ちゃんちゃんこ 1      232句

 

作品
作者
掲載誌
掲載年月
朱抹して意のなほ遠しちやんちやんこ 亀丸公俊 銀化 199904
母の縫ふ少し厚めのちやんちやんこ 穴澤光江 花菜風 199907
ちやんちやんこ死なねばならぬ一大事 木田千女 200003
飼犬に似てきしあるじちやんちやんこ 浜麻衣子 六花 200004
針穴通すことが自慢のちやんちやんこ 川村紫陽 200004
ちやんちやんこ着て老僧で居るつもり 河野義海 京鹿子 200006
着て楽なものよ家居のちやんちゃんこ 稲畑汀子 ホトトギス 200101
要職にありしは昔ちやんちやんこ 座古稔子 200101
一茶忌のその日より着るちやんちやんこ 村越化石 200102
仏蘭西へむかし留学ちやんちやんこ 杢子安子 200102
小江戸から大江戸に出るちやんちやんこ 田中矢水 遠嶺 200102
ちゃんちゃんこ今年選挙に立つと言ふ 次井義泰 200104
道づれの犬と揃ひのちゃんちゃんこ 池田かよ ぐろっけ 200106
ちちははに等分に似てちやんちやんこ 伊藤重美 雲の峰 200201
ちやんちやんこ柱になれぬ木を巻きぬ 暮岸江 銀化 200201
呼鈴にとっさに立てぬちゃんちゃんこ 大堀鶴侶 雨月 200202
ドロツプの缶蓋歪ちやんちやんこ 武田正子 ぐろっけ 200204
ちやんちやんこ一穴主義の古りにけり 山口まさやす 銀化 200204
ちやんちやんこ寝る前の空仰ぎをり 加古みちよ 火星 200204
木曽の子の十三七つちゃんちゃんこ 宮原みさを 花月亭 200208
何事も妻の言ひなりちやんちやんこ 小川匠太郎 200211
主賓とはちやんちやんこ着せかくらるる 伊藤白潮 200301
劣等生今は物書きちやんちやんこ 小林絹子 帆船 200302
捨てやうか母の匂ひのちやんちやんこ 山田美恵子 火星 200302
ちやんちやんこ似合へり癩にさはるなり 小林あけみ 200303
ちゃんちゃんこ老の気儘の外歩き 大堀鶴侶 雨月 200304
ちやんちやんこ達磨となりし縁の婆 大井貞一 京鹿子 200304
ちやんちやんこ着なれて急ぐこともなし 岩上とし子 200305
ちやんちやんこなどは一生着るものか 山田弘子 草の蝉 200305
栄転も左遷も昔ちやんちやんこ 藤山星河 200312
そそくさと遑を告げるちやんちやんこ 東亜未 あを 200401
ちやんちやんこやうやう顔にとどける日 今瀬剛一 対岸 200401
ちやんちやんこ着なれていそぐ事も無し 岩上とし子 200402
仲間より受賞を祝ぎてちやんちやんこ 金丸鐵蕉 200402
ちやんちやんこひねもす何も考へず 芝尚子 あを 200402
ピラカンサ丸く刈りをるちやんちやんこ 吉田康子 火星 200402
肩書きの取れし男やちゃんちゃんこ 千坂美津恵 200403
ちやんちやんこ父亡きあとは母が着て 橋本五月 200403
窯出しを見せてもらつてちやんちやんこ 羽田れい 草の花 200403
名を忘る人の饒舌ちゃんちゃんこ 松本恒子 ぐろっけ 200403
里山に住みて形見のちやんちやんこ 青木陽子 酸漿 200403
白黒の映画見てゐるちやんちやんこ 藤森万里子 百鳥 200403
ゆつたりと羽織る齢やちやんちやんこ 三浦澄江 ぐろっけ 200403
パソコンの動き凝視るちゃんちゃんこ 増田祐三 帆船 200403
火遊びの奥儀のたまふちやんちやんこ 吉田明子 200404
養老院へ入るといふ婆ちやんちやんこ 松崎鉄之介 200405
ちやんちやんこ餌台に餌たしにゆく 多田ユリ子 百鳥 200405
腕白もいま古希菩薩ちやんちやんこ 江原輝陽子 帆船 200406
もう駄目の一言で済むちやんちやんこ 堀内一郎 あを 200411
野菜ばかりつつきて丈夫ちゃんちゃんこ 朝妻力 春耕 200412
男には男の出番ちやんちやんこ 塩川雄三 築港 200503
月山の山懐やちやんちやんこ 雨村敏子 200503
括弧もてくくる呟きちやんちやんこ 吉田明子 200503
ちやんちやんこ一期一会の川下り 長瀬恒子 遠嶺 200503
実直を皺に刻みてちゃんちゃんこ 佐藤淑子 雨月 200503
くれなゐの蝶より軽きちやんちやんこ 檜山孝子 百鳥 200503
亡き母の日毎はた織るちやんちやんこ 酒井美津 遠嶺 200503

