白 鷺      194句

癌の妻風の白鷺胸に飼ふ  斎藤玄  雁道

作品
作者
掲載誌
掲載年月
水攻めの武士の化身の白鷺か 鷹羽狩行 199809
白鷺の身を細うして漁れる 鷹羽狩行 199809
白鷺の止まればつぼみ飛べば花 鷹羽狩行 199809
白鷺の空を翔びゆくひとつ影 赤松弘光 いろり 199906
荒されたのちも白鷺五羽の絵本 若森京子 船団 199907
谷津干潟の静かを食べる大白鷺 高桑弘夫 海程 199908
白鷺の不動の姿冬の川 木原不二夫 酸漿 200006
鮎の瀬を踏む釣人も白鷺も 鷹羽狩行 200007
白鷺や植ゑし水田の稲みどり 門屋大樹 春耕 200009
白鷺や濁りの増せる梅雨の沼 武田禅次 春耕 200009
麦蒔し畑に白鷺歩み居り 亀山節子 春耕 200010
白鷺の降りたち青田色増しぬ 閑田梅月 馬醉木 200010
厄日過ぎたる白鷺のよそよそし 奥田節子 火星 200012
白鷺の白い糞ある恵方道 城孝子 火星 200104
白鷺の脚なほ細し水涸れて 津田経子 火星 200105
白鷺三羽雪なり雪頻り 金子皆子 海程 200105
野遊びの帰路も白鷺型変えず 村井久美子 200106
白鷺や皺のよせくる水鏡 小堀寛 京鹿子 200107
白鷺の一点となり青田風 外川玲子 風土 200108
白鷺の冠羽の揺るる水田べり 金子つとむ 俳句通信 200108
白鷺が来て代掻田たしかむる 桑田眞佐子 火星 200109
白鷺も茅花流しに翔けにけり 大塚洋子 酸漿 200109
白鷺の風に押されてよりあゆむ 高木良多 春耕 200109
白鷺の山より高く涼あらた 小山道子 百鳥 200111
白鷺の連を組みゐる後楽園 岡野峯代 ぐろっけ 200111
白鷺舞ふ南湖丸ごと借景に 松本米子 あを 200112
白鷺の飛翔見たさに添ひ歩く 寛節子 築港 200207
白鷺の脛の二本の青葉冷え 飯塚ゑ子 火星 200207
白鷺の宿れる一樹星満つる 岩田育左右 遠嶺 200208
白鷺の夕映えの川飛び立ちぬ 長山野菊 雲の峰 200208
昏れなづむ田に白鷺の灯るごと 枡堀里枝 春耕 200208
白鷺のすれ違ふとき頸かしげ 藏本博美 ぐろっけ 200208
白鷺の身動ぎせぬを見つづけぬ 加藤暢一 200211
白鷺の舞のましろに齋宮址 大橋敦子 雨月 200212
采女の袖ひるがへすかに白鷺は 池田倶子 雨月 200212
白鷺に能の歩みの滑川 近藤幸三郎 風土 200301
しんと白鷺うしろ姿が人くさい 坂本敏子 京鹿子 200302
白鷺や変らぬものに堰の丈 鷹羽狩行 200307
白鷺の紅くなるほど桃の村 桑島啓司 200307
白鷺の発ちて青田の残りけり 長谷川守可 百鳥 200309
白鷺の番シヤツターチヤンスかな 池田静枝 帆船 200309
白鷺の首が一本青田中 丸山佳子 京鹿子 200309
白鷺に丈の揃ひし青田かな 北吉裕子 雲の峰 200310
白鷺の塒も近し沖明かり 中村恭子 200310
白鷺の頭が浮かび青田風 南うみを 風土 200310
白鷺の飛びて稲田の風に乗る 山村修 酸漿 200312
舞ひ上がる白鷺吉を運ぶらむ 亀ヶ谷照子 遠嶺 200408
白鷺に水田の領土二枚半 伊藤早苗 200408
あはあはと白鷺渡る遠植田 芝尚子 あを 200408
白鷺のすつくと佇てり思案げに 佐藤俊雄 帆船 200409
白鷺ののんどの遠目にも動き 武友朋子 200501
朝靄に白鷺立てり関ヶ原 山崎祐子 栴檀 200507
わし星雲白鷺ゆるりゆるりかな 岩月優美子 200508
白鷺の川面見つめる眼のきびし 鎌倉喜久恵 あを 200508
白鷺の翔つ渾身の水しぶき 橋口礼子 河鹿 200509
白鷺の漁ると身を細めたり 石垣幸子 雨月 200509
白鷺の歩のゆるやかに休耕田 松元末則 酸漿 200509
白鷺のふんばつてをり激し堰 一ノ瀬千恵 築港 200509
白鷺の五羽ゐてどれも関らず 篠田純子 あを 200509
平和欲し白鷺に旭の限りなし 加藤京子 遠嶺 200510
白鷺の歩み歩みの波紋かな 中野京子 200511
白鷺の一点のほか青田波 鷹羽狩行 200607
白鷺の前世は托鉢僧ならん 芦川まり 八千草 200611
早苗田に白鷺列をなして立つ 大内恵 酸漿 200612
白鷺のつんと青鷺群るる中 大橋晄 雨月 200706
白鷺の一点集中昼しじま 中野京子 200708
白鷺のつぎつぎもどる牛久沼 鴨下昭 200708
恍惚を白鷺映しをりにけり 根岸善行 風土 200709
白鷺の過る青田の軌跡かな 松元末則 酸漿 200709
白鷺は背なに光を負うて飛ぶ ことり 六花 200709
白鷺の水面を打ちて飛び立てり ことり 六花 200709

