添 水      103句

閑けさの節目といふを添水打つ    山口俊平

作品
作者
掲載誌
掲載年月
添水よりあふれし水の行方かな 稲畑汀子 ホトトギス 199810
東山その懐の添水かな 稲畑汀子 ホトトギス 199810
添水音に呼ばれるやうで月まゐり 丸山佳子 京鹿子 199903
添水闇小石が石に育つとき 丸山海道 京鹿子 199910
添水との距離はかりをり肱枕 中原道夫 銀化 199911
添水鳴る目覚めの早き山の宿 米田泰子 俳句通信 199912
添水鳴る皆の耳目をひきよせて 山村桂子 遠嶺 199912
添水竹青あたらしく青に添ふ 宇都宮滴水 京鹿子 200010
添水鳴るたびに忌日の心かな 稲畑汀子 ホトトギス 200010
待つ心なくなりし時鳴る添水 稲畑汀子 ホトトギス 200110
思考にも紛れ込みたる添水かな 稲畑汀子 ホトトギス 200110
こんと打つ添水人声許さじと 大橋敦子 雨月 200112
主なき庭の添水の音高し 斉藤陽子 雨月 200201
添水鳴りやむより荘の闇深し 本郷桂子 円虹 200201
花背路は昼の添水のうちどうし 鈴鹿野風呂 京鹿子 200202
添水鳴る刻ゆるやかに詩仙堂 稲葉三恵子 馬醉木 200212
理に落ちし添水にはかに跳ね上がる ひらのこぼ 銀化 200301
息を吐く如く添水の水を吐く 粟津松彩子 ホトトギス 200302
添水のおとやたらと高き朧かな 浜口高子 火星 200306
いま少し音のへだたり欲る添水 大橋敦子 雨月 200310
日暮しの庭に添水(そうず)の響き待つ 木村てる代 雲の峰 200311
枯添水古今庵の傍を出ず 宇都宮滴水 京鹿子 200401
緊迫の女流棋士戦添水鳴る 峰尾秀之 200402
五入てふ捨てのきびしさ添水鳴る 舩越美喜 京鹿子 200402
深山より添水にひける春の水 二宮桃代 雨月 200404
実南天不意の添水の音高し 小島とよ子 遠嶺 200404
花は葉に那智石汚る添水かな 中山皓雪 200408
啄木を追ひたる村の添水かな 久保一岩 雲の峰 200410
寿福寺に添水の鳴れば忌日来る 稲畑廣太郎 ホトトギス 200410
添水鳴り嫁ぐ子の黙父の黙 廣島泰三 200411
月高しここの添水の聞えけり 大島翠木 200501
語り部の間合ひを添水鳴りにけり 青木久子 遠嶺 200511
茶席の名閑中庵と添水鳴る 堀田こう 雨月 200602
閑けさに響く添水や詩仙堂 木暮剛平 万象 200606
夜半忌のしづけさにあり添水鳴る 鷹羽狩行 200609
添水の音若竹の藪抜けて行く 田中悦子 四葩 200609
語りべの婆が座に着き添水鳴る 中田みなみ 200612
見つからぬ言葉のつぎ穂添水鳴る 鈴木清子 遠嶺 200612
仕方なささうに添水の叩くなり 中村碧泉 ぐろっけ 200701
佗助咲き添水しつらふ玄関先 松崎鉄之介 200703
林内はひとり添水の音なりけり 勝原文夫 春燈 200707
なほも吾を浄むるべしと添水鳴る 小澤克己 遠嶺 200712
しづごころ潜りて添水鳴りにけり 加藤京子 遠嶺 200801
おもむろに添水の音や寒明くる 後藤大 春燈 200804
山吹の奥に添水の鳴りにけり 本杉千保子 万象 200808
添水鳴りまた閑けさの深まりぬ 山田天 雨月 200810
水音に時を刻みて添水かな 井上美智子 風土 200812
浮かれゐて爾今は知れず添水かな 折橋綾子 200812
庭園の添水しばらく待ちて聞く 和田森早苗 200812
添水鳴る等間隔に闇区切り 丹生をだまき 京鹿子 200901
禅寺の添水かつんと心打つ 高橋将夫 真髄 200907
名刹に聞きし添水の間遠にて 塩路五郎 200912
添水鳴る渡し場宿の力蕎麦 菅野日出子 末黒野 201002
よく姉とたづねし苑に添水聴く 野口光江 遠嶺 201002
