山椒魚   191句

作品
作者
掲載誌
掲載年月
前書その他
滝音に倦みしはんざき動き出す 山田弘子 春節 199503 赤目
はんざきの水ごと暮るる入日かな 南出律子 199806  
はんざきのこの方墨を磨つてをり 岡井省二 199807  
はんざきに分校の昼聞こえ来し 城孝子 火星 199809  
はんざきの声のあたりをまたのぞく 小菅佳子 199809  
滝音に倦めばはんざき動き出す 山田弘子 円虹 199809  
平穏といふ退屈や山椒魚 益田風彦 199810  
鬱々とはんざき登る石の上 稲岡長 ホトトギス 199811  
混浴宿大はんざきを二匹飼ふ 松崎鉄之介 199811  
鉄穴かんな流しありたる谿に山椒魚 松崎鉄之介 199811  
掌の見えて大山椒魚に貌のなし 小林鱒一 天牛 199904  
はんざきの辺りは空いてをりにけり 小菅佳子 199907  
はんざきのあたりの夜のまくれなゐ 岡井省二 199908  
山椒魚不精の果をのそのそと 片山喜久子 雨月 199909  
はんざきに頭尾ありけり平らなり 城孝子 火星 199911  
はんざきを匿ふ水に落葉の朱 渡邊千枝子 馬醉木 199912  
はんざきに再び会ひぬ月の夜 岡井省二 199912  
天河にしてはんざきを嘉しをり 岡井省二 200007  
はんざきの目の濡れ色を琴座とす 堀江かつみ 200008  
はんざきやそこに黄金の坩堝あり 男波弘志 200008  
はんざきや文珠菩薩の鈴鳴らす 川端実 遠嶺 200009  
はんざきの右手左手ひらきをり 中井和子 200009  
たたら跡たりし公園山椒魚 松崎鉄之介 200011  
進退を決めかねてゐる山椒魚 永田等 200012  
祖父はかの岩穴に棲む山椒魚 竹内弘子 あを 200101  
冬麗やだぶだぶの大山椒魚 竹内弘子 あを 200104  
はんざきや円周率を諳んじて 西村純 200107  
はんざきがさう言うたとか枕上ミ 男波弘志 200107  
はんざきの万の卵の黒点透く 安藤時子 200107  
落花背に受くもはんざきひた眠る 安藤時子 200107  
はんざきや勝ち続けるといふ誤算 松本康司 銀化 200107  
恋すてふ山椒魚の眼かな 篠田純子 あを 200107  
はんざきのてのひらに月上りけり 山尾玉藻 火星 200108  
地震あるも山椒魚の微動もせず 酒井ひろ子 200108  
はんざきに禁夜の告で出てをりぬ 中原道夫 銀化 200108  
山椒魚ひとの気配を感じをり 竹内弘子 あを 200108  
はんざきのまんまる沈む夜の秋 城孝子 火星 200109  
ここは美濃山椒魚の目のやさし 戸田春月 火星 200109  
カーバイドの匂ひの照らす山椒魚 嵯峨根鈴子 火星 200109  
はんざきや一切のことたとふれば 岡井省二 200109  
写楽の目はんざきの目暮れにけり 森麟 銀化 200109  
ささ濁りしてはんざきの交むなり 和田照海 京鹿子 200110  
はんざきに金網の影ありにける 延広禎一 200110  
はんざきの孤独いよいよ秋の雨 高垣和恵 雨月 200112  
顎が笑つてゐたる山椒魚 岡井省二 200112  
腹が空いてははんざきの目が見つからぬ 田村みどり 京鹿子 200112  
はんざきに秋深みゆく水の音 西村しげ子 雨月 200201  
はんざきのあたりの夜のまくれなゐ 岡井省二 200201  
雪降るやはんざきの棲む心字池 春田淳子 雲の峰 200202  
淡雪にはんざきの夢成りしかな 天野きく江 200205  
はんざきの穴ごもる溪はこだまの巣 豊田都峰 京鹿子 200207  
はんざきに一切の水流れをり 水野恒彦 200208  
黒岩をすべり落ちたる山椒魚 石脇みはる 200208  
青年一人はんざき保存会 須佐薫子 帆船 200209  
峡に寝て山椒魚になつてゐる 小澤克己 遠嶺 200210  
方舟や対のはんざき輪の容チ 中島陽華 200210  
はんざきの腹の下より泡かな 竹中一花 200210  
山紅葉大山椒魚飼ふ峠 河中透水 雨月 200301  
ぬるぬるとはんざき動く匂ひかな 小西明彦 200302  
山椒魚好きも嫌ひもなかりけり 吉田康子 青山椒 200303  
草茂る水際はんざき潜みをり 尾崎恭子 雨月 200307  
動かざることはんざきの意志と見て 尾崎恭子 雨月 200307  
はんざきは重なりて月仰ぐらむ 山尾玉藻 火星 200307  
苔のむすものはんざきとさざれ石 成井侃 対岸 200308  
山椒魚瀬々の滾ちに眼つむれる 味村志津子 雨月 200309  