 中越地震の被災地見舞

シート小屋にちやんちやんこの友見出でけり

阿部由紀子 200503
洗濯の渦に溺れるちゃんちゃんこ 霧野萬地郎 200504
正月やテリヤに赤いちやんちやんこ 柳生千枝子 火星 200504
唇のよく動く女(ひと)ちやんちやんこ 横山迪子 六花 200504
体操のひと振り遅れちやんちやんこ 小山百合子 遠嶺 200505
背負はれし子の寝息かなちゃんちゃんこ 森永敏子 河鹿 200505
農の家の脱ぎすてられしちやんちやんこ 竹内悦子 200505
備忘メモはて何処にぞちゃんちゃんこ 山元志津子 八千草 200506
逢瀬とやさようならとやちゃんちゃんこ 森一枝 八千草 200506
ひと年のあつといふ間のちやんちやんこ 芝尚子 あを 200602
賢さの外は省略ちやんちやんこ 安藤しおん 200602
霜柱踏んだゴム長ちゃんちゃんこ 木村茂登子 あを 200602
ちやんちやんこ着て争点をはぐらかす 金丸まさ子 四葩 200602
馴染みたる母の遺愛のちやんちやんこ 中里カヨ 酸漿 200602
ごみ出しも湯上りも着てちゃんちゃんこ 三橋早苗 ぐろっけ 200603
病室の名主の如しちやんちやんこ 森川泰雄 200603
職退きて海遠くゐるちやんちやんこ 笹村政子 六花 200603
荒海に突きささる日矢ちやんちやんこ 中杉隆世 ホトトギス 200604
暗がりの閂かけるちやんちやんこ 細川房代 百鳥 200604
ちやんちやんこ着れば余生の始まれる 長山あや ホトトギス 200605
労られ頼られもしてちゃんちゃんこ 松永富子 200605
ちやんちやんこ見栄も誇りもなき目尻 荒木治代 ぐろっけ 200605
ちやんちやんこ眠たき犬が着てをりぬ 坊城俊樹 ホトトギス 200605
借りて着る母の匂ひのちやんちやんこ 師岡洋子 ぐろっけ 200605
庭に出て工事見守るちやんちやんこ 稲畑汀子 ホトトギス 200612
決断は丹田にありちやんちやんこ 鷹羽狩行 200701
軍神を同期に持てりちやんちやんこ 伊藤白潮 200701
ちやんちやんこ対の花柄婆と爺 佐藤哲 万象 200702
ちやんちやんこの行列出来る豆腐屋に 新倉舒子 200702
米寿の人元気に赤きちやんちやんこ 芝尚子 あを 200703
永らへて日々を感謝のちやんちやんこ 亀ヶ谷照子 遠嶺 200703
口まめで涙もろくてちやんちやんこ 藤井佐和子 200703
結末を先に聞かせるちやんちやんこ 瀬下るか 200704
パソコンに熱中の子のちやんちやんこ 安井和子 200704
訥弁を手が補へりちゃんちゃんこ 阪本哲弘 200705
唇のよく動く女ちやんちやんこ 横山迪子 六花 200706
坂道もどこかで終るちやんちやんこ 前田美恵子 200712
モスリンてふ純毛のちやんちやんこ 鈴木榮子 春燈 200801
永らへてこその二人やちやんちやんこ 芝山喜久子 馬醉木 200802
ちやんちやんこ着て育ちけり一人つ子 田粧子 馬醉木 200802
ちゃんちゃんこ女々しいこころ直隠し 藤澤希宗子 ぐろっけ 200802
継ぎはぎの母手作りのちやんちやんこ 大塚民枝 酸漿 200803
ちやんちやんこ似合ふを余生とも思ふ 谿昭哉 200803
絹の香や母の形見のちゃんちゃんこ 山下潤子 200804
電子辞書まさぐつてをるちやんちやんこ 近藤きくえ 200804
近所の目少し気にするちゃんちゃんこ 野澤光代 ぐろっけ 200804
畠仕事してゐるあかいちゃんちゃんこ 長崎桂子 あを 200804
掛けあるは羽衣ならぬちやんちやんこ 須藤トモ子 200804
外聞も見栄も捨てをりちやんちやんこ 須藤トモ子 200804