 夫、虚血性心不全にて急逝

白鷺のかき消ゆるまで見送れり

東良子 首座星 200804
白鷺の数へきれざる青田あり 中村輝子 酸漿 200806
白金に白鷺翔る五月かな 東亜未 あを 200807
水亭に円窓白鷺つつと立つ 東亜未 あを 200807
白鷺の立ちてはもどるにごり川 青木陽子 酸漿 200808
白鷺は稚魚を啣へて跳び立ちぬ 松木清川 ぐろっけ 200808
白鷺の白際立ちて雨後の川 中原敏雄 雨月 200808
思ひきり首伸しみる小白鷺 東亜未 あを 200808
鏡田で御酒落白鷺羽繕ひ 廣見知子 200809
白鷺の通ふ大堰魚止り 鈴木とおる 風土 200809
白鷺と吾と先に動いた方が負け 服部早苗 200810
白鷺の飛翔ふるさとはるかなり 天野正子 200811
白鷺百眼に入れ痛くない城下 丸山佳子 京鹿子 200812
点々と白鷺沈め万緑裡 稲畑廣太郎 ホトトギス 200906
白鷺の思案顔せる屋根の上 五十嵐勉 200908
白鷺の翔んで息のむ白さかな 吉沢陽子 200908
白鷺の蓑毛梳きをり沼の風 奥太雅 万象 200908
前方に白鷺飛んで後円墳 常田創 200909
白鷺の人の歩むを真似ゐたり 新井青葉 炎環 200909
白鷺の王者の如く立つ植田 園多佳女 雨月 200909
青時雨白鷺いつも一本脚 舩越美喜 京鹿子 200909
白鷺を田にちりばめてわが家郷 曷川克 遠嶺 200910
風に向き白鷺畦に並びをり 藤江朋子 万象 200910
親に添ふ白鷺の子の夕焼色 藤江朋子 万象 200910
夕立に白鷺は巣へ隠れけり 伊藤靖彦 200912
白鷺は水面の影を友として 林弥樹 201002
白鷺に知られし池の金魚かな 稲畑汀子 ホトトギス 201004
白鷺の脚に濡れたる磧石 山田六甲 六花 201005
白鷺のカメラ目線や河原石 赤座典子 あを 201006
一木に白鷺十羽明易し 戸栗末廣 火星 201009
白鷺の中の青鷺威を保つ 岸本林立 雨月 201009
白鷺や水に羽音をふり捨てて 清海信子 末黒野 201010
何つつく白鷺一羽青田中 有吉桜雲 201010
白鷺の百を背負ひて樟大樹 竹内悦子 201011
白鷺の高枝にをりぬ夏の朝 伊藤公子 酸漿 201011
白鷺の一枝の映ゆる陵の水 田中文治 火星 201108
白鷺の胸より歩む青嵐 藤生昇三 六花 201108
白鷺の足重たげに飛び立てり 大木清美子 201109
白鷺の巣作りゐたる天気良し 筒井八重子 六花 201109
白鷺の嘴に広がる水輪かな 五十嵐勉 201110
群るることなく白鷺はナルシスト 小林朱夏 201110
白鷺の抜き足さし足青田風 三浦澄江 ぐろっけ 201110
さし足に傷の白鷺あゆみけり 石田野武男 万象 201110
白鷺の首の高さに青田かな 秋千晴 201112
白鷺のつひに動けり入日中 綱徳女 春燈 201207
白鷺の川上りゆく一羽かな 五十嵐勉 201208
白鷺の置きてゆきたる水ゑくぼ 柴田久子 風土 201208
抜き足のまま白鷺の立ち止まる 根岸善行 風土 201208
白鷺の木となりてをり夕薄暑 小林美登里 かさね 201209
白鷺の闊歩闊歩の水田かな 大木清美子 201209
きぬぎぬの白鷺さほど白くはなし 河西志帆 京鹿子 201209
白鷺の水の静寂風立ちぬ 佐々木紗知 京鹿子 201209
白鷺の暗渠に入り込むゆふべ 篠田純子 あを 201210
白鷺の餌を捕る頸の素早かり 吉田優美子 六花 201212
白鷺や水張りて田の遠くあり 広渡敬雄 201303
白鷺の足忍ばせる植田かな 秋山信行 やぶれ傘 201310
水に影置き白鷺のひるがへる 杉浦典子 火星 201404
白鷺の抜き足差し足水温む 谷村祐治 雨月 201406
白鷺はダブルダッチを見に抜き足 篠田純子 あを 201406
白鷺に沖のととのふ比叡かな 西田孝 ろんど 201408
白鷺の彳ちて整ふ代田かな 荒木甫 201408
白鷺の深みへ行くを見詰めをり 篠田純子 あを 201408
白鷺の孤高のごとく歩むなり 椿和枝 201408
白鷺の降りし青田のあらたまる 柴田佐知子 201409
白鷺が頭めぐらす青山河 柴田佐知子 201409
白鷺の魚梯を去らぬ番かな 石黒興平 末黒野 201410
白鷺の黄色の足が水に入る 出口誠 六花 201410
白鷺のあまたの止まり藪へこむ 菊地葉子 やぶれ傘 201410
出水避くる白鷺孤高岸に立つ 難波篤直 201411
白鷺の百を数ふる刈田かな 中川すみ子 201412
白鷺のつついて揺らすひかりかな 後藤眞由美 春燈 201412
白鷺も同じ抜き足田植に蹤く 堀内一郎 堀内一郎集 201412
白鷺に見られてゐたり蓮根掘 田中明子 万象 201503
バス停に白鷺一羽立ちをりし 山荘慶子 あを 201506
白鷺の餌を求めて遠出かな 山荘慶子 あを 201506
白鷺や水面の暮光ゆらぎつつ 間宮あや子 馬醉木 201508
雨やまぬままに白鷺立ちつくす 柴田久子 風土 201508
点となるまで白鷺の光りけり 土手晶子 馬醉木 201511

