底 冷      188句

 

作品
作者
掲載誌
掲載年月
底冷えの堂に奥まるフレスコ画 品川鈴子 ぐろっけ 199812
底冷えに聖女の首を灯し観す 品川鈴子 ぐろっけ 199812
父祖の地の底冷至る樫一樹 野中亮介 馬醉木 199902
底冷の廊下まぶしきまで拭かれ 栃内和江 199903
底冷のきはみ神事の果てにけり 広渡敬雄 「遠賀川」 199909
はひ上る底冷坐り直しても 海輪久子 円虹 200004
底冷の底といふべき土不踏 青山丈 200005
底冷や昭和の初期の石館 牛田修嗣 200010
柏手もおのれにひびき底冷えす 後藤志づ あを 200102
霧笛鳴らぬ街は底冷えて乾く 金子皆子 海程 200105
底冷えは敗者の冷えか北の庄 能村登四郎 200108
年ふかく底冷えの日の遠忌かな 能村登四郎 羽化 200110
底冷の外陣にて南無観世音菩薩 瀬川公馨 200202
底冷のお旅所に聞く神の笛 渡辺政子 春耕 200202
底冷えや石に触れたる鯉のひげ 山田六甲 六花 200202
帰国子に底冷もまたなつかしく 本郷桂子 円虹 200203
底冷えの城に矢狭間武者隠し 友田直文 200203
底冷の大日堂に竜鳴かす 網野茂子 酸漿 200204
京の底冷とはこんなものじやない 山田弘子 円虹 200204
旧邸の回廊畳底冷す 西山紀代子 200204
底冷の五番街より救急車 江坂衣代 百鳥 200302
底冷に骨壺ことと鳴りにけり 伊藤総司 雲の峰 200302
底冷や推理小説読み切りし 須賀敏子 あを 200303
底冷や鼠走りにお蝋番 村松快 円虹 200303
老体に寒の底冷続く日々 安陪青人 雨月 200303
音もなく寒天乾き底冷ゆる 金丸鐵蕉 200303
底冷や走り根巌をわしづかみ 太田昌子 馬醉木 200304
ピカソの絵分らず画廊底冷えす 井手由紀江 築港 200305
底冷えや失禁止むを得ぬ齢 大井貞一 京鹿子 200306
おいでやすと口の端震え底冷えす 芦川まり 八千草 200308
底冷の禅堂期する心かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 200311
銀閣のけふの底冷え忘れめや 鷹羽狩行 200312
底冷えの飼屋に固き椅子ひとつ 大西晶子 百鳥 200402
底冷えの梲の家並藍の店 米田紫雲英 百鳥 200404
底冷の歳月積みし剛さかな 浅岡由恵 200404
しばらくは雲に乗りたい底冷えて 丸山佳子 京鹿子 200404
底冷や酒蔵の壁罐深し 古川昭子 栴檀 200405
底冷や病廊に鳴る時計たり 栢森定男 風よ 200407
底冷ゆる禅回廊に血の点々 品川鈴子 ぐろっけ 200412
底冷えの東司向ひに金庫堂 品川鈴子 ぐろっけ 200412
底冷ゆるイエスは右の胸に創 品川鈴子 六香 200501
ゴシックの底冷えエレベーター係 品川鈴子 六香 200501
耕二忌の糸底冷ゆるまで語る 小野恵美子 馬醉木 200502
底冷や裳裾をかへす女身仏 山本耀子 火星 200502
底冷えや丹田あたり唸りだす 佐々木国広 築港 200503
底冷えの熱き紅茶やブラームス 長瀬恒子 遠嶺 200503
底冷えの倉庫マネキン白く立つ 相川幸代 百鳥 200503
底冷えのわがものならぬ足とかな 林翔 200503
底冷や童子姿の不動尊 谷村幸子 200504
底冷えや式台を踏む一歩より 濱田萬里子 河鹿 200504
底冷に猫固まつてをりにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200512
底冷えの山河の端に枕置く 柴田佐知子 200601
底冷の京托鉢のこゑつなぐ 中村翠湖 馬醉木 200603
底冷の庫裏の竈の拭かれをり 武久昭子 風土 200603
底冷えの神殿に舞ふ緋の袴 寺沢千都子 万象 200604
底冷えのビルの谷間に辻占ひ 深津一葉 200605
底冷えの胸へくちびる花とひらく 八田木枯 晩紅 200606
川面の灯つれなく返し底冷す 中野英歩 八千草 200607
底冷の吉野の夜具のやはらかし 田中藤穂 あを 200701
天井へ向かふ階段底冷えす ことり 六花 200702
底冷えの椅子に削らる糸切歯 今井忍 ぐろっけ 200703
