牛 蛙   192句

身の向きを変へたるらしき牛蛙    小島良子

作品
作者
掲載誌
掲載年月
禅寺や真昼の池に牛蛙
橋本公枝
春耕
199908
さながらにコントラバスや牛蛙
大橋晄
雨月
199908
日雷はたと鳴き止む牛蛙
高田幸枝
199909
牛蛙この蓮池も栖にか
大橋晄
雨月
199909
正客の声になりきり牛蛙
丸山佳子
京鹿子
199909
次の世も夫婦でいたし牛蛙
末益冬青
俳句通信
199910
牛蛙ずしっと鳴くやたぶん癌
山本仁太郎
海程
199912
牛蛙水銀灯の夜明けかな
加藤みき
200008
灯を惜む大和の暮し牛蛙
西山紀代子
200008
「門限です」縄文声の牛蛙
丸山佳子
京鹿子
200009
手がかりのなき闇ばかり牛蛙
緒方敬
200010
月の出を待つ軽鴨や牛蛙
金子兜太
海程
200011
国生みのお声であるよ牛蛙
丸山佳子
京鹿子
200107
青沼のシンセサイザー牛蛙
早崎泰江
あを
200107
牛蛙大きな顔でなきにけり
竹内悦子
200108
木道をゆさぶりて鳴く牛蛙
萩谷幸子
雨月
200109
すこやかにはぐくむ寝息牛蛙
延原ユキエ
船団
200109
牛蛙ホルン奏づるごとくあり
三浦晴子
200110
ふるさとに居つきし声の牛蛙
中本憲巳
200111
牛蛙ときどきは斉唱もある
金子兜太
海程
200111
牛蛙花菜あかりを泳ぎけり
山尾玉藻
火星
200206
牛蛙底なし沼の息づかひ
藤原かかし
200207
基地遊びの腕白達に牛蛙
平形貞子
200207
さびしさにときどき鳴きて牛蛙
藤井昌治
200207
牛蛙の声を近江と思ひけり
浜口高子
火星
200209
田圃道コントラバスの牛蛙
恒成久美子
ぐろっけ
200209
牛蛙気負ひ過ぎては水濁す
宇都宮滴水
京鹿子
200210
牛蛙鳴いて夜明の水の音
河合笑子
あを
200210
虫しぐれ牛蛙とのシンフォニー
早崎泰江
あを
200210
牛蛙黒人霊歌聴くごとし
新家生子
200211
牛蛙いまは夜中の二時三時
津村美和
200211
UVカット目玉ばかりの牛蛙
梶浦玲良子
六花
200211
牛蛙腹式呼吸会得せり
陶山泰子
ぐろっけ
200212
ふるさとは闇うつくしや牛蛙
梅村すみを
200301
牛蛙手にし小犬の重さなる
加藤白狼子
築港
200305
牛蛙鳴くとき地震の感じられ
加藤白狼子
築港
200305
牛蛙来ての騒動カフェテラス
刈米育子
200308
存在を示すバリトン牛蛙
伊藤稔代
200308
牛蛙鳴きて御廟の昼深む
渡辺政子
雲の峯
200308
城跡の人来ぬ濠に牛蛙
仲田志げ子
200309
重さうに牛蛙鳴き雨ぽつぽつ
斉藤利枝子
対岸
200309
月影の揺るる水田や牛蛙
井出やすはる
酸漿
200310
だしぬけに聞ゆ一と声牛蛙
小山尚子
雨月
200310
牛蛙時止まりたるごとく浮く
常澤淑子
200311
牛蛙鳴いて物憂き日でありし
佐藤冨士男
ホトトギス
200311
目と鼻を出す牛蛙水平ら
藤井美智子
対岸
200402
こみあげて一声もらす牛蛙
西山美枝子
酸漿
200407
牛蛙水郷往き来してゐたる
石脇みはる
200407
彗星の見頃と鳴けり牛蛙
金升富美子
200408
門限にざんねん声の牛蛙
丸山佳子
京鹿子
200410
牛蛙図太く生きて愛さるる
伊藤希眸
京鹿子
200410
牛蛙鳴かぬ故郷遠くなる
鈴木實
百鳥
200411
地の底をぶち抜け来たる牛蛙
宇田喜美栄
200411
悪童に釣り上げられし牛蛙
中山勢都子
200508
壮年とおぼしき声の牛蛙
遠山みち子
200508
バス停の壊れしベンチ牛蛙
田中藤穂
あを
200508
妻恋ひの牛蛙なら憎からず
吉田明子
200509
隠沼の語部めきて牛蛙
今成公江
200510
牛蛙池は真昼の火照りなす
市場基巳
200510
牛蛙池の暗さに慣れて聞く
鈴木實
百鳥
200510
朝すでに暑き水辺や牛蛙
塩田博久
風土
200510
禅寺の法話の中に牛蛙
辻兎夢
200601
牛蛙七百年の仕切り癖
