三 伏     158句

 

作品
作者
掲載誌
掲載年月
三伏やこぼれて赤き崖の土 鷹羽狩行 199809
三伏や砂山忘れをりにけり 小菅佳子 199809
三伏のモップ逆さに乾きをり 杉浦典子 火星 199810
三伏や馬ゐる榧の木のほとり 水野恒彦 199810
三伏のしけった煎餅のような俺 武井康隆 船団 199812
三伏の開けぬ三面鏡より失火 中原道夫 銀化 199909
音もなく開き三伏の扉かな 高橋将夫 199910
三伏の雨通りたる禿山 小形さとる 199910
蕗味噌を舐め三伏の山登る 野口みどり 酸漿 199911
三伏の風さわがしき英彦の燈 下田水心子 円虹 199911
三伏やオサ虫瑠璃のクロニクル 佐々木峻 船団 199912
三伏の足軽頭の屋敷かな 深澤鱶 ヒッポ千番地 200004
三伏や人には見せぬ足枕 阿波谷和子 俳句通信 200010
忌と掲げ社家三伏の灯を点す 岸本久栄 雨月 200010
三伏やせつぱつまりし稿なりし 野澤あき 火星 200010
三伏や自問自答の細りゆく 児玉素朋 京鹿子 200011
三伏の日を返しあふビルの窓 大和田鏡子 俳句通信 200109
三伏や猫の寝そべる風の道 芝尚子 あを 200109
三伏やほんのり甘き薬草茶 押切安代 200109
三伏の鏡の下を川流る 水野恒彦 200110
三伏の石仏笑まふ当尾かな 谷村幸子 200110
三伏の町を吹き来る昼の風 岡本明美 俳句通信 200110
三伏の長崎に入るのどぼとけ 小形さとる 200111
三伏の犀の都としてゐたり 岡井省二 200112
三伏の己支ふる一書あり 大串章 百鳥 200209
三伏の正座して待つ手術かな 山路紀子 風土 200210
三伏の街を遥かに六甲嶺 林和子 雲の峰 200210
三伏の土喰うて豚ふとりゐる 桑田眞佐子 火星 200210
三伏の由緒正しき暑さかな 鷹羽狩行 200309
三伏の鉛筆にある木の年輪 大山文子 火星 200309
三伏のはじめや牛の咀嚼音 十河波津 200310
三伏やとどめのきかぬ旅ごころ 平田安生 風土 200310
三伏や鴨居をくぐる子の背丈 高村淳 200311
三伏や盛り塩光る縄暖簾 高柳かつを 百鳥 200311
三伏やしぼる魚卵のまくれなゐ 大島翠木 200312
三伏の犀見てゐたり笑ひだす 岡井省二 省二全句集 200312
三伏の藪の雨見る机なり 岡井省二 省二全句集 200312
三伏や夫がビラ撒くちんどん屋 須佐薫子 帆船 200407
三伏や鯛の歯で彫る漆塗 竹腰千恵子 200409
三伏やおくやみ欄を一瞥す 高畠英 河鹿 200410
三伏や樟の根岩を掴みたる 岩月優美子 200410
いくさ艦三伏の沖はづみけり 宇都宮滴水 京鹿子 200410
三伏のライフマスクと仏頭と 高橋将夫 200410
三伏をもて余す身の唐詩選 若山実 雲の峰 200410
三伏の卵くり出す黒揚羽 戸栗末廣 火星 200410
三伏の闇に充ちたる家に戻る 柴田佐知子 200411
三伏の地に散らばれる蝶の翅 土川照恵 栴檀 200411
三伏や水の底なる穴いくつ 山尾玉藻 火星 200507
三伏や弱火を知らぬ中華鍋 鷹羽狩行 200507
三伏や十三穀の飯を炊く 大嶋洋子 春燈 200508
三伏を迎へ討つ気の身の構へ 加藤君子 火星 200509
三伏の吾が糠床の静かなり 高尾豊子 火星 200510
三伏の白足袋まかる七七忌 有島夛美 河鹿 200510
三伏や炭蕎麦といふ黒き食べ 伊藤トキノ 200511
三伏や陀羅尼助なほ補うて 西村しげ子 雨月 200511
三伏の葦にささやく葭雀 瀧春一 常念 200606
三伏や死相の見ゆる人とゐて 大畑善昭 200609
三伏や「へ」の字に開く肋骨 栗栖恵通子 200610
三伏の切り株にある木の齢 谷村幸子 200610
三伏の粥に米炊くひとにぎり 十川たかし 200610
三伏の閻王口を開けしまま 万城希代子 200611
三伏のそれも真昼の朱雀門 吉田康子 火星 200611
三伏や臍を隠せぬ新モード 中村星児 八千草 200702
三伏や上眼遣ひに犬伏せて 鈴木榮子 春燈 200709
三伏や硯の岡のはや乾き 布村松景 春燈 200710
三伏の途中で止まるフアスナー 高橋将夫 200710
三伏の光の裾に腰おろす 竹中一花 200710
三伏や氷室の跡の朽ち柱 河内桜人 京鹿子 200711
三伏のもうこれ以上痩せられず 伊藤白潮 200808
三伏や赤子のやうに鴉鳴く 高橋芳子 火星 200810
三伏や鴉のだみ聲聞いてをる 近藤紀子 200811
三伏や棚に書物の凭れ合ふ 坂本敏子 京鹿子 200901
三伏や獅子が啣へて恋みくじ 神蔵器 風土 200907
三伏や水族館のあをき闇 山口紹子 炎環 200909
三伏の馬鹿になりたる蝶番 楠原幹子 200909
三伏や友のみやげの桧桝 伊藤洋子 200911
三伏の星の渦へと行脚する 鈴木勢津子 樹間 200911
三伏の肌着剥がしてもらひけり 山下青坡 200912
三伏の二胡の音色に夜が来し 林いづみ 風土 201001
三伏や螺子の一つを締め直し 真季佐智子 201007
