籐椅子  165句

飴色の籐椅子猫のやうな母   竹内弘子  獐

作品
作者
掲載誌
掲載年月
古籐椅子過去形ばかり乗つてをり 山田弘子 春節 199503
籐椅子にぎしと覚えの父の音 古屋元 199809
籐椅子に聞えてトタン打つ音す 岡本眸 199810
籐椅子に語る月日のありにけり 稲畑汀子 ホトトギス 199905
籐椅子に父の癖あるくぼみかな 能村研三 199908
籐椅子に明治の風がふきぬけり 山田弘子 円虹 199908
籐椅子に洗ひたてなるいのち延べ 水内慶太 銀化 199908
籐椅子に百合の切手の招待状 松木知子 ヒッポ千番地 199910
籐椅子や亡父昼寝せしときのまま 永野秀峰 ぐろっけ 200008
籐椅子や献立に倦み雨に倦み 千手和子 馬醉木 200009
籐椅子の先客猫でありしかな 黒川悦子 円虹 200009
籐椅子に新聞コーヒー老眼鏡 黒川悦子 円虹 200009
籐椅子にすつぽりはまり山の風 黒川悦子 円虹 200009
古籐椅子座れば壊しき匂ひ 黒川悦子 円虹 200009
籐椅子をのり出し海の星を指す 伊東みのり 遠嶺 200010
籐椅子に窪み残して父逝けり 小川昭江 200010
籐椅子の父に失せたる男の香 小菅暢子 200011
青柿に祖母の籐椅子ありにけり 小林あつ子 火星 200104
虚子庵の籐椅子在りし日のまゝに 稲畑汀子 ホトトギス 200106
籐椅子に座せば出てくる答へかな 稲畑汀子 ホトトギス 200106
籐椅子に時間止つてをらざりし 稲畑汀子 ホトトギス 200106
籐椅子の軋み星座のきしみほど 鷹羽狩行 200108
籐椅子にビスケットの缶暮れ初むる 芝尚子 あを 200108
籐椅子や仮想の敵に夢やぶらる 宇都宮滴水 京鹿子 200109
籐椅子の飴色におもふ月日かな 能村登四郎 羽化 200110
シェリー酒のグラスに揺れて籐椅子のゆれ 成定紋子 船団 200202
籐椅子や柔らかく打つ尾骶骨 鷹羽狩行 200207
籐椅子に沈みすつかり虚子気取 稲畑廣太郎 ホトトギス 200207
籐椅子や思ひの果の息となる 岡本眸 200207
籐椅子を軋ませて無理押し通す 小川匠太郎 200208
籐椅子を少し軋ませ話しだす 沖祐里 200208
籐椅子に明日の夢見て覚めて無に 岩崎憲二 京鹿子 200209
籐椅子に紙飛行機の置いてあり 長石彰 築港 200210
父亡くて籐椅子海へ向きしまま 荒井千佐代 200210
籐椅子に軋みも立てず坐る母 林富男 ぐろっけ 200210
籐椅子や読書音楽酒少し 加藤暢一 200302
籐椅子につかまり試歩を始めたり 吉田龍 200307
暇あれば座る籐椅子風涼し 岡久枝 酸漿 200309
籐椅子の凹みに月日知らさるる 加藤富美子 200310
籐椅子のへこみ父在す日の記憶 鎌倉喜久恵 あを 200310
冬日向母は好みの籐椅子に 大屋和子 帆船 200404
籐椅子にわが一塊のいのちかな 岡本眸 200408
籐椅子に記憶の飛沫オルゴール 中野京子 200409
籐椅子の父さんの巣といはれたる 植竹美代子 雨月 200409
籐椅子に客乗せ桂林川下り 角谷美恵子 ぐろっけ 200409
籐椅子や思へば父は死上手 高橋瑛子 河鹿 200410
籐椅子の窪みへ眠気誘はるる 鳴海清美 六花 200410
籐椅子や沖に傾くアンタレス 杉田智栄子 馬醉木 200412
古籐椅子つかまり立ちし児の手染み 平野きぬ子 八千草 200412
山荘の籐椅子に虚子偲ぶ旅 稲畑廣太郎 ホトトギス 200506
虚子座りたる籐椅子はそのままに 稲畑汀子 ホトトギス 200507
籐椅子と柱は古りし日のままに 稲畑汀子 ホトトギス 200507
厨より一語籐椅子より一語 竪山道助 風土 200509
籐椅子にかけて味はふ餅の菓子 長崎桂子 あを 200509
籐椅子の白樺に向き浅間向き 岩垣子鹿 ホトトギス 200512
いつ来てもこの籐椅子が待つてをり 篠原樹風 ホトトギス 200610
籐椅子に揺れゐるコナン・ドイルの書 川口襄 遠嶺 200610
