
森抜けてゆく病葉を踏みしより 稲畑汀子 ホトトギス 199907
万緑に堪へざる病葉と思ふ 岡本眸 199907
病葉も景とし記念館の庭 稲畑廣太郎 ホトトギス 199908
うらがへすこともしてゐるわくら葉を 豊田都峰 京鹿子 199909
わくら葉やラッシュに間ある跨線橋 岡本眸 199909
病葉に艶なる色のありにけり 山田弘子 円虹 199909
病葉といはれゐる葉の裏表 後藤比奈夫 ホトトギス 199911
霊山の咎の病葉かも知れず 長沼三津夫 199911
病葉やロケ立廻りくりかへす 吉田すばる 京鹿子 199912
遠くより少年の声病葉落つ 小枝恵美子 船団 199912
病葉やむかしに触れぬ風のおと 鈴鹿百合子 京鹿子 200001
わくら葉や落城に燃ゆ五代の記 豊田都峰 京鹿子 200007
病葉や首筋だけに日が当る 松山律子 六花 200008
病葉や一生涯の途中です 松山律子 六花 200008
病葉の一枚何で卓にある 波田美智子 火星 200009
わくら葉や地獄の沙汰の記事ばかり 岡本眸 200010
休み窯釉薬の蓋に病葉散る 上野正子 200010
病葉の乾ききったる音を踏む 大橋宵火 雨月 200011
病葉をかけて眠れや末枯蟲 中原道夫 銀化 200011
公園の病葉の渦紐育 奥田筆子 京鹿子 200106
病葉や虚子の顕彰正さねば 稲畑廣太郎 ホトトギス 200108
病葉や大川端の風孕み 稲畑廣太郎 ホトトギス 200108
病葉や裏口いつも開けておく 山口伸 海程 200108
病葉や屋外授業の子どもたち 加藤みき 200108
わくら葉や財閥墓所の童子の碑 松本米子 あを 200109
病葉の一枚二枚裏通り 池本嘉代 春耕 200110
病葉や水すれすれに流れゆき 河合笑子 あを 200201
病葉に風の素通りしてをりぬ 稲畑廣太郎 ホトトギス 200207
病葉や井戸蓋堅くガラシャの井 西田もとつぐ 雲の峰 200208
病葉のみどりに戻る術もなき 橋田憲明 円虹 200209
病葉の美しければ波さらふ 鷹羽狩行 200209
掃き寄せし病葉にまだ青きもの 田渕匡子 200209
病葉や『アルゼンチンは泣かないで』 松山律子 六花 200209
石垣に病葉挾み孤りの刻 岡本眸 200209
わくら葉や母ふところの地に還る 小野寺節子 風土 200210
病葉の落ちてはじまるぽるとがる 木山杏理 京鹿子 200210
さざ波や病葉の紅さえざえと 中島恭子 百鳥 200210
病葉を拾ひて画布に乗せてをり 高安勝三 遠嶺 200212
星空に降る病葉のうらおもて 小野寺節子 風土 200304
病葉を払ひ茂木家の墓地を掃く 茂木妙子 雲の峯 200307
病葉やいろを消したる濁り川 水野恒彦 200309
日雇ひのさらふ病葉せせらぎに 品川鈴子 ぐろっけ 200309
病葉の赤を拾ひて髪に挿す 芝宮須磨子 あを 200310
生返事して病葉を取つてをり 大島黎子 築港 200310
わくら葉の一枚といふ数を焼く 岡本眸 200408
わくら葉の焚かれて炎上げにけり 岡本眸 200408
病葉といへぬ瑞々しさを置く 稲畑汀子 ホトトギス 200408
病葉の妖しき色に見惚れけり 林翔 200408
いちまいの病葉舞へる露伴の忌 久保一岩 京鹿子 200409
病葉の吹きたまりたる地の窪み 谷榮子 雨月 200409
日翳りの病葉踏んで太宰の忌 大野信子 草の花 200409
病葉の舞ひつゝいのち終へにけり 前迫寛子 河鹿 200411
病葉やおもひしことを思ひゐる 豊田都峰 京鹿子 200411
病葉の落ちこむ水の堰かれけり 十文字慶子 200411
病葉や生くるかぎりは働いて 生方ふよう 200411
病葉に紅のつのれりマリアの辺 荒井千佐代 200501
病葉や金の装飾神仏 寺門丈明 あを 200508
もうひとつ病葉舞へば座を立たん 豊田都峰 京鹿子 200509
病葉に添ひて若葉の流れゆく 河合大拙 百鳥 200510
