多喜二(多喜二忌は2月20日)     71句

 

作品
作者
掲載誌
掲載年月
鳥渡る多喜二の町の喫茶店 布施まさ子 風土 199812
童顔の茶髪の土工多喜二の忌 八木岡博江 酸漿 200005
多喜二忌や雨に滲みし赤インク 吉川郁美 200007
脚取れし値引の蟹や多喜二の忌 落合由季女 雨月 200105
多喜二忌のアイロン台にシャツの袖 中本憲巳 200111
多喜二忌や灯して暗き運河沿ひ 伊藤宇太子 200206
カニ缶は脚肉ばかり多喜二の忌 塚本務人 京鹿子 200208
海に沿ふ多喜二の町の霧月夜 田村すゝむ 風土 200212
多喜二忌の水垢離するか大鴉 向後良子 八千草 200308
残る虫多喜二を整を夜語りに 斎藤節子 馬醉木 200312
獄中の多喜二の文や身にぞ入む 江木紀子 雨月 200312
躍りゆく水の分厚さ多喜二の忌 佐々木幸 200401
鮟鱇を吊す市場や多喜二の忌 西村梼子 ぐろっけ 200403
労働歌を師に教はりぬ多喜二の忌 太田絵津子 200405
カンナ燃ゆ多喜二の住みし港町 川井政子 風土 200412
発禁本まだ見つからず多喜二の忌 清水志 200502
多喜二忌の坂ゆくうしろ姿かな 青野れい子 200506
捨て船に雨水溜まる多喜二の忌 長谷川友子 春燈 200702
辞書めくる二指のこはばり多喜二の忌 西山春文 200706
多喜二忌や兄の遺せし発禁書 上林孝子 200806
文鎮の錆・傷・手垢多喜二の忌 西山春文 200806
再版の「蟹工船」や梅雨明ける 田下宮子 200809
秋めくや女子高生の読む多喜二 飯塚惠美子 炎環 200811
吐く息に胸を押される多喜二の忌 鴨下昭 200903
多喜二忌や赤きコートに文庫本 鈴木阿久 200904
失業者ふえる世相や多喜二の忌 田下宮子 200904
多喜二忌や固く閉ざしし貝の口 布村松景 春燈 200905
多喜二忌の魚くさき雪海に押す 梶川智恵子 200905
外套の襟立て微吟多喜二の忌 田中芳夫 200905
「資本論」棚の隅なる多喜二の忌 吉田耕人 ぐろっけ 200905
多喜二忌や妻に優しき言葉かく 鈴木阿久 200905
葉桜や多喜二は雨の日を好み 森理和 あを 200908
多喜二忌や暮れて近づく海の音 大嶋洋子 春燈 201005
多喜二が血沸かせし運河水温む 吉田豊子 雨月 201005
目にしむる空の青さや多喜二の忌 都丸美陽子 春燈 201005
多喜二忌や昼を点して露西亜船 坂野康雄 201006
多喜二忌や芥火となる竹の節 溝上正利 春燈 201006
冴え返る小林多喜二のデスマスク 丹生をだまき 京鹿子 201006
多喜二忌や火薬繋がる燐寸棒 林昭太郎 201104
今日の雲今日を流れる多喜二の忌 鴨下昭 201104
打合へる木々の芽固し多喜二の忌 齋藤晴夫 春燈 201105
多喜二忌や赤き花のみ活けてみし 鈴木阿久 201105
多喜二の忌雁字搦めの毛蟹かな 鈴木鳳来 春燈 201105
多喜二忌やボウルに映るワンルーム 吉田希望 201204
鬼の豆届かぬ詐術多喜二の忌 鴨下昭 201205
革命の難問繙く多喜二の忌 佐瀬晶子 ろんど 201205
捨つる瓶透くまで洗ふ多喜二の忌 工藤ミネ子 風土 201207
又の名は持たず小林多喜二の忌 遠山陽子 201401
蟹工女今生き生きと多喜二の忌 相沢有理子 風土 201406
読経とも多喜二の丘の蝉しぐれ 土屋草子 ろんど 201409
多喜二忌や日銀拓銀亡き街に 上家弘子 ろんど 201502
ファックスのふいに紙吐く多喜二の忌 工藤ミネ子 風土 201505
踏む度にきしむ夜の雪多喜二の忌 土屋草子 ろんど 201505
風鈴とランプ商ふ多喜二の地 原田しずえ 万象 201510
コピー機に本押し付ける多喜二の忌 林昭太郎 201510
繋留のマスト高鳴る多喜二の忌 松井志津子 201604
多喜二忌や軍手軍足裏に干す 小林共代 風土 201604
多喜二忌やカタカナ多き処方箋 林いづみ 風土 201605
「プロレタリア」厚き辞書引く多喜二の忌 松崎雨休 風土 201605
雪しまく多喜二通ひし地獄坂 榎美幸 万象 201605
多喜二忌や未完の完もありにけり 江島照美 201605
多喜二忌や冷たき雨の夜をこめて 安斎久英 末黒野 201606
日すがらを波風荒ぶ多喜二の忌 安斎久革 末黒野 201706
黙然と正座の妣や多喜二の忌 今村千年 末黒野 201706
啄木の多喜二の小樽鳥帰る 竪山道助 風土 201706
昨日雨水けふは多喜二忌兜太逝く 岡田史女 末黒野 201806
音もなく河口満ちくる多喜二の忌 西川保子 春燈 201905
海光を弾く流木多喜二の忌 中村世都 201905
この庭に多喜二下りしや雪柳 山田六甲 六花 202004
多喜二忌や夜明けに襲ふ金縛り 片山博介 春燈 202105
多喜二忌の枯野静かに騒ぎをり 菅原末野 風土 202205

 

2023年2月19日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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