年の夜  73句

病牀に歳時記を讀む年の夜  伊万里梅城

作品
作者
掲載誌
掲載年月
年の夜の星の光が力増す 田中藤穂 水瓶座 200002
盛塩は指三角に年の夜 栗栖恵通子 200003
年の夜の雫のやうな海雀 青木直子 200003
年の夜の落第横丁ひつそりと 小山梧雨 200003
皮蛋の並びも年の夜なりけり 小形さとる 200103
この雪を頬にとかして年の夜 やのかよこ 船団 200103
産近き牛小屋の灯や年の夜 布谷洋子 春耕 200203
子の去りてなすこともなき年の夜 孝子フォン・ツェルセン 円虹 200204
年の夜の右肩叩く左の手 上林孝子 200204
年の夜の湯浴み白鳥ともなれず 竹内悦子 200302
年の夜や夢路をたどる帰り道 王岩 あを 200302
年の夜の地を揺るがせし奈良太郎 藤田壽穂 雲の峰 200303
年の夜や出刃包丁は夫が研ぐ 高橋照葉 ぐろっけ 200303
年の夜煮豆一辺倒につき 瀬川公馨 200304
年の夜の天地を返す砂時計 近藤幸三郎 風土 200304
年の夜をあたふたと夫逝きにけり 堀恭子 ホトトギス 200308
長考に疲労困憊年の夜 須佐薫子 帆船 200401
年の夜や開演前の音まちまち 須佐薫子 帆船 200501
年の夜や補聴器掃除ねむごろに 築城百々平 馬醉木 200503
年の夜の花咲蟹の泡かな 雨村敏子 200503
白雲を懸けて嶺々年の夜 辻恵美子 栴檀 200503
年の夜の鼠入らずの前に母 岡本眸 200601
年の夜や未だイラクに同胞が 須賀敏子 あを 200602
革椅子を鳴かせ目覚むる年の夜 山田美恵子 火星 200603
年の夜の大河の縁に佇める 市堀玉宗 栴檀 200604
年の夜の舞殿に編む藁の龍 水野加代 万象 200704
年の夜を守りて昭和の子供たち 岡本眸 200801
奥の間を猫の覗きぬ年の夜 戸栗末廣 火星 200803
年の夜の厨に並ぶ煮物鍋 菊池由惠 酸漿 200803
年の夜の音色の違ふ鐘の音 竹内喜代子 雨月 200804
オリオン座仰ぎて年の夜を眠る 今井千鶴子 ホトトギス 200805
年の夜や明石大門の渡し船 山田六甲 六花 200901
年の夜の長湯を妻にのぞかるる 小野喬樹 馬醉木 200903
年の夜のつまるところはなつメロよ 中尾硫苦 炎環 200903
年の夜の月にしづもる平家村 小山漂葉 酸漿 200903
年の夜鐘の音わたる雲井坂 小林成子 201002
抽斗に使はぬ絵筆年の夜 八木実 201002
年の夜や静かに過ぐる機の里 今井弘雄 春燈 201003
年の夜や幼と競ふこままはし 中村輝子 酸漿 201004
年の夜の鐘ひびきけり雲井坂 小林成子 201102
年の夜やしかと納るものの影 岡田和子 馬醉木 201102
年の夜や肌つまむごとつるし柿 石脇みはる 201103
年の夜の体のてつぺんから洗ふ 藤田素子 火星 201103
年の夜の湯に一年の力抜く 小倉正穂 末黒野 201104
片付けの過ぎて不自由年の夜 今泉あさ子 末黒野 201104
年の夜の回路経し血の甦へる 篠崎善久 やぶれ傘 201105
子等が来て家ぬくぬくと年の夜 田代貞枝 201203
年の夜の耳底ゆすり消防車 小川玉泉 末黒野 201204
遠近の鐘の音の沁む年の夜 三橋玲子 末黒野 201204
目をつむりしみじみと尿年の夜 荒木稔 ぐろっけ 201204
年の夜は身ぐるみ脱ぎて洗濯す 品川鈴子 ぐろっけ 201212
年の夜の独りなる錠ひびきけり 山尾玉藻 火星 201302
年の夜や敷居の高き祖の家 呂秀文 春燈 201403
別れより歓喜の歌を年の夜 足立良雄 201403
年の夜の闇それぞれの醸す鐘 原田達夫 201404
反省を止めて久しや年の夜 佐藤喜仙 かさね 201404
年の夜の閑けさに凭る机辺かな 安立公彦 春燈 201503
年の夜の星空仰ぐしづけさよ 西岡啓子 春燈 201503
年の夜のひとりの席の機内食 竪山道助 風土 201603
年の夜を鬼の舞ふなり延暦寺 奥田茶々 風土 201603
年の夜や粋なポリスの人捌き 板谷俊武 末黒野 201604
風呂に肩しづめて至福年の夜 加藤峰子 201703
年の夜や悔いを明日への糧として 安斎久英 末黒野 201704
年の夜や仏壇どの子に託すべし 永井惠子 春燈 201803
年の夜や悔いを明日への糧として 安斎久英 末黒野 201904
一年を短く思ふ年の夜 堺昌子 末黒野 202004
年の夜湯呑茶碗の罅なぞる 石川東児 202006
年の夜に二人の未来ありにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 202012
水盤にやっと生け終へ年の夜 長崎桂子 あを 202103
言の葉の無限を知るや年の夜 安田優歌 京鹿子 202104
日めくりの想ひを重ね年の夜 本郷公子 京鹿子 202104
年の夜の水をゆっくり噛んでゐる 井上菜摘子 京鹿子 202212

 

2022年12月31日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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