年 玉  181句

年玉を妻に包まうかと思ふ  後藤比奈夫  花びら柚子

作品
作者
掲載誌
掲載年月
鈴の音してお年玉受けし子よ 鷹羽狩行 199902
年玉につられ角力になりにゆく 中原道夫 銀化 199902
こつそりと年玉の差の埋めらるる 藤村真理 199903
お年玉用意の追加ありにけり 稲畑汀子 ホトトギス 200001
年玉も二仟円なり二千年 安井和子 200003
年玉に那覇の黒糖珠洲の塩 芥川園子 200003
お年玉おちよぼ口してもらひをる 田中呑舟 火星 200008
預けには来ぬ子となりぬお年玉 鷹羽狩行 200102
年玉や菩提寺に積む米俵 香川はじめ 春耕 200102
年玉のやうに現れたる女 山田弘子 円虹 200103
母の手の小さきが悲しお年玉 川上美穂子 酸漿 200201
おとなりの卒寿夫婦にお年玉 斉藤静枝 あを 200202
今年より眼鏡の子なりお年玉 山田三江子 200203
年玉のお礼にもらふ頬のキッス 池谷市江 200204
お年玉意に介せぬもさみしけれ 勝亦年男 200204
みどり児の寝顔につつむお年玉 浜麻衣子 六花 200204
お年玉計算出来るとしになり 塩川キヨミ ぐろっけ 200204
にぎにぎしく嫁ぎたる娘もお年玉 福盛悦子 雨月 200206
神棚にしばらく上げしお年玉 竹内弘子 あを 200302
年玉を貰ひ二階へ行つたきり 熊丸淑子 馬醉木 200304
紙三度切れば八枚お年玉 山田六甲 六花 200401
年玉を持ち母親に駆け戻る 朝妻力 雲の峰 200402
いつよりぞ子供に貰ふお年玉 若本彰子 酸漿 200403
夫の字の青墨の香のお年玉 白崎リユ子 築港 200403
腕白の子らも素直にお年玉 沼口蓬風 河鹿 200404
年玉の積木の家を建ててゐる 山野洋子 百鳥 200404
お年玉手刀切つて貰ひけり 中里とも子 百鳥 200404
一歳へ百一歳のお年玉 大串若竹 百鳥 200404
貯蓄型浪費型ありお年玉 山田弘子 ホトトギス 200406
長幼に序のありしことお年玉 鷹羽狩行 200501
年玉や起きて来し子の重瞼 鷹羽狩行 200501
年玉のにはか長者が居座れり 林田江美 馬醉木 200504
負ひ紐とかれし子にもお年玉 二階堂妙子 河鹿 200504
大兄(おせ)らしくなりにけるかもお年玉 永田哲心 遠嶺 200604
ふたつづつ膝小僧ありお年玉 杉浦典子 火星 200604
年玉の樋口一葉折りたたむ 立石萌木 雨月 200604
ドル紙幣なり空港のお年玉 岡崎真子 百鳥 200604
年玉に一聯提げし凍豆腐 瀧春一 常念 200606
お年玉二千円札は残しをく 宇都宮滴水 京鹿子 200702
百齢の母より賜ふお年玉 三輪温子 雨月 200703
お年玉貯めパソコンを買ふと云ふ 藤川國子 ぐろっけ 200703
ウィーンフィル花とワルツのお年玉 青木久子 遠嶺 200704
はればれと顔のならべるお年玉 岡本敬子 万象 200704
古希すぎて子等に貰ひしお年玉 池崎るり子 六花 200704
お目玉はそこそこにしてお年玉 鷹羽狩行 200801
膝揃ふ曽孫五人へお年玉 深沢梅子 200801
年玉に書く墨磨つてをりにけり 山田六甲 六花 200801
奥の手を使ひ年玉渡しけり 山田六甲 六花 200801
年玉のお礼にもらふ肩たたき 和田政子 200803
目出度さの子より賜はるお年玉 若松一男 200803
腕白の正座して受くお年玉 堀田清江 雨月 200804
丸いのがいいと手を出すお年玉 岡野峯代 ぐろっけ 200804
年玉と書きて見舞を枕辺に 飛鳥由紀 200804
革椅子のくるりと廻りお年玉 中田みなみ 200804
お年玉我が丈を越す子となりし 東芳子 酸漿 200804
年玉の袋が少し大きすぎ 後藤比奈夫 ホトトギス 200805
中も見ず母に渡してお年玉 谷村睦子 200805
お年玉源氏絵巻を三つ折に 柴崎甲武信 月日 200811
年玉を待つまなざしと知つてをり 稲畑汀子 ホトトギス 200901
泣きやんで涙ぬぐはずお年玉 鷹羽狩行 200901
即答の三歳児なりお年玉 山田六甲 六花 200901