三伏や砂流れゆく砂の上 本多俊子 201009
三伏や田水とろりと動きたる 浜口高子 火星 201009
三伏や灰をふりまく桜島 柴田佐知子 201009
三伏の足張つて亀首伸ばす 柴田佐知子 201009
三伏の人の声する衣裳蔵 蘭定かず子 火星 201009
三伏の封を切らずに新刊書 鈴木良戈 201010
三伏や傍のものさへ動かさず 吉田政江 201010
三伏や病むにあらねどごろごろと 田中藤穂 あを 201010
三伏や時持て余す無言劇 松原仲子 201010
三伏や糠床に塩増やしをり 森理和 あを 201010
三伏や小亀が岩をよぢ登る 吉中愛子 万象 201011
三伏や己はげます厨事 柴田志津子 201011
三伏やさても我が身の置き処 村上悦子 雨月 201011
三伏や獣舎の声の鎮もりぬ 古賀しぐれ ホトトギス 201012
十三束三伏放つ初日かな 神蔵器 風土 201101
三伏の祠に神の見あたらず 荒井千瑳子 201108
三伏や馬油の蓋の開いてをる 栗栖恵通子 201110
三伏や癌病院をはしごして 土屋実郎 末黒野 201110
三伏や極彩色の中華街 矢口笑子 春燈 201110
三伏の腹出し眠るカンガルー 平野みち代 201110
三伏や怒濤に勝る蜑の声 柴田佐知子 201111
三伏やカラクリ時計みな陽気 栗原京子 201112
三伏や「どん底」「ボルガ」隅の席 根岸善行 風土 201201
三伏の炎と振れ鉋屑 宇都宮敦子 201201
三伏や口をへの字の鬼瓦 岩永はるみ 白雨 201203
三伏や疑ひ深きピカソの目 水野恒彦 201209
三伏や鴉の止まる水位計 大山文子 火星 201210
三伏の己が影さへ見失ふ コ田千鶴子 馬醉木 201210
生うどん練る三伏の塩加減 近藤喜子 ミネルヴァの梟 201303
七五三伏敵門に跳ねて入る 柴田佐知子 201303
三伏や村起し策効なさず 西山浅彦 春燈 201310
三伏やもて余したる己が影 木多芙美子 春燈 201310
三伏の鯉の叶きたる鱗かな 深澤鱶 火星 201310
三伏のこめかみぎゆつと押へけり 楠原幹子 201310
三伏の盛り塩きらと旅籠かな 田中佐知子 風土 201311
三伏や緊急連絡カード身に 山田夏子 雨月 201311
三伏のころもの襟に塩噴けり 福島せいぎ 万象 201311
三伏の風に散りたる鮠の影 蘭定かず子 火星 201409
三伏や走り根は山巻き込んで 柴田佐知子 201409
三伏や魚沼豚骨醤油出汁 辻水音 201409
三伏や男の子掻き込む力めし 神戸やすを 201410
三伏の出刃包丁にうすき錆 楠原幹子 201410
三伏の荷物に身体傾ぎけり 田所節子 201411
三伏や草の匂ひの山羊の乳 中島悠美子 京鹿子 201411
三伏の沛然の雨見て飽かず 森礼子 雨月 201411
三伏や松はまつ赤な脂を噴き 戸栗末廣 201412
三伏や隅の一円玉大事 山口ひろよ 201412
三伏の真っ赤な箱の焼餃子 火箱ひろ 船団 201502
三伏や顔の険しき文官俑 佐渡谷秀一 対座 201505
三伏や蛙も木陰好むらし 飯田ひでを 201509
三伏や静脈探る注射針 小林朱夏 201510
三伏や齢のなりの呆け癖 酒本八重 201510
三伏の川瀬に諸手浸しけり 原田しずえ 万象 201511
三伏の汁椀にある生姜の香 田所節子 201609
三伏や跡取を得て仕込む味噌 栗山よし子 馬醉木 201610
三伏や閼伽井の水の濁りたる 井上和子 201610
三伏や法螺の音色の裏返る 岩田洋子 201610
三伏や友の入院また伸びて 神田惣介 京鹿子 201612
三伏や刻こく変る空模様 大日向幸江 あを 201610
三伏の五臓に浸みる沢煮椀 七田文子 201709
三伏や番の尾長来ては去る 宇都宮敦子 201710
三伏や仏にもある得手不得手 高橋将夫 201710
三伏の赤松姿正しけり 宮崎洋 春燈 201710
三伏や一子相伝陀羅尼助 木村梨花 春燈 201809
三伏の値札の上に貼る値札 宮内とし子 201810
三伏や耳掃除して聞く小言 三上程子 春燈 201810
三伏のひかり束ねて数珠屋町 井尻妙子 京鹿子 201811
三伏を無欲に息をしてゐたり 亀井福恵 京鹿子 201812
三伏の奇巌を突いて川下り 須賀ゆかり 201909
三伏や折鶴の角折り難し 横山さくら 春燈 201909
三伏の闇に平家の自在鉤 川内谷育代 馬醉木 201912
三伏や白を違へて塩・砂糖 角野良生 202003
三伏の均して匂ふ練朱肉 大川ゆかり 202009
三伏の掌に載せ豆腐切る 田中佐知子 風土 202010
三伏や翅ある虫も地を歩み 中村重幸 202010
三伏の日の目に逢はぬ山の墓 兒玉充代 202101
三伏や二つに割れし大絵皿 谷田明日香 風土 202109
三伏の石と語れば白き主語 鷺山珀眉 京鹿子 202211

 

2023年8月22日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

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