レモン    173句

 

作品
作者
掲載誌
掲載年月
レモン噛む地獄の釜の開く日かな 神蔵器 風土 199810
みそっ歯に氷レモンのしみる午後 平井奇散人 船団 199811
きりきりとレモンをしぼる台風眼 古屋元 199812
恋ふたつレモンはうまく切れません 松本恭子 船団 199903
レモン汁一滴二滴中年へ 小枝恵美子 船団 199903
真昼間の葭簀の冥さレモン切る 戸田春月 火星 199909
魂が壁を抜け出るレモン水 吉川真実 海程 199910
たかだか百年檸檬を絞ること覺え 中原道夫 銀化 199911
今日よりは姑となり檸檬切る 原茂美 俳句通信 200001
夕燒後の爛れ檸檬をしぼり合ふ 中原道夫 銀化 200001
ほっとれもんあなたは嘘をつけますか わたなべじゅんこ 鳥になる 200003
強さとは哀しい選択レモン風呂 わたなべじゅんこ 鳥になる 200003
レモン切る焼酎黒色透明で 三神あすか ヒッポ千番地 200005
沈黙におどけて食べてみせるレモン 塩見恵介 虹の種 200005
冷蔵庫レモンスライス蔵ひ置く 宮津昭彦 200009
レモン水甘くすっぱし青春は 林田加杜子 いろり 200009
悔い幾つレモンが青き実を垂れて 和田祥子 馬醉木 200012
エリーゼのために檸檬を百万顆 阿部吉友 海程 200012
レモンの種紅茶にうかび夫の留守 竹内弘子 あを 200101
腰細の姫の鎧や青檸檬 市橋章子 ぐろっけ 200102
檸檬噛む父より長い脚組んで 辻村拓夫 船団 200103
寒々として檸檬一個を疑う 武馬久仁裕 船団 200106
貧ゆゑの手練や檸檬紙のやう 泉田秋硯 200201
レモン切つて心身覚ます生唾 笠原ひろむ 200201
二十四時の顔洗いゐる檸檬かな 天野きく江 200201
レモン一顆青春を大切にせよ 堀川千代子 百鳥 200201
ル・モンドをひろげて檸檬かんでをり 市川英一 遠嶺 200201
ニーハオのあとは手差しでレモン水 達山丁字 200202
丸ごとのレモン喰みしめ虚なり 木村真魚奈 京鹿子 200202
ふがいなき瞼に檸檬はじくなり 鳥川昌実 六花 200202
レモンスカツシュ主宰を男と想う時 角田信子 六花 200209
初老には初老の狂気檸檬喰む 武田菜美 銀化 200212
あくまでも孤独のかたちしてレモン 波多洋子 銀化 200212
レモン噛み顔三角になりにけり 門脇なづな 対岸 200212
無造作に束ねし髪や檸檬の香 赤池英津子 遠嶺 200212
ホットレモンこの町を見下ろしてゐる 槻木珠美 銀化 200301
道狭ばめたわゝに実る青檸檬 伊藤公女 ぐろっけ 200301
レモン水スコッチ訛りのウエイター 小田知人 ぐろっけ 200308
舌平目半切檸檬絞りけり 能村研三 200310
ハンサムな蚤の夫婦のレモン水 太田絵津子 200310
ホツトレモン大匙一杯分の恋 高田令子 200401
かがやかに檸檬熟れ木は暗むかな 宮津昭彦 200401
しまなみの島のひとつに檸檬買ふ 岡田万壽美 雲の峰 200401
海よりも空の近くて檸檬かな 堀本祐子 遠嶺 200401
満たされてレモンいろなる夜のレモン 金澤明子 火星 200402
一行の礼状きたるレモン水 須佐薫子 帆船 200405
根切虫誅せし朝のレモンティー 隅田享子 200409
華氏哩封度吋檸檬噛む 赤座典子 あを 200410
リモージュに濃きセイロンと檸檬かな 西沢彰敏 春燈 200411
読書会青きレモンももらいけり 伊藤マサ子 ぐろっけ 200502
布巾真つ白朝のレモンを輪切りにす 元田千重 火星 200502
檸檬入りホット蜂蜜事務始 鈴木榮子 春燈 200502
仕切り直すレモンスカッシュ飲み干して 小嶋洋子 200509
ヘラクレス檸檬色づきはじめたり 岩月優美子 200512
雫ごと青さ残れる檸檬捥ぐ 近藤きくえ 200512
レモン買ふ暗愚小傳讀みさして 川崎洋吉 遠嶺 200601
檸檬より眩しき枕ありにけり 大島翠木 200602
表紙絵のレモンの黄に年立てり 辻恵美子 栴檀 200603
