芍 薬   166句

芍薬を画く牡丹に似も似ずも    正岡子規

作品
作者
掲載誌
掲載年月
芍薬や酔いのまはりし昼の酒 廣渡絹代 船団 199811
芍薬の大輪にして白をきわめ 原直子 199907
白芍薬雨に透く紅縁どりぬ 稲辺美津 遠嶺 199908
楼蘭の生絹を憶ひ白芍薬 伊丹さち子 馬醉木 200007
芍薬の揃へば雨の静寂かな 稲辺美津 夏椿 200007
芍薬の咲いて笑顔の映ゆる園 鈴木とし子 遠嶺 200008
芍薬に扉幾重の秘仏かな 石島蓼花 風土 200008
芍薬は大きなあぶく老女たち 川村三千夫 海程 200010
芍薬を豊かに生けし山の宿 長澤健子 酸漿 200011
芍薬や二畳三畳四畳半 芳野ヒロユキ 船団 200101
芍薬の一蕾一蟻さぞ甘き 林翔 200107
芍薬の芽に潮騒の夜のつづき 桑田眞佐子 火星 200107
芍薬の風に重心定まらず 山田天 雨月 200107
芍薬のくづれむばかり夫の留守 三井公子 酸漿 200107
芍薬に付く蟻退治儘ならず 信国善保子 火星 200108
芍薬のしがみつきたる白磁かな 和田瑞子 銀化 200108
のんど静かに芍薬の珠に告ぐ 岡井省二 200111
芍薬を咲かせ一生娶らずや 朝妻力 雲の峰 200206
芍薬の崩れ子の熱下りけり 後藤志づ あを 200207
日のさして芍薬玉をひらき初む 仲尾弥栄子 雲の峯 200207
芍薬の蕊をあらはに真昼時 西村純一 雲の峯 200207
芍薬を見て来し傘の雫切る 杉山みゆき 百鳥 200208
芍薬の崩れ白片重ねけり 小野育子 雨月 200208
息入れしごと芍薬の開き出す 宮沢千恵子 200208
佛等に朝の芍薬剪りにけり 小池槇女 火星 200209
芍薬の尻餅ついてしまひけり 梶浦玲良子 六花 200209
芍薬の崩るるは闇壊すなり 中島たまな 200209
芍薬の芽のほぐれゆく七七忌 山口マサエ 雲の峰 200305
芍薬を活けて狭めし厠かな 田中藤穂 あを 200307
遠眼にも雨の芍薬なほ白し 稲辺美津 遠嶺 200308
芍薬の絵にしたくなる咲きつぷり 浜野愛子 築港 200308
芍薬に案内申を僧の留守 竹下昭子 ぐろっけ 200308
閉づ銅山やまに芍薬百花人を呼ぶ 伊藤マサ子 ぐろっけ 200308
芍薬や静かな人の晴れ舞台 江坂衣代 百鳥 200309
芍薬や本降りは夜のうちのこと 鷹羽狩行 200406
芍薬の大きく揺るる母郷かな 高倉和子 200406
山芍薬咲いて我が世の玉手箱 浜明史 風土 200406
芍薬の蕾弾けんばかりなり 田宮勝代 酸漿 200407
芍薬やわが日々の夢虔しく 田中藤穂 あを 200407
吹く風に芍薬散るを急ぎたり 印牧緑 築港 200408
紅白の芍薬活けて客を待つ 印牧緑 築港 200408
芍薬の蕾ゆたかに門の脇 金子八重子 酸漿 200408
芍薬の母の命日待たず散る 山川涛石 築港 200409
花終へし芍薬に撒くお礼肥 山川涛石 築港 200409
芍薬や毬のほどくる刻を待つ 内堀京子 河鹿 200409
白芍薬いま開眼の観世音 山元志津香 八千草 200411
芍薬の包みきれざる花を解く 内藤ゑつ ゑつ 200411
夕闇に芍薬はらり崩れけり 都留嘉男 八千草 200412
芍薬の丸き蕾のまだ固し 山川涛石 築港 200508
芍薬の蕾の口の解れ初む 山川涛石 築港 200508
芍薬やドラマチックに近未来 石山惠子 遠嶺 200510
芍薬の名札大きく冬の庭 押尾弘子 対岸 200602
芍薬のやうに和服を召されしか 稲畑廣太郎 ホトトギス 200605
亡き父の芍薬今もよく咲けり 南原正子 酸漿 200607
目をかけてゐし芍薬の崩れけり 荒井和昭 200608
芍薬の蕾ほぐれし金の蕊 長澤健子 酸漿 200608
大輪の芍薬ほろとをはりけり 木村茂登子 あを 200608
芍薬に傘さしかけし冠木門 正木泰子 ぐろっけ 200609
芍薬の花を崩せる日照雨あり 木下忠雄 酸漿 200707
