紫 苑    117句

山晴れが紫苑切るにもひびくほど    細見綾子

作品
作者
掲載誌
掲載年月
紫苑咲く建築現場の仮厠 竹部千代 199911
思い出は音のないまま紫苑咲く 河野志保 海程 200002

祝 紫苑九百号

ゆき渡る紫苑の風に集ひけり

稲畑汀子 ホトトギス 200006
紫苑咲くイーハトーブの郷あたり 武田ともこ ぐろっけ 200101
紫苑挿すびいどろに湖引寄せて 岡田貞峰 馬醉木 200101
故里の水音消えて花紫苑 稲辺美津 遠嶺 200101
雨は止み風をさまらぬ紫苑かな 鷹羽狩行 200110
咲きそむる紫苑身の丈越えてをり 松崎鉄之介 200111
静かなる日々を願ふや紫苑咲く 遠藤匡子 遠嶺 200112
山裾の木造校舎紫苑咲く 佳藤木まさ女 春耕 200112
乱れ咲くコスモス紫苑異人墓地 水原春郎 馬醉木 200112
大雨の何事もなく紫苑咲く 倭文ヒサ子 酸漿 200201
新たなる一歩紫苑のかたまりし 高村洋子 遠嶺 200201
さみしさの丈と思ひし紫苑かな 宮倉浅子 遠嶺 200201
過疎の空おだやかになり紫苑咲く 高梨美佐子 遠嶺 200201
一叢の紫苑や空の紺深み 江木紀子 雨月 200201
気ままやな紫苑の丈は我が背丈 須佐薫子 帆船 200207
好みたる紫苑手向けし母の墓 松本静香 帆船 200211
雲を得て紫苑は丈をつくしをり 佐藤喜孝 あを 200211
古井戸に紫苑咲きゐて虚子旧居 木暮剛平 万象 200212
天正の仁王門なり咲く紫苑 古川さかえ 酸漿 200212
紫苑咲くあたりより昏れ湖の村 足立典子 雨月 200212
手招きに紫苑いただきふた七日 冨田はるみ 対岸 200212
窓辺まで丈を伸ばし来紫苑かな 大堀鶴侶 雨月 200212
三尺の橋に橋の名紫苑咲く 原茂美 雲の峰 200212
ひとゆらぎ色放ちたる紫苑かな 田中幹也 万象 200212
紫苑の丈仰ぎて細見綾子亡し 矢島久栄 200301
ぬきんでし紫苑に蝶の集まれる 神長裕子 200312
紫苑咲く喪ごころなだめ盆点前 吉武千束 200312
紫苑咲く山城跡は風ばかり 岸田雨童 草の花 200401
静かなる風に揺れをり野の紫苑 福澤乙 酸漿 200401
紫苑咲く風の高さに乱れなく 舩越美喜 京鹿子 200401
かはたれの太鼓橋越ゆ花紫苑 九万田一海 河鹿 200402
虚子庵の花待つ紫苑葉を拡ぐ 岡村葉子 栴檀 200410
涼風や虚子の名残の紫苑立つ 三関浩舟 栴檀 200411
経師屋の奥に人声紫苑咲く 中谷葉留 風土 200412
眠られぬ火山灰降る村の花紫苑 奥田茶々 風土 200412
紫苑晴海女の小路のひつそりと 宇野慂子 万象 200412
山深く住む人の道紫苑咲く 松本重昭 200412
こつこつと山頂めざし紫苑かな 高村洋子 遠嶺 200412
かぜふけば紫苑なだれて淡々し 瀧春一 菜園 200509
吾が丈を越えて紫苑の咲きはじむ 市橋幸代 築港 200512
丈のままたほれて咲きし紫苑かな 石脇みはる 200602
括られて丈の伸びたる紫苑かな 遠野萌 200605
荷駄鞍の赤きも干され萩紫苑 瀧春一 常念 200606
つぶやけば七十九歳紫苑咲く 神蔵器 風土 200611
束ねても淡さかはらぬ紫苑かな 遠山のり子 200612
祝婚や紫苑の丈に虻遊び 大畑善昭 200612
観音へとどけ紫苑をわたる風 大坪景章 万象 200801
括られて紫苑の丈のありにけり 西口万佐子 200801
沖島は紫苑盛りの径ばかり 奥田妙子 ぐろっけ 200801
色褪せし紫苑ひと叢ただ茫茫 丹生をだまき 京鹿子 200802
紫苑に来し豹紋蝶を撮りにけり 松崎鉄之介 200812
風寂びて紫苑に残る空の色 コ田千鶴子 馬醉木 200812
前籠に紫苑息子の名は翔太 中原幸子 船団 200903
むらさきの虚子の紫苑や丈競ふ 神蔵器 風土 200911
古民家に戸口を探す紫苑晴れ 野崎タミ子 炎環 200912
一叢の紫苑の中に母の在り 野口光江 遠嶺 201002
秋蝶の蜜に親しむ紫苑晴 田中一美 ろんど 201101
紫苑晴サッカー場の門の鍵 猪爪皆子 201101
紫苑咲く仰ぐ子の背を越すきほひ 池田倶子 雨月 201101
阿修羅像に少年の面紫苑咲く 本多俊子 201107
台風に耐へたる紫苑咲きにけり 小川玉泉 末黒野 201112
人怖ぢの癖や紫苑に立つ夕べ 藤原若菜 春燈 201112
さきがけの紫苑一輪天を向く 吉村さよ子 春燈 201112
紫苑咲き入れ替り来る双子猫 三橋早苗 ぐろっけ 201201
高き茎挙げて日を呼ぶ紫苑かな 森清堯 末黒野 201202
紫苑晴れ母の着物の身に添ひて 池内結 ろんど 201202
紫苑咲くその名をつけし学生寮 小川涼 201202
はつかなる風の紫苑や観世音 北崎展江 くりから 201209
金婚や紫苑の庭に集まりぬ 高尾豊子 火星 201211
気兼ねせる紫苑の色かとも思ふ 原友子 201212
御神坂や溝蕎麦・紫苑雨に闌く 田中貞雄 自註句集 201301
愚痴言はぬ母の面影紫苑咲き 吉田宏之 201301
紫苑採る母の齢の倍を生き 菅野蒔子 末黒野 201301
母の忌や紫苑の日差高くして 植田桂子 馬醉木 201312
紫苑咲き出で風高き午下となる 樺山翠 雨月 201312
纏向に高く括らる紫苑かな 有本南陵 ろんど 201401
住み古りし海辺の明け暮れ紫苑咲く 三浦澄江 ぐろっけ 201401
お互いの遠慮の消えて紫苑かな こうのこうき ろんど 201402
湿原の風のさやぎや紫苑晴 庵原敏典 末黒野 201404

