捨案山子     86句

 

作品
作者
掲載誌
掲載年月
下校子に遊ばれてゐる捨案山子 笹倉さえみ 雨月 200001
山窪に天を仰げる捨案山子 三嶋八千穂 ぐろっけ 200004
捨て案山子気取って見てもふり向ず 松沢久子 いろり 200011
ここに居ることの不思議や捨て案山子 保坂加津夫 いろり 200011
捨て案山子単身赴任の地になれて 保坂加津夫 いろり 200012
今頃は星を見てゐる捨案山子 田口傳右ヱ門 銀化 200101
歩行せぬ神となりける捨案山子 辻直美 200201
山月を見上げてをりぬ捨案山子 斉木永久 馬醉木 200201
雨に叩かれ仰向けの捨案山子 天岡宇津彦 200204
瞠きて波音ばかり捨案山子 小野恵美子 馬醉木 200212
畦に脚さらけ出したり捨案山子 田中嘉代子 ぐろっけ 200302
無造作に積み重ねある捨案山子 岡野俊治 遠嶺 200303
右手(めて)になほ放たざるもの捨案山子 鷹羽狩行 200401
あをぞらを見てゐる畦の捨案山子 鈴木多枝子 あを 200501
眼に力まだ残りをり捨案山子 鈴掛穂 200501
捨案山子まだ働ける眼かな 大串若竹 百鳥 200501
天仰ぐ棚田の隅の捨案山子 高原純徳 河鹿 200501
捨案山子漢の矜持崩さずに 横松しげる 遠嶺 200502
酒臭き末期の吐息捨案山子 田口武 さうぢやなくても 200512
捨案山子かくれもあへず川怒涛 戸田和子 200512
目と口の一際太し捨案山子 寺岡享 対岸 200602
捨案山子生涯里曲暮しかな 木多芙美子 春燈 200611
捨案山子悠然と空眺めをり 久保栞 200612
日の力残せしままや捨案山子 岡本崇 200612
空睨むまなこ怯まず捨案山子 藤原りくを 八千草 200703
少しづつ風にもまれる捨案山子 鴨下昭 200811
討たれたる様に眼を剥く捨案山子 松本三千夫 末黒野 200912
哨戒の任まだ解かぬ捨案山子 金子つとむ ろんど 201001
見目よくて棄つるに惜しき捨案山子 寺村年明 春燈 201001
仰向けの空のしじまや捨案山子 佐久間由子 201010
仰臥して雲見つめゐる捨案山子 森岡正作 201011
捨案山子母を待つごと田に伏せり 小山繁子 春燈 201011
捨て案山子俗世に生きて立ち話 鴨下昭 201101
昨日よりまこと顔なる捨案山子 松本文一郎 六花 201101
捨て案山子僧形もあり高野口 土屋青夢 ぐろっけ 201102
魂を鴉啄む捨案山子 野口喜久子 ぐろっけ 201102
月仰ぐ畦を枕の捨案山子 亀掛川菊枝 末黒野 201104
捨案山子峡田に残る風を待つ 鴨下昭 201112
捨案山子まつすぐ峡の空仰ぎ コ田千鶴子 馬醉木 201112
晴ればれと空仰ぎをり捨案山子 岡崎伸 201201
休む田の空の深さや捨案山子 太田良一 末黒野 201201
捨て案山子姉さ被りをまだ解かず 北崎展江 くりから 201209
捨て案山子働きすぎの日本人 村田岳洋 ろんど 201212
捨案山子ヘッドライトを睨みたる 菊川俊朗 201301
再雇用待てる棚田の捨て案山子 塩路五郎 201312
金賞を胸に仰臥の捨て案山子 今井忍 ぐろっけ 201402
横抱きに遠ざかりゆく捨案山子 鴨下昭 201403
見開きし眼哀れや捨案山子 上野進 春燈 201411
雀らと何を語らん捨案山子 岡野ひろ子 201411
縦のもの横にしただけ捨案山子 高橋将夫 201411
畦道に弓矢突き立て捨案山子 兼久ちわき 馬醉木 201501
星の数かぞへてゐたり捨案山子 甕秀麿 201501
ハロウィンに駆り出されたる捨案山子 柳川晋 201501
地声にて叫んでゐるかも捨案山子 鴨下昭 201501
人らしき形のままの捨案山子 村田岳洋 ろんど 201501
捨案山子風葬のごと置かれたる 下平しづ子 雨月 201502
捨案山子猫の顔して身をそらす 鴨下昭 201511
遠つ嶺の雪の一刷け捨案山子 橋本榮治 馬醉木 201512
星の数かぞへてゐたか捨案山子 甕秀麿 201602
如何様をまじめに勤め捨案山子 山口ひろよ 201602
古着着て胸板薄き捨案山子 水谷文謝子 雨月 201611
捨案山子まとめて置かれ日の落つる 中貞子 201612
空腹で死にさうに見ゆ捨案山子 仲里奈央 201612
子の帽子かむりしままに捨案山子 柴田志津子 201701
捨案山子大きな月が上りけり 中川句寿夫 ここのもん 201705
丹田の力抜きたる捨案山子 内海良太 万象 201802
捨て案山子身包み剥がれ火の中に 高倉和子 201801
丹田の力抜きたる捨案山子 内海良太 万象 201802
へのへのも生死流転の捨案山子 平野多聞 201812
捨案山子ピエタのやうに抱きかかヘ 夏生一暁 馬醉木 201812
捨て案山子すゞめがあたらしびにけり 定梶じょう あを 201901
忖度をしなかつたのね捨案山子 柳川晋 201902
捨てられて天を仰いでゐる案山子 岩岡中正 ホトトギス 201904
夜は星の使者ともなりて捨案山子 稲畑廣太郎 ホトトギス 201910
大熔岩の影倒れくる捨案山子 岩木茂 風土 202001
捨案山子置いてきぼりをくはされて 仲里奈央 202005
行倒れはた落人か捨案山子 林徹也 202006
稲藁の荼毘に加ふる捨案山子 林徹也 202006
捨案山子日陰にかつと眼開け 大矢恒彦 202012
詭弁ともなほ眼を張りぬ捨て案山子 伊藤希脾 京鹿子 202101
捨案山子雲の行方を追うてゐる 吉清和代 202101
捨案山子すこし夜遊びしてきたり 足立枝里 202101
抜け殻のやうな生家や捨案山子 志方章子 六花 202202
晴れ晴れと空へ仰臥の捨案山子 森岡正作 202211
噴煙の山に向きたる捨案山子 朝長美智子 202212
捨案山子脛ながながと横たはる 吉田葎 202306

 

2023年9月28日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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