栄 螺      94句

ばらばらのままの青空大栄螺    四ツ谷龍

作品
作者
掲載誌
掲載年月
腸を煮えくりかへす栄螺かな 河合城太 銀化 199904
栄螺焼くそんなにむきにならずとも 河口仁志 200001
いま口を開けば愚痴よ栄螺焼く 塩路隆子 精鋭選集 200008
九十九里栄螺ぎらぎらしておりぬ 金子兜太 海程 200010
海鳴りやマグマ噴き出す焼栄螺 鶴目鯛遊子 六花 200010
今朝取りし栄螺十あまり魚籠の底 堀すみ恵 200105
栄螺焼く封緘の蓋ゆるびきぬ 丸尾和子 雨月 200107
栄螺焼く据り悪しきに手を焼ける 丸尾和子 雨月 200107
渦潮の渦の化身のさざえかも 内田雅子 馬酔木 200108
栄螺焼く育ちし潮を噴きこぼし 閑田梅月 馬酔木 200108
磯小屋にをとこ声あり焼さざえ 野口光江 遠嶺 200108
島史蹟巡る馬穴の栄螺見て 今井忍 ぐろっけ 200108
二つ三つ選りし栄螺を買ひもせず 今井忍 ぐろっけ 200108
六月の落し子だった栄螺の尻尾 相原左義長 海程 200110
食卓の壺焼栄螺香しき 佐藤琴 200204
栄螺焼く火のあだしのの火のごとし 大串章 百鳥 200204
船窓に車窓に夕日栄螺焼く 大串章 百鳥 200205
恋路ケ浜栄螺の壺焼夫と食ふ 市川十二代 ぐろっけ 200205
つぶやきはふいにさざえのなかより来 小澤克己 遠嶺 200206
日本は醤油文化栄螺焼く 嶋田摩耶子 ホトトギス 200209
しみじみと構へのかたき栄螺かな 阿部正枝 絵具箱 200304
忌の膳に一皿ふやす焼きさざえ 松原安治 遠嶺 200305
たいくつな栄螺(さざえ)の動く潮溜り 朝妻力 雲の峰 200305
しほ垂るる栄螺を笊に入れにけり 石脇みはる 200305
波しぶき磴に躱して焼栄螺 廣島泰三 200306
焜炉火や独り雨夜の焼さざえ 三遊亭金遊 百鳥 200306
若き日の失敗の数焼栄螺 山遊亭金太郎 百鳥 200306
素潜りの蹴る足白し栄螺海女 吉田多美 京鹿子 200309
引き揚げし栄螺の籠にホテルの名 大串章 百鳥 200405
祈る母子栄螺つぶの磯辺を伝ひ来て 福永みち子 馬醉木 200406
栄螺焼き壺中地獄をおもんみる 丸尾和子 雨月 200407
栄螺焼く浜の漢の茶碗酒 鈴木照子 200407
おばちやんと呼びとめられて買ふ栄螺 富沢敏子 200407
大き手の素早く選りし栄螺かな 杉田智栄子 馬醉木 200412
図書館の隅に栄螺となつてをり 飛鳥由紀 200505
さざえ焼くむらさきの香と潮の香と 大森慶子 母衣 200602
積み上げし栄螺の殻の海鳴りす 村田美穂子 百鳥 200605
ほのぼのと栄螺のうごくけはひかな 本多俊子 さくらの音 200605
栄螺焼く香に誘はれて東尋坊 山口順子 200606
雨の中呼子朝市栄螺焼く 足立陽子 200606
島裏は絶壁なせり焼さざえ 服部早苗 200607
栄螺焼く「ひゅん」と幽かに潮のこゑ 神蔵器 風土 200608
さざえ海女のとなりに洗ふ手足かな 百瀬七生子 海光 200705
燒き上がる栄螺のこぼす嘆きかな 川崎光一郎 京鹿子 200707
姫崎の灯台下に栄螺焼く 市橋香 ぐろっけ 200708
栄螺焼けたで早よ酒を持つてこい 稲畑廣太郎 ホトトギス 200804
栄螺食ぶ日曜の午後六時半 稲畑廣太郎 ホトトギス 200804
