末 枯 1     200

末枯のわれを見てをる自然かな    高島茂

作品
作者
掲載誌
掲載年月
なめくぢもまた末枯に従ひぬ
山田弘子
春節
199503
茶筒ぬく音に末枯れ初めにけり
山尾玉藻
火星
199812
蘆叢に未来の扉末枯るる
小澤克己
遠嶺
199901
末枯へ径らしくなく径らしく
河野美奇
ホトトギス
199902
末枯や社を出づる触太鼓
浜口高子
火星
199902
末枯や吹き消すやうに日の翳り
岡本眸
199902
末枯や家見えて来て子の駆ける
石田英子
199902
末枯といふほころびを掬ひけり
柴田いさを
船団
199903
末枯の城址や軍歌声なさず
大場燈児
風土
199911
声を吸ふ洞門の苔末枯るる
黒坂紫陽子
馬醉木
199912
末枯に幟立てたり吉右衛門
山田弘子
円虹
199912
末枯るるペンより知らぬ男の手
岡崎るり子
銀化
200001
夕方の船音軋み末枯るる
高橋さえ子
200002
黄色なほひそめ末枯れそめし蝦夷
稲畑汀子
ホトトギス
200009
植替へしもの末枯のはじまりぬ
稲畑汀子
ホトトギス
200010
病葉をかけて眠れや末枯蟲
中原道夫
銀化
200011
子豚十匹末枯のうつくしき
奥田節子
火星
200101
末枯れの岸を離郷の小舟あり
小澤克己
遠嶺
200101
遠き灯の近づく夜あり末枯るる
宮津昭彦
200101
末枯や手のつけようも無き白髪
荒木治代
ぐろっけ
200102
末枯の昼となりつつ忘れゐし
岡井省二
200109
末枯の野に夕焼の燃えつきる
栢森定男
あを
200110
末枯の都心や雨の容赦なく
稲畑廣太郎
ホトトギス
200111
海抜二千牛食む草も末枯れし
村上光子
馬醉木
200112
末枯といふ戦略の始まりぬ
朱間繭生
銀化
200112
末枯れとなるも風情のほのかなり
桑垣信子
いろり
200112
いつまでも子離れ出来ず末枯れて
桑原敏枝
いろり
200112
海風に関の古道の末枯るる
平山節子
春耕
200112
末枯れて空のはたてのよく見ゆる
水野恒彦
200202
末枯れて風に従ふ心なく
木暮陶句郎
円虹
200202
末枯を促す風の日照り雨
田邊英夫
円虹
200202
末枯るる水車の音がよくひびき
高島鷄子
馬醉木
200203
末枯れて来しかさこそとかさこそと
稲畑廣太郎
ホトトギス
200211
末枯れて池塘の紺の艶増せり
今井すえ子
200212
花柄を選んでをれぬ末枯蝶
丸山佳子
京鹿子
200212
鮎雑炊すすり末枯れ初めにけり
重見久子
火星
200212
末枯るる帰り無言の刈田道
渡邉友七
あを
200212
柳蘭姿踊りつ末枯るる
夏目満子
酸漿
200301
末枯るる札所や磴は八百段
奥村鷹尾
京鹿子
200302
咲けるまま末枯るるまま朝の沼
河野美奇
円虹
200310
風音に末枯のはじまつてをり
稲畑汀子
ホトトギス
200311
末枯といふ名苑の順路あり
稲畑汀子
ホトトギス
200311
おほどかに利根の河口や末枯るる
高橋あさの
200312
末枯るる埴輪祭へ行く途中
伊藤白潮
200312
両生類研究所前末枯るる
徳丸峻二
風土
200312
末枯れて庭石ひとつ現れぬ
斎藤道子
馬醉木
200401
末枯や丹下左膳の歌ひをり
沖増修治
百鳥
200401
末枯の大方は影もたぬなり
三輪閑蛙
対岸
200401
末枯や風の後に風の蹤く
小林共代
風土
200402
末枯を誘ふ嵐として隅田
稲畑廣太郎
ホトトギス
200411
末枯や樋掃いてゐる昼の音
山尾玉藻
火星
200411
江戸地圖に濃き川の色末枯るる
佐藤喜孝
あを
200411
末枯やモノクロ映画浮び消ゆ
長崎桂子
あを
200501
末枯や首振つて馬あるき出す
城孝子
火星
200501
末枯や炭鉱ありし駅に降り
河合大拙
百鳥
200501
朝市の女の胡坐末枯るる
大串若竹
百鳥
200501
測量の三脚立てて末枯るる
淵脇護
河鹿
