雨 水      137句

心解く時くれといふ雨水かな   小島一恭  獐

七十二候 二月十九日頃

作品
作者
掲載誌
掲載年月
黄衣の袖に触れたる雨水かな 今木偉郎 199805
山の日の変はりやすくて雨水の日 野澤あき 火星 199905
泊船の昼から灯す雨水かな 能村研三 199905
竹炭に竹の斑のある雨水かな 今木偉郎 199906
パチパチと飯蒸しあがり雨水かな 秋山深雪 船団 199907
単身赴任雨水の暦めくりけり 広渡敬雄 遠賀川 199909
鶏鳴きは男の子もしたり雨水村 丸山海道 海道全句集 199910
名物の芋菓子買へり雨水の日 平しげる 酸漿 200004
五十日祭なごやかにして雨水かな 大塚洋子 酸漿 200005
しづもりて砂丘はそだつ雨水かな あべりち 銀化 200005
残雪は白点となり今日雨水 林翔 200104
雨水かな花壇の煉瓦組みなほし 赤川孝子 200105
切株のまだあたらしき雨水かな 能村登四郎 羽化 200110
雨水とて申し訳めく雨ありぬ 能村登四郎 羽化 200110
書道部が墨擦つてゐる雨水かな 大串章 百鳥 200204
藁焼きてをるや雨水の桐畠 雨村敏子 200205
草色の池に雲置く雨水かな 万城希代子 200205
みづうみは鏡の如し雨水けふ 中川悦子 酸漿 200205
畦土の緩みそめたる雨水かな 田崎凛 春耕 200205
和菓子屋にシスターがゐてけふ雨水 能村研三 200303
酒呑みにココア勧める雨水かな 高沢昌江 ぐろっけ 200305
大楠へ交々に鳥来て雨水 野口喜久子 ぐろっけ 200306
浸け置の鍬の凍りし雨水かな 長田秋男 酸漿 200405
桑畑の径をゆきたる雨水かな 大野信子 草の花 200405
杭の頭の波かぶりたる雨水かな 生田恵美子 風土 200405
仏手柑のやはらかくなる雨水かな 永田二三子 酸漿 200406
深入りす雨水のころの野となれば 豊田都峰 京鹿子 200504
混凝土の打ち込みつづく雨水の日 竹内弘子 あを 200504
鯉の水輪重なり合へる雨水かな 三関浩舟 栴檀 200505
どの幹となく濡れてゐる雨水かな 篠田たもつ 対岸 200505
リハビリの一歩動きし雨水かな 田代ヨシ 河鹿 200506
屋根雪の雨水の水が樋を出づ 田中武彦 六花 200506
花籠一つ届いて雨水なり 小林晋子 200507
大楠に身をあづけおり雨水かな 川越静子 200508
万屋に花種ならぶ雨水かな 滝沢伊代次 万象 200602
砂洲にある黒松讃へ雨水かな 能村研三 200603
老母に炊きし粥あり雨水の日 八木岡博江 酸漿 200605
納屋積みの薯の芽伸ぶる雨水かな 鈴木漱玉 馬醉木 200606
川の面の波立ちゐたる雨水かな 大野崇文 200606
都府楼や雨水にけぶる万葉碑 宮森毅 六花 200607
たしかめるための補聴器雨水かな 桑原泰子 八千草 200608
天地にきほひありける雨水かな 方近藤きくえ 200705
高齢免許止めむか雨水過ぎてけり 伊藤白潮 200803
心和ぐ明日は雨水と聞きしより 水原春郎 馬醉木 200804
月影と家路をたどる雨水かな 松村光典 やぶれ傘 200805
竹藪に雪けむり立つ雨水かな 河崎尚子 火星 200805
買物のあれやこれやも雨水かな 松浦洋子 酸漿 200805
悠々と雲の行きたる雨水かな 島谷征良 風土 200806
土に囲ふ牛蒡芽を出す雨水かな 滝浪紀久子 万象 200807
白鳥徳利の首に指当つ雨水かな 吉弘恭子 あを 200904
鳥の口大きくひらく雨水かな 壬生きりん 炎環 200905
菜箸の先に焦げあり雨水の日 平野みち代 200905
雨水なる夕刊が来る深空かな 中山純子 万象 200905
見た目にも鴨減つてゐる雨水かな 岩木茂 風土 200905
箸置きの魚の尾立ちし雨水かな 本多滋子 春燈 200905
更けてより雨水に一日遅き雨 仙石君子 雨月 200905
瓦屋に瓦積まるる雨水かな 杉浦典子 火星 200905
孟宗の肌滑らかに雨水かな 鷹崎由未子 春燈 200905
空き瓶の回収日なりけふ雨水 山本久江 200907
牛小屋は日の香ゆたかや雨水の日 落合きくゑ 酸漿 201004
空海の二の腕太き雨水かな 栗栖恵通子 201005
雨水今日雀のあそぶ潦 菅野蒔子 末黒野 201005
配達の封書の重き雨水かな 竹内慶子 春燈 201006
紙縒よる指の湿りも雨水かな 千田敬 201104
燭ゆらぐ雨水の杜の観世音 浜福惠 風土 201105
牛乳のうすきまくとる雨水かな 小野口正江 末黒野 201105
滔々と水迸る雨水かな 大橋伊佐子 末黒野 201105
手を合わせ雨水生れ円吾が命 八木紀子 ぐろっけ 201106
