柳 絮       203句

灯を消せば月に柳絮のながれをり   高島茂   草の花

作品
作者
掲載誌
掲載年月
米朝も枝雀ざこばも柳絮とぶ 杉浦典子 火星 199806
柳絮とぶ頃の旅路と思ひけり 稲畑汀子 ホトトギス 199904
音もなく柳絮舞ひけり梅若忌 服部幸 199906
城跡の高き石垣柳絮とぶ 西川よし子 春耕 199907
水といふ水奔りゐて柳絮とぶ 柴田朱美 京鹿子 199907
柳絮飛びこれにはじまる絹の道 金森教子 雨月 199908
柳絮舞ふ穂高神杜に詣でけり 大塚洋子 酸漿 199909
柳絮舞ひ昼餉の鮭に落ちきたる 中里信司 酸漿 199909
中天に真円の虹柳絮舞ふ 中里信司 酸漿 199909
柳絮舞ひ市井の人も優しかり 嘉悦洋子 ぐろっけ 199909
噴水の上に来て柳絮舞ひにけり 桑田真佐子 200006
柳絮飛ぶ河原に運転試験場 塩田博久 風土 200007
柳絮とぶ地縁水緑風の縁 宇都宮滴水 京鹿子 200007
橋に揺れ柳絮の渦にまみれをり 大村美知子 京鹿子 200008
傘立ての甕の創口柳絮かな 安原ときこ 遠嶺 200009
雪鎧ふ木曾の御嶽柳絮舞ふ 山田春生 春耕 200009
朝焼の山脈の間を柳絮舞ふ 中里カヨ 酸漿 200010
すぐ怒る夫との暮し柳絮飛ぶ 戸田春月 光陰 200012
「かにかくに」勇の歌碑や柳絮とぶ 神蔵器 風土 200106
白昼に過ちかさね柳絮とぶ 川名将義 銀化 200106
柳絮とぶ一病養ふ夫とゐて 橋添やよひ 風土 200107
柳絮とび時止むべきすべもなし 辰巳あした 雨月 200109
柳絮飛ぶ試合なき日の野球場 大久保白村 ホトトギス 200110
風に消え日に現れて柳絮かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 200204
秀吉の攻めし址とや柳絮飛ぶ 稲畑廣太郎 ホトトギス 200204
柳絮飛ぶ下には何があらうとも 稲畑廣太郎 ホトトギス 200204
緊張の解けて柳絮の話など 稲畑汀子 ホトトギス 200204
若き日の記憶にいつも柳絮とぶ 稲畑汀子 ホトトギス 200204
同族の蓋ある村に柳絮飛ぶ 境良一 京鹿子 200204
柳絮とぶ上高地にも北京にも 赤座典子 あを 200204
警戒水位に棲みつき柳絮とぶ 矢野千佳子 京鹿子 200207
柳絮とぶいつも口から出まかせを 赤羽正行 遠嶺 200207
柳絮舞ふ音楽堂の反戦歌 大山文子 火星 200207
露坐佛の背ナのたひらか柳絮とぶ 岡和絵 火星 200207
ふはふはと被爆川畔に柳絮とぶ 岡本直子 雨月 200207
柳絮ふはと病めば家居の刻余る 小林希世子 200207
歩をゆるめ柳絮目で追ひゐたりけり 渡辺立男 馬醉木 200209
柳絮舞ひつぶてと翔し川烏 渡辺立男 馬醉木 200209
雨後の日に柳絮浮力を得たりけり 宮津昭彦 200209
貝塚の水場の遣構柳絮舞ふ 安原ときこ 遠嶺 200209
ベルリンの街健やかや柳絮舞ふ 中里カヨ 酸漿 200212
飛ぶときの思ひおもひの柳絮かな 加古みちよ 冬菜畑 200301
風の道柳絮の道となりにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200305
シヴァ神のぐるり飛びかふ柳絮かな 高橋将夫 200306
柳絮飛び交ふ磐媛の御陵かな 久保田喜代 雲の峯 200306
柳絮飛ぶ膝に詩集の開かれて 滝本香世 百鳥 200306
柳絮飛ぶカルテに祖父の独逸文字 齋藤宣子 帆船 200307