渡辺貞子
京鹿子
200601
牛蛙腓返りの足引きつ
浜口高子
火星
200607
牛蛙ただいまマイクのテスト中
寺嶋育子
四葩
200609
汝より大き沼あり牛蛙
和島出
遠嶺
200609
牛蛙湖震はせて声届く
渡辺玄子
酸漿
200609
ドロップの缶の蓋しめ牛蛙 
百瀬七生子
海光
200705
牛蛙鳴けば水面に風生る
渡辺安酔
200708
古池の唯我独尊牛蛙
上田繁
遠嶺
200709
牛蛙池眠さうにしてしまふ
湯川雅
ホトトギス
200710
勤行に和す山寺の牛蛙
齋部千里
ぐろっけ
200710
推し量る沼の深さや牛蛙
堤京子
馬醉木
200710
牛蛙出羽天水の暮れ残り
伊藤ふみ
馬醉木
200710
これよりの気迫うながす牛蛙
半澤正子
馬醉木
200712
古池の闇の深さを牛蛙
山本千里
200807
牛蛙オーケストラに加へむか
大橋晄
雨月
200807
星の息ふかぶかと吸ひ牛蛙
梶浦玲良子
六花
200807
牛蛙鳴けば沼地の水面震へ
渡辺安酔
200808
溜池は雨音あつめ牛蛙
根橋宏次
やぶれ傘
200808
牛蛙相づち下手の一本気
橋本光乃
京鹿子
200809
牛蛙都会の人に鳴きにけり
吉田康子
火星
200809
牛蛙鳴くこの村むかし四十戸
水谷靖
雨月
200809
叱らるる心地ときどき牛蛙
長谷川智弥子
炎環
200809
葦間出づるや沖天の牛蛙
朝日正人
200809
牛蛙ほむらとなりて鳴きつづく
犬塚芳子
200809
五月闇牛蛙鳴く駅に着く
藤井美晴
やぶれ傘
200809
牛蛙鳴く倒木の辺りとも
國保八江
やぶれ傘
200809
闇よりの意表突く声牛蛙
荒木常子
200810
牛蛙日照雨止みしをころあひに
大島英昭
やぶれ傘
200811
牛蛙過疎の沼池に隠れ棲む
山本千里
200908
余呉人に夜の底ありぬ牛蛙
蘭定かず子
火星
200908
ひた鳴けり牛蛙とし生れきて
西山美枝子
酸漿
200908
牛蛙声の重なり合うて来し
笹村政子
六花
200908
山の宿闇の奥より牛蛙
森美代子
200909
この杜のぐらりと暮るる牛蛙
戸栗末廣
火星
200909
牛蛙孫に聞かせる一語欲し
松本鷹根
京鹿子
200911
寺寂ぶや水より昏く牛蛙
荒川美邦
京鹿子
201001
寺寂ぶや水より昏く牛蛙
荒川美邦
京鹿子
201001
牛蛙遠くに聞いて明日香の夜
須賀敏子
あを
201007
忘るなとここに出会へる牛蛙
和田政子
201008
牛蛙闇の奥処を見させけり
泉田秋硯
201009
牛蛙とび込む水の凹みけり
笹村政子
六花
201009
尻馬にのりてわめくや牛蛙
さのれいこ
春燈
201010
明石城武蔵の池の牛蛙
高橋大三
ぐろっけ
201010
照り降りは神の意志なり牛蛙
松岡和子
201011
身に合ひし水音立てり牛蛙
志方章子
六花
201101
牛蛙池番人の強おもて 和田郁子 201106
製材所昏れても桧の香牛蛙 小澤菜美 201107
牛蛙大きく息を呑み込みぬ 山田六甲 六花 201107
牛蛙対角線に太き声 田中佳子 ぐろっけ 201108
梵鐘に応ふる声や牛蛙 新実貞子 201109
故郷を夜ごと威して牛蛙 柴田佐知子 201109
牛蛙包みこみたる闇夜かな 黒滝志麻子 末黒野 201109
王陵の闇の深さを牛蛙 中島霞 ぐろっけ 201109
単調に心底鳴くよ牛蛙 荒木甫 201110
牛蛙夜の空気を振わせて 水野弘 ぐろっけ 201110
牛蛙鳴きて茶会は雨模様 三橋早苗 ぐろっけ 201110
牛蛙鳴いて日暮を深めけり 大森道生 春燈 201206
世の外に声をだしけり牛蛙 山田六甲 六花 201207
牛蛙鳴いて池中動きけり 田尻勝子 六花 201209
牛蛙一声ありて漣す 北村淳子 ろんど 201209
雨恋し妻の恋しと牛蛙 谷口律子 末黒野 201210
牛蛙のひと声に山退りけり 浜口高子 火星 201209
牛蛙蹴り三合の酒機嫌 中山純子 万象 201310
怺へゐしごとく一声牛蛙 吉清和代 万象 201310
盤石の貌とこゑなり牛蛙 戸栗末廣 201310
