玉 葱 (含 他季)    202句

人は皆死に来たりけり酢ツ玉葱  永田耕衣  琴座

作品
作者
掲載誌
掲載年月
を刻み昨日を悔いてをり 山田弘子 「春節」 199503
新玉葱琥珀色して煮られけり 山田禮子 遠嶺 199808
玉葱のしみし泪と言つておく 山田弘子 円虹 199808
玉葱が郵便局に吊つてあり 小澤克己 遠嶺 199908
病院を出て玉葱になつてゐる 小澤克己 遠嶺 199908
玉葱をきざむ華人の路次暗し 高村信子 春耕 199908
秋分の玉葱くさき島にゐる 山尾玉藻 火星 199911
玉葱のスライス透けて素数かな 小枝恵美子 ポケット 199911
クール便大事に贈らる赤玉葱 高木伸宜 船団 199912
新玉葱きざみてビーズ山積みに 塩貝朱千 京鹿子 200007
掛けておく玉葱月日過ぎ易き 柳生千枝子 火星 200008
玉葱や純なまなこの向く他界 水澤竜星 200008
玉葱が済み若衆はアメリカへ 朝妻力 俳句通信 200008
玉葱の肩を洗へる山の雨 海上俊臣 酸漿 200009
玉葱の苗の三畝や今朝の冬 亀山節子 春耕 200010
玉葱の半身より起つ志 利根川博 銀化 200011
玉葱束もちてバイエル習ひに来る 古井君枝 ぐろっけ 200011
玉葱の軒あまだれの唄ひだす 石山惠子 遠嶺 200105
隠し味にも玉葱の旬なりし 稲畑汀子 ホトトギス 200106
二ン月の玉葱の芽のまむらさき 嵯峨根鈴子 火星 200106
半鐘の鳴つて玉葱畑かな 大和田鏡子 俳句通信 200107
玉葱をぐっと見つめて相思かな 松山順子 船団 200107
玉葱の充實にまた泣かさるる 中原道夫 銀化 200108
玉葱は六道の辻曲れざる 森谷彰 銀化 200110
芽ぶきたる玉葱吊し一人住む 岡村命美 百鳥 200203
踏んづけて玉葱畑の少年期 品川鈴子 ぐろっけ 200205
何にでも使ふ玉葱旬のもの 稲畑汀子 ホトトギス 200206
吊りたての玉葱匂ふ農具小屋 朝妻力 雲の峯 200207
受話器とる手に玉葱の匂ひけり 清わかば 雲の峰 200208
玉葱吊る原始合掌造りかな 柴田由乃 風土 200209
びつしりと玉葱を吊り長屋門 吉岡久江 火星 200209
玉葱の玉のあらはに畑乾く 川上美穂子 酸漿 200209
玉葱を知りつくしたるシェフの味 黒田純子 ホトトギス 200210
玉葱を剥くや次々子等帰宅 勝又洋子 ホトトギス 200210
玉葱を刻み百面相となる 本村照香 ホトトギス 200210
ひもすがら玉葱焦がす日曜日 本村照香 ホトトギス 200210
吊玉葱納屋古り戦後半世紀 南秋草子 ホトトギス 200210
玉葱をきざみ倖せかと自問 南秋草子 ホトトギス 200210
小玉葱滋味に優りし甘味かな 藤森荘吉 ホトトギス 200210
玉葱のつやと丸味と匂ひかな 藤森荘吉 ホトトギス 200210
海女百戸玉葱を吊る数戸あり 村元子潮 ホトトギス 200210
玉葱を吊る庇照り海女の住む 村元子潮 ホトトギス 200210
根気てふ色に玉葱妙めし香 本郷桂子 ホトトギス 200210
玉葱のグラタンに舌焼いてをり 本郷桂子 ホトトギス 200210
むらさきの玉葱散らし出来上る 本郷桂子 ホトトギス 200210
玉葱とてるてる坊主一竿に 堤剣城 ホトトギス 200210
肉じやがの玉葱よけて食ふ子かな 堤剣城 ホトトギス 200210