雨水なりひとり山野を身内とす 豊田都峰 京鹿子 201204
けぶりゐる筑波の二峰雨水かな 山本無蓋 201205
低きへと烏集まる雨水かな 松原三枝子 万象 201205
銭湯の溝に湯気立つ雨水かな 井村和子 風花 201206
けふ雨水軒の雀のにぎにぎし 野上智恵子 万象 201206
雨水にてほころび初むる梅林 早川周三 ぐろっけ 201207
雨水かな花壇の土のくろぐろと 有賀昌子 やぶれ傘 201209
譲らるる席に雨水の温みかな 川崎真樹子 春燈 201304
松笠を蹴つて雨水の土の色 加藤翅英 京鹿子 201305
温床の苗手探りに今日雨水 内海良太 万象 201305
錆色の鍬を打ちこむ雨水かな 三輪慶子 ぐろっけ 201305
雨だれの雨水の気なり大手門 川井秀夫 ろんど 201305
けふ将に大地潤す雨水かな 小原登志春 雨月 201305
草庵に苔のふくらむ雨水かな 川村清子 馬醉木 201306
けふ雨水人も車も通らざり 山田愛子 201405
出し昆布のふくらんでゐる雨水かな 田所節子 201405
果樹園に枝焚く煙雨水かな 河原昭子 万象 201406
雨水かな納戸の奥の灯りゐし 緒方佳子 火星 201406
鳩の喉まるく膨らむ雨水かな 吉田葎 201407
桐の木のふつと匂へる雨水かな 高橋あさの 201504
仕事の愚痴を洩らしゐる夫雨水の夜 篠田純子 あを 201504
綿雲の空に眩しき雨水かな 塩田博久 風土 201505
獺に会うてもみたし今日雨水 川村亘子 末黒野 201505
消防車雨水の水で洗はれし 熊川暁子 201505
雨水とて草木虫魚勢ひたる 奈辺慶子 雨月 201505
雨水日の誕生の娘にカード書く 伊吹之博 京鹿子 201506
平信と記せる便り雨水かな 丹羽武正 京鹿子 201506
果樹園に枝焚く煙雨水かな 河原昭子 万象 201508
腰強き釜揚うどんけふ雨水 能村研三 201604
ふつくらと豆が水吸ふ雨水かな 田所節子 201604
雨水今日ふくらんでゐる飛鳥山 田中藤穂 あを 201604
牡丹雪降り積む朝の雨水なる 山形悦子 万象 201605
小流れに鍬浸しある雨水かな 森和子 万象 201605
塗箸の帯封解く雨水かな 坂場章子 201605
ぬいぐるみの玻璃の目潤む雨水かな 川崎真樹子 春燈 201605
けふ雨水気づきてよりの二度寝かな 能村研三 201704
鎌の刃を全て研ぎ上ぐ雨水かな 頓所友枝 201704
梳る髪の艶増す雨水かな 細川洋子 201704
デパートに半旗めくもの雨水の日 竹内弘子 あを 201704
棒杙にくちぼそ群るる雨水かな 宇都宮敦子 201705
口移し救急訓練雨水かな 鎌田光恵 201705
脱稿のほのと先見ゆ雨水かな 相良牧人 201705
胸白き小鳥来てゐる雨水かな 小林愛子 万象 201705
雨水かな捨て去るものと残すもの 高埜良子 春燈 201705
細枝の一本立ちの雨水の日 高木晶子 京鹿子 201706
天に水湛ふるさまの雨水かな 森清堯 末黒野 201706
空海の梵字浮きくる雨水かな 平松うさぎ 201804
白樺の靄まとひ立つ雨水かな 根岸善雄 馬醉木 201804
心身の継ぎ目知らさる雨水の日 片山煕子 京鹿子 201805
少年は身を折りて泣く雨水かな 辻美奈子 201805
湖のやわらかく明け今日雨水 松井季湖 201806
昨日雨水けふは多喜二忌兜太逝く 岡田史女 末黒野 201806
雨水には雛出すならひ守りたる 吉田節子 ホトトギス 201807
靴底に土の弾力雨水かな 近藤真啓 春燈 201905
雨水とや風邪を引いたる寒暖差 田中臥石 末黒野 201905
靴底に土の弾力雨水かな 近藤真啓 春燈 202001
君は立ちぼくは座れる雨水かな 山田六甲 六花 202003
雨の字に雫が四つ雨水かな 北村梢 京鹿子 202105
ラムネ菓子含めば消ゆる雨水かな 森高武 風土 202106
雨水のがれ場を奔り竹煮草 森清信子 末黒野 202111
産土の雑木ふくらむ雨水かな 神田恵琳 春燈 202205
しろじろと草に根のある雨水かな 能村研三 202205
菜園に元肥入るる雨水かな 沼崎千枝 末黒野 202205
雨水の日色を帯びくる美術館 高木晶子 京鹿子 202206
法然の影絵雨水の空模様 高木晶子 京鹿子 202206
さらさらの粥を零せし雨水の日 住田千代子 六花 202206

 

2023年2月19日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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