隙間風     188句

隙間風十二神将みな怒る   阿波野青畝

作品
作者
掲載誌
掲載年月
輪読の論語もれくる隙間風
伊藤格
200003
信楽の一夜親しむ隙間風
松崎鉄之介
200003
隙間風家風となりてより久し
森義久
銀化
200003
すきま風防ぐすべなき通夜の客
孝子・フォン・ツェルセン
円虹
200006
身に隙のありと思へず隙間風
鷹羽狩行
200101
隙間風呼ぶかに零す灯の剩り
亀丸公俊
銀化
200101
隙間風避けて子供を寝かせたる
森裕子
円虹
200102
息をするランプの宿の隙間風
鈴木とおる
風土
200104
風神雷神屏風絵図隙間風
村上瑪論
銀化
200105
隙間風に蚕臭残れる簀天井
塩路隆子
200112
床を視る生徒の眼隙間風
田中武彦
六花
200112
下の座に案内されて隙間風
久保恵子
200202
隙間風どうぞわたしと文鎮のみ
丸山佳子
京鹿子
200202
酔醒めを急かしてをりぬ隙間風
門脇山卯
雲の峰
200202
一枚の暦を揺らす隙間風
中島徳子
酸漿
200202
階のきしみ旧家の隙間風
宮本俊子
雨月
200202
引越して上下左右の隙間風
桜井ともや
六花
200202
なぞなけれなにそありせば隙間風
十見達也
銀化
200202
改めて憶ふ震禍や隙間風
友田直文
200203
隙間風にはなつかしむ心あり
村元子潮
ホトトギス
200203
すきま風毘沙門天のうしろより
岬雪夫
200203
鴨宿の湖の見え居る隙間風
大西正栄
雨月
200204
すきま風首筋のぼる思案中
西塚成代
六花
200204
去年より気になつてゐるすきま風
宮森毅
六花句集
200205
リストラや妻のきりもり隙間風
佐々木栄
ぐろっけ
200205
すきま風棲みつく一間ありにけり
宮原みさを
花月亭
200208
闇に目の利く隙間風かもしれぬ
杉良介
200212
割れ鍋にとぢ蓋隙間風少し
ひらのこぼ
銀化
200301
子育ての破れ障子の隙間風
増田智子
帆船
200301
逆縁のお蝋を揺らす隙間風
篠田純子
あを
200301
隙間風話題のふつと途切れたる
塩川雄三
築港
200302
人情のあふるる古家隙間風
森本信子
築港
200302
法話きく下座にありて隙間風
雲所誠子
帆船
200303
啄木の小学校の隙間風
山口速
200303
そののちの地震の証しのすきま風
戸栗末廣
火星
200303
落柿舎へちよつと立ち寄る隙間風
飯塚ゑ子
火星
200304
聖域の猫の穴から隙間風
田中武彦
六花
200304
病廊長し床屋にポスト隙間風
佐藤喜孝
青寫眞
200304
隙間風酸素が来ると許しけり
楯野正雄
200305
隙間風狂女奈落に出を待ちぬ
塩路隆子
花衣
200307
虚子旧居家鳴りの絶えず隙間風
桑田青虎
ホトトギス
200311
隙間風諸共とせず饂飩食ぶ
前田美恵子
200403
朝ぼらけ額で止まる隙間風
赤座典子
あを
200501
燭ゆらぐ大聖堂の隙間風
品川鈴子
六香
200501
きつちりと閉めたつもりの隙間風
密田真理子
200501
隙間風少しの隙も見逃さず
塩川雄三
築港
200502
身の穴をふやしゐるなり隙間風
宮崎すみ
対岸
200502
隙間風入りても安き我家かな
柳沢典子
酸漿
200503
古家のどこに座れど隙間風
中谷厚子
築港
200503
からからと焔が笑ふ隙間風
渡辺隆
遠嶺
200503
谷戸昏れて耳のうしろに隙間風
土生逸磨
河鹿
200503
隙間風来ては開け閉めする扉
重森健吉
築港
200504
体調を崩し気になる隙間風
高木昌子
築港
200504
独り居の我を侮る隙間風
府中谷幸枝
馬醉木
200504
隙間風目貼のどこかはがれしか
乗光雅子
雨月
200505
隙間風二階より来る夜となれば
鈴木榮子
春潮
200602
一つ火の闇を動かす隙間風
安永圭子
風土
200603
なつかしきいとしき心地隙間風
平居澪子
六花
200603
はらからのひとりが欠けし隙間風
八木岡博江
酸漿
200604
ブラジルの移民小屋に隙間風
梅村五月
栴檀
200605
世に古りし言の葉あまた隙間風
西山春文
200612
ひび割れの一刀彫や隙間風
中村勝行
200703
隙間風喪中のはがき書く背ナに
森脇貞子
雨月
200703
隙間風百年の家目貼りせり
北原東洋男
200703
いづこより肩のあたりに隙間風
西出俊子
酸漿
200703
法堂の香煙ゆらぐ隙間風
松林順子
雨月
200704
双六の鬼の目玉にすきま風
浜口高子
火星
200704
抉じ開ける力を持ちて隙間風
池田崇
200704
隙間風鏡の中を通りけり
高倉和子
200712
背中から隙間風くる歌留多取
山田六甲
六花
200801
隙間風淑気を運び来たりけり
ことり
六花
200801
隙間風壁にも耳のあるごとし
澤田緑生
馬醉木
200802
ひとり居に棲みつきゐたり隙間風
岡野ひろ子
200802
築三十年婚四十年の隙間風
鈴木撫足
春燈
200802
