硯洗う      112句

 

作品
作者
掲載誌
掲載年月
硯洗ふにいささか窪みありにけり 平橋昌子 199810
文弱のいのちの硯洗ひけり 上田五千石 天路 199901
力抜くことも覚えて硯洗ふ 鈴木夫佐子 199901
師のこゑを聞くまで洗ふ硯かな 神蔵器 199905
罪いくつ重ねし硯洗ひけり 宮澤さくら 遠嶺 199911
硯洗ひ谿水青く流しけり 清水志無子 風土 199911
月光のしたたる硯洗ひけり 神蔵器 風土 199912
わが死後も残る硯を洗ひけり 田中藤穂 水瓶座 200002
洗ひゐる硯の放つ墨の渦 深川知子 俳句通信 200010
洗硯や書かざることを詑びゐたり 小野喬樹 馬醉木 200010
先生に借りし砥石で硯洗ふ 高木伸宜 ヒッポ千番地 200010
陶硯を洗ふ指先藍の染む 林裕子 風土 200012
紫と青滲みゆく硯洗ふ 関口ゆき あを 200108
意のままに書けぬ硯を洗ひけり 中川和子 馬酔木 200109
一行詩習ひて硯洗ひけり 仲尾弥栄子 俳句通信 200110
沽却せるつもりの硯洗ふなり 中原道夫 銀化 200111
端渓の硯を洗ひ父偲ぶ 大久保白村 ホトトギス 200202
洗ひたる硯に墨の磨り加減 稲畑汀子 ホトトギス 200208
洗ひたる硯の乾くまで待てず 稲畑汀子 ホトトギス 200208
分身の硯洗ふも念入りに 稲畑汀子 ホトトギス 200208
夕風の立てば硯を洗ひおく 稲畑汀子 ホトトギス 200208
いくつ文字生みたる硯洗ひけり 稲畑汀子 ホトトギス 200208
洗ひたる硯の乾く早さかな 稲畑汀子 ホトトギス 200208
七七忌子より賜ひし硯洗ふ 中山フジ江 200209
洗硯の水溢れさせ偉業見ゆ 能村研三 200210
洗硯に父のおもかげ沸々と 大橋敦子 雨月 200210
母の名の彫られし硯洗ひけり 広和子 200210
名硯に非ずも心して洗ふ 武政礼子 雨月 200211
分身と思ひ端渓の硯洗ふ 古田考鵬 雨月 200211
悪筆の我も硯を洗ひけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200308
展示さる虚子の洗ひし硯とや 稲畑廣太郎 ホトトギス 200308
硯洗ふ母に習ひし星のうた 斎藤博子 対岸 200310
彼の人に洗ひし硯差し上ぐる 風間史子 200311
洗ひたる硯と干さる面相筆 金升富美子 200403
端渓の硯を洗ふ夕べかな 志水芳秀 雲の峰 200410
洗ひたる硯に古き鑢疵(やすりきず) 竪ヤエ子 雲の峰 200410
思ひ出の硯洗へば墨匂ふ 兼子栄子 酸漿 200411
子に譲る硯洗ひてをりしかな 細井紫幸 草の花 200411
沢山の硯の一つだけ洗ふ 稲畑汀子 ホトトギス 200508
洗ひたるばかりの硯墨磨りて 稲畑汀子 ホトトギス 200508
ともかくもいつもの硯だけ洗ふ 稲畑汀子 ホトトギス 200508
硯洗ふ行書草書と行き詰まり 三橋早苗 ぐろっけ 200510
洗硯(せんけん)や耕二に多き母のうた 淵脇護 河鹿 200510
書くことの偶になりたる硯洗ふ 安田とし子 ぐろっけ 200511
硯洗ふ心を洗ふ如くにも 稲岡長 ホトトギス 200512
洗硯の乾けば紫紋無かりけり 浅井青二 雨月 200512
洗ひたる筈の硯の汚れをり 後藤比奈夫 ホトトギス 200512
筆洗ひ硯洗ひて手を洗ふ 稲岡長 ホトトギス 200512
珍玩と刻す做硯こも洗ふ 浅井青二 雨月 200512
洗硯の夫の背うすくなりにけり 栗栖恵通子 200606
罪幾つ重ねし硯洗ひけり 宮澤さくら 遠嶺 200606
洗ひたる硯に今日のととのへり 稲畑汀子 ホトトギス 200608
上達も期して筆硯洗ひけり 稲畑汀子 ホトトギス 200608
画仙紙も揃へ硯も洗ひけり 稲畑汀子 ホトトギス 200608
この一句硯洗ひてよりのこと 稲畑廣太郎 ホトトギス 200608
亡き母のかたみの硯洗ひけり 兼子栄子 酸漿 200612
硯洗ふ文芸の血を母に享け 山田弘子 ホトトギス 200701