 悼

白鷺の影を捨てたる高みかな

佐藤喜孝 あを 201607
白鷺の相似にうつる田水かな 山本久江 201608
白鷺の頭の見えて葦の原 大日向幸江 あを 201609
白鷺のほろほろ飛びぬ稲は穂に 田中臥石 末黒野 201610
出湯川白鷺一羽初景色 吉永すみれ 風土 201610
白鷺の嘴の一刺し銀尾得る 丸井巴水 京鹿子 201610
白鷺城秋の没日に照らさるる 堀田清江 雨月 201702
白鷺に枯野の光集まれり 飛高隆夫 万象 201704
白鷺に色を信ぜぬ一徹さ 三木亭 201709
白鷺の映る川面や魚跳ぬる 高橋正江 末黒野 201709
白鷺の佇つ片足の蹌踉めかず 大西由美子 春燈 201710
白鷺の背負ひし光こぼしけり 藤生不二男 六花 201710
白鷺の嘴で河面をつつきけり 出口誠 六花 201711
白鷺の二三歩の後発ちにけり 出口誠 六花 201711
白鷺の一歩が軽し水温む 岡田正義 雨月 201801
白鷺の翔ちたる河原冬ざるる 丸尾和子 雨月 201802
早苗踏まぬやう白鷺の高歩き 河原敬子 201804
白鷺の夕日とどむる翼かな 森清信子 末黒野 201808
白鷺の流れに曝す細き脚 小池一司 やぶれ傘 201808
白鷺は影を落としてなほ白し 三木享 201809
同じ丈育つ青田に白鷺居る 石森理和 あを 201809
白鷺の咥へし魚の反りにけり 藤生不二男 六花 201810
白鷺のねぐらは薔薇の香をまとひ 稲畑汀子 ホトトギス 201905
白鷺やさざなみ脚の抜き差しに 中根美保 風土 201907
白鷺の沖を遠見の尾羽かな 安斎久英 末黒野 201908
白鷺の黙貫ける水田かな 藤生不二男 六花 201908
白鷺のさつと飛び去る浅間橋 箕田健生 やぶれ傘 201911
白鷺や明治の森の松の枝 溝越教子 春燈 201911
白鷺のほつほつ歩む文化の日 藤原明美 202002
白鷺の白を落として青田波 国分千恵 風土 202010
白鷺は水の平らを割りゆける 服部早苗 202010
宮山の白鷺の群花ざかり 大内幸子 六花 202010
我が町の畦に白鷺田に蛙 廣畑育子 六花 202011
白鷺の立ち水際の澄みにけり 善野行 六花 202101
白鷺や孤高の曙の天を突く 長尾タイ 末黒野 202108
白鷺を歩ます水田沼の風 水谷昭代 202110
白鷺の見つむる水の暮れゐたり 戸栗末廣 202112
白鷺のひかりこぼして凍てにけり 雨宮桂子 風土 202204
白鷺の覗いてゐたる川覗く 根岸善行 風土 202208
白鷺と田のあんばいを見ておりぬ 佐藤千恵 京鹿子 202209
白鷺と補植の婆がひとつ田に 岩木茂 風土 202209
白鷺のどこまで白き青田かな 浜田久美子 六花 202209
白鷺を嵌め寒天の出来上る 稲畑廣太郎 ホトトギス 202212
白鷺の来てうつくしき秋となる 増成栗人 202212
白鷺の城を真白に初鴉 山田六甲 六花 202301

 

2023年5月20日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。