田 打     149句

 

作品
作者
掲載誌
掲載年月
ひたぶるに田を打つ人や奥信濃 小宮山勇 青胡桃 199905
土を忌む子ばかり育て春田打つ 渡辺純 京鹿子 199906
鉄塔の足を残して田を打ちぬ 原茂美 俳句通信 199906
山国にやつとの日差し春田打つ 佐々木東道 199906
春田打つ額田に勢ふ嶺の風に 佐藤淑子 雨月 199906
みちのくの田打ち桜は水のやう 深澤鱶 火星 199907
潮騒のけふは遠くに春田打つ 田中蘇水 馬醉木 199908
木曽の日暮れ田打ちの翁と申すべし 武田伸一 海程 199912
田を打てる媼親しき余呉訛 樺山翠 雨月 200007
春田打つ人やうしろの湖あかり 大東二三枝 200007
春の田を打つてをりけり元力士 山田六甲 六花 200103
放流の眼下に里の春田打ち 花島陽子 遠嶺 200105
春田打つ漢に星座生まれけり 小澤克己 遠嶺 200106
田を打ちぬ椿油の匂ふ髪 飯塚ゑ子 火星 200106
雲払ふ白き伊吹嶺春田打 山下佳子 200107
田を打つや会津高田の字高田 田中武彦 六花 200108
田打鍬磨くやほのと朝の月 皆川盤水 春耕 200203
打ち返すわづかな田へも霾れる 藤井昌治 200204
終生を麓にありて春田打 小澤克己 遠嶺 200205
菩提寺に隣る春田を打ちはじむ 池内淳子 春耕 200205
恵那山を父と崇めて春田打つ 椙山正彦 200206
木偶小屋の跡に隣れる春田打つ 小山香月 酸漿 200206
田を打てる一日浅間は靄がくれ 水原春郎 馬醉木 200207
春田打一川遠くひびきけり 森園ムツ子 200207
千枚田雨に一人の田打人 松崎鉄之介 200207
春田打海のにほひのしてきたる 谷口佳世子 200207
田打飛ぶ三百キロの車窓かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 200303
春田打つ雲のひとつが通りすぎ 平子公一 馬醉木 200304
春田打ち終へひとひらの雲仰ぐ 竪ヤエ子 雲の峰 200305
春田打八ヶ岳より風のまつしぐら 宮坂恒子 200305
春田打すませてきたる寝顔かな 高橋将夫 200306
春田打つ裾に海あり与謝郡 山本康夫 200306
里人の富士山を背に春田打つ 小林佐江子 雨月 200306
哀しみを背に負ひ切れず深田打つ 下平しづ子 雨月 200306
春田打つ相離れゐて夫婦らし 宮田悦子 200307
蜑たりし頃を眩しみ春田打つ 柴田近江 200307
日本の屋根に位置して春田打 矢崎すみ子 200307
応と声かけて田打のはじまれり 酒本八重 200307
千仞の谷の底ひの春田打つ 池田光子 風土 200311
山裾の踏切鳴れる田打かな 高杉風至 百鳥 200405
山国の田打や石を拾ひ捨て 木村倫三 遠嶺 200405
お城下の田打桜のかがよへり 小林共代 風土 200406
土塊のすぐに乾きし春田打 金川眞里子 百鳥 200406
春田打つ島のやうなる古墳背に 松井志津子 200407
神々のもたらす田打桜かな 小野寺節子 風土 200409
肘張りて結びを喰らふ田打どき 若井新一 200412
離宮田の土瑞々し初田打 川勝春 馬醉木 200504
潮鳴りのとどろく中の春田打ち 内海保子 万象 200505
春田打つ鍬に家紋を刻印し 高橋照子 雨月 200506
寂しさや遠く田打の土けむり 高木一 200506
棚田打つを望みて旅の車中より 近藤豊子 雨月 200507
棚田打ちつつ山裾の鳥となる 小澤克己 遠嶺 200507
皇居跡守りつぐたつき春田打つ 東野鈴子 雨月 200507
鍬の柄を野衣桁として春田打つ 吉田裕志 200508
春田打つ今年かぎりと子に伝ふ 大槻球子 遠嶺 200508
春田打つ紺絣の母若かりし 中道愛子 200508
スニーカーはきて田打や明日香人 江崎成則 栴檀 200509
一山の田打櫻のけさひらく 黒田杏子 百鳥 200603
真向ひに筑波嶺据ゑて春田打つ 石川笙児 200604
消えやすき富士を涯に春田打 木山白洋 馬醉木 200605
足指も遊んでをらず春田打 藤井佐和子 200605
棚田打つ老がゆびさす猪の罠 瀧春一 常念 200606
新しき風に触れよと春田打つ 高橋ひろ 万象 200606
田打済み棚田に軽き水の音 大房帝子 酸漿 200606
顔あげるたびに空あり春田打 橋口礼子 河鹿 200607
高天彦神見給ふや春田打 末吉治子 春燈 200607
根つからの農本主義者春田打つ 小林呼渓 200703
爺ちやんの鍬一丁の春田打 谷田部栄 万象 200705
父の忌の風の強さの春田打つ 小澤克己 遠嶺 200705
奥嵯峨の風まだ固き田打かな 芝山喜久子 馬醉木 200705
万葉の世よりの田打桜とも 鷹羽狩行 200706
脱ぎ置きし物を遠くに春田打つ 生田恵美子 風土 200706
一本の道の行方や春田打つ 加藤たかね 風土 200706
真ン中に能因島や春田打つ 小林輝子 風土 200708
鉾杉の影に入りたり春田打 赤松郁代 万象 200708
