山椒魚・はんざき     117句

 

作品
作者
掲載誌
掲載年月
平穏といふ退屈や山椒魚 益田風彦 199810
鉄穴かんな流しありたる谿に山椒魚 松崎鉄之介 199811
掌の見えて大山椒魚に貌のなし 小林鱒一 天牛 199904
山椒魚不精の果をのそのそと 片山喜久子 雨月 199909
たたら跡たりし公園山椒魚 松崎鉄之介 200011
進退を決めかねてゐる山椒魚 永田等 200012
祖父はかの岩穴に棲む山椒魚 竹内弘子 あを 200101
冬麗やだぶだぶの大山椒魚 竹内弘子 あを 200104
地震あるも山椒魚の微動もせず 酒井ひろ子 200108
山椒魚ひとの気配を感じをり 竹内弘子 あを 200108
ここは美濃山椒魚の目のやさし 戸田春月 火星 200109
カーバイドの匂ひの照らす山椒魚 嵯峨根鈴子 火星 200109
顎が笑つてゐたる山椒魚 岡井省二 200112
黒岩をすべり落ちたる山椒魚 石脇みはる 200208
峡に寝て山椒魚になつてゐる 小澤克己 遠嶺 200210
山紅葉大山椒魚飼ふ峠 河中透水 雨月 200301
山椒魚好きも嫌ひもなかりけり 吉田康子 青山椒 200303
山椒魚声なきことの愛しけれ 味村志津子 雨月 200309
山椒魚とぞ化石とも巌とも 味村志津子 雨月 200309
山椒魚瀬々の滾ちに眼つむれる 味村志津子 雨月 200309
腹這ひて山椒魚を見てをりぬ 影山わこ 百鳥 200309
山椒魚見しより口の重くなり 大串章 百鳥 200310
水清く山椒魚を見失ふ 戸栗末廣 火星 200310
山椒魚己が姿を知らざりき 加藤富美子 200310
わが影に藻へ身を躱す山椒魚 長谷川史郊 馬醉木 200312
血の薬の山椒魚を目瞑り食ふ 梅原美子 200312
飼はれゐる山椒魚の水冥む 今井妙子 雨月 200407
向き変へたらしき濁りよ山椒魚 山仲英子 200408
知る由もなし豪雨後の山椒魚 大橋敦子 雨月 200409
滴りの次の滴り山椒魚 松井倫子 火星 200409
海風が山風となる山椒魚 須佐薫子 帆船 200411
沈思黙考とは山椒魚のこと 杉良介 200503
長生きか死に後れしか山椒魚 鷹羽狩行 200503
太古より雫透明山椒魚 門脇なづな 対岸 200507
遁世の横顔ばかり山椒魚 三上程子 春燈 200508
折からの雨間の日ざし山椒魚はんざき 大島翠木 200508
黒雲の動くと見れば山椒魚 鷹羽狩行 200508
清滝の硯師山椒魚を飼ふ 飯田はるみ 築港 200509
山椒魚昼行灯を決めにけり 坂本美代子 200509
A4に山椒魚の収まらず 高田令子 200509
山椒魚月を沈めて眠りけり 小林朱夏 200511
永らふることの憂ひや山椒魚 中村龍徳 200511
うろくずの下の禁色山椒魚 栗栖恵通子 200606
山椒魚奈落のまなこ開きける 栗栖恵通子 200606
失ひし時間のやうな山椒魚 松本圭司 200609
液化して山椒魚と暮らさむか 吉田明子 200609
地の底を見てきし山椒魚の貌 浜口高子 火星 200609
遊び下手の男と見てる山椒魚 山元志津香 八千草 200701
山椒魚深爪の人逝きしのち 佐藤喜孝 あを 200701
山椒魚の足の擦りゆく草紅葉 山内なつみ 万象 200701
山椒魚太古の夢に耽れるか 大橋晄 雨月 200709
山椒魚存在感の泡一つ 樺山翠 雨月 200709
身の丈のターンに昏れし山椒魚 山元志津香 八千草 200712
わがままな山椒魚と共存す 木山杏理 京鹿子 200801
背と腹をつなぐ縫目の山椒魚 岡本高明 船団 200801
岩になりきつてゐる大山椒魚 寺田すず江 200808
山椒魚弥勒の夢を喰つてをる 栗栖恵通子 200808
滝壺の底に沈みて山椒魚 中田芳子 ぐろっけ 200809
岩動くまでは動かぬ山椒魚 長田等 200901
正月の貌して現れし山椒魚 浜口高子 火星 200904
小さき淵山椒魚のひそむらし 池田達二 風土 200909