窓際の席を攻め来る隙間風
松嶋一洋
200803
子育ての昔しのべり隙間風
植村よし子
雨月
200803
長廊下軋みて暗く隙間風
植村よし子
雨月
200803
隙間風痛いところを突いてきし
相良牧人
200803
病状は嘘書き送る隙間風
佐々木千代
200803
遠くなる夫の故郷隙間風
大畠響
炎環
200902
思はずのひとりの暮し隙間風
井田実代子
雨月
200903
大言の男が残す隙間風
藤原はる美
200903
襖絵のなびく芒へ隙間風
布川直幸
200904
隙間風地震の爪痕残る街
稲畑廣太郎
ホトトギス
200912
隙間風築百年といふ節目
稲畑廣太郎
ホトトギス
200912
隙間風六甲颪招き入れ
稲畑廣太郎
ホトトギス
200912
隙間風父の声とも叫びとも
稲畑廣太郎
ホトトギス
200912
つくろはぬ思ひのままの隙間風
豊田都峰
京鹿子
201002
隙間風入らぬ家は馴染めざり
羽生きよみ
ぐろっけ
201002
襖絵の鷹が窺ふ隙間風
中尾杏子
201003
篠笛の音にはじまる隙間風
伊藤紀子
ろんど
201003
隙間風百年の家知り尽し
松田都青
京鹿子
201004
隙間風妻の寝息の正しさよ
小川玉泉
末黒野
201004
病癒え戻りし部屋の隙間風
松嶋一洋
201004
田舎家のどことはなしの隙間風
石川元子
酸漿
201004
久方の隙間風なり中二階 空音 六花 201102
祭壇の灯明揺らす隙間風 加藤せぶん ろんど 201103
隙間風蝸牛神経軋ませる 山本孝子 ろんど 201103
峰寺の何処からとなき隙間風 安原葉 ホトトギス 201105
建替ふる気もなき老や隙間風 安原葉 ホトトギス 201105
隠れ住む庵にも馴れし隙間風 安原葉 ホトトギス 201105
子の役に立たぬ書ばかり隙間風 小川玉泉 末黒野 201105
老虚子に浅間颪の隙間風 木村享史 ホトトギス 201106
隙間風遺影はいつもそこにあり 木村享史 ホトトギス 201106
文化財なれば詮なし隙間風 木村享史 ホトトギス 201106
気づきたるとき隙間風なりしかな 稲畑汀子 ホトトギス 201112
ひと仕事もうひと仕事隙間風 稲畑汀子 ホトトギス 201112
隙間風何処からとも測りかね 中島節子 ぐろっけ 201202
地球儀のがらんどうより隙間風 山崎青史 ろんど 201202
節々の隙間風なり二番面 こうのこうき ろんど 201203
体の芯貫き過ぐる隙間風 金田和代 かさね 201203
喪中はがき書きし背より隙間風 戸田澄子 末黒野 201203
マンションに住まひて隙間風知らず 片岡良子 雨月 201203
夫病みて心中隙間風の吹く 白石善子 雨月 201203
めざむればうつし世にあり隙間風 藤生不二男 六花 201203
由緒ある小間の茶室に隙間風 三橋早苗 ぐろっけ 201204
酒蔵の名入りの徳利隙間風 瀬島洒望 やぶれ傘 201204
片耳にくるお逮夜の隙間風 師岡洋子 ぐろっけ 201205
朱の闇の千の鳥居の隙間風 有本南陵 万華鏡 201206
愚痴こぼす胸に入り込む隙間風 呂秀文 春燈 201301
運不運かたよりやすく隙間風 楠原幹子 201302
日当りて隙間風あり憂国忌 石川笙児 201302
抽斗をあけ隙間風あるやうな 定梶じょう あを 201302
木像の袈裟に色あり隙間風 大山文子 火星 201303
隙間風番屋の奥にかまど跡 五十嵐章子 201303
片耳を枕にふさぐ隙間風 鈴木一三 末黒野 201303
折りためる心にどこか隙間風 前田美恵子 201303
一仏の不在の隙間風寒し 中井登喜子 201304
犯人は麻紐の端隙間風 小川玉泉 末黒野 201305
名刹の尊きものに隙間風 熊川暁子 201306
家郷はも人の噂と隙間風 片山博介 春燈 201403
母が家の隙間風なりなつかしき 加藤みき 201403
隙間風夢の中まで入り来る 貝森光洋 六花 201403
通されて不意の一条隙間風 堀田順子 馬醉木 201403
隙間風家の中ほど厳しくて 貝森光洋 六花 201403
藪さわぐ硝子障子の隙間風 長田曄子 火星 201403
投げ出した足のこひしき隙間風 梶浦玲良子 六花 201404
宅配便の包み簡素や隙間風 上月智子 末黒野 201405
敗荷の隙間風聞く結婚式 堀内一郎 堀内一郎集 201412
山風の余りにあらず隙間風 布川直幸 201412
隙間風話の接ぎ穂失ひて 久布白文子 馬醉木 201502
座禅組む心の隅へ隙間風 佐藤弘香 ろんど 201502
五十年佳みて馴染みぬ隙間風 外山節子 末黒野 201503
内情ば探りよるとね隙間風 金子正道 京鹿子 201504
法の火の揺れてをりけりすきま風 柳橋繁子 201504
雨戸にも心にもあり隙間風 中林晴雄 201504
八畳の眞ん中に寝て隙間風 中谷富子 201504
寡婦といふ欄に記せり隙間風 田代貞枝 201505
寝そびれし夜はことさらに隙間風 藤岡紫水 京鹿子 201602