玉葱を振子のごとく吊しけり 粂谷京子 200210
金色の玉葱こぼす一輪車 林敬子 酸漿 200212
畦の霜玉葱苗のまつすぐに 三浦カヨ子 酸漿 200302
玉葱を剥く大寒の雲垂るに 大山文子 火星 200304
いつせいに蹌踉よろけて春の玉葱は 宮坂静生 200305
玉葱に芽の出る俺に出ず仕舞 小林一雨 銀化 200305
玉葱の転がるやうに妻の来し 小澤克己 春の庵 200305
網かぶる玉葱畑や潮干どき 仙田孝子 風土 200307
道の辺の捨て玉葱も淡路島 山口たけし 雲の峯 200308
玉葱を束ね吊して鄙住まい 瀬口ゆみ子 ぐろっけ 200309
友抱え来し採りたての玉葱を 中島霞 ぐろっけ 200309
新玉葱ふり分けにして軒に吊る 笠嶋陽子 築港 200310
新玉葱畝白々と午後は晴 渡辺ひろし 200312
空つぽの玉葱小屋や冬すみれ 鶴田武子 雲の峰 200402
さくさくと新玉葱の朝餉かな 須賀敏子 あを 200406
収穫の玉葱畑にころがして 一ノ瀬千恵 築港 200407
玉葱を吊るや海光の軒深く 林敬子 酸漿 200409
玉葱が妻の小言を聞いてをり 小澤克己 遠嶺 200410
玉葱を干す借景は東山 須佐薫子 帆船 200410
振り分けに玉葱吊し鮒仕込む 長村雄作 栴檀 200411
玄冬や玉葱の皮煎じをる 石脇みはる 200502
夕かげや玉葱大根吊る軒端 的池遙 百鳥 200505
啓蟄や玉葱なんぞに泣かされて 岸田爾子 200506
食べず嫌ひの玉葱に芽の出でし 宮地れい子 春燈 200508
玉葱を吊して風の深庇 高橋英子 ぐろっけ 200509
玉葱を軒端に吊りて留守がちに 稲畑汀子 ホトトギス 200606
玉葱は野荒しの手にあへなかり 瀧春一 瓦礫 200606
腰折れの玉葱畑や釣日和 神蔵器 風土 200608
片腕として玉葱をきざみけり 荒井和昭 200608
この島の玉葱太る風の音 城孝子 火星 200608
玉葱の千成り小屋を目でかぞふ 泉田秋硯 200609
玉葱を妻の高さに吊しけり 戸栗末廣 火星 200609
玉葱を両断したる夕あかり 長屋璃子 火星 200609
新玉葱肌白じろと売られをり 木村迪子 酸漿 200609
玉葱の肩に雨降る女人塚 奥田筆子 京鹿子 200609
玉葱の掻揚げ塩でソーダー水 安部里子 あを 200609
玉葱は吊さるるもの青田風 綿谷美那 雨月 200610
玉葱やふいに解けたる謎ひとつ 清水晃子 遠嶺 200611
鶏小屋の軒も玉葱吊る暮し 斉藤みちよ 春燈 200612
ガレージに吊り玉葱の網袋 品川鈴子 ぐろっけ 200706
爺と婆軒に玉葱ずらりと干す 笹原紀世子 200708
玉葱を括りて立てる梯子かな 増田幸子 万象 200709
朝毎の生玉葱を供しけり 木下もと子 200711
どの家も玉葱下げて夕明り 山田怜子 遠嶺 200711
漁師等の漁網袋に玉葱干す 升田ヤス子 200712
吊り下げし玉葱に雪かぶされり ことり 六花 200802
雪解や吊玉葱の皮落つる 浜口高子 火星 200805
玉葱の山に手を出す万愚節 池元道雄 馬醉木 200806
海光に吊玉葱の小屋つづく 窪田粧子 馬醉木 200807
玉葱の収穫日和我が家また 駒井のぶ 200808
玉葱を吊るしてゆらす母ありき 池田光子 200808
玉葱を吊るつかのまの若狭晴 南うみを 風土 200808