モーツァルト流るる館柳絮とぶ 芳賀雅子 遠嶺 200308
北欧の柳絮飛ぶ街徘徊る 橋本恭二 雲の峯 200308
柳絮飛ぶ五重塔の空高く 辰巳あした 雨月 200308
柳絮とぶ似顔絵描きは色重ね 秋岡朝子 200309
飛びさうな柳絮を揺らし日も揺るる 浅野恵美子 酸漿 200310
高遠をめざせば柳絮飛ぶ日なり 井出やすはる 酸漿 200310
柳絮とぶ旅路はるけくありしかな 稲畑汀子 ホトトギス 200404
柳絮飛び鶴飛んでゐるさつまかな 淵脇護 河鹿 200405
川上に連山淡き柳絮かな 小野恵美子 馬醉木 200406
日差し降り止まず柳絮の飛び止まず 朝妻力 雲の峰 200406
女衒めく日本語教師柳絮とぶ 篠田純子 あを 200406
柳絮飛ぶつまらなさうな顔得意 中村昭義 百鳥 200407
仏教は渡来の文化柳絮とぶ 大橋麻沙子 雨月 200407
渡舟場の朽ちかけてをり柳絮とぶ 植竹美代子 雨月 200407
柳絮とび種撒き散らす港跡 長村雄作 栴檀 200407
柳絮とぶまつすぐ先は余呉の湖 安嶋都峯 対岸 200407
行方なき柳絮の旅の終りなき 長山あや ホトトギス 200409
柳絮に会ふ願ひ今年も叶はざり 赤座典子 あを 200409
太湖なる画舫のほとり柳絮とぶ 桑田青虎 ホトトギス 200411
柳絮飛ぶ日和となつて来りけり 稲畑汀子 ホトトギス 200504
野の色を抜けて柳絮の旅となる 稲畑汀子 ホトトギス 200504
風に乗るもの乗らぬもの皆柳絮 稲畑汀子 ホトトギス 200505
柳絮とぶ海が光れば海へ向き 戸栗末廣 火星 200506
子の歌ふボーイソプラノ柳絮飛ぶ 中嶋陽子 風土 200506
柳絮とぶ手兒奈の池となりにけり 大坪景章 万象 200507
柳絮飛ぶ大河の木橋渡りけり 栗下廣子 万象 200507
もの思ひ柳絮眼鏡に付きしかな 宮津昭彦 200507
訪ねたる母校柳絮の中にあり 三井公子 酸漿 200509
瀬の出づる花魁淵に柳絮とぶ 増田久子 酸漿 200509
とめられぬ柳絮の行方なりしかな 高橋将夫 炎心 200510
柳絮とぶ川辺なりけり旅心 稲畑汀子 ホトトギス 200604
かにかくに恋の白川柳絮とぶ 神蔵器 風土 200605
ただよへる柳絮に峽のいや青き 瀧春一 常念 200606
星塚を一巡したり柳絮とぶ 谷村幸子 200606
柳絮舞ふむかし文士の住みし町 柴田久子 風土 200607
捨て鐘に柳絮舞ひくる寛永寺 柴田久子 風土 200607
のびのびの約束ごとや柳絮舞ふ 尾辻のり子 河鹿 200608
柳絮とぶ弁天さまの池ほとり 田所洋子 雨月 200608
父死後の兄弟の距離柳絮とぶ 服部郁史 京鹿子 200609
一会かもこの高原に舞ふ柳絮 大西まりゑ 酸漿 200611
伝えてと柳絮へ息を吹きかける 森田子月 ぐろっけ 200702
柳絮とぶ天心記念美術館 水井千鶴子 風土 200704
その上の羽衣伝説柳絮とぶ 神蔵器 風土 200706
柳絮とぶ花街にある乱歩館 松山直美 火星 200707
柳絮とぶ龍馬通りや酒の蔵 谷村幸子 200707
柳絮とぶ三の丸より二の丸へ 柴田久子 風土 200707
路地入りし喪服の女柳絮追ふ 保田英太郎 風土 200707
目前の柳絮なかなか掴めざり 柏原章子 200707
柳絮飛ぶ故郷の空広かりき 土屋啓 馬醉木 200708
柳絮とんで繧繝地獄となりゐたり 瀬川公馨 200709
柳絮とぶ旧校舎への並木道 大山妙子 酸漿 200709
分杭峠柳絮しきりに越ゆる日ぞ 阿部ひろし 二の杉 200710
柳絮とぶ宴なりける虚空かな 中野京子 翁草 200710