籐椅子の歳月を経て艶深む 岸本林立 雨月 200610
書斎とて六畳二間縁に籐椅子 鈴木榮子 春燈 200706
籐椅子に座せば山荘暮れゆけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200706
虚子の世のごとく籐椅子置かれあり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200706
籐椅子に在る船長の暇かな 瀧春一 200706
籐椅子や心は常に青年期 水原春郎 馬醉木 200708
籐椅子に太鼓腹出しねむりをる 久保東海司 200709
籐椅子にぼろんぼろんと古時計 鳳蛮華 200709
籐椅子やおもふは父の褒めことば 吉野のぶ子 遠嶺 200711
籐椅子に仰け反る猫の面がまへ 森山八重子 ぐろっけ 200712
籐椅子の擁ひ心地の残暑かな 南浦輝子 火星 200712
籐椅子の丈の短き乗馬服 瀬下るか 200808
籐椅子や夕風たちて風匂ふ 松田千枝 春燈 200808
籐椅子の吾を揺らして去りゆけり 佐山苑子 遠嶺 200809
四半世紀とは籐椅子のほつれかな 辻直美 200809
籐椅子に隔離されたる男かな 中田みなみ 200809
古籐椅子虚子の悌凹ませて 稲畑廣太郎 ホトトギス 200906
籐椅子に座る彼の日を近づけて 稲畑廣太郎 ホトトギス 200906
籐椅子や柱の疵も古りにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200906
籐椅子を出すより句会場となる 稲畑廣太郎 ホトトギス 200907
籐椅子のきしみ具合も馬齢かな 千田敬 200909
籐椅子やロイド眼鏡と新聞と 西澤茂子 200910
籐椅子にあれば庭木のさやぎかな 白石正躬 やぶれ傘 200910
忙中の閑のひととき籐椅子に 安原葉 ホトトギス 200911
籐椅子に風の気配といふものを 山田弘子 ホトトギス 200911
籐椅子や水平線は一碧に 清海信子 末黒野 200911
籐椅子を運ぶ一番風上に 山口ひろよ 200911
古籐椅子加へて客の人数に 稲畑汀子 ホトトギス 201006
籐椅子や今なほ亡父の指定席 石川かおり 201007
籐椅子を取りあひしたる遠き日々 石川かおり 201007
深々と籐椅子に身をあづけをり ことり 六花 201008
籐椅子にひらくや妣の備忘録 堀田順子 馬醉木 201009
籐椅子の背の凹みぐせ三代目 山崎青史 ろんど 201010
山荘に籐椅子といふ主棲む 長山あや ホトトギス 201011
飴色となる籐椅子もおもかげも 櫨木優子 201011
籐椅子の湖に向けられたるロビー 稲畑廣太郎 ホトトギス 201107
籐椅子に山荘の夜の団居あり 稲畑汀子 ホトトギス 201107
軽々と運ぶ籐椅子五六人 稲畑汀子 ホトトギス 201107
籐椅子の我と向き合ふ一面鏡 猪爪皆子 201109
籐椅子の祖父の形にくぼみをり 栗栖恵通子 201109
籐椅子のきしめば過去のよみがへる 三村純也 ホトトギス 201111
ぎいと鳴らして籐椅子に座りけり 根橋宏次 やぶれ傘 201111
籐椅子に七月八日更けしかな 松橋利雄 光陰 201203
籐椅子を軽々と席ととのふる 稻畑汀子 ホトトギス 201206
山荘の籐椅子にはや半世紀 稻畑汀子 ホトトギス 201206
仕事の手休めては又籐椅子に 稻畑汀子 ホトトギス 201207
籐椅子や祖父の思ひ出遥かなる 山荘慶子 あを 201208
籐椅子の凹み懐かし父のもの 和田郁子 粥の味 201209
訪うて返事籐椅子よりありぬ 神田千枝女 雨月 201209
籐椅子に婦人公論伏せてあり 村上倫子 201210
籐椅子に安曇野の風存分に 堀田恵美子 雨月 201211
蜩や籐椅子にある子の寝息 鴨下昭 201301
籐椅子のいくつか並ぶ喜寿の席 松本アイ ぐろっけ 201311
籐椅子や母のせしごと大欠伸 瀧春一 花石榴 201312
籐椅子に子規漫録とホトトギス 渡部法子 201408
