落 花 7       146句

中空にとまらんとする落花かな    中村汀女

作品
作者
掲載誌
掲載年月
大瀬戸の渦の巻き込む落花かな 川口崇子 万象 201607
藜の杖ついて落花の坂登る 西村しげ子 雨月 201607
舞ひ上る落花もありて花吹雪 久保晴子 雨月 201607
茶屋床几落花払ひてすすめられ 森脇貞子 雨月 201607
城跡の落花の中に人を恋ふ 川上恵子 雨月 201607
猪買ひのふるき町なり飛花落花 多方清子 雨月 201607
飛花落花奥より出づる弓の丈 間島あきら 風土 201607
夕さりの風吹き変はる落花かな 森清信子 末黒野 201607
飛花落花雀も人と交はりて 湯本朱美 末黒野 201607
堂守りは落花もろとも塵となす 丸井巴水 京鹿子 201607
飛花落花土に還るや人もまた 後藤マツエ 201607
古都絵巻水へと移りゆく落花 古賀しぐれ ホトトギス 201608
秩父道落花しきりに石地蔵 本田武 やぶれ傘 201608
袢纏の続く葬列飛花落花 田中道江 万象 201608
とめどなく胸にとどくや峰落花 安原葉 ホトトギス 201609
落花貼りつきて山水濡らす道 安原葉 ホトトギス 201609
飛花落花おじさん無口屋台の夜 梨地ことこ 船団 201701
山間をただよふ落花又落花 稲畑汀子 ホトトギス 201704
一片の落花の誘ふ落花かな 稲畑汀子 ホトトギス 201704
ひそやかに夜の落花のつづくとも 稲畑汀子 ホトトギス 201704
傘閉づや落花一片巻き込みて 稲畑廣太郎 ホトトギス 201704
一片の落花忌心乗せて舞ふ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201704
みよし野の落花絵巻に包まれて 稲畑廣太郎 ホトトギス 201704
一片に誘はれ舞ふ落花かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201704
夕暮を誘うてゐる落花かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201704
落花見る如く見てゐし散紅葉 後藤比奈夫 ホトトギス 201705
被爆地にけふも彼の刻飛花落花 荒井千佐代 201705
吹き上げて天より舞へる落花かな 大橋淳一 雨月 201706
応援歌とどく落花の老大樹 辻美奈子 201706
落花より一頭の蝶離れけり 黒坂紫陽子 馬醉木 201707
飛花落花被く菩薩や飛鳥山 岡田史女 末黒野 201707
魚板古り皆仏の子飛花落花 藤浴博子 京鹿子 201707
隣からの落花の嵩を掃きにけり 金森信子 雨月 201707
飛花落花園児の声の洩れ来たり 成田美代 201707
ひとひらの落花貼りつく摩尼車 増田幸子 万象 201707
落花浮く地下鉄駅の水溜り 大木茂 万象 201707
キリストの両の手広げ飛花落花 森清信子 末黒野 201708
せきれいの歩み促す落花かな 安斎久英 末黒野 201708
落花舞ふ梢を透きで昼の月 安斎久英 末黒野 201708
ひと片の落花句作のペンの先 岡野里子 末黒野 201708
一苑を覆ひ尽くせり飛花落花 加藤静江 末黒野 201708
築山を一色に染め飛花落花 山崎稔子 末黒野 201708
渋滞の中にもしきり飛花落花 遠山のり子 201708
池心へと亀の背に乗る落花かな 橋本くに彦 ホトトギス 201709
青空へ雲へと落花吸はれゆく 今橋眞理子 ホトトギス 201709
午前九時宿の落花のはじまりぬ 山田閏子 ホトトギス 201709
白妙の沙羅の落花に聴く法話 熊岡俊子 雨月 201709
種蒔は畝に置くのみ落花生 田中とし江 201709
沙羅落花惑はぬ様を眩しみて 佐俣まさを 春燈 201709
落花生には手の届く席のあり 稲畑汀子 ホトトギス 201710
とり合へず落花生より供されし 稲畑汀子 ホトトギス 201710
寂色を見せざる娑羅の落花かな 石黒興平 末黒野 201710
待ち合はす辻や落花の夏椿 鈴木礼子 末黒野 201710
気化するに時間たっぷり飛花落花 鶴濱節子 船団 201802
上ばかり見て足許の落花かな 稲畑汀子 ホトトギス 201804
