冬 眠       154句

 

作品
作者
掲載誌
掲載年月
脊梁山脈紫紺の日あり冬眠す 金子兜太 海程 199812
冬眠の蛇を発くや道普請 野原春醪 馬醉木 199902
冬眠の熊の荒息つくことも ふけとしこ 船団 199906
たまの緒を闇へひもとく冬眠よ 柳川大亀 銀化 200002
艀つなぐに冬眠の蛇よかり 森義久 銀化 200003
冬眠の球根守る棒立てて 三浦如水 ぐろっけ 200004
冬眠の蛙の側を霧通る 金子兜太 海程 200005
冬眠の寝息かよだれかけそよぐ 延原ユキエ 船団 200008
帽子投げぬ冬眠の木にかかるまで 戸田春月 光陰 200012
冬眠の蛇を掘り出し笏となす 岡井省二 200101
人間に冬眠といふ術なかり 菅谷たけし 200101
雑木山みんな冬眠自己流に 丸山佳子 京鹿子 200102
一松人形ひとり冬眠より覚めぬ 石橋翠 いろり 200102
冬眠の拳大なる夢を見し 華明日香 銀化 200103
冬眠の栗鼠の籠とや納屋に吊り 市場基巳 200103
冬眠の蛙そのまま埋め戻す 星加克己 ぐろっけ 200106
冬眠の亀動かずに活きてゐし 川崎不坐 火星 200107
冬眠と思えしボートの裏返し 横倉由紀 船団 200107
冬眠の光まみれのうぶ毛かな 寺田良治 船団 200107
小屋締めて冬眠に入る尾瀬ヶ原 茂木とみ いろり 200202
午来ると巳十一年の冬眠に 渡辺純 京鹿子 200202
病む夫と冬眠したくなりにけり 石城幸子 百鳥 200203
冬眠の呑気許さぬ地震一波 泉田秋硯 200204
冬眠の熊のIQ聞かさるる 尾崎山治 京鹿子 200204
眠り猫未だ目覺めず冬眠か 宮原みさを 花月亭 200208
冬眠の蝮に注意とは笑止 伊藤白潮 200301
冬眠に入りしかとんと沙汰の無き 武井清子 銀化 200302
冬眠の蛇に過去ある昼の月 木村みかん 200303
一色に包まれ蜥蜴冬眠す 渡辺みどり 200303
振り上げし鍬に冬眠中の虫 山田六甲 六花 200303
冬眠の蛇の寝息を窺へり 後藤志づ あを 200303
洞窟に水音蝙蝠冬眠中 鳴海清美 六花 200304
冬眠の山へ速達来りけり 柴田佐知子 200305
蝮らもそろそろ冬眠しとるやろ 松山律子 六花 200312
かがまればわれも冬眠界のもの 村越化石 200401
和尚亡し諸行無情の冬眠鯉 丸山佳子 京鹿子 200402
冬眠は母の胎内雪降れり 木村みかん 200402
冬眠の山に丸木の橋架かる 岩木茂 風土 200402
耐震は万全蛇の冬眠す 秋田谷明美 帆船 200403
冬眠の蛙の上を歩きけり 谷口佳世子 200404
掘り出されても冬眠の佳境なる 瀬戸石葉 200404
冬眠は至福の時間蛇蛙 橘沙希 「月の雫」 200404
冬眠の山白々とけもの道 遠野萌 200404
永眠と冬眠との差蛇に問ふ 伊藤白潮 200412
伐り倒す木が冬眠の山を打つ 柴田佐知子 200503
冬眠の蛇を目覚ます雷とどく 神蔵器 風土 200505
冬眠の亀の真下を通勤す 梶浦玲良子 六花 200505
冬眠を終へたる心地退院日 泉田秋硯 200506
亀冬眠夢に兎と談合す 伊賀山ひでを 春燈 200601
浮き世とはこんな日もある冬眠季 丸山佳子 京鹿子 200601
冬眠の出来たらいいな実南天 安部里子 あを 200601
一筆箋書いて冬眠するつもり 西野初音 京鹿子 200601
ふる里は亡びの色に冬眠す 新田純子 四葩 200603
生きものに定温の土冬眠す 宮内とし子 200702
冬眠をうらやむ老の蝮酒 村越化石 200703
冬眠の蟾金環の眼とぢ 大橋淳一 雨月 200707
空腹に冬眠醒めし朝の古稀 中島玉五郎 200801
公園に四阿一つ冬眠界 村越化石 200802
冬眠や鰐は半ばを水の中 鷹羽狩行 200802
離合注意力ーブミラーも冬眠期 丸山佳子 京鹿子 200802
冬眠や鰐の中なる岩々も 鷹羽狩行 200802
冬眠の杉にひびけり喜捨の銭 中山皓雪 200802
冬眠の空気石垣もぞもぞす 大島翠木 200802
永いながい冬眠か次ぎつぎに 堀内一郎 あを 200802
動物園冬眠の鰐ひからびて 浮田胤子 ぐろっけ 200803
冬眠の筈も何時しか鯉移動 泉田秋硯 200803
人類(はらから)よ冬眠これを致すべし 小形さとる 200804
風の出て冬眠の尾の動き出す 加藤峰子 200804
冬眠のへび煌々と新都心 小山徳夫 遠嶺 200805
月かげも及ばぬあたり蛇冬眠 豊田都峰 京鹿子 200902
冬峰の望遠鏡も冬眠中 丸山佳子 京鹿子 200902
繁栄の夢見て蛙冬眠す 岡田由季 炎環 200902
この木まで岩を枕に冬眠中 丸山佳子 京鹿子 200902
冬眠の森のなかへと神父かな 山下青坡 200903
