時の日       198句

時の日や携帯電話の声歩む   内田しんじ

作品
作者
掲載誌
掲載年月
時の日のででむし退ること知らぬ 水原春郎 馬醉木 199808
時の日の雨の日時計憮然たり 大橋敦子 雨月 199808
時の日を煙の花といふ見たり 大橋敦子 雨月 199808
時の日の喋る時計にある憂ひ 能城檀 船団 199907
時の日や勝つも負けるも時の運 伊藤一歩 いろり 199908
時の日の峠越えくる路線バス 深川知子 俳句通信 199908
時の日や正午を城の大太鼓 田原文枝 風土 199909
時の日や時間の許すかぎり寝て 川崎光一郎 京鹿子 199909
時の日に買ひし時間のない時計 松田都青 京鹿子 199909
時の日に頬杖をつく男の子 わたなべじゅんこ 船団 199912
時の日の長い手紙を書き終える わたなべじゅんこ 鳥になる 200003
時の日も天向き泰山木の花 蔦三郎 円虹 200008
時の日や音なく流る砂時計 安井明子 200008
時の日のタイムベル鳴る湯殿より 杉本艸舟 200009
山峡に来て時の日を遊ぶなり 鈴木政子 200009
時の日の時無駄遣ひ晩年へ 上林孝子 200010
時の日や弥生遺物に囲まれて 鳴海清美 遊び蔓 200105
時の日や来し方共に古時計 久保田一豊 いろり 200108
時の日の田水に泡の立ちにけり 浜口高子 火星 200109
時の日の刻を無視して珈琲飲む 大橋敦子 雨月 200109
爐にありて塔を四時の日としたり 岡井省二 200110
時の日の活字小さき時刻表 しおやきみこ 船団 200111
時の日や疲れ知らずの古時計 小阪律子 ぐろっけ 200111
ゆつくりと進みて時の日の神事 丁野弘 200112
時の日や新幹線の博多行き 宮城白路 風土 200207
時の日の腕に馴染みし腕時計 塩川雄三 築港 200208
時の日の正午を告げる刻太鼓 長谷川通子 雲の峰 200208
家中の時計を正す時の日に 坂口三保子 ぐろっけ 200208
時の日の時が日輪食みにゆく 小野島淳 200209
時の日の川音絶ゆるべくもなし 公山礼子 200209
時の日や人溜りゐる交差点 佐藤佐代子 200209
時の日のひとを立たしめ船の笛 矢島久栄 200210
時の日やひたすら鏡磨きゐる 松林順子 雨月 200210
欠航の夜となる時の記念日よ 木曽岳風子 六花 200210
時の日の一角獣が角を振る 瀬戸悠 風土 200306
時の日の古城の地下にワイン買ふ 遊橋恵美子 風土 200309
時の日の眠る時計の語るもの 竹下昭子 ぐろっけ 200309
時の日の時をとどむる湖の色 木野本加寿江 火星 200310
時の日や事もなく魚乾きゆく 西村葉子 京鹿子 200310
時の日の時に追はれて過ぎにけり 八木岡博江 酸漿 200408
時の日の一人に余る時間かな 中村重雄 百鳥 200409
時の日や松下村塾古りまさる 宇佐美ゆき 酸漿 200409
時の日の正午のチヤイム火山村 沼口蓬風 河鹿 200409
時の日の刻の鐘聞く倉の町 森山のりこ あを 200409
時の日や五分に執す茹玉子 山元志津香 八千草 200412
時の日や出生率のまた下り 杉良介 200503
時の日も刻打人形ときうちにんぎょうぎくしやくと 品川鈴子 ぐろっけ 200507
時の日の天気占ふ浜の長 水原春郎 馬醉木 200508
時の記念日出足とられし長電話 木村茂登子 あを 200508
時の日やこころに刻む師の句集 吉澤利治 遠嶺 200509
時の日や刻にかかはりなき齢 徳永辰雄 春燈 200509
時の日のあぢさゐ未だ色なさず 金澤明子 火星 200509
時の日のタイムカプセル撫しにけり 村上葉子 百鳥 200509
時の日や週休七日の身となりて 山本喜朗 雨月 200509
時の日や子午線時を支配せる 堀井英子 雨月 200509
時の日の流るる雲を見てゐたり 渡辺正子 百鳥 200510
時の日の時奪はるる幼らに 渡辺貞子 京鹿子 200601
時の日の路面電車の機嫌かな 上谷昌憲 200608
時の日や水の下行く水迅き 神蔵器 風土 200608
時の日の検診台といふ呪縛 辰巳あした 雨月 200608
燈台の閃光時の日をきざむ 乗光雅子 雨月 200608
時の日や一日一語のカレンダー 陳錫恭 春燈 200609
時の日やいつものやうに棹竹屋 一ノ瀬次郎 春燈 200609
時の日やデジタル時計ばかりなる 合川月林子 ぐろっけ 200609
時の日やぼんぼん時計いまになほ 大石よし子 雨月 200609