西方に思ひをはする山椒魚 小澤克己 遠嶺 200910
秋来たり山椒魚の艶増せる 石脇みはる 201001
紅葉川山椒魚の緩リズム 坂上香菜 201002
秘境ともいへるここには山椒魚 稲畑汀子 ホトトギス 201006
山椒魚永らへゐたり弥陀ヶ原 山田春生 万象 201006
湯の町のおほ山椒魚動かざり 沼本静江 酸漿 201009
山椒魚棲むてふ渓の碧さかな 須賀允子 万象 201010
沢水の棲み潔むなり山椒魚 伊藤希眸 京鹿子 201101
一切を断ちて山椒魚の貌 柴田佐知子 201107
蒜山の大山椒魚はんざきの動かざる 安藤久美子 やぶれ傘 201110
洞を出て山椒魚の目の赤き 山路紀子 風土 201110
半眼は父親ゆづり山椒魚 荒木甫 201111
幸せな泡をひとつ山椒魚 山田佳乃 ホトトギス 201111
一山を眠りにつかす山椒魚 和田照海 京鹿子 201203
山椒魚みじろぐといふことをする 竹内弘子 あを 201204
山椒魚醜の目鼻のありどころ 竹内弘子 あを 201204
山椒魚たれか悲恋をわらはざる 竹内弘子 あを 201204
億年を引き寄せ山椒魚眠る 稲畑廣太郎 ホトトギス 201207
哲学科卒ばかりなり山椒魚 甕秀麿 201210
信ずるに足るは闇ぞと山椒魚 柴田佐知子 201211
秋出水山椒魚は岩を這ひ 坂根宏子 201211
山椒魚岩のいろしてみじろがず 伊東和子 201211
山椒魚を食して人間くさくなる 水野恒彦 夢寐 201306
山椒魚闇の凸凹してゐたる 水野恒彦 夢寐 201306
山椒魚おのれの時を生きており 貝森光洋 六花 201310
百年を岩の色して山椒魚 服部早苗 201311
山椒魚はんざきは鬱のかたまり動かざる 竹貫示虹 京鹿子 201407
山椒魚水におくれて動きけり 城孝子 火星 201409
山椒魚ちちははの顔知つてをり 城孝子 火星 201409
動かずば化石になるぞ山椒魚 寺田すず江 201409
深山の迷路に入りし山椒魚 中田禎子 201410
水澄むや底に山椒魚の影 鶴巻誉白 ろんど 201412
山椒魚地球の丸さ未だ知らず 栗原京子 201503
動かざる如く動きぬ山椒魚 稲畑汀子 ホトトギス 201506
山椒魚とり渓に筌おききたる 大崎紀夫 虻の昼 201510
山椒魚八方尾根に出合ひけり 渡辺絹代 末黒野 201611
山椒魚のぞく水底冬の鳥 門伝史会 風土 201701
岩礁の欠ら浅間の山椒魚 碇天牛 雨月 201707
いつの世と山椒魚の目が問へり 浅田光代 風土 201708
銀河系の闇を濡らして山椒魚 水野恒彦 201709
山椒魚はんざきが人工知能を狂はせる 柳川晋 201710
山椒魚頭を見せ石となりゐたり 城戸ひろみ 雨月 201710
古里や水湧く池の山椒魚 占部美弥子 末黒野 201710
水槽小さし山椒魚小さし おーたえつこ 201809
大山椒魚度胸据ってをりにけり 岩月優美子 201909
山椒魚うごかず水を動かさず 能美昌二郎 201910
下手物と言はず無辺なる山椒魚 高野昌代 201912
老後にもなほ老後あり山椒魚 角野良生 202005
はんざきの身じろぎもせず石の貌 浜田はるみ 202011
山椒魚ゆらりと動き生きてゐし 稲畑汀子 ホトトギス 202106
上流は水音高し山椒魚 稲畑汀子 ホトトギス 202106
はんざきの生の証の泡ひとつ 和田照海 京鹿子 202107
とぼけ顔して山椒魚の長寿 関妙子 202110
はんざきのゑくぼ一つも石と化す 鈴鹿呂仁 京鹿子 202207
はんざきや時の化石のごとく棲み 菅原健一 202208
はんざきの面見て発憤しどころぞ 能村研三 202209

 

2023年5月15日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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