小屋の隅玉葱一つ葉を伸ばす 池部久子 酸漿 200808
俎板は打楽器新玉葱を切る 吉田かずや 春燈 200808
玉葱を育て紀ノ川離れざり 小林愛子 万象 200809
涙目に玉葱きざむ男かな 鈴木とおる 風土 200810
太り過ぎた玉葱ばかり吊るしけり 高倉恵美子 200810
玉葱のひげ根乾ぶるまま干さる 小山尚子 雨月 200811
玉葱の芯のさみどり冬深し 林昭太郎 200903
玉葱を切つて涙す三日かな 大山文子 火星 200904
玉葱の崩れてスープ炊き上る 稲畑汀子 ホトトギス 200906
隠し味とは玉葱のことなりし 稲畑汀子 ホトトギス 200906
玉葱をむき霊魂のやうに置く 小澤克己 遠嶺 200908
荒れ土の玉葱畑の姫女苑 竹内悦子 200908
玉葱を魔女の手つきで剥いてをり 柏柳明子 炎環 200908
玉葱の肩脱きはじめ採り頃ぞ 井上幸子 酸漿 200908
玉葱の音符のごとく吊られあり 奥田順子 火星 200909
玉葱の玉の白さを愛しめり 吉本淳 ぐろっけ 200909
刃を入れて玉葱の汁ほとばしり 稲岡長 ホトトギス 200910
回廊の梁に玉葱干し連ね 岩木茂 風土 200910
新興地車庫に玉葱吊り連ね 仲田眞輔 ぐろっけ 200912
玉葱を透くまで炒め建国日 和田満水 201004
扉を放ち車庫に玉葱干しゐたり 坂上香菜 201008
玉葱の生食に朝始まれり 湯橋喜美 201008
ぐいと引く新玉葱の紫紺かな 岩下芳子 201009
空つぽの玉葱小屋の明易し 杉浦典子 火星 201009
海鳴りに干し玉葱の皮落ちし 浜口高子 火星 201009
片隅は玉葱畑幼稚園 波田美智子 火星 201009
玉葱の主役とはなり夕の膳 井上玉枝 酸漿 201009
玉葱の前起ちあがる霜夜かな 南うみを 風土 201102
玉葱の芽がのびいのちあたたかし 久津見風牛 201105
飴口に選ぶ出荷の葉玉葱 田中臥石 末黒野 201105
玉葱の葉の青々と折れてをり 山田六甲 六花 201105
スーパーの新玉葱の一個売り 伊庭玲子 201107
収穫の玉葱軒に吊るす夫 飯田美千子 201108
玉葱は我が妙薬や今朝今宵 覚本秀子 ろんど 201108
玉葱の真中を切れば衣装持ち 齊藤實 201109
赤玉葱白玉葱絹の道 雨村敏子 201109
取れたての玉葱吊す大廂 早崎泰江 あを 201109
駐車場に鈴なりの新玉葱 あさなが捷 201110
母病める夕べ玉葱やはく煮て 城孝子 火星 201110
小米雪間引玉葱蒸し物に 森理和 あを 201204
原発や玉葱ごろごろ芽を吹いた 大島翠木 201206
玉葱を三個頂く夕散歩 長崎桂子 あを 201207
玉葱に夕日の微熱ありにけり 南うみを 風土 201208
玉葱に泣かされている下準備 細川知子 ぐろっけ 201208
まづまづの晩年玉葱に泪し 中田みなみ 201210
玉葱の苗植ゑ急ぐ小春かな 山崎真義 201301
整然と植うる玉葱島日永 塩見英子 雨月 201305
玉葱小屋寒々として淡路の圃 山口キミコ 201404
娘持ち来る雪害の葉玉葱 田中臥石 末黒野 201406
売られゐし春玉葱の芳香よ 今井充子 201407
玉葱煮る人間丸くなるために 柴崎英子 201408
玉葱を描く紫を少しまぜ 遠山みち子 201409
玉葱を掘り来し夜は舟頭に 綱川恵子 万象 201409
玉葱の祖の碑や緑蔭に 川崎利子 201409