焼き栄螺沖の白波総立ちに 大上充子 馬醉木 200805
金網に不運の栄螺焼かれをり 塩路五郎 200904
栄螺焼く島の裏まで醤の香 河口仁志 200905
栄螺舟足で櫓を漕ぐ岬日和 鈴木伸一 200905
船旅の昼餉に選ぶ栄螺めし 田下宮子 200906
網の上の栄螺の笛や潮鳴りす 川口襄 遠嶺 200906
栄螺焼く海の匂ひも焼きにけり 小林正史 200906
片足で櫂を操り栄螺採る 小阪律子 ぐろっけ 200906
海女火場に漁を聞きつつ焼栄螺 井口淳子 201005
雫して浜の値段の栄螺かな 関根洋子 風土 201006
待つことに慣れて栄螺となりにけり 高橋将夫 201007
縄文の火を囲みたる栄螺海女 丸井巴水 京鹿子 201007
買はうとする栄螺よ蓋を閉ぢてけり 定梶じょう あを 201007
栄螺鳴く假の店張る能古渡し 安武晨子 201010
蓋あけてレシピ聴きをる栄螺かな 延広禎一 201105
みづからの角を支へに焼栄螺 布川直幸 201105
七輪に隠岐の潮ふく栄螺かな 川村清子 馬醉木 201106
ごつごつと船板ぬらし栄螺網 山尾玉藻 火星 201203
潮の香を弾き栄螺の焼き上る 稲畑廣太郎 ホトトギス 201204
大岩を越ゆる大波栄螺焼く 柴田佐知子 201207
酒旨し栄螺の壷焼き伊勢の宿 早川周三 ぐろっけ 201207
しけの予報栄螺の角のぶつきらぼう 浜口高子 火星 201305
赤白のワイン添へある焼栄螺 前田忍 火星 201305
焼き加減よしと栄螺をひさぐ姥 小川玉泉 末黒野 201305
ふた閉づる力の残る栄螺焼く きくちきみえ やぶれ傘 201305
栄螺焼く自白めきたる泡吹かせ 柴田近江 201402
泡吹いてきて食べ頃の焼き栄螺 きくちきみえ やぶれ傘 201505
ほろにがい記憶栄螺が焼きあがる 高橋将夫 201507
海女の日を語りつ栄螺売りゐたり 大橋伊佐子 末黒野 201507
栄螺焼く沸々こぼる愚痴を聞き 杉浦一子 万象 201507
売れ残り栄螺は蓋をゆるめをり きくちえみこ 港の鴉 201510
浪音を拭はぬままに栄螺焼く 峰崎成規 201604
鳥海山の麓の荒磯栄螺とる 阿部月山子 万象 201605
その町の記憶初めの焼栄螺 笠井敦子 201606
海原へ匂ひ返して焼栄螺 岩月優美子 201607
灯台は観光専用栄螺焼く 中江月鈴子 201608
栄螺売ぶつきらぼうに応へけり 七種年男 輪中の空 201612
一客の出口に遠し焼栄螺 鈴鹿呂仁 京鹿子 201704
焼栄螺団体さんが着く時間 中川句寿夫 ここのもん 201705
春愁やつのなし栄螺てふ銘菓 松本三千夫 末黒野 201707
夕市や地べたの華の海老栄螺 石川桂郎 風土 201709
千里浜は滅法痩せて栄螺焼く 山田六甲 六花 201803
栄螺には栄螺の蓋がどんぴしやり きくちきみえ やぶれ傘 201807
飲む酒を少し垂らして栄螺焼く 中島和子 六花 201810
栄螺焼くたちまち厨海となり 松本三千夫 末黒野 201905
網目より栄螺の棘の突き出せり 秋千晴 202107
栄螺みな銀河の蓋をして眠る 木暮陶句郎 ホトトギス 202110

 

2022年4月14日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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