梅 酒       88句

わが死後へわが飲む梅酒遺したし    石田波郷

作品
作者
掲載誌
掲載年月
明日発たむ早寝きめこむ梅酒かな
大平保子
いろり
199908
盗み飲みしながら梅酒漬けにけり
伊藤一歩
いろり
199908
注がれつつこれや十年もの梅酒
二本松輝久
風土
199909
かばかりの梅酒の染めし妻の頬
二本松輝久
風土
199909
漬けられて無明長夜の梅酒かな
高橋邦夫
風土
199909
一杯の梅酒に酔ひし妻の愚痴
稲畑廣太郎
廣太郎句集
199912
吐けどころなき泣きごとよ梅焼酎
大平保子
いろり
200007
金色のゆらりと古き梅酒注ぐ
柳生千枝子
火星
200008
梅酒酌み育児の一ト日ほぐしけり
森裕子
円虹
200009
一と口の梅酒に酔ひし迷ひ箸
兵藤芳枝
200009
誰がために作る梅酒か古り溜まる
二瓶洋子
六花
200010
琥珀には夜がたりない梅酒の実
信崎和葉
六花
200010
三本の梅焼酎の一となん
行方克巳
知音
200108
梅酒ややにわが血脈となりて榑つ
行方克巳
知音
200108
梅酒漬くその後の月日密封す
神蔵器
風土
200109
梅酒瓶母のくせ字の日付かな
久保田一豊
いろり
200109
母の忌や梅酒に日付け太く書き
菊池育子
遠嶺
200110
亡き夫の梅酒に記せし年月日
折原烈子
帆船
200208
身の不調覚ゆ梅酒を漬けてより
高垣和惠
雨月
200208
梅漬くる妻を傍へに梅酒漬く
神田一瓢
雨月
200209
一口の梅酒に酔うてゐる女
黒川悦子
円虹
200210
たらちねの眠り薬の梅酒かな
三村純也
ホトトギス
200212
夫の字の薄れ霜夜の梅酒壜
堤京子
馬醉木
200302
梅酒など子規の日記にありさうに
稲畑汀子
ホトトギス
200307
もたらせし梅酒はやばや配らるる
稲畑汀子
ホトトギス
200307
梅酒壜パジャマのままに揺する母
田村園子
200309
冷奴独り暮しの梅酒酌む
岩瀬発
帆船
200310
遺されし梅焼酎のはや三とせ
鎌倉喜久恵
あを
200407
床下に梅酒古りゆく雨の音
石本百合子
馬醉木
200409
暑気払十年ものの梅酒もて
有山紫於
雨月
200411
梅酒瓶ラベルの文字の右上がり
濱田萬里子
河鹿
200508
母書きし文字も梅酒も古りにけり
柿澤喜三郎
百鳥
200509
屋根重く住み漆壺梅酒壺
今瀬剛一
対岸
200509
梅酒漬け十年先を封印し
森山八重子
ぐろっけ
200509
床下に梅酒寝かせてちんちろりん
米澤光子
火星
200601
夫が捥ぐ梅は梅酒と決まりをり
南原正子
酸漿
200608
梅酒瓶スキンシップのごと抱く
藤井佐和子
200609
取出せば梅酒の瓶に母の文字
兼子栄子
酸漿
200609
にこにこと梅酒の瓶の底の梅
高橋将夫
200708
古酒となる母の作りし梅酒かな
青木政江
酸漿
200710
歳月の深める琥珀梅酒酌む
和田照子
200712
何はさて置きグラスには梅酒あり
竹下昌子
200809
方丈の上り框の梅酒瓶
緒方佳子
火星
200809
年月を経し梅酒とて色ふかし
設楽唱子
酸漿
200809
懇親会ことしの梅酒振舞はる
遠藤とも子
ぐろっけ
200811
年経たる梅酒切子のグラス増え
荒木常子
200811
柩の広さ梅酒瓶置くところ
添田勝夫
炎環
200909
梅酒となりゆく透明の一壺天
窪田佳津子
雨月
200909
たくはへて琥珀ふかめし梅酒かな
兼子栄子
酸漿
200909
梅酒作り早く作らねばと思ひをり
伊藤セキ
酸奬
201009
歳月を孫に語らむ古梅酒
年森恭子
ぐろっけ
201011
百楽の長と云はれて梅酒酌む 中山静枝 201108
あめ色の読めぬラベルや梅酒棚 豊田都峰 京鹿子 201108
またかろき腓返りの梅酒かな 本間瓦子 201108
夕涼み我は梅酒を所望せる 森理和 あを 201109
着着と遅遅と色づく梅酒かな 田村園子 201110
医家三代伝へられたる梅酒の香 鈴木良戈 201110
撫で肩の小瓶に満たしおく梅酒 高田令子 201111
向き合ひて三年梅酒屠蘇とせる 宇野慂子 万象選集 201205
誕生日梅酒漬け込む日と決めて 三橋早苗 ぐろっけ 201209
結界のどこに置かうか梅酒瓶 河村啓花 ろんど 201209
煙草止め嗜好変りて梅酒かな 坂上香菜 201210
生き死には埒外梅酒仕込みけり 田岡千章 201210
二人の夜琥珀色なる梅酒かな 石脇みはる 201210
ウエルカム手作り梅酒でもてなされ 芝宮須磨子 あを 201211
蓄えし古き梅酒の忘れられ 井上あき子 ぐろっけ 201310
ビール少々梅酒少々京終に 雨村敏子 201311
仕込みたる梅酒を揺する日課かな 石田きよし 201311
忘年や梅酒一本子が提げ来 原田小芝 春燈 201404
乾杯の梅酒平成二年もの 木戸宏子 201409
蓄へて琥珀色なる梅酒かな 水谷靖 雨月 201410
今年また梅酒にと実を杖先で 鈴木阿久 201508
梅酒壜氷砂糖の角の取れ 升田ヤス子 六花 201509
医書繰りて眠気のきたる梅酒かな 樋口みのぶ 201512
まづ一献梅酒自信の琥珀色 山口ひろよ 201609
夫の字の残る琥珀の梅酒瓶 菅野日出子 末黒野 201609
思ひ出す時に嗜む梅酒かな 大崎ナツミ 雨月 201609
もう夫と飲むなき梅酒漬けにけり 西村博子 馬醉木 201710
梅酒って女の酒かぐびりぐびり 森有子 201809
ちびちびと梅酒あの頃あんなこと 贄田俊之 やぶれ傘 201810
上げ板のいつまで隠す梅酒かな 小田嶋野笛 末黒野 201810
経年の味あふ梅酒まつたりと 山口登 末黒野 201904
立春大吉十年梅酒の甘美さに 五十嵐敏子 201905
時うつり琥珀色なす梅酒かな 柴田靖子 202008
独り居に慣れて琥珀の梅酒かな 久保久子 春燈 202009
二瓶の梅酒仕込みて昼となり 吉田幸恵 やぶれ傘 202110
母の手の文字の薄るる梅酒瓶 木村みどり 春燈 202110
梅酒の瓶去年の瓶の隣へと きくちきみえ やぶれ傘 202209

 

2023年7月19日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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