峡の湯の日暮うながす添水かな 森清尭 末黒野 201004
坊守を志願の嫁や添水鳴り 杉本綾 201011
庭園の添水の音に心澄み 塩路五郎 201011
ランプ宿添水はゆるく時きざむ 佐々木新 春燈 201012
詩仙堂添水が時を刻みをり 秋山信行 やぶれ傘 201101
添水鳴る忌日の空を仕上げつつ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201110
思ひ切り空つぽになる添水かな 柳川晋 201112
竹林に添水のひびき冬椿 坂上香菜 201202
MRIの穴は添水の二重奏 竹内悦子 201211
添水鳴る齢にかなふ平穏を 酒井秀郎 返り花 201211
行く秋の心に落つる添水かな 大橋伊佐子 末黒野 201302
添水鳴つて静かさ戻す詩仙堂 根岸善行 風土 201302
奥庭の緊張を解く添水かな 水田むつみ ホトトギス 201303
添水鳴る稽古なき日の能舞台 鈴木一三 末黒野 201303
添水鳴るまでの静寂や寒椿 田岡千章 201305
添水鳴る風に読点打つやうに 柴田近江 201312
威すには添水の水量不足かな 久染康子 201312
添水鳴り句心いよよ昂りぬ 片岡良子 雨月 201401
寒の音ひびく静寂や添水鳴り 辻香秀 201403
実千両添水の筒の新しく 稲岡みち子 雨月 201404
添水の音聞く忌心と祝ぎ心 稲畑廣太郎 ホトトギス 201410
添水の音刻を止めたり進めたり 有松洋子 緑光 201411
嵯峨野かな細き添水の大き音 升田ヤス子 六花 201502
義仲寺の歳月刻む添水音 久保田雪枝 雨月 201503
添水晴額づきて師に問ひかくる 塩貝朱千 京鹿子 201511
白つぽい午後の山なみ添水鳴る 大崎紀夫 やぶれ傘 201511
身のどこか眠れずにゐる遠添水 能村研三 201511
蕪村墓に響く添水の裏の山 高野昌代 201602
高層のビルの坪庭添水鳴る 中村千久 万象 201602
添水鳴る忌日近づく寿福寺に 稲畑汀子 ホトトギス 201610
ひとことの言へず添水の鳴るを聞く 宮崎洋 春燈 201612
義仲寺の添水の音も遠くなり 岩木茂 風土 201701
そのうちに鼓動の和む添水かな 笹村政子 六花 201701
いつもなら着けば添水の音の中 稲畑汀子 ホトトギス 201710
止めてある添水に客の百余人 稲畑汀子 ホトトギス 201710
みづ満ちて添水の放つ律かな 小林はじめ 六花 201806
遅速なき添水の古刹縁を得る 丸井巴水 京鹿子 201810
ふと気づく添水の音でありしこと 稲畑汀子 ホトトギス 201810
僧正逝く添水の音も絶えにけり 中里よし子 春燈 201812
添水鳴る誰にも同じ時流れ 下田奉枝 雨月 201901
鎌倉の蒼天拡げゆく添水 稲畑廣太郎 ホトトギス 201910
ゆくりなき添水のひびき四阿に 山口登 末黒野 202001
間遠なる添水の音や日が暮るる 貫井照子 やぶれ傘 202002
竹林の小道を行けば添水鳴る 廣瀬雅男 やぶれ傘 202002
総門を入れば背後の添水かな 和田照海 京鹿子 202002
添水鳴る忌心といふ音階に 稲畑廣太郎 ホトトギス 202010
赤松の鼓遊か添水鳴る 山田六甲 六花 202012
小間切れに使ふ時間や添水鳴る 能村研三 202201
添水の音庭の静寂のありてこそ 好川忠延 ホトトギス 202202
会話ふと途切れる時の添水かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 202210
添水鳴る能開演を待つ夕べ 久間早苗 202212

 

2023年8月8日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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