渦巻いて落花は江戸の空狭め 稲畑廣太郎 ホトトギス 201804
落花舞ひ上げて雀の降り立ちぬ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201804
一片の落花浴ぶより寿 稲畑廣太郎 ホトトギス 201804
落花舞ふ五重塔を越えたくて 稲畑廣太郎 ホトトギス 201804
終の色風に放ちて落花舞ふ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201804
一篇の詩は一片の落花より 稲畑廣太郎 ホトトギス 201804
天帝の気息にとべる落花かな 竹下陶子 ホトトギス 201804
落花霏霏わが青春の神田川 山本喜朗 雨月 201806
南朝の御座所あとなり飛花落花 福岡芳子 雨月 201806
平地なる鎌足の墳飛花落花 安田富子 雨月 201806
盛衰の城の歴日飛花落花 安田富子 雨月 201806
ロダン像落花の中の黒光り 岡本秀子 201806
さよならはダンスの後に飛花落花 松井季湖 201806
転た寝のライオンの腹飛花落花 秋岡美津子 201806
ひひらぎの落花は白き直線に 松尾龍之介 201806
落花積む岳温泉の桜坂 赤座典子 あを 201806
県境の根雪に落花又落花 岡田桃子 201807
飛花落花遊子の浜の夕さるる 浜福惠 風土 201807
ゆるし合ふ人がとなりに飛花落花 津川かほる 風土 201807
しばらくは伽藍に遊ぶ落花かな 谷田明日香 風土 201807
落花浴びかもめの舞は水の精 望月晴美 201807
満月と落花の舞を存分に 佐藤玲子 春燈 201807
湯煙と卍巴の落花かな 市ヶ谷洋子 馬醉木 201807
飛花落花江の島沈むほどの人 石黒興平 末黒野 201808
飛花落花流れの速し神田川 鈴木昌子 やぶれ傘 201808
走り出しさうな日月飛花落花 岩岡中正 ホトトギス 201809
落花枝に戻らざる世の渦まきて 安田優歌 京鹿子 201901
落花生どのアングルも私かな 鷺山珀眉 京鹿子 201901
一片の落花といへど惜しまねば 安住敦の句 春燈 201903
落花敷きつめて大川らしくなる 稲畑廣太郎 ホトトギス 201904
落花舞ふ宇宙狭めてゆきにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201904
一片の落花忌心載せて消ゆ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201904
その上のその上の上より落花 稲畑廣太郎 ホトトギス 201904
散り敷けば落花は句碑の伽として 稲畑廣太郎 ホトトギス 201904
おにぎりのほろとほぐる時落花 今井肖子 ホトトギス 201905
眼薬さす落花を仰ぐさまをして 安住敦 春燈 201906
落花みな飛花となりゆく今朝の風 森なほ子 あを 201906
沢庵に貼りつく落花いたゞきぬ 光成敏子 201907
語るかに青空を舞ふ落花かな 安立公彦 春燈 201907
大池のどこに漕ぐとも落花中 岡部玄治 201907
てのひらの落花を風に戻しけり 小原芙美子 風土 201907
平成の子昭和の子にも飛花落花 いろは 201907
特攻の旧かなの遺書落花霏々 大島寛治 雨月 201907
石けりに落花舞ひ上げ子等の径 黒滝志麻子 末黒野 201907
ひとひらの落花の越えぬ勅使門 加藤静江 末黒野 201907
落花舞ふマラソンゲート駆け抜けぬ 高木邦雄 末黒野 201907
浮き上がり流れ行きやがては落花 立村霜衣 ホトトギス 201908
風ともす道の明かりの落花かな 阿部さちよ 201908
水門の落花の嵩や鯉跳ねて 菅野日出子 末黒野 201908
青木重行忌や茫然と落花舞ふ 田中臥石 末黒野 201908
蒼天や落花に映ゆる朱の社殿 鍋島武彦 末黒野 201908
幸せや明日香の風でする落花 後藤比奈夫 ホトトギス 201909
落花繽紛蘇我の館と聞くからに 後藤比奈夫 ホトトギス 201909
一陣の風の落花を浴び尽す 安原葉 ホトトギス 201909
乗り遅れたる風を追ふ落花かな 湯川雅 ホトトギス 201909