山椒魚とぞ化石とも巌とも 味村志津子 雨月 200309  
山椒魚声なきことの愛しけれ 味村志津子 雨月 200309  
狂ふまいはんざきに水澄みはじむ 男波弘志 200309  
腹這ひて山椒魚を見てをりぬ 影山わこ 百鳥 200309  
はんざきの顎の水泡離れざり 深澤鱶 火星 200309  
山椒魚己が姿を知らざりき 加藤富美子 200310  
ウクレレやはんざきの孵化はじまれる 延広禎一 200310  
刀加持受けたりはんざき動き出す 中島陽華 200310  
水清く山椒魚を見失ふ 戸栗末廣 火星 200310  
山椒魚見しより口の重くなり 大串章 百鳥 200310  
わが影に藻へ身を躱す山椒魚 長谷川史郊 馬醉木 200312  
血の薬の山椒魚を目瞑り食ふ 梅原美子 200312  
はんざきのいさうな凹ありにけり 近藤公子 200312  
はんざきの吐く息みどり山の音 鈴木勢津子 200312  
飼はれゐる山椒魚の水冥む 今井妙子 雨月 200407  
はんざきの月見るころを寝まりけり 深澤鱶 火星 200408  
動かざる大はんざきを覗き見る 古林美幸 雲の峰 200408  
向き変へたらしき濁りよ山椒魚 山仲英子 200408  
滴りの次の滴り山椒魚 松井倫子 火星 200409  
知る由もなし豪雨後の山椒魚 大橋敦子 雨月 200409  
はんざきの頸から胴の辺りかな 竹内弘子 あを 200409  
見たくない意志はんざきの小さな目 木戸渥子 京鹿子 200410  
海風が山風となる山椒魚 須佐薫子 帆船 200411  
長生きか死に後れしか山椒魚 鷹羽狩行 200503  
沈思黙考とは山椒魚のこと 杉良介 200503  
太古より雫透明山椒魚 門脇なづな 対岸 200507  
遁世の横顔ばかり山椒魚 三上程子 春燈 200508  
大安や艀化のはんざき眼のまるき 延広禎一 200508  
はんざきの貌して母の逝きにけり 栗栖恵通子 200508  
折からの雨間の日ざし山椒魚はんざき 大島翠木 200508  
黒雲の動くと見れば山椒魚 鷹羽狩行 200508 広島・帝釈峡
はんざきやこれも帝釈天の加護 鷹羽狩行 200508 広島・帝釈峡
生きてをるぞとはんざきのちょと動く 三輪温子 雨月 200508  
はんざきの水に貌出す梅雨月夜 根岸善雄 馬醉木 200509  
山椒魚昼行灯を決めにけり 坂本美代子 200509  
はんざきの見果てぬ夢や谷の空 内田稔 遠嶺 200509  
はんざきに屈みてむかしをとこなり 深澤鱶 火星 200509  
護摩壇にはんざき色の闇が来る 栗栖恵通子 200509  
A4に山椒魚の収まらず 高田令子 200509  
清滝の硯師山椒魚を飼ふ 飯田はるみ 築港 200509  
山姥をゆつくり離る大はんざき 浜口高子 火星 200510  
はんざきの岩登るてふ風の色 高松由利子 火星 200510  
これほどのはんざきにしてこのまなこ 高橋将夫 炎心 200510  
永らふることの憂ひや山椒魚 中村龍徳 200511  
山椒魚月を沈めて眠りけり 小林朱夏 200511  
はんざきを戸籍に入れし女系かな 井上菜摘子 京鹿子 200601  
太古より雫透明山椒魚 門脇なづな 対岸 200602  
山椒魚奈落のまなこ開きける 栗栖恵通子 200606  
うろくずの下の禁色山椒魚 栗栖恵通子 200606  
はんざきの向き変はりゐし遅ざくら 城孝子 火星 200607  
はんざきや千日行の大股に 南一雄 200609  
はんざきの息する方のほの赫し 雨村敏子 200609  
地の底を見てきし山椒魚の貌 浜口高子 火星 200609  
液化して山椒魚と暮らさむか 吉田明子 200609  
失ひし時間のやうな山椒魚 松本圭司 200609  
虚名みな捨てはんざきになつてゐる 川口襄 遠嶺 200611  
液化して山椒魚と暮らさむか 吉田明子 200701  
山椒魚の足の擦りゆく草紅葉 山内なつみ 万象 200701  
遊び下手の男と見てる山椒魚 山元志津香 八千草 200701  
山椒魚深爪の人逝きしのち 佐藤喜孝 あを 200701  
はんざきの水を流るる冬菜屑 浜口高子 火星 200702  
はんざきに木霊のかよふ時雨かな 深澤鱶 火星 200702  
はんざきの穴の上流れ紅椿 松山直美 火星 200706  
山椒魚太古の夢に耽れるか 大橋晄 雨月 200709  
山椒魚存在感の泡一つ 樺山翠 雨月 200709  
はんざきや世の一切にかかはらず 佐藤博美 200710  
はんざきの大きさ棒切れ使ひけり 梶浦玲良子 六花 200711  