美術館前の堀端柳絮飛ぶ 中村悦子 200806
血の濃さは問題ならず柳絮とぶ 近藤公子 200806
独り笑ひ怺へ柳絮をとばしけり 白神知恵子 春燈 200806
柳絮飛ぶ国分寺址の広きかな 渡辺玄子 酸漿 200806
足許まで東支那海柳絮とぶ 石田阿畏子 馬醉木 200807
ひらがなの町に浴びたる柳絮かな 浜口高子 火星 200807
柳絮とぶ吉の神籔を開く掌に 田所洋子 雨月 200808
柳絮飛ぶそらで覚えし時間割 坂本緑 幸せのかたち 200808
対岸といふ遥けさや柳絮飛ぶ 片山由美子 200904
柳絮飛ぶ笑つて逃げてそれそこに 久津見風牛 200905
方位石の真中に立てり柳絮とぶ 谷村幸子 200906
ひとすぢの柳絮の流れ光なす 望月晴美 200906
柳絮舞ひ風がまあるくなりにけり 伊東恵美子 馬醉木 200907
ものの影まだ地になくて柳絮とぶ 水野恒彦 201006
郷を出る少年に柳絮ひた舞へり 清水節子 馬醉木 201007
柳絮舞ふ被爆聖母の旅立つ日 中島久子 馬醉木 201007
島一つ置く源氏池柳絮飛ぶ 松本三千夫 末黒野 201007
柳絮とぶドナウほとりの城砦 能村研三 201007
風吹けば風のかたちに柳絮とぶ 松本圭司 201007
湧水の雲母びかりに柳絮とぶ 内海良太 万象 201007
ゆきゆきて柳絮の繁きところまで 大島英昭 やぶれ傘 201009
果てしなき旅の記憶に柳絮飛ぶ 大西まりゑ 酸漿 201009
ビル街を貫きし川柳絮とぶ 相沢有理子 風土 201105
水音のそこかしこなり柳絮とぶ 西岡啓子 春燈 201106
眼の前に小島ありけり柳絮とぶ 浜口高子 火星 201106
錆の噴く廃船の骨柳絮とぶ 浜口高子 火星 201106
寄合ひの後のあてなき柳絮かな 深澤鱶 火星 201106
大極殿ゆうに越えたる柳絮かな 前田美恵子 201106
柳絮とぶ石に石積む祈りかな 卜部黎子 春燈 201107
寄り添ふと言ふ事難し柳絮飛ぶ 三井尚美 ぐろっけ 201107
川縁を柳絮飛び交ふ辺りまで 國保八江 やぶれ傘 201107
夕づきて柳絮しきりや被爆川 川村欽子 雨月 201107
はんざきの水を柳絮の消えてまた 浜口高子 火星 201107
柳絮飛ぶ地殻変動観測所 久世孝雄 やぶれ傘 201108
柳絮払ひつつの読書や芝にゐて 嶋田摩耶子 ホトトギス 201110
ポプラ綿毛柳絮のごとく舞ひ散れり 門伝史会 風土 201110
柳絮とぶ姉妹の髪の白くなり 有賀昌子 やぶれ傘 201110
城の崎の外湯巡りや柳絮飛ぶ 雲所誠子 風土 201201
太鼓橋架けたる池畔柳絮とぶ 松本三千夫 末黒野 201206
柳絮飛ぶゆつくり動く象の耳 岡澤田鶴 201207
柳絮舞ふユーロの国の国境を 古川千鶴 かさね 201208
柳絮とぶ織る緞通の厚きこと 中原俊之 201208
亀甲に組む石畳柳絮飛ぶ 黒滝志麻子 末黒野 201208
柳絮とぶ夢の続きはいつのこと 川井秀夫 ろんど 201208
柳絮飛び禅林の空紺青に 神田恵琳 跫音 201303
柳絮飛ぶ吾が魂もいつか飛ぶ 岩月優美子 201306
追憶の水より淡し柳絮舞ふ 石田静 201405
柳絮とぶ前進の意志ありありと 望月晴美 201405
蛍雪の校門のきず柳絮飛ぶ 小島昭夫 春燈 201406
清流の柳絮浴びつつ昼餉とす 上原重一 201406
坂許りの湯の町有馬柳絮飛ぶ 大橋弘子 末黒野 201407
水郷のかつと照る日や柳絮とぶ 内海良太 万象 201408
鈴の屋は休館日にて柳絮飛ぶ 中島陽華 201408
