椿の実     150句

椿の実煮る火か島の夕暮を   高島茂

作品
作者
掲載誌
掲載年月
漁船の伊豆山目ざす椿の実 皆川盤水 春耕 199812
拾はれて何を得ました椿の実 丸山佳子 京鹿子 199901
遺志といふ声きこえくる椿の実 内田美紗 船団 199903
内宮の夕べに太る椿の実 山尾玉藻 火星 199911
椿の実はぜて微風を呼びにけり 稲辺美津 夏椿 200007
句座に居り青き椿の実が見えて 宮津昭彦 200009
鉛筆と手帖が縁に椿の実 山本耀子 火星 200101
かの日賜ひし波郷椿も実を結ぶ 山岸治子 馬醉木 200112
その中のひとつ弾けし椿の実 山口マサエ 雲の峰 200112
孟宗薮うなじの細き椿の実 塩貝朱千 京鹿子 200112
三尊や日光月光椿の実 塩貝朱千 京鹿子 200112
蛇笏忌のポケットに鳴る椿の実 林裕子 風土 200201
椿の実はじけ曽孫のひとり立ち 高橋ちよ 200202
てのひらに久し蛇笏の椿の実 神蔵器 風土 200212
此の道の先は切岸椿の実 長尾あや 築港 200212
丘陵の風に色づく椿の実 竪ヤエ子 雲の峰 200212
椿の実四方に裂けてしまひけり 竹内悦子 200212
再会のことばの続き椿の実 目黒慧 遠嶺 200212
坐禪石あたためてゐる椿の実 柴田朱美 京鹿子 200302
初蕾照るや実生の肥後椿 村上光子 馬醉木 200303
飾り棚磨かれてゐる椿の実 浦川聡子 水の宅急便 200305
閼伽水や色づき初めし椿の実 辰巳陽子 雲の峰 200309
乙姫にうすくれなゐの椿の実 浜福恵 風土 200311
椿の実ぶらり寺塀崩れ口 柴田由乃 風土 200311
椿の実握り機上にまどろみぬ 黒崎よし江 雲の峰 200311
椿の実色深めつつ艶めけり 林敬子 酸漿 200312
実椿に日当つてゐる離宮門 山尾玉藻 火星 200312
椿の実爆ぜ少年に日暮れ来る 高田令子 200401
椿の実弾け火の山きらきらす 前迫寛子 河鹿 200401
椿の実はじけ落ちたり休診日 西畑敦子 火星 200401
椿の実つややかに爆ぜ箒目に 中村廣子 酸漿 200401
指輪など縁なき過去や椿の実 田宮勝代 酸漿 200402
椿の実異国の土に植ゑてみる 中村輝子 酸漿 200402
人々に虚子塔に落ち椿の実 岩垣子鹿 ホトトギス 200403
椿の実力一杯弾けたる 山崎祐子 万象 200501
出会ふこと多き一日や椿の実 与川やよい 遠嶺 200501
開裂の皮の厚かり椿の実 佐川あけみ 対岸 200501
椿の実弾けし夫の忌日かな 野澤あき 火星 200501
椿の実固し篠原鳳作忌 足立幸信 200504
椿の実裂け須佐之男命かな 岩月優美子 200511
実椿の樹に風強くなつてきし 山尾玉藻 火星 200512
掌に愛す法金剛院の椿の実 神蔵器 風土 200512
来る月の予定こまごま椿実に 中村智恵子 200512
椿の実古道はるかに海のあり 内藤紀子 遠嶺 200601
椿の実橋の真中に空仰ぎ 星井千恵子 遠嶺 200601
実となりしつらつら椿飛鳥寺 河合佳代子 栴檀 200601
子が話すまで待つことに椿の実 楠原幹子 200601
海地獄湯けむり包む椿の実 福島吉美 万象 200601
実椿や陸続と来る宮参 冨円正吉 200601
先生の家の実椿頑丈な 西畑敦子 火星 200611
あいさつを交す仲なり椿の実 西澤ひで子 遠嶺 200701
椿の実ころがるままに五輪塔 高村俊子 万象 200702
椿の実やうやく己見えてくる 奥山絢子 風土 200712
ほんたうの怒りは一度椿の実 高橋道子 200712
熱帯ぶる掌に受く椿の実 笹村政子 六花 200712
椿の実はじけ芭蕉の句碑に飛ぶ 松山三千江 春燈 200801
つややかにして記念樹の椿の実 前田陶代子 200801
掌にのせて弾けし椿の実 廣瀬義一 雨月 200802
文机の飾りとなりし椿の実 中村輝子 酸漿 200806
椿の実ひとこと発す京言葉 岡田由季 炎環 200811
頷けば済む椿の実音に踏み 風間史子 200812
腕組の少女の塑像椿の実 佐藤良重 炎環 200812
実椿をいろうて夜の神詣 山尾玉藻 火星 200812
足摺の風の強さや椿の実 杉原ツタ子 200910
ポッケからポロリこぼれし椿の実 上原重一 200912
椿の実はじけ男の寒がりぬ 山本耀子 火星 201001
椿の実はじけ悩みが一つ消ゆ 佐方敏明 ぐろっけ 201002
椿実となる密かにも確かにも 今橋眞理子 ホトトギス 201003
椿の実拾ひ来し虚子塔のもの 稲畑汀子 ホトトギス 201010
島聖堂めぐる先ざき椿の実 中島久子 馬醉木 201011
空井戸の長き歳月椿の実 井上信子 201011
艶めきて粒大いなる椿の実 山口キミコ 201012
椿の実踏んでしまひぬ狐雨 柳生千枝子 火星 201012
鎮魂や戦の浜の椿の実 北村淳子 ろんど 201012
椿の実はじく日差や波郷墓所 佐藤いね子 馬醉木 201101
太融寺のことに大粒椿の実 奈辺慶子 雨月 201101
