月白・月代    174句

作品
作者
掲載誌
掲載年月
月白やイルカの背鰭ぴたぴたと 須山つとむ 船団 199903
河内野の月代にして蟇 山尾玉藻 火星 199904
月白に姿見せ初め記念館 稲畑廣太郎 ホトトギス 199909
月代や迦陵頻迦を舞ふ子等に 渕江千代 酸漿 199910
月白のむつつりとあり甲山 山尾玉藻 火星 199910
月白の鯔見櫓でありしなり 山尾玉藻 火星 199911
月代や不意に二階の窓開いて 小林希世子 199912
月白や利尻昆布を拭ひをり 山尾玉藻 火星 199912
月代に血の色滲む遠安土 澤田緑生 馬醉木 200001
月白や真鍮のノブ濡れてあり 松本恭昂 火星 200004
蟇月代つとに土くさく 岡井省二 200009
月代やわが家にはこの丘ありて 阿部ひろし 酸漿 200010
月白の鬼灯畠ゆらゆらす 小林喜一郎 200011
月白の土間にのべある新聞紙 小林あつ子 火星 200011
月代の瓶に竹炭浮いてゐる 浜口高子 火星 200012
月代や動き出すかに稲架の棒 赤木亜華里 200101
月白や少女のこぼす砂の粒 芹沢愛子 海程 200102
月代の半分暗し甕の水 岡和絵 火星 200102
月白や稜線の闇動き初む 新開一哉 円虹 200102
月代に空蝉のこゑ滲みけり 森谷彰 銀化 200110
合歓の花月代ほのと明るみで 関口ゆき あを 200110
月代や鳥の塒に鳥の待つ 波多洋子 銀化 200111
月代に雲かがやける舞子浜 木村てる代 雲の峰 200112
月白にうなじ晒せば恋始め 小澤克己 遠嶺 200112
月白や枯山水へ松の風 伯井茂 春耕 200112
月白の墨跡にあり海の音 谷村幸子 200202
月代の風の通れる豆畑 山尾玉藻 火星 200210
月代や今日越へて来し頂に 田中せつ 帆船 200211
月白に鴨寄り添ひてしずまりぬ 鎌倉喜久恵 あを 200212
月代の萩のうねりとなりにけり 前田青紀 馬醉木 200212
月白や四隅を掃いてをりにける 栗栖恵通子 200212
月代や解脱のあとはぼんやりと 小澤克己 遠嶺 200212
月白や二人静の能舞台 高瀬チエ子 遠嶺 200212
月代やすばやく溶かす上薬 梅村達子 帆船 200301
月代や産湯に波を打たせつつ 佐藤みほ 200301
月代を光背と負ひ丘の松 和田敏子 雨月 200301
月白のかゞやきを見て寝まりけり 阿部慧月 ホトトギス 200303
月代や神事始まる人だかり 朝妻力 雲の峰 200310
月白や人送るべく門に立つ 高野美佐子 雲の峰 200311
月代やまるつぽ里の雑木山 豊田都峰 京鹿子 200311
所在なく縁にかければ月白に 鎌倉喜久恵 あを 200311
月白やシテの面の息づかひ 高橋あゆみ 200312
月代やたてかけてある棕櫚箒 飯田はるみ 築港 200312
月代や母とむらひし日の夕べ 小林優子 酸漿 200312
月白やふはりと昏るる蕎麦の花 鈴木綾 200401
月白や山門施餓鬼案内図 吉田順子 帆船 200401
月代を被きて鬼女となり得たり 河内桜人 京鹿子 200401
月代やまだ温かき父の顔 苑実耶 200410
月白や草書ばかりの質台帳 水野リヱ 帆船 200410
月白や喉に滑る刃のありて 須佐薫子 帆船 200410
月白に手をかざしをる靫猿 延広禎一 200411
月白の妻亡きあとの厨かな 金子輝 春燈 200411
月代や豪華客船翳深し 中村重雄 百鳥 200412
月白や迫りくるなり山容 大野信子 草の花 200412
大和しうるはし山の端の月白も さわいりまりこ 遠嶺 200501
月代や魚籠の魚を海へもどし 荒井千佐代 200501
月白にいよいよ深し海の闇 松井洋子 ぐろっけ 200502
月代のさやかに主税右衛門七ら 野中亮介 馬醉木 200503
月白や山の窪みの一宿場 渡邉友七 あを 200510