花レモン雨にうつろひ訃音受く 渡邉友七 あを 200605
レモン手に潮の流れを読んでをり 石脇みはる 200610
久々に逢ふ子の敬語レモン水 山中宏子 200709
れもんれもんれん掌の長い時間 新関一杜 京鹿子 200709
喉ならし一息で飲むレモン水 坂本知子 酸漿 200710
俎に木曽の刻印檸檬切る 西面和子 200712
よくぞ実となりし緑のレモンちび 嶋田摩耶子 ホトトギス 200712
樹のレモン緑の時代長かりし 嶋田摩耶子 ホトトギス 200712
檸檬黄に一途の黙は柔軟心 南一雄 200803
しぼりきるレモン霜夜の卓の上 上林孝子 200803
意に染はぬことの多しやレモン切る 吉田晴子 200811
品川や黒き運河にレモン浮く 内海良太 万象 200812
檸檬捥ぎ両手に暫し愛しめり 安部和子 雨月 200901
ロマン派にレモンの先の尖りけり 安部和子 雨月 200901
大檸檬疑ひも無き葉の香り 渡辺玄子 酸漿 200902
レモン水呑みてうすらぐ鬱気かな 塩路隆子 200909
青レモン固き香りの高貴なり 今井千鶴子 ホトトギス 200910
檸檬齧り自分を騙すこと知らず 村田冨美子 京鹿子 200911
檸檬齧る記憶の中の小抽斗 冨松寛子 200912
ひとり居に青過ぎる空レモン切る 藤原はる美 200912
早起きは得せし気分レモンティー 西面和子 201001
折鶴を添へて智恵子の檸檬かな 小嶋恵美 春燈 201001
京極にカリフォルニアの檸檬一つ 常田創 201010
檸檬切る自慢ばなしの輪の外に 長谷川翠 馬醉木 201012
遺言に延命不可と檸檬かな 大島翠木 201101
檸檬育て平家の裔を誇りとす 稲畑廣太郎 ホトトギス 201106
両端の尖る檸檬や少年期 藤原若菜 春燈 201111
若死の父へまつすぐレモン切る 井上信子 201111
まん丸くなりたし消燈後の檸檬 定梶じょう あを 201110
ぎりぎりの攻防レモン滴らす 直江裕子 京鹿子 201112
歯に衣をきせずレモンの香を纏ふ 千田百里 201112
檸檬の香くりやの朝を満たしけり 宮田豊子 春燈 201201
檸檬切る智恵子の故郷思ひ馳せ 長崎桂子 あを 201112
鰯雲ナイフに映しレモン切る 林昭太郎 あまねく 201210
教室に師の似顔絵も青檸檬 松井洋子 ぐろっけ 201211
檸檬買ふ幾たび読みぬ智恵子抄 横内かよこ ぐろっけ 201212
れもん酒をのんで白雲ただよはす 安田優歌 京鹿子 201301
レモン切れば香り裸身のやうに立つ 織田高暢 201301
研ぎ立てのナイフにはしる檸檬の香 小泉欣也 ろんど 201302
即物写生写生と思ひレモン見る 大橋敦子 雨月 201303
ホットレモン人恋しくて人嫌い 火箱ひろ 船団 201306
飴玉はレモンの味す青嵐 石脇みはる 201307
あなたにはひとつおまけのレモン手に 池田久恵 ぐろっけ 201308
をみならに時ゆく檸檬シヤーベット すずき巴里 ろんど 201311
潮騒の高きに檸檬色づけり コ田千鶴子 馬醉木 201311
知恵しぼり檸檬を絞り永らふる 原友子 201312
花檸檬をんな笑がほで頷ひて 塩貝朱千 京鹿子 201409
怠け癖けふを限りと檸檬切る 粟倉昌子 201412
檸檬なら切らず絞らず掌に 川南隆 ろんど 201501
鉢植ゑの檸檬の黄色うひうひし 鈴木セツ 201501
汝は檸檬ビタミンCにあらぬなり 川南隆 ろんど 201501
テーブルに青き檸檬をひとつ置く 中井弘一 201502
檸檬かじるトパーズ色の汁はこれ 山田正子 201502
ゆるびたる身の箍締まりレモンの香 森清信子 末黒野 201502
檸檬持ちあもんと言うて幼子は 有賀昌子 やぶれ傘 201504
養生の野菜ジュースの檸檬入り 村上倫子 201509
朝々の檸檬紅茶やビバルデイ 長谷川友子 春燈 201512
閑居するれもんの香にも驚いて 定梶じょう あを 201512
丸善のレモンのところ初デート いろは 201512
書に倦むや檸檬の香り手に包み 松本三千夫 末黒野 201601
ささやきは輪切り檸檬の種の跡 丸井巴水 京鹿子 201602
