若水・若井・初水    172句

作品
作者
掲載誌
掲載年月
蛇口から汲んで若水とも云へり 保坂加津夫 会者定離 199900
水分の神の若水享けにけり 野原春醪 馬醉木 199902
若水や吾の設計の新厨 山田夏子 雨月 199903
若水をさげてリフトに乗りにけり 飯塚ゑ子 火星 199904
若井汲む足取りにして確かなり 中原道夫 銀化 200002
若水を汲んで老いても息災に 保坂加津夫 いろり 200003
大阿蘇の神の若水汲みにけり 松崎佐 円虹 200004
若水をすくうてゐたり翁面 栗栖恵通子 200004
若水やすこやかなるをひたすらに 大平保子 いろり 200004
若水を龍の口より受けにけり 志方桜子 六花 200004
印象の鶴の屏風絵若井汲む 辻享子 ヒッポ千番地 200009
若水やつつがなきことうれしくて 大平保子 いろり 200102
若水の代用海洋深層水 藤田守啓 船団 200103
若水を汲み眦を決したり 小澤克己 遠嶺 200105
若水の桶に波うつ時佳かれ 能村登四郎 羽化 200110
若水汲む笹の雫の水晶めく 石田章子 200201
若水や明日の為の今日を汲む 松山律子 六花 200201
若水の上を火の粉の渡るかな 中原道夫 銀化 200202
若水を汲んでワグナー聴いてゐる 保坂加津夫 いろり 200202
水道の常の水なり若水は 保坂加津夫 いろり 200203
しらじらと山河明けゆく若井かな 根岸善雄 馬醉木 200203
旅にゐて旅の若水汲みにけり 保坂加津夫 いろり 200203
若水の重たきを汲む星の中 鷹羽狩行 200301
若水や福泉と言ふわが屋号 三澤福泉 雲の峰 200302
若水を汲む母のため雪を掃く 長田秋男 酸漿 200303
汲みたての甘き若水ふふみけり 岡和絵 火星 200304
若水を陸で汲み来し艀妻 橋本五月 200403
消え残る星二つ三つ若井汲む 岡本明美 雲の峰 200403
風星を分かち若井を汲みにけり 小澤克己 遠嶺 200404
若水牛尻尾遊ぶや島の夏 早川尚子 帆船 200408
若水を魚に小鳥に分ちけり 長田秋男 酸漿 200411
印南の野中の泉若井汲む 山田六甲 六花 200501
若水や蹲踞の杓新しく 清水澄江 築港 200503
若水を飲んで身震ひしてゐたり 米谷香恵子 築港 200503
若水を汲んで固むる詩想かな 大谷茂 遠嶺 200504
若水をごくり肝胆相照らす 山元志津香 八千草 200504
若水を汲むや大師の徳に馴れ 慈幸杉雨 200504
こも除けて汲む若水へ星散れり 渡邉友七 あを 200504
水の辺の白杜若水に染む 川口弘子 築港 200507
若水を汲む十年の営みに 稲畑廣太郎 ホトトギス 200510
若水の天秤棒のしなひけり 滝沢伊代次 万象 200601
真つ先に若水を汲む年男 滝沢伊代次 万象 200601
若水を汲みしバケツの濡れてをり 大串章 百鳥 200602
若水の十指に溢れ風となる 鈴鹿仁 京鹿子 200602
汲みこぼす若水を日の雫とも 丹羽啓子 馬醉木 200603
若水を帝釈天に汲みにきし 大西八洲雄 万象 200603
若水の杓に張力生れにけり 石川笙児 200603
大王松生けて若水神宿る 上田玲子 200603
旧友と井戸の若水手操りけり 池部久子 酸漿 200603
しろがねの闇打ち砕き若井汲む 藤岡紫水 京鹿子 200603
若水や地球の臍を汲み上げて 泉田秋硯 200604
水切りを競ふ老若水澄めり 岡本敬子 万象 200611
壮気なりけり若水を汲みに出づ 小澤克己 遠嶺 200701
一人来て二人となりぬ若井汲み 鷹羽狩行 200702
帰省子に若水汲みを伝へけり 山形悦子 万象 200704
井戸蓋の竹青々と若井汲む 山田六甲 六花 200801
若水といふを平らにして運ぶ 鷹羽狩行 200801
若水を汲みて夜明けの月眺む 小澤克己 遠嶺 200801
若水を汲める東雲明かりかな 山田六甲 六花 200802
若水汲む少年の瞳に邪心なし 藤田千代江 200803
