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春 陰      117句

陶のこゑ満つ春陰の収蔵庫   本橋仁

作品
作者
掲載誌
掲載年月
春陰の井桁に榾の積まれあり 小澤克己 遠嶺 199805
春陰や口の重たき古書店主 宮城白路 風土 199906
閻王に春陰の燭あかりかな 奥田節子 火星 199907
喇嘛寺の春陰ひそと砂曼陀羅 松崎鉄之介 199907
春陰のこもりし八重と律の部屋 折原あきの 船団 199909
春陰に悪を苦しむ鬼女の面 本橋怜加 冬牡丹 200003
春陰や空風呂の鍵錆しまま 阿波谷和子 俳句通信 200006
春陰に大き蝋釜転がりて 柴田久子 風土 200007
春陰や遺品一切無き旧居 水原春郎 馬醉木 200105
春陰を落ちて平家の滝といふ 海輪久子 円虹 200106
春陰の魚捌くと刃物の香 窪田佳津子 雨月 200106
春陰や碑の三面に辞世の詩 松崎鉄之介 200106
春陰やことりと閉まる南京錠 杉山晴美 200107
春陰やニコライ堂に畳の間 増淵三良 百鳥 200107
春陰やしばらく対す孔子像 宮倉浅子 遠嶺 200107
白鳥と吾春陰にあることも 岡井省二 200109
春陰の壁にもたれて長梯子 坂田和嘉子 京鹿子 200205
春陰に瘡蓋の知恵借りにゆく 横尾桂子 銀化 200205
春陰に一灯ゆらぐ祠神 辻井桂子 雲の峰 200206
春陰や風化のきざす比翼塚 辻井桂子 雲の峰 200206
春陰の潜り戸抜けて史料館 椙山正彦 200206
春陰や壁に画鋲の赤・青・黄 西郷利子 200206
三角兵舎春陰淀みゐたりけり 手島靖一 馬醉木 200207
春陰や背丈に余る庭の石 鳴海清美 六花 200207
春陰の午の噴水虹顕つる 仲村青彦 200207
南無大師春陰御影の扉を開けず 西重正 京鹿子 200209
春陰の墳の奥処に天文図 門伝史会 風土 200211
春陰や玉砂利の音くぐもりて 於久昭臣 雲の峯 200306
春陰や酒家より漏るる胡弓の音 市ケ谷洋子 馬醉木 200307
春陰の地下倉ワイン樽眠る 井手由紀江 築港 200307
春陰や潮よごれのロシア船 佐々木幸 200307
春陰やポストの前のにはたづみ 佐々木幸 200401
春陰の白毫病臥ながびきて 品川鈴子 ぐろっけ 200403
春陰とのみ晩年の荷風日記 竹内弘子 あを 200405
春陰の白鳥に雨降りだしぬ 大島翠木 200406
春陰や防犯ビラの四隅止め 丸井巴水 京鹿子 200406
春陰や真白きメモで筆談す 丸井巴水 京鹿子 200406
春陰に若冲の墓安らげる 丹生をだまき 京鹿子 200407
春陰や母の遺せしオルゴール 山荘慶子 あを 200407
せうことなしよ春陰のエコー室 戸田和子 200407
春陰やひと日机につひやして 芝宮須磨子 あを 200505
春陰の腰越状の大版木 井内佳代子 遠嶺 200506
春陰や鶴の羽撃く薬包紙 吉弘恭子 あを 200506
春陰や不調は視力にまで及び 山田をがたま 京鹿子 200507
演説館の春陰肱付古木椅子 鈴木榮子 春燈 200706
春陰の窟に思惟仏浮び出づ 松崎鉄之介 200707
春陰や見舞ひし昨日が別れとは 青垣和子 雨月 200707
身に添へる春陰齢加へけり 小林和子 風土 200708
春陰や無縁の墓に「空」一字 林翔 200804
春陰やレース古びし抱人形 緑川啓子 馬醉木 200806
春陰やほつれ茶碗に金を蒔く 神蔵器 風土 200806
春陰や蹲踞灯籠苔むして 芝尚子 あを 200806
春陰や冷たき頬を手にはさみ 斉藤小夜 風土 200807
春陰の理科室に見る人体図 徳丸峻二 風土 200807
春陰の膝組みかへて検査待つ 宮川みね子 風土 200807
春陰の泉は音もなく湧けり 宮川みね子 風土 200807
春陰や通船堀の史跡道 須藤美智子 風土 200807
春陰や印伝細工の煙草入れ 金子輝 春燈 200807
春陰のヘリより人を捜す声 藤田宏 200807
絵文字の男逃げ春陰の非常口 千田百里 200901