歳月に落花に追はれゐるやうな 岩岡中正 ホトトギス 201909
エレベーターひらり舞い込む落花かな 吉宇田麻衣 201909
蒼天へ溶け込む一枝より落花 稲畑廣太郎 ホトトギス 202002
万象が落花に埋もれゆく刹那 稲畑廣太郎 ホトトギス 202002
舞ふ落花とどまる落花さそひては 稲畑汀子 ホトトギス 202004
一片の落花にどつと山の風 稲畑汀子 ホトトギス 202004
夕風の止みて落花のとどまりぬ 稲畑汀子 ホトトギス 202004
一片の落花大地の句読点 稲畑廣太郎 ホトトギス 202004
御衣黄の静かな雨に落花かな 須賀敏子 あを 202006
飛花落花地球の軋む音がする つじあきこ 202006
乳母車に幼子五人飛花落花 波戸辺のばら 202006
大鍋に茶粥の噴いて飛花落花 南うみを 風土 202006
飛花落花われに足らぬは我慢の緒 鈴木愛子 202006
幼な児を送りて落花に阻まるる 高村令子 風土 202007
トラックに古紙堆く飛花落花 柿沼盟子 風土 202007
秘密基地ひみつにあらず飛花落花 柿沼盟子 風土 202007
飛花落花時間たっぷり生きている つじあきこ 202007
落花舞ふ残影家に帰りても 田中臥石 末黒野 202007
大寺の小寺の落花しきりなし 黒滝志麻子 末黒野 202007
照り降りや落花塗しの女坂 能村研三 202007
飛花落花里山に幸ありにける 中貞子 202007
ガラス盤落花浮かせてをりにけり 大塚たきよ 202007
飛花落花して里山に昼がくる 藤原明美 202007
飛花落花禍々しきを祓ひたり 能村研三 202007
城址や胸押してくる飛花落花 小倉征子 202007
まだ咲かぬ枝を落花の触れてゆく 湯川雅 ホトトギス 202008
鳥の声からの一輪づつ落花 山本素竹 ホトトギス 202008
武家屋敷正門開く落花かな 永井惠子 京鹿子 202008
飛花落花色即是空とはなりぬ 竹下陶子 ホトトギス 202009
音立てヽ句帳にのりし落花かな 竹下陶子 ホトトギス 202009
池打てる落花集まる処かな 竹下陶子 ホトトギス 202009
落花吐き出して鯉にも慌て者 木村享史 ホトトギス 202010
一片の落花にもある静心 安原葉 ホトトギス 202010
ふりそそぐ落花の白く輝けり 中貞子 202102
一片に誘はれゆく落花かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 202103
飛花落花言葉のいらぬ別れかな 五十嵐五郎 202104
暮れ残る池面へ止まず飛花落花 池乗恵美子 末黒野 202104
掃き痩せの土に降りたる落花かな 能村研三 202105
いぶかしとあたりみまはす落花かな 佐藤喜孝 あを 202105
降りしきる落花たましひ遊ばする 山田暢子 風土 202106
遡る十石舟や飛花落花 渡辺やや 風土 202106
しばらくは落花の中に身を正す 安立公彦 春燈 202106
走者過ぎ再び宙に舞ふ落花 丸井巴水 京鹿子 202106
角取れし石の齢にそふ落花 丸井巴水 京鹿子 202106
大原女の荷となる落花くだるのみ 丸井巴水 京鹿子 202106
身の軽くなりゆく落花浴びながら 西川保子 春燈 202107
ひとひらも落花のうちや大手門 加藤静江 末黒野 202107
落花舞ふ試合に負けし子の上に 谷貝美世 末黒野 202107
ゆくりなく閉ぢたる御苑飛花落花 小林拓路 末黒野 202107
この景の亡夫に届け飛花落花 鈴木千恵子 末黒野 202107
雨後の園光る地面へ飛花落花 佐藤勝代 末黒野 202107
バスを待つ刻埋め尽くす落花かな 石原孝人 京鹿子 202107
終章の舞城濠へ飛花落花 古賀しぐれ ホトトギス 202108
結界の苔の石段落花舞ふ 加藤静江 末黒野 202108
雨あとの空の青さや飛花落花 加藤静江 末黒野 202108
実朝の散りし参道飛花落花 池乗恵美子 末黒野 202108
置き去りのボールがひとつ飛花落花 相川健 202110
み吉野の落花といふは奈落まで 岡安紀元 ホトトギス 202111
落花→1

 

2022年4月27日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。