ちやんちやんこ矢張りたこ焼屋に入る 岩垣子鹿 ホトトギス 200805
木鋏を鳴らし留守居のちゃんちゃんこ 中村碧泉 ぐろっけ 200805
ポケットに住所氏名やちやんちやんこ 青山悠 200805
何にでも口出すお婆ちやんちやんこ 川村紫陽 200806
志功の絵見入る女のちやんちやんこ 木下忠雄 酸漿 200901
後ろ手に少女の佇てるちやんちやんこ 藤原冬人 火星 200902
ルービックキューブを回はすちやんちやんこ 延広禎一 200903
ちやんちやんこ寸暇を惜しむ翻訳家 伊吹之博 京鹿子 200903
捨て難し座右に亡夫のちゃんちゃんこ 能勢栄子 200903
肩揚はそのまま絹のちやんちやんこ 東亜未 あを 200903
はじかれしビー玉を追ふちやんちやんこ 中山皓雪 200904
亡き母の手縫の跡やちやんちやんこ 岡久枝 酸漿 200905
語り部のまろき口調やちゃんちゃんこ 粟倉昌子 200905
背の伸びて吃驚してるちやんちやんこ 東亜未 あを 201001
ちゃんちゃんこ着て陶守の窯火攻む 下平しづ子 雨月 201002
電話帳の重きにあへぎちやんちやんこ さのれいこ 春燈 201002
百姓のなごりの手足ちゃんちゃんこ 菅野蒔子 末黒野 201003
ちやんちやんこ卒業生は大地主 野澤あき 火星 201003
背負ふものすこしづつ捨てちやんちやんこ 川口襄 遠嶺 201003
一徹に老いたる父のちやんちやんこ 伊藤紫水 風土 201003
剣玉のかわける音やちゃんちゃんこ 大内由紀 末黒野 201004
ちやんちやんこ車座となる夕餉かな 秋田建三 201004
気付き合ふ互ひの素顔ちやんちやんこ 宮田豊子 春燈 201004
一病を包み隠してちやんちやんこ 松嶋一洋 201004
訥弁を手が補へりちやんちやんこ 坂本哲弘 山ざくら 201009
古傷は目に見えぬ傷ちやんちやんこ 高橋秋子 201011
ちやんちやんこ着て世渡りの苦労人 鈴鹿仁 京鹿子 201101
文机に遠き父の背ちやんちやんこ 鈴鹿仁 京鹿子 201101
声高くテレビの前のちゃんちゃんこ 和田森早苗 201102
実篤居椅子の背中にちやんちやんこ 永田二三子 酸漿 201102
頑張るといふ字うすれてちやんちやんこ 西村滋子 京鹿子 201103
海を見るむかし漁師のちやんちやんこ 楠原幹子 201103
ひとり身の吾れに馴染みしちゃんちゃんこ 能勢栄子 201104
綾取りの川よ橋よとちやんちやんこ 細島孝子 末黒野 201104
老書家の墨に塗れしちゃんちゃんこ 寺岡ひろし 雨月 201104
ちやんちやんこおでんちといふ京ことば 木村茂登子 あを 201112
鍬を入れ大きな掛声ちゃんちゃんこ 長崎桂子 あを 201201
ちやんちやんこ童話の脇役婆多し 山中志津子 京鹿子 201201
母に名を忘れられたりちゃんちゃんこ 長谷川鮎 ぐろっけ 201201
子の砦でありし日遠しちゃんちゃんこ 森下康子 201202
ちやんちやんこ袖無猿子死語とせず 小林輝子 風土 201203
宿題ぎらひの児の背そつとちやんちやんこ 安田一郎 京鹿子 201203
屋根裏に風棲む気配ちやんちやんこ 小川玉泉 末黒野 201203
ふる里は近くて遠しちやんちやんこ 安田一郎 京鹿子 201203
熾をつぐ宿の媼のちゃんちゃんこ 粟倉昌子 201204
時計屋のひとり商ふちやんちやんこ 松山三千江 春燈 201204
子の子の子連れて誇らしちやんちやんこ 石坂比呂子 ろんど 201204
ちやんちやんこ付けて小犬の貰はるる 苑実耶 201205
一病を抱ふる夫のちゃんちゃんこ 北崎展江 くりから 201209
ちやんちやんこ暮しのにほひ従へて 前田恵美子 青鷹 201210
西陣の古帯活かしちやんちやんこ 小山ほ子 末黒野 201302