広き野に柳絮の飛ぶを飽かず見て 高橋照子 雨月 201408
兵去りし中原の地や柳絮舞ふ 江見悦子 万象 201410
柳絮飛ぶ頃の蝦夷地へ旅路あり 稲畑汀子 ホトトギス 201505
地図を手に異郷の街や柳絮飛ぶ 永島雅子 春燈 201505
柳絮飛ぶ風に声張る四十雀 萩庭一幹 馬醉木 201507
柳絮とぶ近頃襁褓干すを見ず 望月晴美 201507
夜も浮く柳絮流れてネオン街 小林和子 風土 201507
中之島そよ風にさへ柳絮飛び 大橋晄 雨月 201507
裏木戸を押せば鴨川柳絮とぶ 大石よし子 雨月 201507
日にほぐれ風にほぐれて柳絮とぶ 片山喜久子 雨月 201507
子の眠る小さきテントや柳絮飛ぶ 時田義勝 やぶれ傘 201508
そよ風にさへ柳絮飛ぶ中之島 大橋晄 ホトトギス 201510
柳絮飛ぶ安全神話のプロローグ 大政睦子 京鹿子 201606
敷石の残る渡し場柳絮飛ぶ 鈴木漱玉 馬醉木 201607
人行き交ふ土佐堀端に柳絮飛ぶ 大橋晄 雨月 201607
風の息著けき日なり柳絮とぶ 内海良太 万象 201608
柳絮とぶしよせんひとりの旅衣 元橋孝之 京鹿子 201608
旅果てて柳絮舞ひまふ家路かな 野村鞆枝 京鹿子 201609
柳絮飛ぶ北の大地のここに立つ 陽山道子 船団 201701
人力車止むや柳絮に囲まるる 荒井千佐代 201705
中空を風のきままや柳絮とぶ 木村梨花 春燈 201707
降り立ちたる北の大地や柳絮舞ふ 今村千年 末黒野 201708
謂れ無き少女の像に柳絮飛ぶ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201804
柳絮舞ふ銀座に観世能舞台 稲畑廣太郎 ホトトギス 201804
柳絮とぶ天竺山のはるかへと 本多俊子 201807
柳絮追ふ柳絮の雨をさ迷へる 湯川雅 ホトトギス 201810
柳絮飛ぶ雲ひとひらに水翳り 布施政子 馬醉木 201812
柳絮飛ぶ川沿ひの家ささくれて 荒井千佐代 201904
五升炊蓋の重しや柳絮飛ぶ 村上ヤチ代 船団 201910
楊貴妃の目覚むる頃や柳絮飛ぶ 三上程子 風聴くや 202003
柳絮飛ぶ武漢の風邪は拡がれり 田中藤穂 あを 202004
水面の膨らんでをり柳絮とぶ 前田美恵子 202005
柳絮飛ぶ一戸に一艘持つ暮らし 荒井千佐代 202005
啄木は岸辺に泣けり柳絮飛ぶ 森岡正作 202006
柳絮とび水華やげる夕べかな 小山繁子 春燈 202007
羽衣のやうに柳絮の舞ひにけり 有松洋子 202007
校庭に姿なき子ら柳絮舞ふ 鈴木としお 春燈 202007
柳絮飛ぶサンクトペテルブルグ晴れ 丑久保勲 やぶれ傘 202007
柳絮とぶ海軍橋は名を変へて 浜福惠 風土 202007
屈託の枷を外して柳絮飛ぶ 石川東児 202009
目に見ゆることの安らぎ柳絮とぶ 服部早苗 202010
それだけの事が好日柳絮飛ぶ 牛島晃江 202107
柳絮飛ぶ人なき街の無重力 里村梨邨 202107
運命の軽重在るや柳絮飛ぶ 小林清彦 末黒野 202204
新しき出会ひを求め柳絮とぶ 高橋将夫 202205
片足の鷺の孤高や柳絮飛ぶ 長尾タイ 末黒野 202208
柳絮飛ぶ朝や上海旧租界 塙誠一郎 家系図 202211
柳絮飛ぶ湖尻に近く五六軒 大崎紀夫 やぶれ傘 202307
車座にひとつふたつとくる柳絮 大島英昭 やぶれ傘 202307
柳絮とぶ乗合舟の竿の先 山口登 末黒野 202306

 

2024年3月10日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。