春陰や蝋走らせし敷居溝 能村研三 200905
春陰や電話の友の声くぐもり 久保晴子 雨月 200906
春陰や池のくびれに木の小橋 大島英昭 やぶれ傘 200906
春陰や鉄塔ばかり迫り来る 吉村さよ子 春燈 200907
大屋根の青銅あかり春陰に 小林玲子 ぐろっけ 200909
春陰を置き初めしより消灯す 稲畑汀子 ホトトギス 201004
春陰や老いて幼に帰す五体 中本吉信 201005
春陰の箱階段とふ古色かな 田所洋子 雨月 201007
春陰や上空旋回待機中 能村研三 201104
春陰や小窓に買へる宝くじ 伊東和子 201106
春陰の隍を行く香袋 佐藤涼宇子 ろんど 201106
春陰や子規庵かたく閉ざしをり 青木政江 酸漿 201106
春陰や胸に秘めたる「アヴェ・マリア」 篠原幸子 春燈 201107
春陰の空水底に白きかな 大島英昭 やぶれ傘 201107
春陰や図書館に飴噛みくだき 菊地葉子 やぶれ傘 201107
春陰の深さは水音の深さ 長山あや ホトトギス 201109
春陰や永井荷風の靴の泥 竹内弘子 あをかき 201110
春陰や誰彼となく偲ぶ歩に 稲畑廣太郎 ホトトギス 201201
春陰や独歩旧居の釘隠し 村上絢子 馬醉木 201207
春陰にぬくき札吐く支払機 岡澤田鶴 201207
春陰や重き扉の懺悔室 後藤桂子 万象 201208
春陰に匁を刻む竿秤 高橋龍 201212
鑑真和上在す春陰築地塀 片岡久美子 201306
春陰や恙の君を思へば尚 稲畑廣太郎 ホトトギス 201404
声のみを残して猫は春陰に 稲畑廣太郎 ホトトギス 201404
春陰の影ともなりし天球儀 鈴鹿仁 京鹿子 201405
一礼し春陰の部屋後ろにす 小林愛子 万象 201407
島裏の春陰払ふ鳶の笛 西川みほ 末黒野 201407
春陰やふるさとの香に港町 溝内健乃 雨月 201407
春陰や荷風の路地の檜皮塀 菅谷たけし 201407
春陰や文士墓前に巻煙草 塩田博久 風土 201505
春陰の下駄箱に下駄ひとつあり 佐藤喜孝 あを 201505
春陰の重さ蓄ふ閂戸 熊川暁子 201506
春陰や付かず離れず師弟句碑 柴田久子 風土 201507
春陰や海人トロ箱に花咲かせ 松本三千夫 末黒野 201606
春陰やぽかりぽかりと鯉の口 森山暁湖 万象 201606
春陰や笠の欠けたる笠塔婆 三輪温子 雨月 201607
春陰や付箋の色を替へてみる 鈴鹿呂仁 京鹿子 201705
春陰や沖不確かといふ愁ひ 湯川雅 ホトトギス 201708
飛騨遠くして春陰の合掌家 千田百里 201805
春陰の白湯や九谷の贋茶碗 田中臥石 末黒野 201806
春陰や鳴咽の夫と骨壼と 曽根富久恵 201808
春陰を燭の剥がしてゆきにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201904
春陰を払ひ大祝日の弥撒 稲畑廣太郎 ホトトギス 201904
春陰に確と聞きたる神の声 稲畑廣太郎 ホトトギス 201904
春陰や悼む心を持ち寄りて 稲畑廣太郎 ホトトギス 201904
名苑の人出春陰払ひゆく 稲畑廣太郎 ホトトギス 201904
春陰や曽て庄屋の通し土間 安斎久英 末黒野 201907
春陰や一人に野良の動き出す 湯川雅 ホトトギス 201908
春陰や医院二か所を廻りたり 大野芳久 やぶれ傘 201908
春陰の図書館閉まり散歩かな 東正則 末黒野 202007
春陰の東寺に憂ふ曼荼羅図 鈴鹿呂仁 京鹿子 202104
肩・肘の押す春陰の回転ドア 千田百里 202106
春陰や物の気配のまつはり来 湯川雅 ホトトギス 202109
春陰や鶏冠井に残る都跡 鈴鹿呂仁 京鹿子 202204
春陰や逆さ櫓の曇りぐせ 升田ヤス子 六花 202204
春陰の隅に打ちひしがれてをり 湯川雅 ホトトギス 202207

2023年4月15日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

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