牛蛙の声の中なる闇青し 中尾安一 火星 201309
牛蛙高野の池に鳴き交す 松井洋子 ぐろっけ 201312
拓農の大き溜池牛蛙 瀧春一 花石榴 201312
牛蛙鳴き睡蓮の池揺する 江木紀子 雨月 201408
牛蛙黄泉平坂入口に 田中藤穂 あを 201408
水生植物園閉門近し牛蛙 横田晶子 風土 201408
その声に怯えし記憶牛蛙 大松一枝 201408
牛蛙大法螺吹のごと鳴けり 佐藤山人 201408
牛蛙鳴く道を行き帰りけり 大島英昭 やぶれ傘 201408
魔界めく牛蛙の声住み古りて 小澤菜美 201409
菩提寺の池をとよもし牛蛙 青木由芙 末黒野 201409
福耳と言はれし嬰児や牛蛙 竹内悦子 201409
昏れなづむ水郷の空牛蛙 綱川恵子 万象 201409
暮れ初むる湖をゆさぶる牛蛙 藤生不二男 六花 201410
眼前に弥勒笑うて牛蛙 中島陽華 201410
溝川や儂は主ぞと牛蛙 山崎幸夫 末黒野 201410
牛蛙野外授業の輪の中に 及川照子 末黒野 201411
風死して闇を動かす牛蛙 久保東海司 201411
池ひとつ吾がもののごと牛蛙 駒形祐右子 万象 201411
延々と談義最中や牛蛙 小林和子 風土 201508
牛蛙池の四方をゆさぶりぬ 永田万年青 六花 201509
牛蛙鳴きて水面を眠とうす 田尻勝子 六花 201509
牛蛙鳴く夜の雨となりにけり 大崎紀夫 虻の昼 201510
炎帝の唸りにも似て牛蛙 穂苅照子 万象 201511
牛蛙耳を押へて走る子や だいじみどり 201511
夏逝くや真昼ときをり牛蛙 飛高隆夫 万象 201512
牛蛙鳴いてさざ波立ちにけり 戸栗末廣 201604
牛蛙闇を重たくしたりけり 山本則男 201609
ニュータウンに残る古池牛蛙 中田禎子 201609
牛蛙後生ごしやうと呻きをり 荒木甫 201610
牛蛙鳴けばさざなみ生るなり 原田達夫 201611
放ちても満つるもの無し牛蛙 中田禎子 201707
谷間や時に間を置き牛蛙 堺昌子 末黒野 201708
天平の双塔なりし牛蛙 吉田順子 201708
一村を震はせゐるや牛蛙 荒井ハルエ 春燈 201708
牛蛙ボーと鳴いた腹減った たかはしすなお 201709
牛蛙鳴いて隠沼波立てり 田尻勝子 六花 201709
牛蛙松尾和子がゐてをりぬ 溝渕弘志 六花 201709
記紀神話地鳴のごとく牛蛙 吉田葎 201709
牛蛙墓園の闇にひびきけり 出口誠 六花 201711
牛蛙夜ともちがふ闇に鳴く 辻美奈子 201808
牛蛙さみしくなれば鳴きにけり 持田信子 春燈 201809
水亭の古りし甍や牛蛙 和田慈子 末黒野 201810
五位鷺の声にひるむや牛蛙 楠本和弘 201902
牛蛙沼の静けさ際立てて 石塚清文 やぶれ傘 201908
牛蛙明石の正午の眠たかり 田尻勝子 六花 201908
牛蛙ゆつくり動く沼の風 久保久子 春燈 201909
堰落つる音に和したる牛蛙 岡田史女 末黒野 201910
声にならない呻き地を這ふ牛蛙 直江裕子 京鹿子 201910
鼾より調べ宜しき牛蛙 村上ヤチ代 船団 201912
一の倉二の倉暮るる牛蛙 戸栗末廣 202010
牛蛙人は大声禁ぜられ 川高郷之助 202108
沼に雨雨の向うに牛蛙 大崎紀夫 やぶれ傘 202109
睡蓮の池を支配す牛蛙 森高武 風土 202109
古池の暮れて呼び合ふ牛蛙 奥中双樹 京鹿子 202110
産土を揺らしてゐたる牛蛙 森田明成 202112
殿様の庭に住みゐる牛蛙 赤座典子 あを 202207
牛蛙鳴くたび雲の降りてくる 南うみを 風土 202209
牛蛙沼はまどろみゐたりけり 浜田久美子 六花 202210
たまに鳴くは沼の主か牛蛙 六崎正善 末黒野 202211
絶妙の間を置き鳴けり牛蛙 横路尚子 末黒野 202211
牛蛙人間くさき記紀の神 吉田葎 202211

 

2023年5月19日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。