すみれ 1        100句

すみれ野に罪あるごとく来て二人    鈴木真砂女

作品
作者
掲載誌
掲載年月
みよし野は歩くに如かず山すみれ 山田弘子 「春節」 199503
畦の窪日をためてをり花すみれ 倉堀たま子 風土 199806
石階の踏まれもせずにすみれ草 木津亥さ無 ぶどうの木 199806
褒められて少女すみれにしゃがみけり 内野修 海程 199811
この町にすみれの数ほどセールスマン 三宅やよい 船団 199903
一苑のかそけき径のすみれ草 小澤克己 遠嶺 199905
引越の仕度の庭に花すみれ 清水延世 春耕 199905
行きずりの春着の衿のすみれ色 萩原記代 199906
旧姓は刻もどす名よ花すみれ 長谷川翠 馬醉木 199906
風よりも日差しに揺れて初すみれ 松尾龍之介 199906
晴れし嶺を目指す一歩やすみれ草 小宮山勇 遠嶺 199907
雪いまだ被る弥彦嶺すみれ草 御子柴光子 春耕 199907
綿雲の端こぼれをりすみれ草 内藤紀子 遠嶺 199907
しぐるるやスミレ科スミレ属六区のすみれ 日下敬 船団 199908
媛の魂宿るとふ森すみれ咲き 杉山瑞恵 雨月 199909
制服の胸にすみれの光合成 柿原金米 船団 199909
見遙かす鏡の灘や寒すみれ 阿部幸右 京鹿子 200001
この街にすみれの花ほどセールスマン 三宅やよい 玩具帳 200004
すみれ咲く小径の消えて淋しかり 中野辰子 いろり 200005
誓子句碑礎石にすみれ濃紫 中川濱子 ぐろっけ 200006
点眼や春湧水のすみれいろ 高橋さえ子 200008
馬頭碑の傾ぐ笹むら花すみれ 菅原庄山子 春耕 200008
すみれ咲く思想を持たぬ崖っぷち 蔵前幸子 船団 200102
きれぎれの記憶をつなぐ花すみれ 小川匠太郎 200104
書き出しはにほひすみれをありがたう 田口傅右ヱ門 銀化 200105
亡き後にとどく手紙やすみれ咲く 神蔵器 風土 200105
すみれ花しづかに香を燻く余生 関口ゆき あを 200105
厄坂の石の隙間のすみれ草 梶田敬子 200106
童心に返らむすみれ摘みためて 中井久子 雨月 200106
石垣の崩れて久しすみれ咲く 白鳥武子 酸漿 200106
馬の碑の隙より咲きぬすみれ草 村瀬初実 春耕 200107
切株の朽ちしあたりのすみれ草 山崎赤秋 春耕 200107
大胆と小心の間すみれ咲く 片山煕子 京鹿子 200108
ニオイスミレの匂う範囲へ屈み入る 池田澄子 船団 200110
夜を香り匂すみれと申すなり 辰巳あした 雨月 200205
すみれ咲く温室村の吹きさらし 太田土男 百鳥 200205
大利根を渡りそこねしすみれ草 佐藤恭子 あを 200205
ゆふづくやにほひすみれの風匂ひ 西村しげ子 雨月 200205
水涸れし滝の裾なりすみれ咲く 今井久良子 酸漿 200205
曇り日の三色すみれ咲き満ちて 中野京子 200206
垣小さく結ひてすみれは濃むらさき 村田みちな 200206
近道を探りて湖へ花すみれ 大谷茂 遠嶺 200206
踏石に石仏あまたすみれ草 武藤ともお 京鹿子 200206
一行を追ふ一行や山すみれ 山田弘子 円虹 200207
靴紐を結ぶ鼻先すみれ咲く 中崎敞子 ぐろっけ 200208
祷りといふことばが似合ふ夏すみれ 木山杏理 京鹿子 200209
入園の子に箸紙の花すみれ 吉田康子 青山椒 200303
梅林の道のほとりの一すみれ 阿部ひろし 酸漿 200303
藪の中家族の如きつぼすみれ 斉藤静枝 あを 200304
新しき保険証届くすみれ草 高尾豊子 火星 200304
三つ目の胃にて夢みるすみれ艸 佐藤喜孝 「青寫眞」 200304