籐椅子の軋みゆたかに老いにけり 齊藤實 201409
籐椅子の本を積まれて古りにけり 飛高隆夫 万象 201409
籐椅子の容になつて眠りけり 中尾安一 火星 201410
籐椅子の女に答ふ九官鳥 江見悦子 万象 201410
籐椅子に坐すや忽ち寝入る妻 松本三千夫 末黒野 201410
籐椅子の父祖の歳月軋むなり 中島芳郎 201411
籐椅子にありて見え来し庭の奥 安原葉 ホトトギス 201412
籐椅子に坐りて思ふ祖父のこと 山荘慶子 あを 201504
縦の風横の風来る籐椅子に 稲畑汀子 ホトトギス 201506
籐椅子に降りみ降らずみ籠りをり 能村研三 201509
籐椅子に体が波になつてゆく 安居正浩 201509
富士に向く籐椅子ふたつ美術館 森清信子 末黒野 201509
籐椅子を倉から出して祖父午睡 佐藤哲 万象 201511
籐椅子に富士と一緒に暮れてゆく 木村享史 ホトトギス 201512
籐椅子に風が寄り道して行きぬ 山田天 雨月 201608
籐椅子に寸暇やすらぐ敦の忌 安立公彦 春燈 201609
籐椅子にひそと腰かけ十五才 おーたえつこ 201609
籐椅子や戦火に消えし愛読書 落合小枝 春燈 201610
籐椅子に父の軋みの残りをり 内田節子 万象 201610
籐椅子にへこみのありて山の宿 横川良子 万象 201610
籐椅子に昨夜のくぼみのありにけり 風間史子 201610
籐椅子に座れば彼の座り癖 山西商平 ホトトギス 201611
籐椅子の凹みにありし三国志 竹内悦子 201611
山荘の古籐椅子の半世紀 稲畑汀子 ホトトギス 201707
動くたび軋む籐椅子古りしこと 稲畑汀子 ホトトギス 201707
籐椅子に和みてドラマ逃しけり 小山田子鬼 201707
籐椅子に師の忌近しと思ふ日や 安立公彦 春燈 201708
籐椅子に山の暮しのはじまりぬ 稲畑汀子 ホトトギス 201807
籐椅子のきしめば遠き日となりぬ 稲畑汀子 ホトトギス 201807
籐椅子に座してロザリオ繰る漢 稲畑廣太郎 ホトトギス 201808
籐椅子や父の逝きたる齢となり 楠原幹子 201809
籐椅子に沈みいつしか母と在り 平沢恵子 春燈 201810
籐椅子や永き余生の拠り所 石黒興平 末黒野 201812
籐椅子に夕風を待つ奥の間に 岡本まち子 馬醉木 201909
籐椅子やいくたびも色かへる空 近藤喜子 201909
籐椅子や芝生ころがる鳥の声 佐渡谷秀一 春燈 201909
籐椅子に坐してたちまち美人なる 山田六甲 六花 201909
籐椅子に身を委ねつつ富士仰ぐ 二宮桃代 雨月 201909
籐椅子に沈みて昨日遠くせり 岡田史女 末黒野 201911
籐椅子にある考の音妣の音 中野千代子 末黒野 202008
籐椅子や蛇笏龍太の亡きあとも 雨宮桂子 風土 202009
籐椅子の祖父父見ゆる夕ごころ 中野さき江 春燈 202009
籐椅子の軋み風より軽き老い 直江裕子 京鹿子 202010
山荘の籐椅子にある週刊誌 高濱朋子 ホトトギス 202010
山荘の籐椅子にある週刊誌 高濱朋子 ホトトギス 202010
庭先に籐椅子を出しアペリティフ 北城美佐 202108
飴いろの籐椅子父の半世紀 富川明子 202108
籐椅子に犬の眠つてゐる日暮 小山よる やぶれ傘 202109
籐椅子の手よりぽろりと『春と修羅』 南うみを 風土 202109
籐椅子の揺れて今昔行き戻る 六車佳奈 風土 202109
籐椅子や巨人贔屓の義母の背 松川昌義 末黒野 202111
籐椅子に八十路の髪を捕られけり 小田嶋野笛 末黒野 202112
籐椅子に虚子の句日記いつもあり 木村享史 ホトトギス 202201
人老いてゆく籐椅子に掛けるたび 木村享史 ホトトギス 202201
籐椅子や虚子山荘の主として 稲畑廣太郎 ホトトギス 202206
庭先に籐椅子を出しアペリティフ 北城美佐 202207
籐椅子の傾ぎ懐し古旅館 坂井博 202210

 

2023年5月29日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。