若 菜   146句

若菜摘む庵の廻り一巡る    伊万里梅城

作品
作者
掲載誌
掲載年月
大富士の裾を押さへて若菜籠 鷹羽狩行 199902
若菜摘む晶子の愛でし染野の道 大橋敦子 雨月 199902
子が星の話をしたり若菜粥 小澤克己 遠嶺 199902
秩父より届く霜被し若菜籠 小林俊彦 春耕 199903
一岳の日差したしかに若菜粥 小澤克己 遠嶺 199904
名水に育つ若菜と白ご飯 梁瀬照恵 ぐろっけ 199904
若菜野に出て風筋に影を置く 小澤克己 遠嶺 199905
どれがあのペンペン草や若菜粥 武井康隆 船団 199906
華やぎの日差し加へて若菜粥 小澤克己 遠嶺 200004
人の世をつなぐ水音若菜摘む 穴澤光江 遠嶺 200005
若菜つむ大宮人の摘みし野に 森脇恵香 俳句通信 200103
二上山の山坂にをり若菜摘 城孝子 火星 200103
若菜摘む風に窪みし籠のもの 城孝子 火星 200104
若菜野やふるさとの山一つ見ゆ 小宮山勇 遠嶺 200104
九十路過ぎたる母や若菜籠 環順子 遠嶺 200104
寸に足らざるものばかり若菜籠 杢子安子 200105
遠嶺へとひとつ礼して若菜粥 小澤克己 遠嶺 200105
若菜摘空いちまいのひろがりに 宇都宮滴水 京鹿子 200202
伊吹嶺の裾うつくしき若菜摘 鷹羽狩行 200202
若菜摘二上山を覚ましけり 城孝子 火星 200203
こころざし高嶺にすゑて若菜摘 小澤克己 遠嶺 200204
若菜摘む富嶽の風をからませて 小宮山勇 遠嶺 200204
まぼろしの白馬嘶く若菜摘み 清水明子 遠嶺 200205
山容の四方やはらかし若菜の野 小澤克己 遠嶺 200210
若菜摘むたびに根付の鈴さやぐ 品川鈴子 ぐろっけ 200302
名水のあふれむばかり若菜摘む 鈴木とし子 遠嶺 200304
陽の匂ひ肩に受けつつ若菜摘 小牧喜美子 遠嶺 200304
若菜摘む国生みの島真向かひに 深川知子 雲の峰 200304
雨粒のぽつんと頬に若菜摘み 木野本加寿江 火星 200305
佐比売野に若菜を摘みし妻を恋ふ 波多野弘秋 ホトトギス 200306
潮鳴りも漢のこゑも若菜の野 小澤克己 遠嶺 200401
策に入れ洗ふ若菜の盛り上る 東芳子 酸漿 200403
広き畑若菜を摘める人のあり 原田敦子 酸漿 200403
やはらかき水音聞ゆ若菜摘 渡辺美代 対岸 200403
若菜摘む畦の曲りも棚田かな 神宮きよい 馬醉木 200404
少女らはすこし臈たけ若菜摘む 野口香葉 遠嶺 200404
若菜籠畦に置きあり濡れてあり 岡和絵 火星 200404
地に跪くことたのし若菜摘む 丸山照子 火星 200404
若菜摘み古墳の林抜けにけり 鍬形幸子 百鳥 200404
畑より田圃へ廻り若菜摘み 滝沢伊代次 万象 200501
若菜摘む野に放ちたる志 稲畑汀子 ホトトギス 200501
若菜野へ雀も人も朝の声 中山純子 万象 200503
若菜野に出でて充電傘寿くる 中田みなみ 200503
光にも重さのありし若菜かな 本多俊子 200504
日の香して小山の裾の若菜かな いしだゆか 遠嶺 200504
精神浄化カタルシス與へてくるる若菜かな 川崎洋吉 遠嶺 200504
若菜摘む妻も土着の仲間入り 中山砂光子 200505
若菜摘む腰手拭ひの白さかな 吉田八英子 200506
平凡とふ一語大事や若菜粥 西川五郎 馬醉木 200603
橋の名を忘る若菜野さまよひて 木船史舟 200604
若菜摘む神話の峰に雪しまく 淵脇護 河鹿 200604
激戦のありし丘なり若菜摘む 早水秀久 河鹿 200604
若菜摘む町閉づる日の農談義 早水秀久 河鹿 200604
日当りの桐の木の下若菜つむ 谷村幸子 200604
若菜洗ふ指より奥へ血の巡る 天野きく江 200605
逆光の母が若菜を摘みゐたり 山尾玉藻 火星 200702
若菜摘む日和当麻に塔ふたつ 長谷川史郊 馬醉木 200703
御神火の駆けゆきし道若菜摘む 石垣幸子 雨月 200704
若菜摘友がきのこゑ空耳に 椿和枝 200704
手に余る程の若菜を摘みにけり 中島静子 酸漿 200705
白山の水を含みし若菜かな 高橋将夫 200801
スーパーに琴唄流れ若菜籠 塩田博久 風土 200803
田の神に供へられある若菜かな 山田六甲 六花 200803
炊き上げし飯に混ぜ込む若菜かな ことり 六花 200803
千年紀若菜の水の流れけり 冨松寛子 200804
若菜摘む校外授業風の中 安達風越 雨月 200804
朝風の籠あをあをと若菜摘 小澤克己 遠嶺 200901
田と畑一ト廻りして若菜摘 滝沢伊代次 万象 200901
さねさし相模の畦や若菜摘 菊池由惠 酸漿 200903
遠くより牛の一声若菜摘む 遠藤和彦 遠嶺 200904
今にして母似とおもふ朝若菜 小形さとる 200904
山の辺の道の入口若菜摘む 谷村祐治 雨月 200904
若菜摘む里のわらべに訝られ 谷村祐治 雨月 200904
みささぎの裾の畦道若菜摘む 佐藤信子 佐藤信子集 200905
若菜籠すず菜を赤く売られけり 高橋みつ 200906
若菜籠降るとも見えぬ雨に濡れ 五領田幸子 馬醉木 200912
若菜野の差し込む朝の日の淡し 小澤克己 遠嶺 201001
若菜摘む水の豊かな國に生れ 中田みなみ 201003
別荘の庭と気づかず若菜摘む 中田みなみ 201003
日のめぐり来し菜園に摘む若菜 阿部文子 酸漿 201003
見上げれば比良の白銀若菜摘 池田加寿子 201004
若菜摘み野の日溜まりに添いてゆく 福田漣 201004
厩戸の皇子の里の若菜摘む 村井二郎 馬醉木 201004
遠富士の眼福貰ふ若菜摘 久染康子 201004
初若菜和紙にくるみて持たせけり 吉田政江 201004
若菜摘む矮鶏にも少し与へんと 塩出眞一 ぐろっけ 201004
若菜野や髪逆撫でに風強し 三浦百合子 201004
若菜摘む歌くちずさむ七日かな ことり 六花 201101
若菜摘む四囲の山脈やまなみ晴れわたり 中島霞 ぐろっけ 201102
囃し唄思ひ出しつつ若菜粥 西垣順子 201104
若菜野にひちりき吹けよ草の精 近藤喜子 201104
秩父路は仏の里や若菜摘む 下山田美江 風土 201104
若菜摘む思ひの外の長き根と 柿沼盟子 風土 201104
若菜摘マフラーすぐに解けたる 城孝子 火星 201104
透明に戻る胃の腑や若菜粥 田中一美 ろんど 201104
土竜穴ふはりと踏んで若菜つむ 石垣幸子 雨月 201104
若菜風水平線の見ゆる丘 安井和恵 201106
若菜摘せせらぎの鳴るお鷹道 山田春生 万象 201201
平家の船匿せし島の若菜摘む 柳内真梨子 201202
嫁姑ほどよき距離の若菜かな 矢口笑子 春燈 201203
歌垣の山下り来し若菜籠 栗栖恵通子 201204
若菜摘む万葉人の詠みし野の 上辻蒼人 風土 201204
伊吹嶺に一歩近づき若菜摘む 水谷文謝子 雨月 201204
万葉の恋はおほらか若菜摘 藤井啓子 ホトトギス 201205
六甲の裏山住ひ若菜摘む 藤田かもめ ぐろっけ 201205
死火山に足踏み入れて若菜摘 史あかり ぐろっけ 201205
若菜野に放つ子山羊の跳びはねる 高田貴子 万象選集 201205
若菜摘む野に貝塚の土黒き 井村和子 風花 201206
四十六億年の地球の齢若菜摘む 河内桜人 京鹿子 201207
我が儘も夫のゐてこそ若菜風 児玉有希 京鹿子 201209
一水の響きにそひて若菜摘む 熊岡俊子 雨月 201302
若菜野や鳶高みゆく安房の国 神田恵琳 跫音 201303
天平の風の耳うち若菜摘む 鷺山珀眉 京鹿子 201401
白きもの岳にいただき若菜の野 鈴鹿仁 京鹿子 201402