亡き兄の道おいてゆくすみれ草 神蔵器 風土 200305
すみれ咲き墓のうしろにをんなの子 南うみを 風土 200305
春はいま庭に集めし幾すみれ 阿部ひろし 酸漿 200305
親娘三代タカラジェンヌ花すみれ 新倉舒子 200306
百濟からやさしきひかりつぼすみれ 佐藤喜孝 あを 200306
すみれ咲く五代の墓や早雲寺 中沢三省 風土 200306
西行の庵の跡やすみれ咲く 神蔵器 風土 200306
岬馬すみれの窪み食み残す 杉浦典子 火星 200307
野佛の笑みにたんぽぽすみれ咲く 吉田多美 京鹿子 200307
郵便局木工房かね山すみれ 下山田美江 風土 200307
片貝の風のつめたきすみれかな 長沼紫紅 200307
すみれ草重たい荷物降ろしたし 所薫子 ぐろっけ 200307
十三時集合すみれの花時計 下山田美江 風土 200307
海境のすみれ悉皆肩が凝る 田村みどり 京鹿子 200307
山すみれ母ひつそりと老いゆけり 野口香葉 遠嶺 200307
骨重く子に渡したりすみれ草 田村みどり 京鹿子 200308
山すみれ鬼の石段あへぎつつ 岡田章子 ぐろっけ 200308
黒木御所の磴にすみれの帰り花 升田ヤス子 200312
山村につづく新道すみれ草 高木勝子 帆船 200404
尼寺へ竹柴垣やすみれ草 伊藤葉 雲の峰 200405
掃くものはもうなき庭の寒すみれ 内藤三男 ぐろっけ 200405
花すみれ髪結ひあげて初舞台 藤井智恵子 百鳥 200406
山すみれ土師器片散る官衙跡 佐藤和子 200406
竹林の翳りの中のすみれ草 阿部正枝 遠嶺 200406
花すみれまはり猫好きばかりなり 黒田咲子 200406
踏まれさうに咲く小さな花すみれ 長沼紫紅 200407
すみれ咲く狭庭の天地こよなくも 松尾緑富 ホトトギス 200407
山門に到る段毎すみれ草 丹生をだまき 京鹿子 200407
すみれ咲く盆栽町にまんが館 柴田久子 風土 200407
業平の墓へすみれの濃きを愛で 江崎成則 栴檀 200408
ピクニツク老の歩幅ですみれ咲く 佐藤俊雄 帆船 200410
空海の修行の窟すみれ草 内海保子 万象 200505
すみれ咲き何を語るや飾り窓 大石たか 遠嶺 200505
すみれたんぽぽかへりみられず園の春 鷹羽狩行 200505
さりとてもすみればかりの花時計 為頼小夜子 帆船 200505
踏みさうになりしところよすみれ草 浜田久美子 六花 200506
絹の雨三色すみれべそかいて 笠間圭子 京鹿子 200506
幸ひは路傍にもありすみれ草 得田武市 河鹿 200507
切株に倚る石仏やすみれ咲き 大坪景章 万象 200507
恐竜と遊べる園や花すみれ 沼口蓬風 河鹿 200507
西行庵出会ひし人の手にすみれ 梅村五月 栴檀 200507
たんぽぽの小ささすみれなほ小し 阿部ひろし 酸漿 200507
黄色いスミレ十五歳の聖女の絵 伊藤雅子 200508
叡山すみれ蕾ひとつの返り咲く 田宮勝代 酸漿 200602
城垣にのこる興亡壺すみれ 水原春郎 馬醉木 200606
花すみれ根岸に古りて子規の家 藤井昌治 200606
畦道にすみれ咲くゆゑ帰郷せり 佐藤よしい 風土 200606
歩道橋へ踏み出す一歩すみれ咲く 森永敏子 河鹿 200606
ひと日雨庭はすみれを鏤めし 田中藤穂 あを 200606
すみれ→2

2021年4月17日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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