鎮魂のオルガン響き底冷す 村生翠 雨月 200704
底冷えの城の軋みや古甲冑 今井忍 ぐろっけ 200705
無言館に成人式や底冷す 神蔵器 風土 200803
五重塔失せし谷中の底冷す 俵藤正克 春燈 200804
畳一枚上ぐれば湖か底冷す 後藤眞由美 春燈 200804
友の名を探す底冷え震災碑 勝野薫 ぐろっけ 200804
底冷や祈るとき身を折らむとす 辻美奈子 200804
底冷やマイクの機嫌直らずに 甲州千草 200804
底冷ゆる夜の抽斗に肥後の守 辰巳比呂史 200805
底冷えや百度参りも小走りに 奈佐幸子 200805
底冷えの春日大社のかゆ御膳 市橋香 ぐろっけ 200805
底冷を解く除幕でありにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200812
紫烟とは空へゆくもの底冷えす 林翔 200901
底冷の金文字冥き曼陀羅図 伊藤ふみ 馬醉木 200902
底冷の蔵に版木の六万枚 金田美恵子 ぐろっけ 200902
底冷えを神楽日和と井川人 曽根満 万象 200902
口重き文学なれど底冷えす 松川都青 京鹿子 200904
底冷えの螺旋階段はてしなし 北川とも子 ぐろっけ 200904
底冷や御廟へ膳を運ぶ僧 峯桜子 遠嶺 200904
底冷や五百羅漢の千の耳 海村禮子 春燈 200904
底冷や錦市場の玉(ぎょく)うどん 緒方佳子 火星 200904
院のつく町に住み古り底冷えす 村田冨美子 京鹿子 200904
京の底冷えこれしきのものならず 小川匠太郎 201002
奥の間といふ底冷でありにけり 柴田佐知子 201002
底冷の天神社碑に地震の跡 改正節夫 ぐろっけ 201002
底冷の書庫に居座るスターリン 藤原はる美 201002
底冷や白河夜船にて参る 柳川晋 201003
底冷や空家へ鍵を開けて入る 泉田秋硯 201003
底冷えを足裏に感ず堂の廊 中根健 201004
底冷の伊賀の育てし芭蕉翁 豊谷青峰 春燈 201004
底冷えや批の箪笥に宝物 森聖子 201102
朱の橋を渡り大杉底冷えす 近藤きくえ 201102
狩野派の松しんしんと底冷す 吉成美代子 あを 201103
底冷えの底のあたりの京の朝 青山正英 201103
底冷えの手摺に縋り磴百段 横井博行 万象 201104
底冷えや手すり頼りの磴二十 小川玉泉 末黒野 201104
議事堂の赤き絨毯底冷す 岡田史女 末黒野 201105
歩を留めゐて底冷のくつつきぬ 湯川雅 ホトトギス 201106
底冷や父の出湯の碑をなでて 山田六甲 六花 201202
底冷えの三条大橋雨模様 高橋泰子 201202
朝光や百畳佛間底冷す 竹中一花 201203
底冷や邪鬼従容と踏まれゐし 山下佳子 馬醉木 201203
底冷にともがら傘寿鈴祓@ 品川鈴子 ぐろっけ 201203
底冷えの野に咲く梅のひと本ぞ 田島昭久 かさね 201203
足裏を攻むる底冷え朝厨 小川玉泉 末黒野 201204
夕されて峡の底冷雪嶺より 大久保弘子 雨月 201204
人混みの底冷えを抜け自動ドアー 中島讃良 ろんど 201204
底冷や節電なほも継続中 中村月代 末黒野 201204
底冷に堪へをり仁王吽の像 定梶じょう あを 201204
底冷えの闇引き行けり修行僧 安斎久英 末黒野 201204
底冷えのパンプスの音大きかり 齋藤厚子 201204
水くぐる鴛鴦底冷えの音生まれ 中山純子 万象 201205
底冷えに優勝ロボット胴上げす 品川鈴子 ぐろっけ 201211
底冷えや雨脚速き水を見て 山田六甲 六花 201302
足元の棒のごときや底冷し 中村ふく子 201303
底冷えの底の底なり独りなり 山崎青史 ろんど 201303
星流る空の軋みや底冷えす 竹田ひろ子 ろんど 201303
底冷の庫裡より入る一休寺 大山文子 火星 201303
底冷えの底を抜きたる破顔かな 柳川晋 201303
底冷えの弘法市や端布買ふ 三川寿代子 201303
窓開けば底冷の底入り来る 池田久恵 ぐろっけ 201304
底冷や地下街迷路の川崎駅 松嶋一洋 201304
底冷や山迫り来て暮るる里 遠山のり子 201305
耳痛きまで底冷えの長野駅 橋場美篶 末黒野 201305
底冷えや少女のミイラ爪長し 藤本節子 万象 201305
