鯛 焼     152句

鯛焼やいつか極道身を離る   五所平之助   わが旅路

作品
作者
掲載誌
掲載年月
鯛焼きを分けて尻尾が好きといふ 竹貫示虹 京鹿子 199904
鯛焼の袋と渡る吾妻橋 林朋子 船団 199912
鯛焼をあたため返す死なぬやう 中原道夫 銀化 200001
滑り止め校決めずに吾子の鯛焼食ふ 村井久美子 200002
母さんや鯛焼き食べよお茶にしよ 貝森光大 六花 200003
鯛焼の恵方を向いて並びをり 夏秋明子 火星 200004
鯛焼を食うべ曇らす眼鏡かな 中根美保 風土 200004
鯛焼の餡のいろいろ初桜 林美智子 200007
鯛焼の心臓あたりをあなたに 村山和子 海程 200101
鯛焼屋濃く焼き師走の色といふ 林翔 200101
鯛焼の三尾の重さ提げ戻る 鷹羽狩行 200102
鯛焼の香の道修町通りけり 杉浦典子 火星 200102
鯛焼き一つ私に秋の窓二つ 金子皆子 海程 200102
鯛焼に疎漏のありてなつかしき 大場佳子 銀化 200102
鯛焼のしつぽ冷え性適齢期 木戸渥子 京鹿子 200106
鯛焼を売る路地ありし覚えおく 能村登四郎 羽化 200110
あつあつの鯛焼を子も妻も待つ 丁野弘 200112
麻布十番の鯛焼ポプラ散る 竹内弘子 あを 200112
二つ買へば袋二つに鯛焼屋 石原勢津子 雨月 200202
留守の子に温き鯛焼抱き帰る 後藤ゆき子 春耕 200202
場違いの列に並びて鯛焼を 鎌田俊雄 いろり 200202
釣銭の温み鯛焼買った手に 栢森定男 あを 200202
性癖や鯛焼尾びれより食ぶも 浜麻衣子 六花 200202
考への顔で鯛焼提げて来し 伊藤多恵子 火星 200204
鯛焼の頭の方をくれにけり 田中英子 火星 200302
鯛焼のぬくもりを先づ佛前へ 伊藤白潮 200302
起死回生に鯛焼を売り始む 泰江安仁 百鳥 200303
年末商戦大判焼を鯛焼に 泰江安仁 百鳥 200303
女子高校生御用達鯛焼屋 伊藤トキノ 200303
鯛焼はみな同じ顔戦来と 若林由子 銀化 200303
鯛焼の頭並べて焼かれけり 一民江 馬醉木 200305
鯛焼を買ふ列にゐて尼僧とは 梅原富子 200305
押し合ひしまま鯛焼の冷えてをり 柴田佐知子 200305
鯛焼を持つ役得に手の温み 清水公治 200307
鯛焼の泳がんと首尾備へたり 須田紅三郎 200312
丹波栗の大鯛焼を売り出せり 泰江安仁 百鳥 200312
鯛焼のあんこたつぷり熱き食ぶ 加藤弘一 築港 200402
鯛焼の袋をひらく音たてて 金子つとむ 雲の峰 200402
鯛焼を買ひしと眠き子ら待たす 朝妻力 雲の峰 200403
鯛焼の筋力萎へてゐたりけり 石川笙児 200404
ばり多き鯛焼にしてかんばしき 浅川正 雲の峰 200404
鯛焼を手土産に行く英語劇 川瀬さとゑ 雲の峰 200404
鯛焼やフランス名の多き街 小川夏葉 帆船 200503
人形町の鯛焼として尾を張れり 徳植よう子 200503
鯛焼きに列ができをり梅の園 梅村五月 栴檀 200505
鯛焼買ふ列のまんなか母がゐる 吉田明 200602
鯛焼のかたちに湿りわら半紙 片山タケ子 200604
掌にのせて鯛焼熱し北風つのる 重本文子 百鳥 200604
鯛焼のあんこ一杯節分会 井上富詩子 200605
爺ちやんに鯛焼ぬくき年の市 中川志帆 万象 200605
三匹の鯛焼抱へ戻りけり 片岡祥子 200702
