129句

鱈搬ぶ馬が貌出す濃霧かな    高島茂

作品
作者
掲載誌
掲載年月
棒鱈のほどよくほぐれ東山 岩井如酔 きりん 199805
ぶつ切りの鱈山盛りにちやんこ炊く 升本行洋 春耕 199903
鱈のぶつ切りに喪服をたくしあげ 品川鈴子 ぐろっけ 199912
大鱈に噛ませし値札海猫鳴けり 酒井多加子 俳句通信 200002
がうがうと風吹く港鱈を揚ぐ 仲尾弥栄子 雲の峰 200003
棒鱈は欠かせず母の好みせば 大橋敦子 雨月 200003
躇はず千の地鱈を糶り落す 今村征一 円虹 200005
鱈鍋や生きてりゃへこむ日もあるよ 塩見恵介 虹の種 200005
男鹿半島に足かけて鱈捌きけり 武藤鉦二 海程 200007
蒼天の荷揚のクレーン鱈こぼす 村瀬初実 春耕 200010
鱈ちりの雪のやうなるあく掬ひ 伊藤宇太子 200102
棒鱈の荒縄掛に月冴ゆる 岸恒雄 春耕 200104
鱈汁の具のしやりしやりと出雲崎 菅沼義忠 200105
鱈糶つてうろこの光る台秤 平山節子 春耕 200112
鱈捌く財布失せしを愚痴りつつ 春田淳子 雲の峰 200201
鱈汁に北欧馴れの拒食症 泉田秋硯 200203
講宿に茶を飲んでゐる鱈売女 皆川盤水 春耕 200203
傾ぐほど積んで鱈船戻り来し 阿部月山子 春耕 200204
夕市の大き鱈より買はれけり 阿部月山子 春耕 200204
棒鱈の棒の始るところかな 後藤立夫 ホトトギス 200204
奥能登の鱈場曇りの果に佐渡 辻口静夫 ホトトギス 200209
鱈ちりや砂が窓打つ口座敷 大山文子 火星 200303
鱈汁や夫に二人の母のゐて 笹村政子 六花 200304
鱈提げて坂みちを行く男の背 青野れい子 200305
鱈割いて日輪汚すばかりなり 青野れい子 200305
棒鱈のつつかへ出たる水屋かな 山尾玉藻 火星 200311
鱈鍋や大食堂に五人寄り 坂田洋介 雲の峰 200401
ちり鍋の助宗鱈の白子よし 宇田紀代 200402
鱈船の帰港に急ぐフォークリフト 梶川智恵子 200402
ぷりぷりと浜直販の鱈子焼く 大塚初江 200403
歯がためにならず棒鱈よく煮えて 金森恭子 築港 200403
鱈汁や五年前まで遡る 花島陽子 遠嶺 200404
寄鍋の鱈にうつすら虹のいろ 古山智子 200404
鱈汁に観光バスの止まりけり 田中敬子 百鳥 200404
鱈汁や終日黒き日本海 比田誠子 百鳥 200404
僻地への赴任の文と鱈届く 中山勢都子 200404
北限の星見し貌か寒の鱈 山元志津香 八千草 200407
立山をそびらに鱈の市の鐘 皆川盤水 雲の峰 200411
湯気つつきては鱈の身のほろ崩れ 坊城俊樹 ホトトギス 200502
鱈一尾捌くもてなし再会す 藤原照子 200504
恐る恐る真鱈の白子ポン酢和 赤座典子 あを 200504
鱈汁に野を来し諸手ほぐれそむ 鈴木漱玉 馬醉木 200512
銭湯に外す鉢巻鱈場終へ 高崎武義 200512
昼食の鱈汁に腹ふくれけり 松崎鉄之介 200602
き醤油で漁師が啜る鱈のたち 岡本敬子 万象 200602
助宗鱈捌く女の語尾あらき 岡本敬子 万象 200602
糶られたる鱈の大口雪降れり 小田司 馬醉木 200602
鱈を売る土間の半分氷りけり 高倉和子 200603
棒鱈を吊し客呼ぶ錦市 永井孔雀 200603
雲のごと鱈の白子の茫漠たり 森田博 200603
新教師棒鱈背負ひ帰り来し 佐藤哲 万象 200606
棒鱈のねぢれ師走の錦市 森ひろ 馬醉木 200703
棒鱈の値を訊いてをる師走顔 鎌田篤 雨月 200703
担がるる大鱈の腹たぽたぽと 小林輝子 風土 200704
鱈ちりに曽曽木(そそぎ)の波音高まり来 浜口高子 火星 200704
空を呑むやうに吊られし鱈の口 小林輝子 風土 200704
神前に大鱈比べ漢ら酔ふ 小林輝子 風土 200704
飴色に鱈煮含むる子守歌 前川明子 200704
鱈喰ふに生憎の日差かな 荒井和昭 200705
鱈食うて名刹めぐる京の旅 青木彦一郎 遠嶺 200709
なびく旗鱈船漁場目指すなり 柿崎寿恵子 酸漿 200802
鱈子買ふ裏のシールの生産地 植竹惇江 春燈 200805
千枚の影くつきりとすきみ鱈 安部康子 万象 200808
棒鱈の尖りや父の頑固振り 小澤菜美 200902
鱈の腸指一本が絡め捕る 泉田秋硯 200903
滾りゐる鱈ちり豆腐舌を焼く 吉田晴子 200903