身の丈のターンに昏れし山椒魚 山元志津香 八千草 200712  
寂しさの極みはんざきに逢ひたい 木山杏理 京鹿子 200801  
わがままな山椒魚と共存す 木山杏理 京鹿子 200801  
背と腹をつなぐ縫目の山椒魚 岡本高明 船団 200801  
はんざきの百年前の夢を見る 東良子 遠嶺 200802  
冬はんざきたましひ動くことに倦み 大島翠木 200803  
はんざきの根性人に見放され 大橋敦子 雨月 200807  
山椒魚弥勒の夢を喰つてをる 栗栖恵通子 200808  
岩になりきつてゐる大山椒魚 寺田すず江 200808  
はんざきの巖を離れず岩となる 長谷英夫 馬醉木 200809  
滝壺の底に沈みて山椒魚 中田芳子 ぐろっけ 200809  
はんざきの冬のいよいよ無用の目 伊藤白潮 200811 『生きめやも』
岩動くまでは動かぬ山椒魚 長田等 200901  
はんざきの動き出したる小春かな 大石よし子 雨月 200902  
正月の貌して現れし山椒魚 浜口高子 火星 200904  
小さき淵山椒魚のひそむらし 池田達二 風土 200909  
西方に思ひをはする山椒魚 小澤克己 遠嶺 200910  
はんざきに呑まれてゐるや昼寝覚 久津見風牛 200911  
はんざきやのらりくらりと答へをる 石脇みはる 200912  
秋来たり山椒魚の艶増せる 石脇みはる 201001  
紅葉川山椒魚の緩リズム 坂上香菜 201002  
秘境ともいへるここには山椒魚 稲畑汀子 ホトトギス 201006  
山椒魚永らへゐたり弥陀ヶ原 山田春生 万象 201006  
はんざきの夜な夜な京の燈を恋へり 冨山俊雄 山居抄 201008  
黄道光やつとはんざき動きけり 中島陽華 201008  
湯の町のおほ山椒魚動かざり 沼本静江 酸漿 201009  
山椒魚棲むてふ渓の碧さかな 須賀允子 万象 201010  
沢水の棲み潔むなり山椒魚 伊藤希眸 京鹿子 201101  
はんざきの眸に映る小宇宙 林日圓 京鹿子 201104  
一切を断ちて山椒魚の貌 柴田佐知子 201107  
はんざきの水を柳絮の消えてまた 浜口高子 火星 201107  
はんざきや志功の眼鏡分厚くて 延広禎一 201108 志功=棟方
はんざきの動くを待ちて動けざる 山路紀子 風土 201110  
洞を出て山椒魚の目の赤き 山路紀子 風土 201110  
蒜山の大山椒魚はんざきの動かざる 安藤久美子 やぶれ傘 201110  
はんざきに時の流れの透き通る 今橋眞理子 ホトトギス 201111  
幸せな泡をひとつ山椒魚 山田佳乃 ホトトギス 201111  
半眼は父親ゆづり山椒魚 荒木甫 201111  
はんざきや工房の藍匂ひ立つ 中田禎子 201112  
末枯やはんざき眠る瀧の口 城孝子 火星 201201  
一山を眠りにつかす山椒魚 和田照海 京鹿子 201203  
はんざきに出会うてよりの山路かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201204  
山椒魚みじろぐといふことをする 竹内弘子 あを 201204  
山椒魚醜の目鼻のありどころ 竹内弘子 あを 201204  
山椒魚たれか悲恋をわらはざる 竹内弘子 あを 201204  
はんざきに水惑星の騒きかな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201206  
はんざきのジュラ紀を語る背中かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201206  
はんざきのやうな体であらまほし 稲畑廣太郎 ホトトギス 201206  
はんざきの小耳にしたる竜のこゑ 佐藤凉宇子 万華鏡 201206  
億年を引き寄せ山椒魚眠る 稲畑廣太郎 ホトトギス 201207  
はんざきのゆつくり浮かび来る手足 稲岡長 ホトトギス 201210  
哲学科卒ばかりなり山椒魚 甕秀麿 201210  
秋出水山椒魚は岩を這ひ 坂根宏子 201211  
はんざきに噛まれし村の噂かな 塩路五郎 201211  
山椒魚岩のいろしてみじろがず 伊東和子 201211  
信ずるに足るは闇ぞと山椒魚 柴田佐知子 201211  
はんざきを見てきし人と春の宵 西村節子 火星 201305  
山椒魚闇の凸凹してゐたる 水野恒彦 夢寐 201306  
山椒魚を食して人間くさくなる 水野恒彦 夢寐 201306  

2013年8月10日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。