時の日の寝坊を子らにとがめられ 熊谷尚 200610
時の日を何をするでもなく虚ろ 荒木治代 ぐろっけ 200610
時の日や縁の下より鶏の声 若井新一 200611
時の日の時計廻りの木馬木馬 高野万里 200706
時の日の漏刻に似て独り酌む 千田敬 200708
時の日や耳そばだつるペルシャ猫 小宮山勇 遠嶺 200709
時の日や心音刻をあやまたず 落合由季女 雨月 200709
時の日の心拍音はしかと打つ 隅田恵子 雨月 200709
時の日の雑巾ぎゆつと絞りたる 篠藤千佳子 200709
時の日や今をさかりの時計草 青木政江 酸漿 200709
時の日の木立や遠くまで眩し 木内憲子 200709
いのち尊し時の記念日めぐり来て 丸山佳子 京鹿子 200711
時の日や京都時間で恙なし 丸山佳子 京鹿子 200809
時の日や電池切れたる時計の数 大橋敦子 雨月 200809
生き過ぎしと思ふ時の日臥しをりつ 杉山瑞恵 雨月 200809
時の日め時に急かされ蹌踉と 佐藤史づ代 雨月 200809
時の日を歩む明石の時の道 和田一 雨月 200809
時の日や潮の満ちくる大鳥居 中村房子 馬醉木 200908
時の日の時を余さず鍬使ふ 池元道雄 馬醉木 200908
時の日のねぢれば音を発す紙 甲州千草 200908
電波時計一途に時の日を刻む 安立公彦 春燈 200908
時の日や時に賢帝ありてこそ 大橋晄 雨月 200908
時の日や揺すれば動く古時計 田山彰子 遠嶺 200909
時の日や開けてしまひし玉手箱 荒井慈 春燈 200909
時の日をいつものやうに時の過ぎ 西岡啓子 春燈 200909
時の日の予報快晴港町 柳生千枝子 火星 200909
時の日や無為の時間もまた良けれ 出口賀律子 雨月 200909
時の日や脈搏正しかりしこと 金森教子 雨月 200909
時の日や子午線通過証駅に受く 堀田清江 雨月 200909
時の日や大津宮址に刻過し 久保田雪枝 雨月 200909
時の日や電波とび交ふ世に生きて 宮平静子 雨月 200909
時の日や漏刻の水脈々と 塩見治郎 雨月 200909
時の日のひとりの夕餉ととのふる 中谷葉留 風土 200909
時の日や時計なき腕のびやかに 柴田久子 風土 200909
海を見てゐて時の日の時忘れ 佐藤淑子 雨月 200910
時の日や旅程を時刻表で組み 木場田秀俊 200911
時の日の早送りするチャップリン 鳥居秀雄 201008
時の日や刻に追はるる禰宜と巫女 竹内悦子 201009
時の日や子午線上に立つ時計 藤村達江 春燈 201009
時の日や子午線上の天文台 片岡良子 雨月 201009
わが箱田時の記念日の苗を植う 坂本幸子 酸奬 201009
時の日の掌よりこぼるる陀羅尼助 中条さゆり 201010
時の日や砂に呑まれし国のあり 奥田筆子 京鹿子 201010
時の日の水車果てなく廻りをり 横山昭子 雨月 201010
時の日や鎖の長き金時計 松本文一郎 六花 201010
時の日やかのマッチ絵の騎兵隊 安立公彦 春燈 201108
山の灯に計る時の日のひと日 豊田都峰 京鹿子 201108
時の日やほのかに香る時計草 池田節 春燈 201109
時の日や義務のごとくに水を飲む 宇都宮敦子 201109
時の日や村一番の古時計 鈴木みのる 風土 201109
時の日の弥生の火色のこる土器 柴田良二 雨月 201109
時の日の正午に合はす古時計 池谷鹿次 末黒野 201110
時の日の海に向けたる午後の椅子 藤原はる美 201110
時の日の職にはげみし手を洗ふ 丸山佳子 京鹿子 201206
時の日やデジタルといふこまぎれ時 豊田都峰 京鹿子 201208
時の日や死を問はれたり五才児に 須賀敏子 あを 201208
時の日や湖畔を右翼街宣車 福島せいぎ 万象 201209
時の日や掘らば都の柱跡 丸井巴水 京鹿子 201209
時の日の湾処に垂るる竿の数 大山文子 火星 201209
時の日を無駄なく使ひ湯の二人 丸井巴水 京鹿子 201210
時の日や電池切れたる鳩時計 山咲和雄 末黒野 201210
時の日や刻を閉ぢたる敦盛像 小原登志春 雨月 201301
時の日や個々の刻乗せ列車発つ 布川直幸 201306
時の日やわが身の刻をゆるやかに 西本育子 ろんど 201310
時の日や電車乗る人降りる人 鍋島武彦 末黒野 201310
時の日や時計の綽名に甘んじて 瀧春一 花石榴 201312
時の日や宛然として時計草 瀧春一 花石榴 201312