病葉の短編ドラマ朱に涯てり 山元志津香 八千草 200511
病葉や病める色にもある仕上げ 湯川雅 ホトトギス 200601
病葉を風の掃き寄す道祖神 工藤ミネ子 風土 200601
降りしきる枯葉病葉戦跡 吉田王里 風土 200605
病葉の降りそのいろに河流る 瀧春一 常念 200606
孤松ひとつまつ病葉赤く美しき 瀧春一 常念 200606
病葉も一景として親子句碑 稲畑廣太郎 ホトトギス 200607
病葉に空の透けゆく一とところ 稲畑廣太郎 ホトトギス 200607
病葉に森の吐息を整へり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200607
病葉の吹き寄せらるるひとところ 稲畑汀子 ホトトギス 200608
病葉や林檎の紅に艶々と 赤座典子 あを 200608
今落ちしわくら葉朱き裏表 生方ふよう 200610
病葉やメールの返事かへり来ず 宿谷晃弘 200611
病葉の水口の辺に回りをり 岩間冴子 200611
病葉を看取のごとく拾ふ人 稲畑廣太郎 ホトトギス 200702
水打つて萩の病葉ながれ出づ 瀧春一 200706
わくら葉の遠ひびきして昼の杜 豊田都峰 京鹿子 200708
病葉をあやす尼僧のきざみ足 小野寺節子 風土 200708
病葉の一つは蝶のごとく舞ひ 飛高隆夫 万象 200709
ゆらり見ゆ櫨の病葉くれないに 岡野峯代 ぐろっけ 200709
病葉の落つべく落ちて紅かりし 生方ふよう 200709
病葉や友禅ながす水の上 梶浦玲良子 六花 200711
病葉に渾身の色見えにけり 生方ふよう 200711
湧き水の病葉くるくる癒しおり 藤原りくを 八千草 200712
病葉の一葉遠くに落ちにけり 奥山絢子 風土 200801
わくら葉や髪養ふに小暇なし 岡本眸 200806
病葉の風ありて落ち無くて落つ 水谷靖 雨月 200807
拾ひたる山の病葉山の音 稲畑汀子 ホトトギス 200808
一枚の病葉の旅物語 稲畑汀子 ホトトギス 200808
病葉を渦に浮かばせ河流る 吉沢陽子 200808
からみあひ病葉降れりなまこ壁 徳丸峻二 風土 200810
病葉の美しければ拾ひけり 中島伊智子 酸漿 200810
鮮やかな病葉宗吾父子の廟 大坪景章 万象 200812
病葉や歓楽街に一人酌む 松嶋一洋 200910
病葉をもつとも散らす桜かな 飛高隆夫 万象 200910
病葉の一葉の散りて音もなし 近藤てるよ 酸漿 200910
病葉の枝切りたれば蜂の刺す 小塩世津 200910
病葉として美しく秋迎ふ 大坪景章 万象 200912
病葉の夕べの肩をうつ林道 豊田都峰 土の唄 201002
病葉に風の余韻を乗せて掃く 稲畑廣太郎 ホトトギス 201008
病葉の張りついてゐる陶の椅子 根本ひろ子 火星 201008
病葉が小鳥のやうに地を舞うて 芝宮須磨子 あを 201010
剥落とおもふ病葉一二片 布川直幸 201107
病葉や東南アジアの経済論 長谷川鮎 ぐろっけ 201107
病葉や眞昼の夢にまぎれきて 水野恒彦 201108
病葉の緋を巻き込んで鯉の渦 荒井千佐代 201109
わくら葉の降りつぎ白峰山晴れず 豊田都峰 京鹿子 201007
わくら葉を集めて土に帰しけり 四條進 201007
わくら葉の一枚底に外湯かな 山本久江 201110
散華拾へぬ人に病葉降りかかる 篠田純子 あを 201110
病葉の一枝を離れゆく早さ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201208
夫の背に病葉ひとつ風立ちぬ 神田恵琳 春燈 201208
退院の庭に病葉夥し 品川鈴子 ぐろっけ 201208
病葉を乗せ白川の水はやし 山本耀子 火星 201208
病葉に放下のこころありにけり 犬塚李里子 201209
遊女墓病葉はりつく小さき石 福田かよ子 ぐろっけ 201209
病葉や貸して帰らぬ初版本 塩田博久 風土 201210