鯛焼の熱くて坂を駈け下りぬ 都筑智子 200703
活河豚を見て鯛焼を買ひにけり 山田夏子 雨月 200703
仲直りしよう鯛焼買うてゆこ 亀ヶ谷照子 遠嶺 200703
鯛焼やをんなばかりの初句会 中山純子 万象 200704
鯛焼の追つかけごつこ裏返す 鈴木榮子 春燈 200801
鯛焼を土産にのぞくアルマーニ 馬場宏一 春燈 200802
墓地裏の鯛焼屋にて残り買ふ 山本とみを 200802
玉子百割つて鯛焼準備中 高松由利子 火星 200802
鯛焼のポイントカードに二匹分 星野淑子 200803
鯛焼の左脳ふくれてゐたりけり 田中春生 200805
鯛焼と体温通ふバス混めり 田原陽子 200805
鯛焼の肩を並べてパーティーへ 今井春生 200807
鯛焼を焼いて一世を白前掛け 小林朱夏 200902
鯛焼の屋臺の前の小學校 芝尚子 あを 200902
鯛焼の五臓重たし花の下 黒澤登美枝 200906
鯛焼を裏返しけり鯛焼屋 瀬島洒望 やぶれ傘 200906
鯛焼と判る温みを渡さるる 渡部節郎 転舵の渦 200911
鯛焼や子供に返りたくはなし 吉田希望 201002
鯛焼の手に数匹の載るサイズ 坂場章子 201002
鯛焼を手に晩学を楽しまん 永田圭子 ろんど 201002
鯛焼の温もり弾む胸谷間 渡部磐空 201002
鯛焼の裏返されて大きな眼 鈴木セツ 201002
掌の鯛焼のまだ活きてゐる 川口襄 遠嶺 201003
鯛焼の重さ横取りされさうな 相良牧人 201003
病棟に鯛焼配り退院す 横内かよこ ぐろっけ 201003
待つ子らの視線集めて鯛焼屋 平田恵美子 ぐろっけ 201003
鯛焼の温みを胸に子の新居 山口順子 馬醉木 201004
初戎出店の鯛焼頭を揃へ 坂口三保子 ぐろっけ 201005
鯛焼や妬心にうごく紅の唇 布川直幸 201011
鯛焼は尾鰭が勝負並みて買ふ 水原春郎 馬醉木 201102
鯛焼を頰張り歩く昼の月 大山文子 火星 201102
遅刻して鯛焼の待つ席に着く 長谷川鮎 ぐろっけ 201102
行列のつづく鯛焼神詣 新実貞子 201104
鯛焼の鯛も来たれよ大漁旗 山本鬼之介 201105
列出来てゐる梅林の鯛焼き屋 中江月鈴子 201105
鯛焼の袋のしめり抱きて帰路 塩路隆子 201203
半生を聞きぬ鯛焼できるまで 青木朋子 201203
鯛焼の陣中見舞尾鰭付き 相良牧人 201203
先手打つべし鯛焼は頭から 平野みち代 201204
鯛焼も尾頭付きですお雛様 鎌田慶子 ろんど 201206
鯛焼をくるみし紙の湿りかな 丑久保勲 やぶれ傘 201301
鯛焼を買ふいささかの負の心 藤原照子 201302
鯛焼の温み病ひの慰みに 服部早苗 201302
鯛焼の五臓ほがらと割れにけり 石倉千賀子 ろんど 201303
ふところに鯛焼五匹風の中 山本無蓋 201402
鯛焼や身より昭和の抜けきれず 小倉正穂 末黒野 201402
鯛焼のかたちに湿り紙袋 林昭太郎 201403
行列のあげく鯛焼買ひすぎし 山口ひろよ 201403
冷凍庫に鯛焼眠る春隣 藤田素子 火星 201404
鯛焼の部活帰りの頃の味 山本無蓋 201404
鯛焼の鳴門ブランド大看板 粟倉昌子 201404
置炬燵新聞と茶と鯛焼と 藤井美晴 やぶれ傘 201404
改札を出て鯛焼に並びけり 青木朋子 201504
小晦日路地に八匹鯛焼かれ 上月智子 末黒野 201505
