白 靴     190句

作品
作者
掲載誌
掲載年月
白靴を抱いて驟雨を駈け出しぬ 会川昌子 春耕 199810
白靴の穢れ未だなき朝たのし 能村登四郎 199907
白靴や沖また雲をそだてそめ 水内慶太 銀化 199908
白靴を出してそのまま日が経ちぬ 青山丈 199909
今年遂に白靴穿かず夏すぎし 能村登四郎 199909
白靴を穿くためらひの今もあり 能村登四郎 「芒種」 199911
訪ふあてもなき白靴を履きおろす 萩原記代 199911
車より白靴が出て出社翁 吉田すばる 京鹿子 199912
白靴の爪先立ちて花を盗る 川島ひとみ 船団 199912
白靴のいつも二足の干されし家 田畑幸子 火星 200005
白靴のひもだけ赤しパンダ居て 保坂加津夫 いろり 200007
白靴に過去を流せし白さあり 鈴風仁 京鹿子 200008
白靴をもう履くこともなかりけり 保坂加津夫 いろり 200008
白靴についてゆけなくなりし足 福島美香子 京鹿子 200010
ウインドの白靴空へ走りさう 内山和江 奧嶺 200010
白靴の新しければ白を着る 東克巳 200011
パネラーたち海流に乗りみな白靴 須藤火珠男 海程 200011
白靴の紐をきりつと祝ひごと 坂本京子 200107
白靴に替へてスカラ座オペラ座へ 田口千恵子 200108
白靴の母の行きたき処まで 大曽根育代 遠嶺 200109
白靴に弾む朝でありにけり 黒川悦子 円虹 200109
白靴にブルージーンズ彼が来る 黒川悦子 円虹 200109
白靴の怒濤に向かふ夕日中 小澤克己 遠嶺 200109
白靴の小さい方が母のもの 黒川悦子 円虹 200109
白靴のこぐ自転車が追ひ越しぬ 黒川悦子 円虹 200109
白靴に替へて一万歩の一歩 魚井満里子 百鳥 200109
白靴に山の天気の変りけり 黒川悦子 円虹 200109
白靴を慣らしアンネの地へ行かむ 上田かつみ 京鹿子 200109
白靴をぬぎて踏みたり海の端 塙告冬 ホトトギス 200112
白靴の小林さんが来る真昼 津田このみ 船団 200201
白靴の三日の旅でありしこと 稲畑汀子 ホトトギス 200207
経験の多さうな白靴だこと 櫂未知子 銀化 200207
白靴に替へて銀座の絵画展 鈴木とし子 遠嶺 200208
白靴を買ふも自祝や誕生日 毛塚静枝 200209
わがままな白靴列を飛び出せり 半澤佐緒里 百鳥 200209
白靴の紐しつかりと草千里 小島とよ子 遠嶺 200209
白靴の意志すいすいと渚行く 小澤克己 遠嶺 200209
羽根の生えさうな白靴旅の朝 河本順 200210
白靴の先白熱の日を返す 磯野しをり 雨月 200210
白靴の忽然と玄関に立つ 上野澄江 百鳥 200308
白靴のよそよそし程白くあり 中西美保 雨月 200308
踏んばりの利く白靴はどれですか 田村園子 200309
白靴の子らの寄りゆく閻魔堂 渡辺政子 雲の峰 200309
白靴をはいて身軽になりにけり 森加名恵 百鳥 200309
憎まれしごとく白靴踏まれけり 山中宏子 200309
白靴の遊び上手でありにけり 大曽根育代 遠嶺 200309
老残に似て白靴の汚れかな 岩原俊 対岸 200310
真夜磨く白靴明日も汝に蹤かむ 荒井千佐代 200310
白靴は四十五度の角度なり 瀬下るか 200311
将来を誓ふ白靴揃ひけり 矢崎すみ子 200311
白靴や東京は土黒き街 長山あや ホトトギス 200312
白靴の爪先起点とする未来 山元志津香 西の峰 200401
白靴やはるかな旅の展けくる 阿部正枝 遠嶺 200406
白靴の行動範囲知られけり 稲畑汀子 ホトトギス 200407
白靴や信条少しゆらぎたる 小林とみゑ 百鳥 200408
看護婦のそろふ白靴汚れなき 大西八洲雄 万象 200408
白靴の子が毬のごと胸にきて 笠原優 200409
白靴をきちんと脱ぎて小さな客 岡田弘子 百鳥 200410
白靴を出せば沸々旅心 松村富子 200410
白靴に跳ね返る雨容赦なし 青木暁子 築港 200410
白靴の足軽やかに螺旋階 山口順子 200411
白靴の分だけ軽き男かな 渡辺隆 遠嶺 200411