冬眠の山に響ける杭を打つ 柴田佐知子 200904
ていねいに地図をまるめて冬眠す 村田冨美子 京鹿子 200904
冬眠の蝮の寝相悪すぎる 貝森光洋 六花 200904
冬眠の珠をかかへてゐるごとく 服部早苗 200904
紅くにはなり切れぬまま冬眠す 松川都青 京鹿子 200904
けがれなかりし冬眠の蛇身かな 高橋将夫 真髄 200907
自画像を黒に塗り込め冬眠す 村田冨美子 京鹿子 201001
かさこそと種子冬眠の紙ぶくろ 中山純子 万象 201002
冬眠の蛇起こしたる京女 高橋将夫 201003
冬眠の山ふつくらとしてゐたり 柴田佐知子 201004
冬眠の蛇のひもじさ内視鏡(カメラ)のむ 丸井巴水 京鹿子 201005
冬眠に入るはず熊の撃たれたり 丸井巴水 京鹿子 201012
球根の冬眠の月日始まりぬ 長山あや ホトトギス 201103
冬眠の蛙地球のよきかたち 鎌田悟朗 ろんど 201103
亀吉と名を申しけり冬眠す 花田心作 201104
剣山の胎児となりて冬眠す 丸井巴水 京鹿子 201202
冬眠の生き物はみな丸まりて 史あかり ぐろっけ 201203
冬眠の砦となれり椨根瘤 田中貞雄 ろんど 201203
カメレオン本当の自分になり冬眠 奥田筆子 京鹿子 201203
一人居の友人訪へば冬眠よ 佐藤健伍 201204
ころんと冬眠死後硬直に似て 布川直幸 201211
蛞蝓の冬眠の石濡れてをり 藤原千代子 万象 201303
年追ふごと冬眠したくなりにけり 後藤マツエ 201303
冬眠の森へ地下足袋入りゆけり 蘭定かず子 火星 201303
冬眠の蛇も目覚めむビルエ事 藤見佳楠子 201303
冬眠に入らぬ山鼠の落髪す 瀬川公馨 201304
冬眠の寝返りマグマ溜りの国 すずき巴里 ろんど 201305
冬眠の蛇の真上を踏む不安 菅谷たけし 201401
子等の声消えて公園冬眠す 松嶋一洋 201402
生きものは冬眠宇宙電波塔 宮内とし子 201402
冬眠の蛇よろよろと鍬光る 柳橋繁子 201402
ひんやりと冬眠あけの亀の甲 布川直幸 201403
冬眠の山のバス停木霊くる 火箱ひろ 201403
山深く體やはらかく冬眠す 岩下芳子 201403
冬眠の蛇はピンクの夢を見る 有松洋子 201404
冬眠の蟇や木の根に老いゆくも 小林愛子 万象 201405
メドゥサの髪も冬眠してをりぬ 有松洋子 緑光 201411
冬眠や毒持つものの丸々と 栗原京子 201503
膝抱へ耳そばだてしわれ冬眠鼠 山口ひろよ 201504
冬眠をとうに忘れて園の熊 今井春生 201506
冬眠の亀や蛙やご隠居や 火箱ひろ 船団 201508
昼下り冬眠の蛇見てしまう 衣斐ちづ子 201602
冬眠の寝返りをうつ穴まどひ 中谷富子 201603
冬眠の古典大系書棚かな 上村葉子 風土 201603
冬眠の目覚め促すぬるき風 丸井巴水 京鹿子 201605
鸚鵡貝その冬眠のいつまでぞ 寺田良治 船団 201612
同じ夢児て冬眠の蛙たち 高橋将夫 201702
冬眠の蛇も目覚める改憲論 高橋将夫 201702
冬眠の蛇刻刻と透けてゆく 有松洋子 201702
冬眠の古巣は塚の北まくら 丸井巴水 京鹿子 201702
冬眠るけもの羨みあと一句 木戸渥子 京鹿子 201704
少し食べ少し動いて擬似冬眠 木戸渥子 京鹿子 201706
冬眠にまどへるものの撃たれけり 森岡正作 201801
冬眠や地球のどこも入口で 甲州千草 201801
冬眠の土手へ薄日の差しにけり 吉田政江 201802
脱いだ靴そのままにして冬眠す たかはしすなお 201803
図書館の隅っこに椅子冬眠す たかはしすなお 201803
冬眠やどこか時空を忘じをり 吉田政江 201803
冬眠の覚めしものより餌を漁 丸井巴水 京鹿子 201805
冬眠のクマになりたい日もあるさ 三池しみず 船団 201809
冬眠や生あるものに地のぬくみ 宮内とし子 201903
冬眠の寝返りありて磐なだれ 丸井巴水 京鹿子 201904
水槽の中に冬眠蛙とは 岩佐梢 201905
古傷に触れ冬眠の蛇覚ます 丸井巴水 京鹿子 201905
冬眠の目覚めうながす山の彩 丸井巴水 京鹿子 202006
石蹴つて冬眠の蛇起すなよ 増成栗人 202103
冬眠の体の中は超伝導 三木亨 202104
傾ぎたる地軸に凭れ冬眠す 里村梨邨 202104
冬眠の蛙にメール打つてみむ 三上程子 春燈 202203
冬眠の蝦蟇やスコップの石となる 上野紫泉 京鹿子 202206

 

2022年11月17日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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