芍薬の噴上るごと開初む 赤座典子 あを 200707
芍薬の夜を流れし匂ひかな 竹中一花 200708
芍薬や一貫張の面ゆがみ 高松由利子 火星 200708
芍薬や任せし着付け姿見に 鈴木石花 風土 200709
芍薬のあたり払へりおのづから 岸本林立 雨月 200807
芍薬の紅深め合ふ墓ふたつ 工藤進 200808
芍薬の風脱ぐやうにひらきけり 林いづみ 風土 200808
芍薬の百のはなびら緋を尽す 三谷道子 万象 200808
芍薬や禅寺に占る花頭窓 和田一 雨月 200808
芍薬を活けて寧けく辰砂壺 松波とよ子 春燈 200808
芍薬の蕾にしかと色現れぬ 笹村政子 六花 200808
つかつかと畑へ芍薬剪りにゆく 松本蓉子 六花 200808
家ぬちの暗し芍薬咲き満ちて 川口崇子 万象 200809
近づけば芍薬と息かよひけり 葉山美香 200811
芍薬をかざす童女はこけしの髮 瀧春一 深林 200901
そつと触れてみたいよ芍薬の珠 植田利一 春燈 200905
芍薬の赤芽ほどなる祝ひごと 松本圭司 200906
開きたる芍薬に添ふ蕾たち 阿部ひろし 酸漿 200906
そろひ咲く白芍薬よ朝の庭 阿部ひろし 酸漿 200906
そろひ咲く白芍薬の中の白 阿部ひろし 酸漿 200906
芍薬の白光を今見届けし 吉田陽代 200907
芍薬の花茎撓ふ加賀の宿 伊藤敬子 200907
芍薬の心なかなかに見えざりき 雨村敏子 200908
小波てふ芍薬風を誘ひけり 清水伊代乃 酸漿 200908
芍薬の蕾ふくらむ朝かな 塚本京子 200908
あらためて芍薬を褒め辞しにけり 中原敏雄 雨月 200908
芍薬の崩るるほどに開きたり 山口裕子 万象 200909
芍薬の蕾に蟻も見に来たり 島崎勇作 酸漿 200909
明窓浄几芍薬を一花かな 佐藤淑子 雨月 200910
芍薬の芽をかばふ綱めぐらせり 内山タエ 末黒野 201007
芍薬の咲くを囲みし幾蕾 阿部ひろし 酸漿 201007
芍薬に惚れて忽ち絵筆執る 泉田秋硯 201008
芍薬を生けて玄関明るうす 石川元子 酸奬 201008
芍薬や明日への気力存分に 池田光子 201009
芍薬や逢魔が時の使者ならん 石倉千賀子 ろんど 201009
くれなゐの芽なりし芍薬咲けば白 丹生をだまき 京鹿子 201107
今朝の供華亡夫植ゑ置きし芍薬を 丹生をだまき 京鹿子 201107
白妙の芍薬まがひもなく真白 大橋敦子 雨月 201107
芍薬の真白花弁の数幾つ 大橋敦子 雨月 201107
白光を放ち芍薬花大き 大橋敦子 雨月 201107
貌佳草とも言はる芍薬佳品なり 大橋敦子 雨月 201107
白妙の芍薬を祝ぎ燈下なり 大橋敦子 雨月 201107
芍薬のつぼみゆたかにそろひ立つ 阿部ひろし 酸漿 201107
鶴頸に芍薬二輪寄添ひて 赤座典子 あを 201107
芍薬やしづかな一と日過ごすなり 早崎泰江 あを 201107
丹精の芍薬ひと日癒さるる 杉本綾 201108
雨に散る芍薬一花金の蘂 三枝邦光 ぐろっけ 201108
芍薬の容姿端麗先ず仏花 木曽鈴子 ぐろっけ 201108
芍薬を咲かせ背筋の曲りがち 木曽鈴子 ぐろっけ 201108
芍薬のくづるる時は色を変へ 杉本綾 201109
芍薬や芯の強きは母譲り 宮井知英 201111
芍薬の芽を労はりつ肥料置く 笠井清佑 201205
芍藥の活けてしたたる備前壺 木村ふく 馬醉木 201207
世に疎く芍薬咲かせ老医なる 河野亘子 馬醉木 201207
芍薬は不惑の緋いろなりしかな 西田孝 ろんど 201207
割烹や芍薬挿せる夜の宴 阪本哲弘 201208
芍薬や人に遅れて笑ひけり 水野恒彦 201208
芍薬の山家の庭に咲き誇り 青木由芙 末黒野 201208
芍薬をさはに吾が喜寿誕辰会 宮原悦子 雨月 201208
芍薬を切つて踏ん切りつけにけり 齋藤厚子 201209
芍薬に真昼のしじまありにけり 瀬戸悠 風土 201310