200502
山々は墓標を隠し末枯るる
水野恒彦
200502
末枯るる素手振つてゆく宮跡径
河合佳代子
栴檀
200502
末枯や誰もが仰ぐ大欅
小松鈴子
酸漿
200504
末枯れて草罠に日の入りにけり
服部早苗
200504
昨日も今日も末枯の坂上る
大山夏子
200505
末枯の狭庭風雨の朝くらく
瀧春一
菜園
200509
わが書斎末枯色のあかるさに
瀧春一
菜園
200509
末枯を左右に虚子の墓前まで
稲畑廣太郎
ホトトギス
200510
末枯るる色も天与でありにけり
稲畑廣太郎
ホトトギス
200511
末枯やさ牡鹿の尾のしづくせる
城孝子
火星
200601
末枯し野の小流れをひと跳びす
吉田康子
火星
200601
神々を畏れ末枯を急ぐなり
水野恒彦
200601
末枯や木曽駒ヶ岳きそこまは藍深め聳つ
宮津昭彦
200601
末枯やウエツジウツド紅茶注ぐ
宮川みね子
風土
200601
末枯るるものが風呼ぶ熔岩の谿
沼口蓬風
河鹿
200602
末枯の野に腰下ろし石ぬくし
稲岡長
ホトトギス
200602
ふつふつと星生る鶏頭末枯すがれたり
岩月優美子
200602
末枯やポケットに飴かさかさす
矢田弘子
対岸
200602
末枯るるものに入り日の濃かりけり
宮崎正
ホトトギス
200603
咆吼の末枯の野に放たるる
ことり
六花
200605
水漬き稻末枯草に干しならべ
瀧春一
常念
200606
末枯といふべきかこの華やぎを
稲畑汀子
ホトトギス
200609
末枯るる庭の明るさありそめし
稲畑汀子
ホトトギス
200610
華やぎも末枯もみな庭のもの
稲畑汀子
ホトトギス
200611
末枯の歯科医の庭に犬見えず
赤座典子
あを
200611
末枯の湿原渡る風の音
黒坂紫陽子
馬醉木
200612
末枯れの野を来る母の江浦草髪
小澤克己
遠嶺
200612
うら枯や魂いとどしき句碑ありぬ
水野恒彦
200702
医者通ふ佐保の堤も末枯れて
奥村鷹尾
京鹿子
200703
石の街にも末枯のすすむ景
山田弘子
ホトトギス
200704
末枯るるものより日差配らるる
稲畑汀子
ホトトギス
200710
龍子記念館の末枯とは風情
稲畑汀子
ホトトギス
200710
末枯るるものにも秩序ありし庭
稲畑汀子
ホトトギス
200711
末枯や線路をまたぐけものみち
松原智津子
万象
200801
末枯れや映画に余すポップコーン
倉持梨恵
200801
末枯れや気になるひとを見失ふ
石田きよし
200801
末枯の風の中なる目鼻立ち
大東由美子
火星
200802
末枯れて風の道あり山日和
森温子
酸漿
200802
末枯れし庭にひとえだ草珊瑚
山荘慶子
あを
200802
末枯や大きな甕の母屋口
松山直美
火星
200803
人の灯も末枯いろにある湖国
山田弘子
ホトトギス
200804
末枯や夫の洗顔にぎはしき
山尾玉藻
火星
200810
末枯のしとど濡れたる山路かな
稲畑汀子
ホトトギス
200811
彩りに末枯色の加はりぬ
稲畑汀子
ホトトギス
200811
末枯や白湯一杯に身を清め
岡部名保子
馬醉木
200812
はらと音こぼれ末枯れそめし庭
水田むつみ
ホトトギス
200901
実朝のたましひひとつ末枯るる
辺見狐音
炎環
200903
ジャガランダまでは末枯及ばざる
安原葉
ホトトギス
200905
末枯るるなかに薊の怒りかな
八田木枯
晩紅
200908
末枯るるものに寺苑の風優し
稲畑廣太郎
ホトトギス
200911
喪ごころの雨や葡萄の末枯葉
北川英子
200101
末枯るること枯山水にもあり
布川直幸
200912
旅果つや風の音より末枯るる
渡邊友七
あを
200912
末枯れて老松の膚荒れ侘し
塩路五郎
201001
残る葉に透ける夕日や末枯れて
宮崎左智子
201001
末枯や野末に澄める星ひとつ
佐藤いね子
馬醉木
201001
末枯の道ひと筋の先に駅
佐橋敏子
春燈
201001