椿の実はじけ遠目に瀬戸の航 川村欽子 雨月 201102
けもの径に拾ふぬくとき椿の実 浜口高子 火星 201102
椿の実子に示さむとして崩る 加古みちよ 火星 201102
椿の実苅萱堂の桟にのる 土屋青夢 ぐろっけ 201102
冬青き籬にはじけ椿の実 永田二三子 酸漿 201102
子規居士の黙契久し椿の実 神蔵器 風土 201111
椿の実落ちて弾けて風岬 藤原照子 201112
石山寺の山門近く椿の実 増田一代 201201
赤城晴裏木戸に笑む椿の実 茂木なつ 春燈 201201
諍ひの夢残りをり椿の実 赤座典子 あを 201112
子規庵の今年の椿実を結ぶ 神蔵器 風土 201201
椿の実拾ふや妣の髪油 九十九島 山口キミコ 201209
バリアー越ゆるリハビリ信ず椿実に 渕上千津 201211
錆初めていよよ艶やか椿の実 山口ひろよ 201301
病人の聲となる父椿の実 柴田佐知子 201212
眠き子に胸まさぐらる椿の実 河崎尚子 火星 201301
若き日の夢のはじけし椿の実 友松万寿美 馬醉木 201312
艶やかに寺苑の椿実をつけて 太田チエ子 末黒野 201401
白波の沖に砕ける椿の実 戸栗末廣 201401
鷹ヶ峰三山椎の実椿の実 竹内悦子 201401
椿の実ゆつたり枝を揺しゐる 住田千代子 六花 201401
わが声のとどくところに椿の実 吉田順子 201412
貝殻のふれ合ふ音す椿の実 山本耀子 火星 201412
風呂敷を畳んで返す椿の実 荒井千佐代 201501
山里に椿の実六個拾ひけり 長崎桂子 あを 201501
踏まれゐて油滲めり椿の実 山荘慶子 あを 201501
風呂敷を畳んで返す椿の実 荒井干佐代 201502
椿の実爆ぜて海荒る東尋坊 林八重子 馬醉木 201503
手裏剣のやうにはじけし椿の実 鈴木セツ 201511
禅僧の一語一語や椿の実 吉田葎 201512
椿の実弾けて飛んで豹柄に 七郎衛門吉保 あを 201512
てのひらに火照つてきたる椿の実 笹村礼子 六花 201512
椿の実はじけて先に帰りけり つじあきこ 201512
尺八の太き音きく椿の実 箕輪カオル 201601
椿の実青いし喧嘩にならないし つじあきこ 201609
椿の実琴弾坂を一目散 山田六甲 六花 201710
怖気づく我に光つて椿の実 高橋道子 201712
寺の猫ゆつくり歩く椿の実 小巻若菜 やぶれ傘 201712
椿の実城のかたへに登り窯 笹村政子 六花 201801
椿の実二つ拾へば音生まれ 黒滝志麻子 末黒野 201802
椿の実落し所を決められぬ 高木晶子 京鹿子 201810
二神の契りにかたき椿の実 山田六甲 六花 201810
椿の実ゴムパチンコの鉄砲玉 七郎衛門吉保 あを 201811
木洩れ日や句碑なぞらへて椿の実 大嶋洋子 春燈 201811
椿の実一つ転んで旧街道 鈴鹿呂仁 京鹿子 201811
椿の実日ざしに粘りあるやうな 半谷洋子 201901
科学的根拠はないが椿の実 辻水音 201901
椿の実割れて一気に杜は闇 谷田明日香 風土 201901
太りては疵たのもしき椿の実 中根美保 風土 201901
一億円動かす話椿の実 たかはしすなお 201901
流行を追はぬ暮しや椿の実 若見洋子 馬醉木 201911
雨あがりとみに艶増す椿の実 高橋あさの 201912
贈呈の一書重たし椿の実 中里よし子 春燈 201912
椿の実机の上に爆ぜにけり 中山惠子 201912
石段の途中の箒椿の実 庄司久美子 201912
声にならぬ祈りの島や椿実に 岩田登世 雨月 202001
黒々と爆ぜて犇く椿の実 蒲田豊彦 雨月 202001
金堂は秘仏公開椿の実 波戸辺のばら 202001
談らひ山三つに裂けし椿の実 升田ヤス子 六花 202001
椿の実四方に裂けてしまひけり 竹内悦子 喜悦 202002
首塚や白紙に包む椿の実 松本鷹根 京鹿子 202002
夏椿質実といふ坊暮し 亀井福恵 京鹿子 202010
はや疵を持ちて幼き椿の実 中根美保 風土 202010
夜泣くと蚶満珠寺の椿の実 山田六甲 六花 202010
雨あがりとみに艶増す椿の実 高橋あさの 201911
くれなゐは秘めたる想ひ椿の実 木暮陶句郎 ホトトギス 202102
カタカナの縦書オラショ椿の実 奥田茶々 風土 202102
谷深しいつも濡れゐる椿の実 山田佳乃 ホトトギス 202103
雨上り鴇色光る椿の実 赤座典子 あを 202111
父は消え母は老いたり椿の実 柴田佐知子 202112
カタカナの縦書きオラショ椿の実 奥田茶々 風土 202201
椿の実机上に弾け種四つ 小林清子 末黒野 202201
椿の実ばかり見てゐる立ち話 渡邉孝彦 やぶれ傘 202201
ひと揺れの葉陰に現れし椿の実 笹村政子 六花 202202

 

2023年10月26日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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