紅色の病葉文書館裏に 瀬島洒望 やぶれ傘 201210
橡の樹に病葉見ゆるひとところ 安藤久美子 やぶれ傘 201211
滝水に病葉ひとつ貼りつけり 大坪あきら 万象 201211
病葉がヴィオロンの音発したり 水野恒彦 夢寐 201306
病葉の掃かれ公園目覚めゆく 稲畑廣太郎 ホトトギス 201307
病葉も彩りとして名苑に 稲畑廣太郎 ホトトギス 201307
雨に耐へ風にたへ病葉となる 稲畑廣太郎 ホトトギス 201307
日に透けて嵯峨の病葉写経の間 福島せいぎ 万象 201310
病葉の自在や秋の休院日 大坪景章 万象 201311
病葉や何を語らむ城の杜 小野寺節子 風土 201312
病葉に抱かれ眠る団子虫 石塚清文 やぶれ傘 201312
病葉や仕上るといふ哀しさに 湯川雅 ホトトギス 201401
病葉や指紋剥離といふ次第 鈴鹿けい子 京鹿子 201407
病葉の落ち継ぐ森にゐてしづか 稲畑汀子 ホトトギス 201408
病葉にわづかの緑残りけり 出口誠 六花 201408
浪音に病葉さほど遠からず 梶浦玲良子 六花 201409
影添へり病葉の地に至る時 當間シズ 万象 201411
病葉を許さぬ庭の静寂かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201507
坑道は闇埋めつづけ病葉降る 豊田都峰 京鹿子 201507
断食の始まる月や病葉散る 卯辰美苗 万象 201510
病葉の明るさ 戦洞窟 いくさがま の前 當間シズ 万象 201510
病葉の地につくまでをゆるやかに 工藤ミネ子 風土 201510
山毛欅大樹風に病葉散る日かな 熊岡俊子 雨月 201510
病葉やただの石とも仏とも 加藤静江 末黒野 201511
病葉や石のベンチに日はあたり 天野美登里 やぶれ傘 201610
病葉拾ふ晩学の広き門 鈴鹿呂仁 京鹿子 201709
病葉の落ちつぐ川面桜桃忌 清水節子 馬醉木 201709
禅寺に拾ふ病葉瀬に乗せし 村田あを衣 京鹿子 201710
うつし世の名残り病葉反りゐたる 村田あを衣 京鹿子 201710
病葉の無音に散りて南禅寺 城戸ひろみ 雨月 201710
病葉やドラマ後編につづく 井尻妙子 京鹿子 201711
病葉をすべりさうなる古法華 山田六甲 六花 201809
病葉のしばらく流れ沈みけり 佐津のぼる 六花 201809
病葉の降る其に雀一羽かな 長崎桂子 あを 201809
歩を止めて拾ふ病葉栞にと 河口知重 末黒野 201812
病葉落ち広がり止まぬ水輪かな 有松洋子 201908
病葉や黙を深むる切通し 加藤静江 末黒野 201911
病葉に一筋の陽の当たりをる 中西厚子 201911
病葉のなかなか散らぬ朝の杜 中西厚子 201912
病葉や水に写りてうつくしき 高橋将夫 202007
故郷の病葉なれば栞りたく 稲畑廣太郎 ホトトギス 202008
病葉に海の落暉の照り返す 竹中一花 202008
病葉のするりと渦へ引かれけり 小倉征子 202009
病葉や転がつてくる団子虫 江見巌 六花 202009
病葉のたゆたふ水面平家池 斉藤マキ子 末黒野 202009
病葉のはらりと落ちる目の前に 大内幸子 六花 202011
病葉の目立つ桜の影うすし 山口郁子 末黒野 202011
病葉も彩りとして館の庭 稲畑廣太郎 ホトトギス 202107
病葉の翻る時山動く 稲畑廣太郎 ホトトギス 202107
病葉に風は力み抜いてをり 稲畑廣太郎 ホトトギス 202108
切り株の太きに病葉のひとつ 加倉井たけ子 202109
いろはにほ病葉落ちる音を詠む 植村蘇星 京鹿子 202110
病葉も寂となりたる毛利邸 中島三喜子 京鹿子 202210

 

2023年6月26日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

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