お年玉名を読み上げて渡しけり 小林朱夏 200902
年玉の出すときありぬ出しにけり 城孝子 火星 200904
年玉の印伝財布匂ふなり 伊勢きみこ 火星 200904
年玉やはじくる笑顔並びをり 和田セツ子 遠嶺 200905
虎の子を惜しみ惜しまずお年玉 鷹羽狩行 201001
少年の匂ひほつほつお年玉 森下康子 201003
年玉に一冊添へる偉人伝 宮内とし子 201003
一句添へる年玉孫の頷けり 和田政子 201003
子の名前ならべて包むお年玉 柴田志津子 201004
お年玉弗も一枚封入し 藤沢秀永 201004
お年玉神の子なりと申し受く 伊藤希眸 京鹿子 201004
年玉は手伝ひご褒美と祖母の手 東秋茄子 京鹿子 201004
褒め言葉添へて手渡すお年玉 加藤八重子 末黒野 201004
パソコンのお年玉とや息子より 松村光典 やぶれ傘 201006
リルケの詩諳んじる子へ御年玉 山田六甲 六花 201101
乙女へは銀の指輪をお年玉 ことり 六花 201101
年玉で右手グローブ買うてくる 恒成久美子 ぐろっけ 201102
ホテル膳卒寿の父のお年玉 中村紘 ぐろっけ 201102
お年玉年毎に増へし笑顔あり 牧原佳代子 酸漿 201103
お年玉あたり良き事ありさうな 西垣順子 201104
お年玉子より貰ふは照れながら 市村健夫 馬醉木 201104
足し算の上手にできてお年玉 石田きよし 201104
年玉の工面に老夫の事始め 東秋茄子 京鹿子 201104
お年玉袋大中小のあり 後藤立夫 ホトトギス 201105
お年玉どの子もそっと中覗く 山本久美子 ぐろっけ 201105
じじばばや曾孫抱きあげお年玉 川井素山 かさね 201203
孫にやり子に貰ひたるお年玉 三輪慶子 ぐろっけ 201203
お年玉女将手書の飛竜絵馬 森理和 あを 201203
お年玉福沢諭吉と子の電話 黒滝志麻子 末黒野 201204
小さき子の順に渡すやお年玉 堀畑朋子 末黒野 201204
年玉の袋動かず抽出しに 藤井久仁子 ぐろっけ 201204
曽祖父の年玉いつも真珠玉 長山あや ホトトギス 201205
買溜めの年玉袋出番なし 村田とくみ ぐろっけ 201205
お年玉たうたう背丈越されたる 松原三枝子 万象選集 201205
膝小僧並べて待てりお年玉 内田郁代 万象選集 201205
お年玉渡す嬰の手あたたかし 塩田惠美子 万象選集 201205
子らの名を呼び間違へてお年玉 山下とし子 万象選集 201205
年玉に那智の硯を貰ひけり 坂田静枝 万象選集 201205
お年玉もみぢに似たる手の二つ 山口キミコ 九十九島 201209
年玉やもう将来を語る子等 稲畑廣太郎 ホトトギス 201301
お年玉だけは貰つて帰らねば 稲畑廣太郎 ホトトギス 201301
年玉といふ重きもの軽きもの 稲畑汀子 ホトトギス 201301
ふくらみをそつとなでたるお年玉 羽賀恭子 201303
すぐ開ける孫仕舞ふ孫お年玉 橋本修平 かさね 201303
お年玉用意の爺も恵比須顔 田中清秀 かさね 201303
這ひ這ひの子の名も記すお年玉 羽根嘉津 201303
今年また年玉貰ふ至福なり 水谷芳子 雨月 201304
孫曾孫卆寿の手よりお年玉 藤田京子 ぐろっけ 201304
年玉の額が頭痛の年金者 東秋茄子 京鹿子 201304
年玉で化粧水買ふ十二歳 吉田和子 ぐろっけ 201305
熟年へ真青な空のお年玉 布川直幸 201401
箪笥からご宝前へとお年玉 山田六甲 六花 201401
まづはまづおとがひ細りにお年玉 田尻勝子 六花 201403
年玉や夫より貰ふ電子辞書 西郷慶子 201403
その元気授かる子等へお年玉 中本吉信 201403
年玉に成人までねと一筆箋 赤座典子 あを 201403
目線高きにお年玉渡しけり 青山正生 201404
お年玉あんちくしやうが呉れにけり 城孝子 火星 201404
家計簿の始まりいつもお年玉 佐藤いづみ ろんど 201405
だれかれの臍の御縁やお年玉 金田けいし ろんど 201405
年玉や特養ホームの子守唄 鴨下昭 201405
皆知つてゐる年玉の中味かな 稲畑汀子 ホトトギス 201501