ちゃんちゃんこ媼の手による温さかな 笠井清佑 201302
ちやんちやんこ着て含羞のごときもの 中島芳郎 201302
ちゃんちゃんこほいほいと来て孫自慢 落合晃 201302
ちちははにせざりしをさるちやんちやんこ 石田きよし 201302
まだ無垢の心で羽織るちやんちやんこ 高橋将夫 201303
賜はりて重宝したりちやんちやんこ 鈴木一三 末黒野 201304
腹八分老いては五分やちやんちやんこ 山下とし子 万象 201304
ちやんちやんこ笑みを絶やさぬ鼻眼鏡 石田かし子 ろんど 201305
ちゃんちゃんこキネマ旬報五年分 早瀬淳一 船団 201306
帰国子に着す縮緬のちやんちやんこ 品川鈴子 ぐろっけ 201312
ちやんちやんこ着て嫡男といふ運命 稲畑廣太郎 ホトトギス 201312
ちやんちやんこ召されて白寿恙無し 稲畑廣太郎 ホトトギス 201312
ちやんちやんこ十秒前を忘れをり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201312
あの人の句柄は若しちやんちやんこ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201312
百薬の長扱み交はすちやんちやんこ 前田美恵子 201402
晩年や一張羅なるちやんちやんこ 田中貞雄 ろんど 201402
籠を編む竹を自在にちやんちやんこ 高久正 201403
分校生色とりどりのちやんちやんこ 岡本ヨシエ 末黒野 201403
夜は羽織る妣の手縫のちやんちやんこ 村上すみ子 201403
ちゃんちゃんこ真綿を入れて現代風 池田久恵 ぐろっけ 201403
ちやんちやんこ粋に着こなすマルチーズ 時澤藍 201404
「ゴメンナサイ」が言へずに涙チャンチャンコ 木村茂登子 あを 201404
ちやんちやんこその場かぎりの嘘をつき 竹内慶子 春燈 201404
黒襟に残りし躾ちやんちゃんこ 平居澪子 六花 201405
畦に立つ弁慶縞のチャンチャンコ 佐藤満智子 ろんど 201406
ちやんちやんこ掛けて眠たき膝頭 きくちきみえ やぶれ傘 201501
口のみが達者と言へりちゃんちゃんこ 森下康子 201502
ちやんちやんこ着て床屋までゆくと言ふ 柴田志津子 201502
露天湯へ径ゆづり合ふちやんちやんこ 西畑敦子 火星 201502
玄関に福相立ちてちやんちやんこ 小瀧洋子 ろんど 201503
モジリアニの模写をする子やちゃんちゃんこ 西郷慶子 201503
又来よと手を振る裔のちゃんちゃんこ 栗山恵子 雨月 201503
手摺なき階段のぼるちやんちやんこ 菊池洋子 やぶれ傘 201504
携帯電話馴染まぬ人やちやんちやんこ 北元多加 馬醉木 201505
死と向ふ本を読みをりちやんちやんこ 松田泰子 末黒野 201505
立読みにえつへんえつへんとちやんちやんこ 平川陽三 船団 201508
丸き背になじみて古るきちやんちやんこ 大木清美子 201603

 悼 水木しげる

祖霊へとちやんちやんこへと仲間入り

柳川晋 201603
大黒は白寿に在しちやんちゃんこ 小川玉泉 末黒野 201603
古希過ぎて昭和の頃のちやんちやんこ 山咲和雄 末黒野 201603
ちやんちやんこにも性格のあるのかも 後藤立夫 ホトトギス 201604
踏んばつて動かぬ犬やちやんちやんこ 松村光典 やぶれ傘 201604
母手作りちやんちやんこで妹の守 東秋茄子 京鹿子 201703
ちゃんちゃんこ →2      

 

2022年1月27日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。