中山純子先生

四十九日紫苑の咲くを待つばかり

内海良太 万象 201411
紫苑咲くきのふの我に会ふごとし 雨宮桂子 風土 201501
虚子庵の飛び石づたひ紫苑かな 奥田茶々 風土 201501
山門の前に紫苑のやや傾ぎ 大崎紀夫 虻の昼 201510
揺れやんでそれぞれ傾ぐ紫苑かな 大崎紀夫 虻の昼 201510
わが背丈超ゆる紫苑や茎強し 小川玉泉 末黒野 201512
おとなへば紫苑ちりばめ友の庭 椿和枝 201601
客一人送りし門辺紫苑咲く 飯田ひでを 201601
斜が似合ふ湯殿の前の紫苑かな 瀬川公馨 201601
紫苑咲き野の涯に聳つ浅間山 室伏みどり 雨月 201611
紫苑咲く取壊されし家の跡 廣瀬雅男 やぶれ傘 201611
豪邸の跡地に高し花紫苑 奥山テル子 万象 201612
夕風の紫苑を母に手折りけり 水野加代 万象 201612
草ながら見上ぐるほどの紫苑かな 松本三千夫 末黒野 201612
咲きつづく紫苑の月日ゆるぎなく 稲畑汀子 ホトトギス 201702
道草の姫紫苑挿すジャムの瓶 岡崎春菜 万象 201708
裏庭の紫苑今年も花ゆたか 小川玉泉 末黒野 201712
紫苑咲く花のゆかしさ匂ひ初む 本多俊子 201712
虚子庵の庇紫苑のとどきさう 森清堯 末黒野 201802
虚子庵の惚け紫苑や秋の風 岡野里子 末黒野 201802
薄雲のかかりて紫苑日和かな 小林輝子 風土 201802
一片の雲なき空や紫苑晴 中貞子 201811
仏壇と墓前へ庭の紫苑剪る 小川玉泉 末黒野 201812
むらさきの風の流るる紫苑かな 浅田セツ子 春燈 201911
荒ぶれる風雨に耐へし紫苑かな 西千代恵 雨月 202001
ファッションショーのセンター八十路紫苑晴 小原芙美子 風土 202002
縁側で飲むお茶熱く紫苑咲く 天野美登里 やぶれ傘 202010
紫苑咲く明治の母の訓かな 高埜良子 春燈 202011
抽んでてなほ吹かれをる紫苑かな 森田節子 風土 202012
摘み呉るる紫苑の丈をそのままに 根橋宏次 やぶれ傘 202101
名苑のひときは高き紫苑かな 森清堯 末黒野 202102
並び出て土偶と紫苑らしき芽と 内藤静 風土 202106
風の寄る紫苑の丈となりにけり 根橋宏次 やぶれ傘 202111
花紫苑揺れて秩父は遍路道 須賀敏子 あを 202112
母偲ぶむらさき淡く紫苑咲く 瀬戸峰子 春燈 202201
そのままの丈に紫苑の枯れてをり 根橋宏次 やぶれ傘 202201

 

 

2023年9月24日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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