芍薬にひかれて覗く余所の庭 田中藤穂 あを 201307
床の間の芍薬ほぐれ出立す 平居澪子 六花 201309
芍薬に真昼のしじまありにけり 瀬戸悠 風土 201310
なかんづく芍薬の芽の騒がしき 宮崎左智子 201406
芍薬や鋏の鈴の音色よし 中山静枝 201407
芍薬の花咲く庭の静かなる 石原健二 やぶれ傘 201407
芍薬や酒屋の木戸の少し開き 廣畑育子 六花 201408
芍薬の蕾重しや水替ふる 鈴木照子 201408
鋏拭く芍薬千輪剪定し 杉山瑞恵 雨月 201408
さかり過ぎ芍薬斬首のごと切らる 杉山瑞恵 雨月 201408
一劃の白芍薬の花浄土 杉山瑞恵 雨月 201408
供へたる芍薬の香に寝つかれず 西畑敦子 火星 201409
芍薬を写生する娘のまなこざし 伊吹之博 京鹿子 201410
芍薬の香りかすかに少女過ぐ 梶浦玲良子 六花 201411
おばあちゃんにと供ふ芍薬馥郁と 赤座典子 あを 201507
芍薬に蕊のあふるる日和かな 中根美保 風土 201508
芍薬の玉固くして日の暮るる 廣畑育子 六花 201508
芍薬は八方美人かも知れぬ 須藤常央 ホトトギス 201511
ひそやかに咲きし芍薬終りゐし 稲畑汀子 ホトトギス 201605
芍薬の花を近くに雨宿り 廣瀬雅男 やぶれ傘 201607
大壺や芍薬の白余さずに 本間羊山 風土 201608
芍薬を剪れば地獄へ落ちさうな 高木晶子 京鹿子 201609
昨夜の雨こぼち芍薬開きけり 田中幹也 万象 201610
雪隠に山芍薬の活けてあり 赤松赤彦 六花 201612
芍薬を山ほどいけて近寄る死 原ゆき 船団 201805
女教師の椅子に芍薬置いてあり 山田健太 風土 201811
芍薬のきりりと咲いてをりにけり 廣田幸子 末黒野 201908
芍薬にきつぱり見栄を捨てました 熊川暁子 201909
雨しとどなり芍薬の八重一重 立石まどか 201909
じゃんけんで芍薬出されたら負ける 林田麻裕 201910
二枚の葉残し芍薬剪りにけり 田中とし江 201911
芍薬を活けて仏間の闇美しき 田中とし江 201911
芍薬のふれたる父の墨衣 秋川泉 あを 202007
芍薬の無垢なる白を供花とせり 鈴木静恵 春燈 202008
芍薬のはなびら崩す夜の地震 中野あぐり 春燈 202008
芍薬の孵化するごとく開きけり 藤田美耶子 202009
芍薬の活けておほきくほどけけり 善野行 六花 202009
芍薬やまろき蕾の解くる朝 平木三恵子 末黒野 202009
芍薬の水切り横に佳奈もゐて はしもと風里 202009
芍薬の散りし畳の仄湿り 平居澪子 六花 202010
芍薬の蕾に心音聞かれをり 山田佳子 202106
芍薬や主なき庭静まりて 秋川泉 あを 202107
芍薬の内よりひらく力かな 中根美保 風土 202107
満開の芍薬庭を華やかに 亀岡睦子 やぶれ傘 202108
芍薬や仏は海を渡り来し 森祐司 202108
きのふけふ芍薬の芽のふつくらと 中内敏夫 202108
芍薬や派手すぎないか仏花には 坂下成紘 202108
芍薬の供花の純白母を恋ふ 根本世津 202108
芍薬の花開く首尾四半刻 岩上行雄 末黒野 202108
芍薬の花に片雨寺静か 小嶋紘一 末黒野 202108
芍薬の蕾のままで居坐りぬ 木村純子 末黒野 202108
芍薬の散るや約しき日の戻り 小田嶋野笛 末黒野 202109
芍薬の残る二輪を花手水 住田千代子 六花 202110
芍薬の固き蕾のほぐれ初む 谷口摩耶 202206
芍薬の蕾を撫でて通りけり 福地タカ 202208
芍薬の立姿なく枯れゆくか 大政睦子 京鹿子 202209
庭に咲く白き芍薬雨催ひ 小池一司 やぶれ傘 202210
芍薬の五本抱へて壺探す 小巻若菜 やぶれ傘 202210
一ひらの落つや芍薬総崩れ 宮井知英 202211

 

2023年5月17日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。