巴里つ子の鱈三昧の暮らしかな 瀬川公馨 200903
身の丈の順に並びて糶の鱈 西山美枝子 酸漿 200904
友よりの薯と真鱈で煮るシチュー 前川明子 200904
鱈担ぐ行列宮の磴のぼる 阿部月山子 万象 200905
鱈船の吃水深く戻りけり 佐藤三男 万象 200905
鱈ちりの鍋を囲まば家族なり 松本文一郎 六花 200905
鱈ちりや期末テストの子も加へ 上原重一 201002
若狭より鱈売り媼金曜日 小澤菜美 201003
越後路の鱈の白子が恋しくて 赤座典子 あを 201003
鱈鍋や信濃仕立ての自在鉤 松本文一郎 六花 201004
鱈ちりや四人の暮しあとすこし 竹内慶子 春燈 201004
棒鱈の飴色となり一の膳 松本文一郎 六花 201004
棒鱈のよぢれに年の詰まりけり 河崎尚子 火星 201004
潮風に晒す鱈の身ささくれし 松原智津子 万象 201105
生きてゐることにも疲れ真鱈汁 野沢しの武 風土 201105
大ぶりの鱈さばかれて鍋地獄 本郷宗祥 かさね 201202
棒鱈を打ちて怒りのやうなもの 齊藤哲子 201205
鱈雑炊吹くや写楽の口となり 加藤峰子 201302
帰心はや鱈の切り身の透き通る 安居正浩 201303
銀鱈の初の押鮨旅情湧く 三橋玲子 末黒野 201310
アドリア海の塩振る鱈と手長えび 門伝史会 風土 201401
棒鱈を鋸でひきをり師走市 中村ふく子 201402
棒鱈の骨ばつてゐる空凍つる 辻水音 201403
風抜けて抜けて棒鱈がらんどう 田伏博子 ろんど 201403
大鱈のまだ生き生きと横たはる 石坂比呂子 末黒野 201404
看貫をはみ出してゐる鱈の腹 山本耀子 絵襖 201404
大鱈の大口開けて台秤 佐藤哲 万象 201405
目ん玉も大吉鱈のじゃっぱ汁 鎌田悟朗 ろんど 201405
千の鱈括られ浜にからからと 榎美幸 万象 201406
棒鱈を敵のごとく叩きゐる 秋千晴 201406
喰積に特々上の鱈子あり 山田六甲 六花 201501
棒鱈を好きなれば煮てふたり住 佐用圭子 201503
鱈煮切る使ひ馴れたる鉄鍋に 田原陽子 201504
三潮のつどう陸奥湾鱈の腹 鎌田悟朗 ろんど 201504
トロ箱に鱈長々とありにけり 原田達夫 箱火鉢 201511
化粧縄口から鰓へ鱈吊られ 小松敏郎 万象 201605
子持鱈小鍋立てするとも白髪 平川陽三 船団 201612
車座へ鍋ごと鱈の白子汁 青谷小枝 やぶれ傘 201701
塩吹いて骨まで透けり助宗鱈 大内マキ子 万象 201702
声高に鱈をぶち切る能登女 江見悦子 万象 201703
寒鱈のまつり仕度に雨襲ふ 藤波松山 京鹿子 201705
鱈まつり太鼓の音も味のうち 藤波松山 京鹿子 201705
棒鱈を裂くや嫁ぎて五十年 兼久ちわき 馬醉木 201705
塩鱈の塩分うまし酒うまし 小長谷紘 末黒野 201705
切らるるも血は流さざる凍れ鱈 押田裕見子 201706
鱈ちりや衝立越しに能登訛 二俣和歌子 馬醉木 201802
場所決めに波を蹴立てて初鱈漁 阿部月山子 万象 201802
母の忌や白子たつぷり鱈ちりに 渡辺美智子 末黒野 201805
魚屋の鱈のアタマと目が合って おーた一えつこ 201903
子らの来て古き土鍋で鱈ちりに 大沼経子 201905
あなたってすけべすべすべ鱈のゆめ 亀山朧 船団 201906
干鱈の断末貌を持て余す 丸井巴水 京鹿子 202003
オホーツク黒々と鱈白々と 稲畑廣太郎 ホトトギス 202012
鱈汁や蝦夷の風音閉ぢ込めて 稲畑廣太郎 ホトトギス 202012
考倣ひ伏見の酒と干鱈もて 今村千年 末黒野 202103
塩鱈の鍋の連夜や風の音 小長谷紘 末黒野 202105
能登の夜は甘く煮つけし真鱈の子 奥田温子 やぶれ傘 202105
干鱈食む八〇二〇自前の歯 松下道臣 202107
干鱈裂く思ひ出二つ三つ四つ 亀田虎童子 あを 202203
北前船絶えし港や鱈を干す 栗坪和子 202204
俎板に余る真鱈や二頭身 小田嶋野笛 末黒野 202204
棒鱈のはだかを買ひぬ年の市 升田ヤス子 六花 202204

 

2022年12月27日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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