発光体となりて玉葱夕まぐれ 服部早苗 201409
玉葱のほろほろ沁むる夕厨 大松一枝 201410
国姓爺合戦ややつ玉葱に芽 吉田香津代 201505
生食の玉葱に朝動き初む 湯橋喜美 201508
玉葱の畝やあまたの玉の株 荻龍雲 201508
玉葱に研ぎしばかりの包丁を 久松和子 万象 201508
玉葱を軒につるせる農家かな 白石正躬 やぶれ傘 201509
軒先に玉葱を干す麓村 渡邊孝彦 やぶれ傘 201510
玉葱の高値にレシピ変へにけり 中村明子 201510
古民家の土間につややか小玉葱 加藤静江 末黒野 201511
軒ごとに玉葱吊し家郷かな 松田明子 201512
淡路島より玉葱の苞提げて 稲畑汀子 ホトトギス 201606
熟れ切つて玉の肌を玉葱は 大畑善昭 201608
新玉葱のステーキはゆづれない 瀬川公馨 201608
玉葱の小さき地球吊しをり 山本久江 201609
玉葱刻む母に幼子もらひ泣き 白神知恵子 春燈 201609
玉葱が軒に吊され家富めり 佐々木良玄 春燈 201609
収穫の玉葱の粒揃ひをり 久世孝雄 やぶれ傘 201610
玉葱の小さき地球吊しをり 山本久江 201702
春一番玉葱小屋のがらんだう 平居澪子 六花 201807
玉葱を吊すベランダ我が新居 平居澪子 六花 201807
軒深く吊つて玉葱大中小 片桐てい女 春燈 201810
古民家の土間つやつやと小玉葱 加藤静江 末黒野 201810
本当は玉葱嫌いなんだけど 渡部ひとみ 船団 201812
山門に玉葱吊りし峡の寺 松田多朗 馬醉木 201907
玉葱のつかの間の艶吊るしけり 南うみを 風土 201908
玉葱を吊るせば生るるドレミファド 谷原壮平 201909
玉葱干すむかし牛舎の太き梁 岡本尚子 風土 201909
玉葱と農婦の頬と光りあふ 池田光子 風土 201909
荷に重き新玉葱を兄弟に 秋山信行 やぶれ傘 201910
花菜風玉葱小屋を素通りす 池田光子 風土 202001
まだ若き玉葱の芽の力かな 中貞子 202007
畑から新玉葱をさげて来る 根橋宏次 やぶれ傘 202007
新玉葱の皮の一重の浅みどり 泉一九 やぶれ傘 202009
海光や新玉葱の擬宝珠ぶり 能村研三 202107
爪を切る玉葱を剥く爪残し 苑実耶 202108
玉葱の抜かれしままに放られて 秋山信行 やぶれ傘 202109
四つに切る新玉葱や電話なる 小池桃代 末黒野 202109
玉葱を吊して姉を偲びけり 持田信子 春燈 202110
コトコトと玉葱を煮る感謝込め 瀬戸美文 202112
玉葱のつるりと剥けて安息日 日置游魚 202112
玉葱の香に国生みの島活気 岩田公次 ホトトギス 202112
役終へて玉葱小屋や秋風裡 赤座典子 あを 202112
淡路島赤銅色の秋の玉葱 七郎衛門吉保 あを 202112
玄関の玉葱にほひ来る夜中 秋山信行 やぶれ傘 202208
新玉葱白くて無垢なてる坊主 酒井たかお 202209
掘り立ての玉葱ごろんドアの前 武田ナナ 末黒野 202210
古民家の土間につややか小玉葱 加藤静江 末黒野 202211
爪を切る玉葱を剥く爪残し 苑実耶 202212
玉葱植う土柔らかによべの雨 土井とし子 京鹿子 202303

 

2023年5月27日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。