重たげな煙這ひをり春田打 塩路隆子 200804
反禅かいや順禅の春田打 小澤克己 遠嶺 200805
みづうみのふくらんでゐる田打かな 南うみを 風土 200805
四十八枚田打つに先駆く水の音 森岡正作 200806
春田打つ泥の夫婦の仲よくて 清水明子 遠嶺 200807
春田打つ孔明片雲仰ぎけり 小泉貴弘 筑波の道 200811
孫帰農決めしと老の春田打 北尾章郎 200905
天涯の響ける春田打ちにけり 小澤克己 遠嶺 200905
春田打つ人の繰り出す棚田かな 加藤長山 200907
佐保川の水の匂ひの春田打つ 宮木忠夫 200907
鉄塔を繋ぐ架線や春田打 吉村摂護 200908
初田打つ影それぞれに夫婦をり 小澤克己 遠嶺 201001
日の匂ひ水の匂ひや春田打 木下忠雄 酸漿 201003
春田打ちつつおのが影鋤き込んで 久保東海司 201004
故郷に三日戻りて春田打つ 竪山道助 風土 201005
春田打ちエンジンの音日暮まで 長崎桂子 あを 201005
カンバスを塗りつぶすごと春田打 甕秀麿 201006
鐘一つ聞きつつ奈良の春田打つ 小澤昭之 201006
土の香にまみれて春田打ちにけり 林光興 201006
里山に日の柔らかき田打かな 廣畑忠明 火星 201105
野良猫の一瞥受けし春田打 松岡和子 201105
春田打つ一筆書のごとくなり 辻直美 201105
継ぐ子なき老の一念春田打 河口仁志 201106
春田打かなはぬ大地熟視する 服部早苗 201107
黙々と異郷の田打つ被災人 片岡久美子 201107
手の肉刺の父譲りなり春田打 西畑敦子 火星 201107
石一つどけて始める田打かな 高橋将夫 201107
みちのくに田打桜の咲く頃か 山路紀子 風土 201107
やはらかき耳吹く風や田打人 中山皓雪 201107
ふるさとの山みなまろし春田打つ コ田千鶴子 馬醉木 201204
煩悩を生きる力に春田打 高橋将夫 201205
遠山は母のまなざし春田打ち 原友子 201205
たばしれる比叡の水や春田打つ 浅田光代 風土 201206
春田打つ父を煙の通りけり 高倉和子 201304
迫り来るビル群よそに春田打つ 三輪温子 雨月 201305
先導は三羽の小鳥春田打ち 岡野ひろ子 201305
農は芸てふこだはりの春田打 松岡和子 201306
淡墨の山を重ねて春田打 コ田千鶴子 馬醉木 201306
昼月の大方解けし春田打ち 池端英子 ろんど 201406
畝なかば御幣捧げて春田打 松岡和子 201406
春田打終へ来し人の大きな手 河口仁志 201406
営々の田打や環濠遺跡沿ひ 小澤菜美 201406
春田打つ音のひびきも奥吉野 橋添やよひ 風土 201407
裏山に狼煙あちこち田打桜 鎌田悟朗 ろんど 201408
春田打つ若き夫婦や乳母車 近昌夫 春燈 201412
木仏に朽ちまはりたる田打かな 深川淑枝 201503
農具研ぐ田打ち桜に急かされて 森岡正作 201505
良識の人です春田打つてます 高橋将夫 201505
春田打つごとくに一句一句かな 高橋将夫 201506
B面の土より蒸気春田打 加藤峰子 201507
田打機の音高々と耕地風 鈴木礼子 末黒野 201507
春田打ち終へて近づく地平線 稲畑汀子 ホトトギス 201603
春田打つ南部牛追ひ唄歌ひ 森岡正作 201604
捨て野菜屑も混ぜ込み春田打つ 横田敬子 201605
鳶の輪のなかの一村春田打つ 阪上多恵子 雨月 201605
水音に囲まれ春田打ちゐたり 川口崇子 万象 201607
トラクター田打ちは隅を念入りに 渡邊孝彦 やぶれ傘 201608
田打ち人張り付くやうに棚田かな 赤堀洋子 万象 201609
五箇山の山蔭の小田打ち返す 内海良太 万象 201610
噴煙の見ゆる粗き田打ちにけり 柴田佐知子 201705
終日隠り脳内春田打つ 柳川晋 201706
生き生きと黒々と土春田打つ 石黒興平 末黒野 201708
股鍬の著き刃跡や春田打 石黒興平 末黒野 201708
大山寺田打桜の夜ひらく 山田六甲 六花 201804
掛樋を走る水音春田打つ 土江比露 春燈 201807
初田打ち眠る大地を裏返す 堀康代 馬醉木 201904
鳶の輪は村の大きさ春田打つ 市村明代 馬醉木 201905
すぐそこに工業団地春田打 岡田史女 末黒野 201907
春田打済みたる谷戸の学習田 滝沢いみ子 末黒野 201908
父病みて子に託されし春田打 根本世津 202005
春田打つ農夫の肩の力かな 畑田久美子 202110
春田打つ老いの背中に風のむち 長尾タイ やぶれ傘 202207
夕照に光る額や春田打ち 久島しんの やぶれ傘 202207
黝々と光る櫛目や春田打 武田巨子 春燈 202207
ハクビシンの足跡深く田打ち後 眞田忠雄 やぶれ傘 202210

 

2023年4月1日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

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