月代や空気のやうな句を待つて 山田六甲 六花 200510
月代や厩の耳の動きゐる 浜口高子 火星 200511
月白の厠のへちま草履かな 山尾玉藻 火星 200511
月代や岸四五本の木立かな 豊田都峰 京鹿子 200512
月代や命の長さ決めよとは 荒井和昭 200512
須賀尾口の岨の月代いろめけり 中沢文次郎 200601
月白の撒き餌撒きゐる船着場 垣岡暎子 火星 200601
恋猫や月代ころの屋根の上 豊田都峰 京鹿子 200605
月代や鳴りをひそめしままの湖 山仲英子 200609
月白の蟷螂の首軋みけり 山尾玉藻 火星 200610
月代のコロツケ少し焦げにけり 大槻光枝 京鹿子 200701
月代や遠き礁の現はるる 瀧春一 200706
月白の壁にもどれる翁面 山尾玉藻 火星 200710
月代や猫一匹の走り去る 東良子 首座星 200804
水音のして月白の札所寺 白数康弘 火星 200809
月白のかぼちや畑に人の声 山尾玉藻 火星 200809
月白の竹幹に猫身を擦りし 山尾玉藻 火星 200809
月代も見えぬ家並となりにけり 網野茂子 酸漿 200811
月代の廊に唐櫃干されあり 大山文子 火星 200812
月代やモルダウ川のさざめきぬ 岡田弘子 遠嶺 200812
月代や養生訓をききかじる 風間史子 200901
月代の棚田に煙立ちにけり 廣瀬雅男 やぶれ傘 200901
月代や橋を風ゆく小名木川 大崎紀夫 やぶれ傘 200901
月代の夜光杯へと美酒を注ぐ 小山徳夫 遠嶺 200901
月白や迎へに外へつゆけかり 佐藤喜孝 あを 200901
月白を啣へ善知鳥の帰巣かな 延広禎一 200902
月代の冬瓜畑の傍ゆけり 山尾玉藻 火星 200909
月白の土手をからすの越えにけり 大崎紀夫 やぶれ傘 200911
月代を塗しビリケンさん撫づる 山尾玉藻 火星 200911
月白の山一景の動悸かな 鈴鹿仁 京鹿子 200911
月白の鶴橋渡りくるひとり 杉浦典子 火星 200912
月白や能粛々と艶やかに 東野鈴子 雨月 200912
月白の河口の砂噛を歩きけり 大崎紀夫 やぶれ傘 201001
月代の雲朱鷺色に移りけり 菅野日出子 末黒野 201001
月白や松籟池を渡り来る 清海信子 末黒野 201001
月代やうす雲のややはにかみて 山口速 201002
月代や記紀編纂の時を経て 鈴木直枝 ろんど 201011
月白やほとけに鍵を掛けにゆく 蘭定かず子 火星 201011
月白や湯呑を包むたなごころ 鶴見遊太 201012
月白の滝壷ひかり溜めてをり 杉浦典子 火星 201012
月白や上目遣ひの大獅噛 柳川晋 201012
月代や地には素数の魔法陣 柳川晋 201012
月白の飛行デッキに待ち合はす 松山直美 火星 201012
月代や影の揃はぬ太極拳 笹村政子 六花 201012
月代にしばし佇み戸じまりす 長谷川幸恵 酸漿 201101
月代の散歩むかふも夫婦連 亀卦川菊枝 末黒野 201101
月白や旅綴りゆく播但線 西村雪園 風土 201110
月白の河岸を釣り舟はなれけり 大崎紀夫 やぶれ傘 201111
月代や音読すれば経のごと 小林朱夏 201112
月代や篠笛いよよ高拍子 藤原千代子 万象 201112
月白の天窓高く京町屋 平野数子 京鹿子 201201
月白に都心の舞台整へり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201209
月代や父いつしんに牛洗ふ 城孝子 火星 201211
月代の外に出で乳を飲ませをり 須賀允子 万象 201211
月白の天の花野を指し逝けり 伊丹さち子 馬醉木 201212
月代の泣きやまぬ子の捷かな 佐藤凉宇子 ろんど 201212
月白や尺八の音の陰と陽 金山雅江 春燈 201212
月代や机に傷のふたつ三つ 佐藤凉宇子 ろんど 201212