鉢植ゑに今年は七つ檸檬の実 秋山信行 やぶれ傘 201602
檸檬見て大きく動く喉佛 白水良子 201602
日のあたる順に色増すレモンかな 岩井京子 201603
レモン配る庭に成りしがうれしくて 岩井京子 201603
枝折れし檸檬の木へとまづ寒肥 萩原久代 やぶれ傘 201606
焼酎に片手搾りの檸檬かな 荒井和昭 201608
レモン切るすべて教へてくれしかな 井上信子 201610
れもん置くただ端正にあらんとす 井上信子 201610
一皿にパンと檸檬のある平和 矢崎すみ子 201611
檸檬なる番犬に根を囓られて 小林朱夏 201611
檸檬あり記憶は遠くなるばかり 水野恒彦 201701
成木責せぬ檸檬までたわわなる 岩井京子 201612
てのひらの生きしろ檸檬滴たらす 直江裕子 京鹿子 201705
檸檬切る自意識といふ固きもの 平野多聞 201711
翠色マイヤー檸檬のジャムつくり 七郎衛門吉保 あを 201712
自家製とメモ入りレモン拳大 黒澤佳子 あを 201804
違う道歩いて水出しレモンティー つじあきこ 船団 201805
聞き役やレモンスカッシュ酸つぱすぎ 川崎真樹子 春燈 201809
音読の後の黙読レモン水 森清堯 末黒野 201810
燈を消せば長大息す笊の檸檬 定梶じょう あを 201812
青檸檬山への口に鉄の門 柿沼盟子 風土 201902
潮騒の通ふ故郷青レモン 久保夢女 201902
しまなみを繋ぐ潮の香檸檬の香 涌羅由美 ホトトギス 201903
さう言へば手榴弾にも似て檸檬 中島秀夫 王水 201909
檸檬添ヘビーフステーキ焼き上がる 稲畑廣太郎 ホトトギス 201910
檸檬の香君の唇近ければ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201910
オテ・フセを強要されてゐる檸檬 辻水音 202001
春浅し湖上花火の檸檬色 赤座典子 あを 202004
五月晴レモン効かせて逃亡者 高木晶子 京鹿子 202009
お絞りにレモンの香り梅雨の明 渡辺やや 風土 202009
少女にかはり檸檬の匂ふ駅ピアノ 井上菜摘子 京鹿子 202009
檸檬食む乙女の顔を歪めつつ 稲畑廣太郎 ホトトギス 202010
剛至君檸檬のやうな恋をして 稲畑廣太郎 ホトトギス 202010
檸檬の香島の空気を塗り替へて 稲畑廣太郎 ホトトギス 202010
檸檬女む佳人表情崩さずに 稲畑廣太郎 ホトトギス 202010
レモン添ヘメインディッシュの仕上りぬ 稲畑廣太郎 ホトトギス 202010
レモンスカッシュ交歓会はオンライン 内山花葉 202010
外は秋茶器を愛でつつレモンティー 安藤久美子 やぶれ傘 202010
島長の追伸ほどの檸檬の香 和田照海 京鹿子 202011
檸檬ひとつ残る静けさ店の棚 布施由岐子 末黒野 202012
檸檬二個窓よりの陽に息づいて 安藤久美子 やぶれ傘 202101
理髪店の合せ鏡やレモンの香 森竹治郎 末黒野 202103
扇風機に髪くすぐられレモンの香 稲田延子 やぶれ傘 202108
四捨五入は苦手レモン滴らす 村田あを衣 京鹿子 202108
六月やレモン真青きまま育つ 中根美保 風土 202109
朝涼やマジョルカ皿の島レモン 向井芳子 春燈 202110
我が魂を育てし昭和青檸檬 種田利子 春燈 202201
推敲をしてをりレモン噛んでをり 川高郷之助 202201
ホットレモン恋にときめく待ち時間 佐藤千恵 京鹿子 202203
ことのほか大きくなりしレモン採る 岩井京子 202206
着信のなき日の檸檬したたらす 井上菜摘子 京鹿子 202209
揺れて見ゆ檸檬の花の毛虫かな 谷口一献 六花 202209
山盛りの氷レモンに匙を入れ 木村瑞枝 やぶれ傘 202210
瀬戸内の檸檬と言はれ嗅いでみる 柴崎和男 やぶれ傘 202302
レモン色出会ひがしらの春コート 久間早苗 202306

 

2023年9月1日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。