若水を汲むに老の身直立す 村越化石 200803
若水に漱ぎ雑念払ひけり 藤田千代江 200803
唐墨のけさ若水に匂ひけり 米澤しげる 春燈 200803
若水の月をゆらして運ばるる 久津見風牛 200804
若水を媚薬のやうに噛みにけり 加藤峰子 200804
龍神の若井に杓の雫落つ 山田六甲 六花 200901
若水や苔の匂ひの漂うて 加藤みき 200903
星の蓋して若水を汲み終へぬ 鷹羽狩行 200903
声かけて若水供ふ母がをり 工藤節朗 200904
夢掬ふやうに若水てのひらに 安永圭子 風土 200904
若水の竹筒に満ち来たる音 山田六甲 六花 201001
庭先に湧く若水の音もなし 長田秋男 酸漿 201003
若水や朝日将軍産湯の井 村田くにいち 風土 201003
若井汲む真青なる竹柄杓にて 原桂子 201003
若水を神の目避けて鴉呑む 伊藤希眸 京鹿子 201004
若水を木の香の杓へ明け烏 森清尭 末黒野 201004
迸る蛇口の水を若水に 木村幸 201004
若水や胃の腑に落す飲み薬 黒滝志麻子 末黒野 201004
生き難き世の若水を汲みにけり 宇都宮敦子 201004
鳥ごゑも包み若水掬ひけり 松本三千夫 末黒野 201004
きらきらときらきらと若水の縞羅 稲畑廣太郎 ホトトギス 201007
ちりりんと筒に若水鳴りにけり ことり 六花 201101
若水を汲む手に日矢の射しにけり 加藤克 201102
若水を汲む母の背に上る霜 長田秋男 酸漿 201103
母逝きて若水汲みし井戸閉じぬ 池田光子 201103
若水汲む青空へ水弾きけり 青山正生 201104
若水を汲みて俳誌の未来祝ぐ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201111
琴の音をたてて若井へこぼる水 山田六甲 六花 201201
若水となりたる水を汲みにける 加藤みき 201202
若水や一に荒神みほとけへ 溝内健乃 雨月 201204
毎日の水なれど今朝若水や 次郎 ろんど 201204
若水の沸く窓越しに月かうかう 横山康博 万象選集 201205
若水や諸手で掬ふ空の青 大浅田均 万象選集 201205
若水を明治の臼にそそぎけり 大村かし子 万象選集 201205
若水を甕の緋目高にも足せり 芝宮留美子 万象選集 201205
若水を遺愛の松にそそぎけり 石塚美津 万象選集 201205
蝦夷富士の湧水汲みて若水とす 佐藤哲 万象選集 201205
京の筆濡らす若水ひとしづく 藤井啓子 ホトトギス 201205
月山の若水を噛む誕生日 奥山テル子 万象選集 201205
若水の杓に張力生まれけり 石川笙児 馬込百坂 201206
天狼星杉の秀にあり若井汲む 小林はじめ 六花 201212
若水に柄杓の音の青々し 山田六甲 六花 201301
若水を汲みて次男は独身で 稲畑廣太郎 ホトトギス 201301
若水を汲んで初心の目覚めゆく 稲畑廣太郎 ホトトギス 201301
若水を汲んで太白砕きけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201301
映りゐる星をくづさず若井汲む 山田六甲 六花 201301
若水で沸かすコーヒー香りたつ 杉本光祥 201303
若水を手窪にすくふ熊野越 高地勝峰 馬醉木 201304
杜若水に映せし気品かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201306
若水を汲めば自づと道開け 稲畑廣太郎 ホトトギス 201310
若水を猫に鼠に分かちやる 加藤みき 201403
若水を一口わが身引き緊まり 原田しずえ 万象 201404
汲めばはや若水錆びてゆくばかり 甕秀磨 201404
若水を汲みて新たな旅立へ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201411