新調の白靴若さ取りもどす 大川冨美子 ぐろっけ 200412
白靴の音たて駆ける登園児 川口弘子 築港 200507
白靴と白靴駅に出会ひけり 大串章 百鳥 200508
海峡を越えむ白靴みがきをり 森早和世 ぐろっけ 200509
アル・カポネ気分白靴高鳴らし 峰尾秀之 200510
白靴の干され山荘昼の黙 徳田正樹 河鹿 200510
白靴に潮の香ほのとありにけり 松本静江 遠嶺 200510
野に染まるまでを白靴日和かな 大曽根育代 遠嶺 200511
老妻も白靴求め旅支度 山口博通 ぐろっけ 200511
白靴に朝の草の香子よ癒えよ 坂ようこ 200511
履き慣れし白靴を出す旅仕度 川島澄子 酸漿 200512
白靴を履きて死神去りにけり 高橋将夫 200608
旅の途次廬山登るに白靴買ふ 松崎鉄之介 200609
父の日に白靴もらひ疲れたり 大坪景章 万象 200609
初めての枷か白靴歩み初む 吉永寿美子 四葩 200609
白靴や変はることなき志 堀本祐子 遠嶺 200609
白靴にのこる荒磯の日の匂ひ 田村園子 200609
白靴ににはかな雨となりにけり 小坂アイ子 四葩 200609
今日よりの白靴仕事新たなり 緑川啓子 馬醉木 200610
白靴の熱もつ史蹟めぐりかな 望月晴美 200707
白靴の汚れはじめし旅疲れ 稲畑汀子 ホトトギス 200707
下ろしたてシャイな白靴電車待つ 新井すみ子 遠嶺 200709
白靴重し退院の挨拶す 宮崎高根 200709
白靴の鳴り癖いつも独りの歩 柳生千枝子 火星 200709
チワワ連れ白靴のくる朝の橋 戸田春月 火星 200709
白靴の住職夜の門いで来 戸栗末廣 火星 200710
障害の足に白靴なじませる 的場うめ子 ぐろっけ 200710
白靴や鉄飛坂てふ坂登る 柳生千枝子 火星 200710
白靴の鳴り癖を聞く独りの歩 柳生千枝子 火星 200710
白靴のショベルカーより跳び降りし 大城戸みさ子 火星 200710
白靴やひたすらに追ふこころざし 望月晴美 200711
白靴を潰して映画「モロッコ」風 岡谷栄子 200809
白靴を履き背の筋を立て直す 清水幸治 200809
白靴の並ぶ玄関六月ぶり 伊吹之博 京鹿子 200809
白靴のヒールの高さ彼との距離 石原みどり 炎環 200809
波の秀と遊ぶ白靴先師の忌 小野恵美子 馬醉木 200809
晴るる日を選び白靴下ろしけり 北畠明子 ぐろっけ 200810
旅のごとくに白靴の紐むすぶ 辻美奈子 200810
僧坊に脱ぐ白靴に日の当たり 大山文子 火星 200909
白靴を脱ぐ父の忌の山荘に 水原春郎 馬醉木 200909
再会の白靴よ今タラップ来 小熊幸 炎環 200909
白靴の汚れやすさよ鳥語降る 石田阿畏子 馬醉木 200910
白靴のナース手をふる車寄せ 吉川隆 春燈 200910
白靴でゆく海までの自由席 井原美鳥 200911
白靴に弾む一年生の列 稲畑廣太郎 ホトトギス 201006
相客の白靴まぶしカフェテラス 峰幸子 201009
先客の白靴一つおかれをり 久津見風牛 201009
白靴や八十路の山を登らむと 宮野照子 馬醉木 201009
白靴や踵に翼得しおもひ 廣谷總子 201010
白靴や一生数値を伴侶とす 林のり代 京鹿子 201010
白靴を硝子の靴のやうに脱ぐ 倉持梨恵 201012
白靴の彦様じつと川を見る 稲畑廣太郎 ホトトギス 201106
白靴の三鬼の下車す雲の峰 神蔵器 風土 201108
白靴に変へて明かるき谷の道 田中佳子 ぐろっけ 201109
白靴の一歩に跨ぐ日本海 柴田久子 風土 201111
白靴の行き来軽やか海の基地 中岡佐知子 ぐろっけ 201208
白靴の一歩軽くてよき予感 菅谷たけし 201209
白靴や背伸びをすれば欠伸出づ 齋藤厚子 201210
白靴や絵地図にめぐる殉教碑 野畑さゆり 201210
白靴の音高くして妻見舞ふ 松嶋一洋 201210
白靴に迎賓館の塵少し 和田政子 201210
白靴とリハビリ杖と馴染みたる 小林正史 201210
三鬼の忌白靴墨の匂ひけり 広渡敬雄 201303
静けさに佇つ白靴や無人駅 井島郷雲 万象 201310
白靴で大アフリカを一周す 岩下芳子 201310