時の日や秒針急に走り出し 中本古信 201408
定刻に始まる句会時の日の 金森信子 雨月 201408
時の日や偕老の刻ゆるやかに 塩見英子 雨月 201409
時の日や乗り物すべて折り返す 齊藤實 201409
時の日や我が誕生の日を祝がれ 鈴木礼子 末黒野 201409
時の日の時を刻める水車かな 安斎久英 末黒野 201409
時の日や東慶寺より建長寺 神蔵器 風土 201507
時の日の鐘の音澄める音楽寺 松橋利雄 春燈 201508
時の日の時の往復砂時計 峰崎成規 201508
時の日や体内時計狂ひ出す 柴田久子 風土 201508
時の日の永代橋の真中かな 井口ふみ緒 風土 201508
時の日や未完におはす薬師仏 下山田美江 風土 201508
時の日や父の遺せし腕時計 水井千鶴子 風土 201508
時の日の夕暮れ渡る鐘一つ 井口ふみ緒 風土 201508
時の日や現役通す友の電話 和田政子 201508
時の日を許六の山野訪ね来し 安部和子 雨月 201508
時の日や又砂時計買ひ忘れ 落合絹代 雨月 201508
時の日の体内時計狂ひをり 時澤藍 201509
時の日の揺り椅子揺れて父の声 飛高隆夫 万象 201509
時の日や夫の遺愛の腕時計 城詰操 万象 201509
時の日や呼び出されたる電子音 和田慈子 末黒野 201510
時の日やいつか時計に進み癖 内藤静 風土 201512
時の日の時小きざみに使ひけり 今井妙子 雨月 201608
時の日の時裏返す砂時計 川田好子 風土 201609
時の日の初めの音や朝刊来 原友子 201609
時の日や二分進みし腕時計 大橋晄 雨月 201609
時の日の家ぬちの時計皆正す 本多正子 雨月 201609
時の日や古町に鳴る時の鐘 多方清子 雨月 201609
几帳面な母よ時の日に逝きし 窪みち子 201610
時の日や時間はよどみなく進み 本田保 春燈 201610
時の日や諸行無常の時いとひ 落合由季女 雨月 201705
時の日のあるだけの鎌出して研ぐ 中川句寿夫 ここのもん 201705
時の日の時を忘るる遊びかな 高橋将夫 201708
時の日や風月堂の大時計 山田天 雨月 201708
時の日ぞ何か忘れしことありや 大坪景章 万象 201709
時の日やソーラー時計狂ひ無く 安斎久英 末黒野 201709
時の日やいつも出会へるサラリーマン 鍋島武彦 末黒野 201709
時の日も時を忘るる呑みっぷり 大島寛治 雨月 201709
時の日や大事に使ふ持ち時間 大室恵美子 春燈 201709
時の日のふるさと行きの切符かな 辻美奈子 201808
時の日の船橋にある丸時計 碇天牛 雨月 201808
時の日の湾に広ごる汽笛かな 後藤眞由美 春燈 201809
時の日や四分遅れの腕時計 中上馥子 春燈 201809
時の日の二代目である鳩時計 鈴木昌子 六花 201810
時の日の湯舟の中の数へ歌 鈴木昌子 六花 201810
時の日やベルト縮めるための穴 甲州千草 201908
時の日や手擦れし皮の備忘録 池野つむぎ 馬醉木 201909
時の日や時に追はるる吾が余生 吉田順子 201909
時の日や一人時間を独り酌む 江見巌 六花 201909
時の日や日本最古の花時計 塩見治郎 雨月 201909
時の日や今日も銀座の時の鐘 福岡かがり 雨月 201909
時の日の花時計いま工事中 有賀昌子 やぶれ傘 201910
時の日や遊んで帰るシンデレラ 江見巌 六花 202009
時の日や片手余るか我が余生 鍋島武彦 末黒野 202009
時の日の時の倒立砂時計 森村江風 202108
時の日やワクチン接種日きまりけり 奥田筆子 京鹿子 202108
時の日や時の流れの無為にあり 田中春江 末黒野 202109
時の日や卓に真白きゆで卵 門伝史会 風土 202109
時の日やリモート会議昼夜なし 中村洋子 風土 202109
時の日の吾が影いつも後れをり 村田あを衣 京鹿子 202206
時の日や生きる時間を画きなほす 村田あを衣 京鹿子 202206
時の日の三分もどす砂時計 本郷公子 京鹿子 202209
不時の日や老いてわづかに待ち上手 笠井令子 202209
時の日や進みぐせある置時計 鈴木千恵子 末黒野 202210
時の日の砂一粒の秒落つる 山田六甲 六花 202210
時の日や戦争は人火に落とす 兵泉美 京鹿子 202210

 

2023年6月10日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。