月代や沈められたる柴の簗 浜口高子 火星 201212
月白や老舗のれんの真さらなる 西村裕子 火星 201212
月代やタイ舞踊めく松の枝 松井倫子 火星 201301
月白の川に迫り出すカフェテラス 藤本千鶴子 火星 201301
月白やひそと媼の身罷るる 大西よしき ろんど 201301
月白の水へだて歩を合はせをり 山尾玉藻 火星 201310
月代やまぼろしを産む用意して 有松洋子 201311
月代や駈くる幼なを親が追ひ 戸田春月 火星 201312
月代や男流しのひとりゆく 浅木ノヱ 春燈 201312
月代や草臥れはててゐる運河 宮路久子 201401
月代や世を違へたる父に慣れ 柴田佐知子 201401
月代の運河を上る潮かな 古沢幸次 ろんど 201401
月白の象舎鎖を飼っている 中林明美 船団 201401
月白の盆地の町となりゐたる 大崎紀夫 やぶれ傘 201411
月代や申し分なく空晴れて 伊庭玲子 201411
月白や掛け声そろふランニング 浜口高子 火星 201412
月代や運河を上る黒き潮 寺沢千都子 万象 201412
月白や馬かたまつて戻り来る 浜口高子 火星 201501
月代に黒松しかと立ちてをり 福永幸子 末黒野 201501
月代や遠く雨戸を閉むる音 河合とき 末黒野 201502
月白に帰宅の門の明るさよ 稲畑汀子 ホトトギス 201509
月白の川かぜ土手をわたりけり 大崎紀夫 虻の昼 201510
月白の川原に工事事務所の灯 大崎紀夫 やぶれ傘 201511
月代や静かに浸る茹たまご 辻響子 201512
月代の雲の翳りを愁ひけり 河ア國代 春燈 201512
月白や水平線のほのかなる 宮西修一 万象 201602
月白や朱橋の先は閻魔堂 正谷民夫 末黒野 201602
月代の道をなきがらへと急ぐ 柴田佐知子 201603
月白にいつまで残る夕茜 後藤比奈夫 ホトトギス 201608
月代や狐奈落に飛び込みし あさなが捷 201611
もう在さぬ人と月代共にせり 窪田佳津子 雨月 201611
月代や幼児に手をあづけられ 安立公彦 春燈 201612
月代や乳房ほど闇盛り上げて 西川織子 馬醉木 201612
月白にほら貝を吹く導師かな 手島伸子 雨月 201612
朝空に薄き半月白菜干す 今井春生 201701
月代の淡き弥山嶺いつくしま 水田壽子 雨月 201701
月代の百幹の竹うごめけり 原田しずえ 万象 201702
月白や梶の葉紋の背にひとつ 有賀昌子 やぶれ傘 201702
月代や庭の小花の揺れ止まず 松井季湖 201712
月代に沈みし今日の野の景色 内海良太 万象 201712
月代や船足ゆるき山上湖 近藤暁代 馬醉木 201712
月白に沼の匂ひのほのかなる 内海良太 万象 201801
月代やしやべり尽くして友帰る 岩下きぬ代 201902
月代や筧を落つる水匂ふ 西村博子 馬醉木 201911
月白の住吉さんを被ひつつ 大橋晄 雨月 201911
月白や災禍の街の灯らざる 稲畑廣太郎 ホトトギス 202009
月白やビル影仄と染め上げて 稲畑廣太郎 ホトトギス 202109
月白や裏返る蝉少し動く 広渡敬雄 202111
月代や二そうの舟をこぎ出しぬ 秋川泉 あを 202111
月代や脈打つてゐる獣道 柴田佐知子 202112
草濡れて月白に待つ野外劇 須賀ゆかり 202112
月白の自転車きいととまりけり 小泉量香 やぶれ傘 202112
二ノ谷の月白にたれ来て遊ぶ 山田六甲 六花 202210
月代の水輪池畔に消ゆるかな 鷺山珀眉 京鹿子 202211
月白やかはほりの数ただならず 升田ヤス子 六花 202212
月白に常の家路を愛しけり 善野行 六花 202212
月白に自転車を漕ぎ戻るかな 延川笙子 六花 202212

 

2023年9月16日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。