八十路より五十路へ渡すお年玉 稲畑廣太郎 ホトトギス 201501
子に貰ふ年玉を先づ仏前に 石谷淳子 雨月 201503
お年玉卒寿の母にもらひけり 岡部名保子 馬醉木 201503
お年玉母銀行へ預け入れ 廣瀬将也 201503
九九が出来割り算も出来お年玉 宮内とし子 201503
どの顔も笑つてをりぬお年玉 佐藤弘香 ろんど 201504
お年玉一緒に疎開せし姉に 中山賠雪 201504
お年玉八つつくりて実家へと 國保八江 やぶれ傘 201504
年玉はリボンをかけし絵本かな 大内佐奈枝 万象 201504
お年玉葉書一等亀鳴けり 遠藤逍遙子 風土 201507
お使ひの子の自転車はお年玉 中田みなみ 201603
子と孫に年玉渡す夫かな 萩原久代 やぶれ傘 201604
生徒らにお守り入りのお年玉 萩原久代 やぶれ傘 201604
歳順に並びたる子へお年玉 苑実耶 201605
年玉に笑顔並んでをりにけり 稲畑汀子 ホトトギス 201701
うれしいと言はるはうれしお年玉 山田六甲 六花 201701
五十銭銀貨の頃のお年玉 佐藤山人 201702
お年玉今日一番の笑顔なる 大橋晄 雨月 201703
年玉用の札に切られし絆創膏 片桐てい女 春燈 201704
のけ反れる嬰にも渡すお年玉 斉藤マキ子 末黒野 201704
子等の眼のきらとかがやくお年玉 堺昌子 末黒野 201704
大台に乗せたる歳にお年玉 後藤比奈夫 ホトトギス 201705
復活の兆し年玉受けるより 稲畑廣太郎 ホトトギス 201710
育てたる子に貰ひたりお年玉 大日向幸江 あを 201802
喃語には喃語で応へお年玉 間宮あや子 馬醉木 201803
いつの間に二重瞼やお年玉 大沢美智子 201803
曽孫らに配る年玉包みをり 平絵美子 春燈 201803
お年玉曽孫四人を知らぬ亡夫 諸戸せつ子 春燈 201803
曽孫らに配る年玉包みをり 平絵美子 春燈 201803
年玉の礼ぼそぼそと受験生 赤座典子 あを 201804
年玉の歩いてきたる風の角 竹中一花 201804
初めてや孫より受くるお年玉 及川照子 末黒野 201804
年齢(とし)の差に工夫をこらすお年玉 大野芳久 やぶれ傘 201804
年玉を息子(こ)よりもらひて神棚へ 神山市実 やぶれ傘 201804
いつの聞に二重瞼やお年玉 大沢美智子 旬日 201808
年玉を用意する身を楽しみて 稲畑汀子 ホトトギス 201901
快晴の富士見しというふお年玉 稲畑汀子 ホトトギス 201901
年玉に瞳ひかるや前奏曲 七郎衛門吉保 あを 201903
年玉を貰ひに来ればよきものを 後藤比奈夫 ホトトギス 201904
年玉や見上ぐる孫の喉仏 森清信子 末黒野 202004
お年玉を較べし孫等皆親に 佐藤玲子 春燈 202004
背の丈をほめて年玉渡しけり 斉藤マキ子 末黒野 202004
甥の背の又伸びてゐるお年玉 廣田幸子 末黒野 202004
年玉に米一升をもらひけり 石井美智子 風土 202011
縁起ものとて七十路の吾へお年玉 篠田純子 あを 202103
社長より貰ふ年玉千円ぞ 篠田純子 あを 202103
みどりごの手に握らせるお年玉 藤原明美 202104
お年玉ぺこりぺこりと辞儀二つ 森清堯 末黒野 202104
年玉や身丈越す子の照れ笑ひ 沼崎千枝 末黒野 202104
お年玉渡せし子等も皆育ち 関喜久子 202104
白鳥にドッグフードのお年玉 光成敏子 202104
年玉を受けて戸惑ふ主かな 山田佳子 202106
年玉や百円札のありし頃 坂井博 202204
髭面へ今年最後のお年玉 長尾タイ 末黒野 202204
お年玉見上ぐる丈の子に授く 渡辺やや 風土 202204
婿より年玉「新機種スマホ」おし戴く 篠田純子 あを 202204
お年玉姉妹の膝の小さきかな 住田千代子 六花 202204
準備した今年も使わぬお年玉 吉宇田麻衣 202206
年玉の袋も札もしやぶりをり えとう樹里 202208
元日に生まれし子にもお年玉 杉本みどり 202212

 

2023年1月1日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。