末枯や南大門を乳母車
笠置早苗
火星
201001
末枯れてオー・ヘンリーを読み返す
北條清子
201002
末枯の野に溜め息の一つ落つ
湯川雅
ホトトギス
201002
末枯るるとは大淀の流れにも
長山あや
ホトトギス
201002
末枯の中の明日葉青きかな
小野口正江
末黒野
201002
末枯れや馬頭観音十基ほど
大島英昭
やぶれ傘
201002
末枯や峰越えとなる魚屋道
上川いつ子
火星
201002
末枯や移ろひ易き日を集め
今橋眞理子
ホトトギス
201003
末枯れをゆく正眼の構へして
伊藤希眸
京鹿子
201005
末枯の手入れといふがありにけり
稲畑汀子
ホトトギス
201010
末枯れてゆく庭にある見頃かな
稲畑汀子
ホトトギス
201010
末枯のはじまつてゐる野を活けて
稲畑汀子
ホトトギス
201010
降りつゞく雨末枯をいざなへる
稲畑汀子
ホトトギス
201010
末枯に佇ち風のいろ風の声 徳田千鶴子 馬醉木 201012
末枯や柵抜けの牛水飲みて 黒坂紫陽子 馬醉木 201101
末枯れや橋の向かうとこちら側 高橋泰子 201101
末枯れて見え隠れする鬼怒の畑 鳴下昭 201102
よろめくは後遺症かも末枯るる 岡野ひろ子 201102
末枯にあらん限りの夕日かな 岡淑子 雨月 201102
末枯れや片耳せむる怒濤音 安斎久英 末黒野 201102
末枯や「西の河原」に石を踏む 有賀昌子 やぶれ傘 201104
傘もたで来て末枯の雨に濡る 成瀬櫻桃子 櫻桃子選集 201105
育てたき芝末枯れて行くばかり 稲畑汀子 ホトトギス 201110
末枯の光あまたや釧網線 コ田千鶴子 花の翼 201111
末枯や吹かれて痛き鼻の先 布川直幸 201111
末枯や白湯飲んで耳うとくゐる 山尾玉藻 火星 201112
末枯の茅萱に風の来て遊ぶ 山田六甲 六花 201112
小谷なる江のふるさと末枯れて 竹内悦子 201201
馬車道の並木公孫樹の末枯るる 松本周二 かさね 201201
末枯やはんざき眠る瀧の口 城孝子 火星 201201
末枯るる萩に山の日濃かりけり 宮平静子 雨月 201202
末枯やむらさき座布団運ばるる 大山文子 火星 201202
末枯や週末ごとに傘持ちて 井上恵李 火星 201202
その奥に末枯るる音橅の森 井上恵李 火星 201202
潮風の当る方より末枯れて 山下美典 ホトトギス 201203
ヒメムカシヨモギ末枯れ転轍機 大島英昭 やぶれ傘 201203
館一歩より末枯の庭となる 稲畑廣太郎 ホトトギス 201211
末枯やチャイナワインのカフェテラス 中島玉五郎 201211
末枯や赤信号に母止め 坂口夫佐子 火星 201212
末枯れて雀の好きな樹となりぬ 浅田光代 風土 201302
末枯るる野辺の送りに掌を合はせ 羽賀恭子 201301
末枯の砂丘や亀の産卵区 田中臥石 末黒野 201303
末枯るる古都に忌心新たにす 稲畑廣太郎 ホトトギス 201310
ふかふかの末枯れ芝生との曇り 大島英昭 やぶれ傘 201401
末枯や放下せしものしかと見え 西川織子 馬醉木 201401
末枯るる十石樽を地に据ゑて 生田作 風土 201401
末枯るる中に紛れて自刃塚 和田照海 京鹿子 201401
末枯るるものみな空に触れてをり 戸栗末廣 201402
末枯れて縁うするるふる里よ 松田泰子 末黒野 201402
末枯れて夕日の中の百合大樹 塩田博久 風土 201402
人よりも羊多くて末枯れる 笹村恵美子 201403
里山の足音さへも末枯れて 山田天 雨月 201403
末枯の庭に一輪咲きしもの 稲畑廣太郎 ホトトギス 201410
末枯るる山気霊気を纏ひつつ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201410
水音に末枯れてゆく一部分 稲畑廣太郎 ホトトギス 201410
末枯の野のはじまりの家の裏 佐藤喜孝 あを 201411