白靴を履きし気負ひか気後れか 瀬戸悠 風土 201310
白靴やロマンチストは老いぬれど 柴田歌子 201310
白靴の減り方楽天家と言はる 甕秀麿 201310
白靴や黄泉にもあらむ水溜り 山本鬼之助 201401
駆ける子の白靴にちょと春の土 岡崎禎子 201406
白靴をあくまで白く男かな 加藤みき 201408
杖の歩に白靴といふかろさあり 島田浩美 201409
白靴や下ろすならシャガールの空 近藤喜子 201409
白靴の跳んで川幅水流る 生田恵美子 風土 201409
白靴は夫の遺品氷河踏む 吉武千束 太古のこゑ 201411
白靴の帆へかけ上がる日本丸 寺沢千都子 万象 201412
白靴はリハビリシューズなりしかな 井上春子 春燈 201508
白靴や職場に馴れし足取りで 酒本八重 201508
白靴や好きな木蔭に好きなだけ 原友子 201510
白靴の巨船の影を通りけり 橋本順子 201510
白靴のリハビリに添ふ半歩あと 今井充子 201511
論語塾子等の白靴一直線 大政睦子 京鹿子 201601
踏み台に乗り白靴を蔵いけり 池田澄子 201602
白靴や台湾有情の地に立てり 岡本尚子 風土 201605
白靴の汚れに出端くじかるる 森岡正作 201607
白靴やヴェニスは夢のままに過ぎ 楠原幹子 201607
白靴の身軽さ今日のはじまれり 小森泰子 馬醉木 201608
白靴や若冲展に並ぶ朝 山荘慶子 あを 201609
颯爽と白靴はいて杖ついて 呂秀文 春燈 201610
オリーブの島に白靴上陸す 藤井啓子 ホトトギス 201611
白靴の右往左往やゲリラ雨 佐々木秀子 201611
天気予報はづれて白靴の男 天谷翔子 201611
タラップを上る白靴旅始め 鏡英子 末黒野 201611
白靴が検札に来て恭し 兵藤恵 201708
白靴をはきて疲れてをりにけり 飛高隆夫 万象 201708
己が影蹴つて白靴汚しけり 三上程子 春燈 201708
白靴の女が沖の船を見る 福島せいぎ 万象 201709
白靴の男朗々暗誦詩 能村研一 201709
白靴に泥はね両手にレジ袋 木戸渥子 京鹿子 201710
白靴を少し汚して退院す 佐々木秀子 201711
お揃ひのてかる白靴老姉妹 辻水音 201712
白靴の朝日を返す湖畔かな 森清信子 末黒野 201808
白靴の尖り新宿歌舞伎町 川崎真樹子 春燈 201809
白靴等暁のホームにどよむかな 長崎桂子 あを 201809
白靴の弾む山道水の音 小林紫乃 春燈 201812
白靴になりたちまち若き歩幅 望月晴美 201908
白靴や令和の子ども生むひとの おーたえつこ 201910
白靴やカーテンコールの下に見ゆ 江見巌 六花 201910
白靴を汚してほつとしたりけり 志方章子 六花 201911
白靴に去年の汚れ残りをり 土谷倫 船団 201912
白靴を並べて自粛一家族 千原叡子 ホトトギス 202009
白靴や判子不要と宅配便 布施由岐子 末黒野 202009
ペディキュアに似合ふ白靴求めをり 大日向幸江 あを 202107
白靴を取り出す木々の膨らめば 半谷洋子 202108
白靴を汚さずに遭ふ敵手かな 能村研三 202108
白靴の手強き交渉相手かな 柴田佐知子 202108
告白の日なり白靴選びをり 森岡正作 202109
白靴の挙手帆船は外洋へ 藤代康明 202109
白靴の木洩れ日返す墳の道 半谷洋子 202109
白靴の足取り軽くなりにけり 江口恵子 やぶれ傘 202110
階を白靴しかと聖火台 平沢恵子 春燈 202110
老いて尚白靴好み今日も又 小菅澄重 春燈 202110
白靴を池のベンチで脱ぎ句作 七郎衛門吉保 あを 202208
白靴に急接近の潦 亀井福恵 京鹿子 202209
白靴で渡る吊り橋三鬼の忌 竪山道助 風土 202209
ただいまの白靴揃ふ夕餉かな 小林友子 末黒野 202209
白靴に朝は大盛宿場飯 高木晶子 京鹿子 202210
人待ちの白靴ヒマラヤ杉のなか 中田みなみ 202302

 

2023年5月18日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。