底冷えの石膏像の展示室 鈴木良戈 201401
上洛の會津史読みて底冷す 渡部法子 201402
法案強行夜の底冷のとめどなく 田中藤穂 あを 201402
人黙しゆく底冷の東寺道 熊岡俊子 雨月 201402
底冷えや秘仏の闇に眼の慣れて 田中佐知子 風土 201402
芒にて終る地獄絵底冷えす 福山和枝 201403
底冷えや誰も湖には近づかず 山田六甲 六花 201403
底冷やビルに出口と入口と 根岸善行 風土 201404
八百年の柏槙寿福寺底冷えす 仙田孝子 風土 201404
底冷えの洛中一献蔵の酒 佐用圭子 201404
底冷の古都しづけさの底にあり 古賀しぐれ ホトトギス 201405
底冷えの京に住み慣れ半世紀 山下潤子 璦別冊 201408
青空を蓋に底冷えの盆地村 布川直幸 201412
底冷の乾きつつある蹴り轆轤 山田六甲 六花 201503
底冷や棚に富山の置き薬 宮崎高根 201503
底冷のバス待つ京の停留所 四條進 201503
底冷えや思考回路の途切るかに 竹田ひろ子 ろんど 201504
底冷のその日葡萄の枝おろす 森理和 あを 201504
四月かな底冷えのなき朝稽古 松村光典 やぶれ傘 201508
底冷えのするコンビニの明るさよ 東英幸 船団 201508
底冷えのをほどけば楽茶碗 山田六甲 六花 201512
不断念仏根本道場底冷えす 門伝史会 風土 201512
僧なだれ込む底冷えの荒行堂 大沢美智子 201603
底冷や小股で歩く妻の音 根岸善行 風土 201604
底冷や時間潰しといふ難儀 湯川雅 ホトトギス 201605
底冷えの禅寺を守る僧一人 伊吹之博 京鹿子 201605
底冷えや水掃き出しし糶のあと 深川淑枝 201605
底冷えの中に常世の火を灯す 橋本順子 201704
底冷への影をしたがへ百度跡む 村田あを衣 京鹿子 201705
底冷の轆轤に向ひ無心なり 山田六甲 六花 201803
底冷えの星空よぎる夜行便 小池一司 やぶれ傘 201804
底冷えや鉛の詰まる膝頭 那須淳男 馬醉木 201804
底冷の動かぬ路地に動かず居 湯川雅 ホトトギス 201805
底冷やぶぶ漬け勧められ惑ふ 石川多歌司 ホトトギス 201806
底冷えの底よりあふぐ比叡かな 村田あを衣 京鹿子 201806
底冷えを蹄の音のひびき来る 谷田明日香 風土 201901
底冷の灯を斬り畳む式包丁 森岡正作 201901
底冷えの足もと昏い大落暉 小笠原妙子 201902
底冷えの闇に目の慣れ釈迦如来 田中佐知子 風土 201902
酒蔵の底冷えとなる犬矢来 前田美恵子 201903
底冷えを来てバーバーのドアを開け 丑久保勲 やぶれ傘 201903
底冷えや潤滑油差したき五体 岩月優美子 201903
底冷や抜け落ちさうな高瀬舟 湯川雅 ホトトギス 201904
底冷の底百畳のがらんだう 古賀しぐれ ホトトギス 201904
底冷えやなかなか開かぬ壜の蓋 斉藤マキ子 末黒野 201905
底冷の小面更に白くなる 山内碧 201907
底冷の膝へ集まる阿弥陀堂 本郷 公子 京鹿子 202001
底冷や書架に古りたる広辞苑 本池美佐子 202002
底冷えや首筋の風背に抜けて 臼居澄子 末黒野 202003
底冷えや日窮る廊の足裏より 大川暉美 末黒野 202003
大杉を下りて来たりし底冷か 半谷洋子 202003
底冷えの順路をめぐる永平寺 東木洋子 春燈 202004
底冷えの奈良の仏の薄ごろも 竹村淳 202004
初閻魔足裏底冷え大広間 大山夏子 202006
底冷の江戸蒼穹の浪速かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 202012
審判の声底冷えの武道館 柴田佐知子 202102
底冷えの底の抜けたる水面かな 藤生不二男 六花 202104
底冷の闇に一つ火生まれ出づ 南うみを 風土 202203
底冷えや我が神将に灯を献ず 柿沼盟子 風土 202203
待つことに慣れ底冷に杭となる 湯川雅 ホトトギス 202205
底冷の朝の開扉や東寺の塔 伴秋草 末黒野 202205
底冷の床に看取りの敷布団 三井所美智子 202208

 

2023年1月27日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。