 今瀬一博さん俳人協会新人賞

吉報は筑波向かうの若菜野に

能村研三 201403
山間に紺の灘あり若菜摘 柴田佐知子 201403
若菜粥自愛の日々を心して 水野節子 雨月 201404
若菜野に聞こゆ五木の子守唄 栗山恵子 雨月 201404
若菜摘む畦に五穀豊穣の札 布川直幸 201601
若菜摘むふと浮かびたる万葉歌 中嶋昌子 春燈 201604
遠き世にひざまづきたる若菜摘み 近藤喜子 201604
若菜粥すすりてひと日句もなさず 水野節子 雨月 201604
日溜りのいつものところ若菜摘む 長田厚子 末黒野 201605
若菜野の賑はつてをり喜寿米寿 高橋将夫 201703
若菜野に摘む女(め)見紛ふべきもなし 鈴鹿呂仁 京鹿子 201703

 七種年男句集『輪中の空』

結び地を栖としたる若菜の野

能村研三 201703
蒲生野に親しみ住みて若菜摘む 中原吟子 雨月 201703
若菜粥山河に雲の湧くごとし 熊川暁子 201704
一籠に溢るる若菜摘みにけり 水谷文謝子 雨月 201704
肩組んで寮歌をうたふ城若菜 福島せいぎ 万象 201708
目を付けてありし若菜を摘みにけり 山田六甲 六花 201801
若菜野や病晴れせし盟友と 久留米修二 馬醉木 201802
初恋の人は息災若菜摘む 横田敬子 201806
若菜籠底しつとりとしてきたる 南うみを 風土 201903
若菜野に来てときめくも余生かな 高橋将夫 201903
筑紫野の端は潮の香若菜摘む 柴田佐知子 202003
若菜摘む流れに勝る川の音 堺昌子 末黒野 202004
若菜摘幽かに聞こゆ鬨の声 前田美恵子 202005
神農のてのひら柔し若菜狩 柳川晋 202103
若菜摘指に香りを移しつつ 稲畑廣太郎 ホトトギス 202201
野守ゐぬ蒲生野に摘む若菜かな 片山博介 春燈 202204
若菜野にひかりの梯子降りて来る 北村操 202204
若菜摘み静かな雪となりにけり 神野未友紀 202204

 

2023年1月31日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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