鯛焼を買うて遅れし勉強会 渡辺安酔 201505
鯛焼の表裏なき焦れやう 荒木甫 201505
鯛焼や自然体でと決めてをり 寺田すず江 明日葉 201505
鯛焼きの頭はすべて左向き きくちえみこ 港の鴉 201510
バス五分鯛焼膝の上にあり 谷岡尚美 201602
鯛焼きを半分に切る敬老日 衣斐ちづ子 201602
鯛焼の温さを連れて帰りけり 山咲和雄 末黒野 201603
鯛焼をはふはふ女学生気分 小林陽子 201604
寒風や鯛焼二つ懐に 佐々木永子 末黒野 201604
鯛焼きの鯛誕生に立ち会へり 今井春生 201604
亡き父の友に鯛焼おごらるる 田中とし江 201604
島市(しまいち)に雨のぱらつく鯛焼屋 伊藤白潮 201611
鯛焼を宙泳がせて子の食める 西村梛子 馬醉木 201701
鯛焼の継ぎ目に溢れ館の色 宇都宮敦子 201702
売れ残りても鯛焼の尾に力 安居正浩 201704
鯛焼きの三等分のしっぽかな 中川句寿夫 ここのもん 201705
一尾づつ焼く鯛焼の「天然もの」 久留米修二 馬醉木 201802
鯛焼の開きてふあり買ひにけり 後藤眞由美 春燈 201802
鯛焼きやあんこはみ出し火傷する 溝渕弘志 六花 201803
鯛焼をほほばる指の白さかな 延川五十昭 六花 201803
鯛焼の鮮度目玉の知らぬこと 片山煕子 京鹿子 201804
無頼めく鯛焼の餡はみ出るは 服部早苗 201806
鯛焼屋の開店に列つばくらめ 小巻若菜 やぶれ傘 201808
鯛焼きの向きの異なる一尾かな 住田千代子 野に遊ぶ 201811
鯛焼のやせ鯛焼に寄りかかる あさなが捷 201902
財布一つ持って鯛焼買いに行く 林田麻裕 201903
鯛焼や文士通ひし団子坂 服部早苗 201906
鯛焼屋の手際に見惚れ異国人 友田悠子 末黒野 201906
曳き売りの鯛焼屋待つ午後三時 窪みち子 201907
鯛焼を買つてしまひし急ぎ足 恩田洋子 馬醉木 202003
坂下の鯛焼き屋まで下りけり 大崎紀夫 やぶれ傘 202003
鯛焼きを手に腹ばひで地図拡げ 瀬島洒望 やぶれ傘 202003
鯛焼の列に可愛ゆき幕の下 中田みなみ 202003
男ひとり鯛焼きを食ぶ余寒かな 小島昭夫 春燈 202007
亡き父の友に鯛焼おごらるる 田中とし江 202010
鯛焼や昔話を例に取る 大日向幸江 あを 202012
鯛焼の尾の好きな子も二十かな 岩永はるみ 春燈 202103
手作りの鯛焼みやげ松過ぎて 田中藤穂 あを 202103
鯛焼を口に在釜の門よぎる 南うみを 風土 202104
どこから食まむ熱き鯛焼渡されて 森清信子 末黒野 202204
鯛焼を手に百円の古書えらび 本郷公子 京鹿子 202204
出来たての鯛焼き尾から春浅し 神山市実 やぶれ傘 202206
誕生日の夫と立ち寄る鯛焼屋 吉田悦子 202210
鯛焼をひとつと言へず二つ買ふ 村上禎女 京鹿子 202301
鯛焼をかかへ神父のいそいそと 秋川泉 あを 202301
鯛焼も織部に寝かせ高級魚 七郎衛門吉保 あを 202301
鯛焼きを縦半分に妻と分く 竹内文夫 やぶれ傘 202304

 

2023年12月9日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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