伊藤通明先生逝去

玄海の匂ひの混じる隙間風

柴田佐知子 201603
包丁を研ぎをり顔を隙間風 田中臥石 末黒野 201603
隙間風にも重い風軽い風 後藤立夫 ホトトギス 201604
ふるさとの隙間風さへ懐しき コ田千鶴子 馬醉木 201702
検査前夜更けの隙間風寒し 佐藤哲 万象 201702
半世紀経し建て付けの隙間風 三輪温子 雨月 201703
隙間風猫の出口は開けてをく 相良牧人 201703
よく笑ふ人らみな去に隙間風 白神知恵子 春燈 201704
隙間風日付替ってをりにけり 中川句寿夫 ここのもん 201705
言ひ分の一つや二つ隙間風 中川句寿夫 ここのもん 201705
隙間風内緒で一つ歳をとる 中川句寿夫 ここのもん 201705
すれ違う恵比寿顔との隙間風 平川陽三 船団 201707
隙間風住めば都の五十年 西村しげ子 雨月 201803
ひとり居の温み奪ふや隙間風 山口郁子 末黒野 201804
地震あとの癒えぬ傷口隙間風 佐津のぼる 六花 201805
この家に一人となりし隙間風 三宅久美子 ホトトギス 201805
隙間風家族のごとく住みつきぬ 横田敬子 201808
風鎮のかすかにゆるる隙間風 佐津のぼる 六花 201902
法話聴く大本堂の隙間風 鈴鹿仁 京鹿子 201902
一枚の月暦揺る隙間風 田中臥石 末黒野 201903
留守電に見知らぬ声や隙間風 太田良一 末黒野 201903
ラーメンに厚き焼豚隙間風 安藤久美子 やぶれ傘 201903
地獄絵の奪衣婆動く隙間風 長谷英夫 馬醉木 202002
シチュー啜れば隙間風また吹いて 小山よる やぶれ傘 202002
隙間風かぜのこゑ聞く日なりけり 加藤みき 202004
留守電に見知らぬ声や隙間風 太田良一 末黒野 202004
物当てて隠してありし隙間風 安原葉 ホトトギス 202005
建て替へもかなはぬままに隙間風 三村純也 ホトトギス 202005
隙間風座り替へたるところにも 三村純也 ホトトギス 202005
隙間風無きが如くにありにけり 稲畑汀子 ホトトギス 202012
三密をさけて心に隙間風 藤田美耶子 202103
隙間風換気要らずの夫婦仲 小林清彦 末黒野 202103
疫病禍の防人となれ隙間風 山口登 末黒野 202103
一人鍋足腰過ぐる隙間風 佐藤勝代 末黒野 202103
隙間風入口出口あるごとく 天野美登里 やぶれ傘 202103
一人乗るエレベーターの隙間風 森祐司 202110
陶房に入り陶房の隙間風 増成粟人 202204
隙間風換気要らずの夫婦仲 小林清彦 末黒野 202204
古民家の田の字の間取り隙間風 東小薗美千代 末黒野 202205
列島の緑の隙間風が縫ふ 出利葉孝 202209
隙間風勝手知つたるやうに来ぬ 門間としゑ 末黒野 202302

 

2023年12月3日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。