若水を部屋の蘭にも分かちをり 塩千恵子 201503
俎板の柾目若水迎へかな 矢崎すみ子 201503
若水で厳かに飲む常備薬 小松誠一 201503
若水や海に命の起源あり 峰崎成規 201503
温みある若水汲みて蕎麦を打つ 眞田忠雄 やぶれ傘 201504
若水やよろずの神の動き初む 中田禎子 201504
若水や八十歳を七つ超す 今井千鶴子 ホトトギス 201504
若水を豊かに掬ひ存へむ 田原陽子 201504
若水を汲みこれからのことをふと 稲畑廣太郎 ホトトギス 201512
若水の一口に湧く力かな 塩野谷慎吾 201603
若水や太古の海を血は覚ゆ 峰崎成規 201603
若水を汲みて明日へと笑み繋ぐ 平野みち代 201604
若水の手よりこぼるるひかりかな 森清堯 末黒野 201604
若水の杓新しくなりにけり 前田美恵子 201604
若水やまだ輝ける月ありて 柿沼盟子 風土 201604
富士にいただく若水の甘さかな 田所節子 201604
井を覗きこめば若水鏡かな 山田六甲 六花 201701
巫女はこびくる若水のゆれもせず 高橋将夫 201703
小舟にて若水汲みの来てゐたり 岩木茂 風土 201704
若水や箸置き六つ朝の膳 伊吹之博 京鹿子 201704
若水を汲む産土の星の下 黒滝志麻子 末黒野 201704
若水に心の濁り流したき 稲畑廣太郎 ホトトギス 201710
芝切の墓へ若水ひと柄杓 曽根満 万象 201801
若水や天にたまはる水道水 加藤みき 201801
年寄の目耳若水にてみそぐ 山田六甲 六花 201801
若水や水の地球に住みし幸 秋山蔦 春燈 201803
若水や青の勢ふ水の星 森村江風 201803
若水を汲み今生の時流す 塩貝朱千 京鹿子 201803
若水汲み序でに祝ふわが傘寿 松本峰春 春燈 201804
水道の水も若水祷りけり 松本峰春 春燈 201804
四月二十五日若水句会 稲畑廣太郎 ホトトギス 201804
寝たきりの犬に若水含まする 小林輝子 風土 201805
泣き顔を映し若水溢れしむ 直江裕子 京鹿子 201805
若水や亀の子束子新しく 服部早苗 201806
送る若水桶に溢れしめ 湖東紀子 ホトトギス 201806
一と桶に若水を汲み朝日汲み 今橋眞理子 ホトトギス 201806
若水となる寸前の水の綺羅 大沢美智子 旬日 201808
若水の湯気纏ひつつ汲まれけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201901
若水を汲めば日差の張り付いて 稲畑廣太郎 ホトトギス 201901
若水や上水の味ありがたし 齋藤晴夫 春燈 201904
若水甘し五感に神の思し召し 菊池和子 京鹿子 201905
若水を汲む新妻といふ矜持 稲畑廣太郎 ホトトギス 202001
若水や神も仏も一つ家に 菊地光子 202003
若水汲む祖父かしこみてへの字口 三代川玲子 春燈 202004
若水を汲んで明日へ又一歩 稲畑廣太郎 ホトトギス 202010
龍吐水若水として手に受る 山田六甲 六花 202101
若水を鳥の水場になみなみと 奥田温子 やぶれ傘 202103
若水の光り零さぬやうに汲む 岩木茂 風土 202104
み仏の花に若水足しにけり 住田千代子 六花 202104
若水を汲んで明日へ又一歩 稲畑廣太郎 ホトトギス 202010
龍吐水若水として手に受る 山田六甲 六花 202101
若水を鳥の水場になみなみと 奥田温子 やぶれ傘 202103
若水の光り零さぬやうに汲む 岩木茂 風土 202104
み仏の花に若水足しにけり 住田千代子 六花 202104
初水天宮両手にぬくき人形焼 小張志げ 春燈 202204
若水の光すくひて心すむ 阪介孝子 202204
若水の珈琲甘く香りけり 北城美佐 202204
水神の供物ぬらして若井汲む 笹村政子 六花 202204

 

2023年1月2日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。