硯洗ふ星のしづくを掬ひては 神蔵器 風土 200709
硯洗ふけふのわたくしこんにちは 雨村敏子 200710
硯洗ふ墨の香に父偲びつつ 長谷川鉄夫 200712
墨匂ふ亡母の硯を洗ひけり 外川玲子 風土 200801
洗ひたる多佳子の硯重たかり 東良子 首座星 200804
硯洗へば海と陸つづきなる 鷹羽狩行 200809
硯洗ふ水ざふさぶと溢れしめ 水野恒彦 200810
洗硯やちちより勁きははの文字 長谷川翠 馬醉木 200810
陸窪む遺愛の硯洗ひけり 原秀三 春燈 200810
まづわが名ならふ硯を洗ひけり 平野伸子 馬醉木 200812
硯洗ふ里芋の葉のつゆあそび 藤野寿子 あを 200909
硯洗ふ面相小筆ぬむごろに 藤野寿子 あを 200909
朝ごとの写経の硯洗ひけり 佐藤信子 春燈 200910
色紙買ひ雨畑硯洗ひけり 藤野寿子 あをかき 200910
詫び状を書きたる硯洗ひけり 伊東恵美子 馬醉木 200911
硯洗ふ面相小筆ねむごろに 藤野寿子 あを 200911
硯洗ふ詩歌の道は美しく 樋口英子 200912
帰郷して亡父(ちち)の硯を洗ひけり 伊藤靖彦 200912
悪筆に過ぎたる硯洗ひけり 岩垣子鹿 ホトトギス 200912
形見なる端渓硯洗ひけり 藤岡紫水 京鹿子 201011
祖母愛でし携帯硯洗ひけり 小川玉泉 末黒野 201011
星赫く名もなき硯洗ひをり 櫻木道代 ぐろっけ 201011
泥砥石に洗ひ硯紋妙さらに 浅井青二 雨月 201011
洗ひたる硯乾く間なかりけり 稲畑汀子 ホトトギス 201108
書き終へて忽ち硯洗ひけり 稲畑汀子 ホトトギス 201108
この道は硯洗うてより進む 稲畑廣太郎 ホトトギス 201207
硯洗ふ大黒書道教師なり 酒本八重 201210
家内の亡夫の手跡や洗硯す 中嶋昌子 春燈 201210
三筆にあやかる硯洗ひけり 藤岡紫水 京鹿子 201211
端渓の硯洗ひて父想ふ 尼嵜太一郎 ぐろっけ 201304
億年の星のひかりや硯洗ふ 浜福惠 風土 201409
硯洗ふ無心の刻を賜はれり 小澤菜美 201411
薄く小さき祖母の硯を洗ひけり 小川玉泉 末黒野 201411
皸の手もて洗ふや筆硯 奥太雅 万象 201504
洗ひたる硯写経の筆おろす 樺山翠 雨月 201511
硯洗ふてのひらほどの月光に 神蔵器 風土 201512
硯洗ふ隷書揮毫の般若心経 中山皓雪 201601
洗はれて虚子の硯といふ威厳 稲畑廣太郎 ホトトギス 201608
洗ひたる硯魂ほどの艶 稲畑廣太郎 ホトトギス 201608
文弱の硯の重さ洗ひけり 齋藤晴夫 春燈 201611
洗硯やはじめは固き小筆の穂 久保東海司 201612
ふるさとの星降る硯洗ひけり 早川俊久 馬醉木 201712
筆に偲ぶ師の大硯洗ひけり 落合絹代 風土 201810
洗ひたる硯に昨日見てをりぬ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201905
命毛に宿るたましひ硯洗ふ 鈴鹿呂仁 京鹿子 201909
硯洗ふ心の邪鬼も流しけり 西村白杼 京鹿子 201910
かの旅の那智黒硯洗ひけり 金森教子 雨月 201911
大字書くは終りと決めし硯洗ふ 諸戸せつ子 春燈 202001
四代を経たる硯を洗ひけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 202008
桂林を描かむ硯洗ひけり 升田ヤス子 六花 202011
ねんごろに硯洗うてゐたりけり 井上静子 202011
念入りに洗ふ硯や器の忌 池田光子 風土 202110
窪みたる母の硯を洗ひけり 木下圭子 ホトトギス 202112
洗ひたる硯に机辺かたづけて 今橋眞理子 ホトトギス 202201
硯洗ふ老の手習なかなかに 山田閏子 ホトトギス 202201

 

2022年8月7日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

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