末枯の土手かけのぼる子と犬と 菅澤陽子 春燈 201501
末枯れの葉も美しく生花展 井浦美佐子 201501
末枯るるもの焼く朝恙なし 山本耀子 火星 201501
末枯るるものにも華のときのあり 江島照美 201501
祥月の墓地の辺りも末枯るる 大内幸子 六花 201501
人恋し虫の末枯れる夜寒かな 菊谷潔 六花 201501
末枯や片手で開く傘の音 丑久保勲 やぶれ傘 201501
蔓引いてより末枯の深かりし 小林愛子 万象 201502
末枯るるだんだん山が高くなり 定梶じょう あを 201502
末枯れもほどほどがよし酒は燗 鴨下昭 201504
末枯も華やぐ森の色として 稲畑廣太郎 ホトトギス 201510
鳥零れくる葉裏より末枯るる 稲畑廣太郎 ホトトギス 201511
震へつつ末枯れてゆく一樹かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201511
麓まではや末枯の葡萄畑 コ田千鶴子 馬醉木 201511
五感ほぼ使い切りたり末枯れ蟲 篠田純子 あを 201512
末枯るる庭師てこずる唐変木 鈴鹿呂仁 京鹿子 201601
末枯れの入江に鷺と思案佇ち 和田照海 京鹿子 201601
末枯や新興俳句暗渠となる 高橋龍 201602
光差す青き葉に末枯れし葉に 立村霜衣 ホトトギス 201603
末枯や芦屋マダムの庭の黙 稲畑廣太郎 ホトトギス 201610
夕闇の先づ末枯に触れてより 稲畑廣太郎 ホトトギス 201610
末枯の野より変身のカフカ来る 犬塚李里子 201610
末枯れの野の淋しさに突き当る 下平しづ子 雨月 201611
昼時の窓辺の朴の末枯れて 小山陽子 やぶれ傘 201611
末枯れは生きた証よ水鏡 江島照美 201612
昼時の窓辺の朴の末枯れて 小山陽子 やぶれ傘 201612
夢の世に生きて末枯知らずかな 岩月優美子 201701
末枯るる有相無相の池の面 鈴鹿呂仁 京鹿子 201701
末枯の夜な夜な流転してゐたり 瀬川公馨 201702
末枯や木肌赤増す女坂 中村弘 万象 201702
末枯れのめうがに夜の来たりけり 天野美登里 やぶれ傘 201702
末枯や木肌赤増す女坂 中村弘 万象 201708
末枯をまたぎ立てたる脚立かな 小林愛子 万象 201712
末枯へ戸車換ふる戸を寝かす 高橋ひろ 万象 201712
三門の苔の中より末枯れ虫 升田ヤス子 六花 201801
末枯と言ふも庭草衰へず 久保晴子 雨月 201801
末枯や旧中川の川明り 小林文良 春燈 201801
末枯の地や天涯の北斗星 田中臥石 末黒野 201802
広やかな末枯の野に光るもの 西村操 雨月 201802
末枯るる野に少年の口笛が 山本漾子 雨月 201802
末枯の色なき色を深めゆく 今橋眞理子 ホトトギス 201803
末枯の一気に進む雨となる 今橘眞理子 ホトトギス 201803
末枯るる風の野宿の湯桶読み 鷺山珀眉 京鹿子 201803
水音の近きものより末枯るる 戸栗末廣 201803
末枯の始まつてゐし野の広さ 稲畑汀子 ホトトギス 201810
六甲の稜線仄と末枯るる 稲畑廣太郎 ホトトギス 201810
末枯に一山色を整へり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201810
名園の末枯といふ気品かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201810
一斉に羽音立たせて末枯るる 辻水音 201812
みちばたのどの草となく末枯て 根橋宏次 やぶれ傘 201901
末枯るる庭に砥石とゴム長と 藤井美晴 やぶれ傘 201901
末枯 →2      

 

2022年11月12日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。